第一部 終章 強くなる
日が昇り、暖かな光が差し込んでくる。
小鳥がせえずり疲れ切った身体に少しの安らぎを与える。
「うっうっ」
メミドの背中で顔を押さえつけるようにしてアルカがむせび泣く声が聞こえる。
ユヒトは何も言葉をかける事なくただ正面だけを見据え歩を進める。
だが、その瞳は赤く充血し潤んでいる。
「悲しいか?小僧」
メミドの声が小刻みに震えている。
嗚咽が洩れ、メミドの広い背中に顔を深くうずくめる。
口が悪く強がっているがアルカはまだ17歳なのである。
精神は今だ成熟していない。
剣の腕は大人に負けない力を持っているが子供なのだ。
そう思うとメミドはやるせなくなった。
年端のいかない少年が戦場に赴き、殺し合う事を覚え、または戦場にて戦友、自身の命を失う。
何だと言うのだこの世界は。
「世界とは残酷なものだな」
日が昇り晴天とかした空を仰ぐ。
雲一つない空を仰ぐと乱世のこの世が嘘のように曇りなき綺麗な世界に思えてしまう。
「強くなれ」
「う、うん」
背中で嗚咽まじりに答える声が聞こえる。
「誰よりも強くなれ」
メミドの視線の先に村が見える。
「誰よりも強くなる。もう誰も死なせやしない」
「ああ、そうだな」
メミドの背でアルカは決意する。
もう目の前で誰も死なせやしない。
強くなる。誰よりも。
見ていてくれ。
オルワ。
必ずこの名
天まで轟かせる。
天から一筋の光りが一行に降り注ぐ。
その様は、天からオルワがアルカ達に向けて祝福を捧げているようであった。




