新年度番外編 サクラとセイシュとタウエ③
花見をした翌日、ヤヒスとマサカツのたっての願いで田植えの様子を見に行くことになった。
町人に聞いた道を歩いて行くと広く緩やかな丘陵地帯に入り、田おこしをする村に行きついた。
ヤヒスとマサカツはその農民に話を聞きに行った。
「こんにちは!!」
「おぉ、へぇこんにちわ」
「田おこしですか、せいが出ますね」
「ああ、もう終わるがねぇ」
マサカツは気さくに老人に話しかけている。
「この辺りで一番早く田植えをする村はどこら辺ですか?」
「ん?みょんなことを聞くだな、そんならこの次ぃ行けば村があってそこが一番はえぇわ」
「その村が一番早い理由は?こういうのは競って一番乗りをするものでは?」
「あ~~むがしばそげなあったが、その村が一番田が広くての、食料が乏しい時期に他の村もどごの村もわげてもらっででな、そんならばまぁ一番はその村にゆずんべってことでそうなっただ」
「なるほど・・・面白いなぁ」
マサカツは真剣な顔をして老人と会話して、また、ヤヒスも細かいことを老人に聞き込んでいた。
「やぁおまたせ、次の村ならタウエが見られるってさ」
「ちょうど今日くらいじゃないかって言ってたな」
ヤヒスとマサカツが一行の所に戻ってきて言った。
その後もなだらかな里山を歩いて行くと何やら音楽のようなものがうすく聞こえてきた。
「何かのお祭りかしら?」
「いや、これは多分田植えばやしだな、うんうん」
ヴィーシャに向かってマサカツが答える。
そのまま進むと音楽は大きな音で聞こえてきて色鮮やかな服を身に着けた人々が何やら作業をしていた。
「この音楽はプルツの祭りの音楽に似ているな」
「そう言えばそうだね」
リャヒは聞き耳を立て、パムは音楽の調子について賛同した。
やがて村に入り、全体を見渡すかのように立っている男にマサカツが声をかけた。
「忙しい所申し訳ない、田植えを見せてもらいたいんですが」
「田植えぇ?妙なごど言うひどだね」
「ええ、珍しいものだと聞いて」
「おぉ、アンタさんたぢはよその国からきさっただな見りゃわかる、そら珍しかな」
男は笑顔を見せて一向に話しかけてきた。
「おーぇおぇーおーぇおぇー」
「はいーはいはいーはい」
ドンドンドンドン
「見事な祭囃子ですね」
「お、そうじゃろが、わが村がいちべんせぇしょに田植えすっがらよ、よそとはちがっぺ」
「この田植え、土地が小規模ですね、何か特別な田植えでは?」
「お、するでぇな、こりゃ神様に捧げるための稲を育てる田なんよ、今年いぢばんせぇしょに刈った稲穂ですだって捧げるんさ」
男はからからと笑った。
「うーん面白いねマサカツ、田んぼってのはこんな泥沼なんだね、となるとあの挿している草がコメの元になるんだろうね」
「そうさ、田んぼは水が豊富な地域でないと作れないし手間もかかる、麦よりも手がかかるんじゃないかな」
「ならば麦に切り替える村はいないのかい?」
「少なからず麦作をしている村はいるだろうね、だが多くは米を選んだ」
マサカツはそう言うと田んぼを指さしてニコリと笑った。
「なんでコメにこだわるの?」
「これは諸説紛々なんだが、歴史の学者が言うにはコメが圧倒的に美味かったからと言う説があるよ」
「確かにコメはうまいからなぁ・・・」
ヤヒスとマサカツが一行の元に戻りつつ話をしているとヴィーシャが言った。
「まぁた難しいことを話していたんでしょう?」
「どうしてわかったのさ?」
「あなたとマサカツは農業のことになるとこっちが分からない話をしだすもの」
「おうおうマサカツもう良いんか?」
「我も話を聞きたかったが、内容が難しくてな、後でまとめて話して欲しい」
フィスとリャヒがマサカツに絡んでいる。
「ヤヒスさんは何か収穫がありましたか?」
ミードリは笑顔で眼鏡をずらす。
「見ているとコメが食べたくなるね、あの小さな苗がコメになるのか、やはり自然の力はすごい」
パムは植物学的にも興味があると見える。
「うん、俺はこれで十分だよ、さて帰ろう」
ヤヒスは自分の腰をポンと叩いて言った。




