第三章 カイとの確認
翌週、カイと会った。
「制度設計局から、分析の相談が来ている」とカイは言った。「五歳中間査定と、十一歳インターンの話だ。データで確かめられるかどうかを、聞かれた」
「先にナナセから聞いた」
「そうか」カイは少し頷いた。「お前はどう思う」
「方向は正しいと思う。でも——確かめなければいけないことがある」
「どんなことが」
「五歳中間査定が、親にどう受け取られるか、だ」
「減点的に受け取られる可能性がある」とカイは言った。「五歳での査定が低ければ、親はそれを自分への評価として受け取るかもしれない。修正のためのデータではなく、失敗の烙印として」
「v14のとき、素体スコアの公開を任意にした理由と、同じ問いだ」
「そうだ。見えるようにすることで、傷つく人間がいる」
レンはしばらく考えた。
「ただし——今回は、少し違う形もある」
「どういう違いか」
「素体スコアの公開は——生まれつきの能力の話だ。変えられないものを見せることに、傷みがあった。でも五歳中間査定は——今の状態を見せることだ。変えられる余地がある。修正の余地がある。その違いが、受け取られ方を変えるかもしれない」
「傷みの種類が違う」
「そうだ。でも——傷みがゼロになるわけじゃない。中間で見てほしくない、という親もいる。七歳まで、自分で育てたい、という親もいる」
「任意にする、という選択肢もある」
「考えている。でも——任意にした場合、受けない親の子どもに、どんな影響が出るか。任意であることが、新しい格差を作らないか。そこを、データで確かめたい」
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「十一歳インターンの方は、どうだ」とカイは聞いた。
「丁稚奉公企業にとっては、難しい部分がある」とレンは言った。「自分たちの方針を、外に出すことになる。インターン先にその個体の情報を見せることで、引き抜かれる可能性が生まれる」
「企業間の競争が、激しくなる」
「なる。でも——v17で見えたことがある。成人査定で低評価をつけられた個体が、他組織に放出された後、高評価を得ている。それは——個体にとっては、たまたま別の企業に出られたから見えたことだ。でも十一歳インターンがあれば、全員にその機会が生まれる」
「機会が制度になる」
「そうだ。たまたまから、仕組みへ。それが、中間点を作ることの意味だと思う」




