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第二章 ソラとの対話

 その夜、ソラに話した。


「ナナセと会った。閉ざされた領域の話をした」


「聞いていました」


「左下と右上の両方に、閉じた構造がある。七歳の査定まで、親だけが判断する。十五歳の成人まで、企業だけが判断する。その中に外の目が入らない」


「それが、乖離の形だと」


「そうだ。で——中間点を作ることで、その閉じた領域を開く、という話が出た。ソラは、どう思う」


 ソラは少しの間、黙った。


「中間点を作ることの意味を、二つに分けて考えると良いかもしれません」


「どういう分け方か」


「一つは——情報の追加です。中間時点で外の目が入ることで、それまでに気づかなかった何かが見えるようになる。もう一つは——修正の余地です。残り半分があるとき、方向を変えることができる。どちらが目的かによって、中間点の形が変わります」


「両方かもしれない」


「そうかもしれません。ただし——中間点を作ることで、新しい問いも生まれます」


「どんな問いか」


「中間点での評価が、本人に何を与えるか、です。評価が見えることで、本人が何かを選択できるようになる。あるいは——評価が見えることで、それまでと違う何かが始まる。その変化を、制度が引き受けられるか」


「それが難しい部分だ」


「難しい。でも——見えるようにすることを選んできたのが、乖離マップでもありました。中間点の評価も、同じ問いの上にあると思います」


---


「左下の中間点について、具体的に考えてみる」とレンは言った。


「どうぞ」


「三歳から七歳。その中間は、五歳だ。五歳の時点で、査定企業が中間査定をする。親が組んでいるカリキュラムの方向が正しいかどうかを、外から見る。子の素体スコアの成長可能性に対して、カリキュラムが噛み合っているかどうかを確かめる」


「親にとっては、何が変わりますか」


「今は——七歳まで、自分の判断が正しいかどうかを確かめる方法がない。カリキュラムを選んで、結果が七歳の査定まで見えない。七年間、閉じている。五歳で中間の外の目が入れば——残り二年で、修正できる」


「子にとっては」


「子は、まだ自分の成長を評価することができない。でも——五歳で他者の目が入ることで、カリキュラムとの相性が変わるかもしれない。親の選択と、子の反応の間にあるずれを、外の目が捉えることができる」


「ずれが見えることで、修正が始まる」


「そうだ。七歳の査定が、修正なしの結果だとすれば——五歳の中間査定は、修正のための機会になる」


---


「右上の中間点は」とソラが聞いた。


「七歳から十五歳。中間は、十一歳だ」とレンは言った。「十一歳の時点で、丁稚奉公企業以外の企業に、数ヶ月のインターンとして行く。別の企業での学習、訓練、労働を経験してから、もとの企業に戻る。インターンの結果を、丁稚奉公企業に公開する」


「丁稚奉公企業にとっては、何が見えますか」


「自分たちの方針だけで育てた結果と、別の企業で一時的に育てた結果を比較できる。もとの企業の方針が、その個体にとって有効だったかどうかを、外の目で確かめることができる」


「インターン先にとっては」


「その個体の可能性を、別の環境で見ることができる。もとの企業では伸びていなかった部分が、別の環境で見えることがある。十一歳以降の方向を、複数の目で考えられる」


「個体にとっては」


「一つの企業の方針だけが、自分の世界ではない、ということが分かる。別の環境で動いてみることで、自分がどういう場で動きやすいかが、十一歳の時点で少し見えてくる」


「それが——右上の空白に、どう効きますか」


 レンは少し考えた。


「右上の空白は——素体スコアが高い個体が、丁稚奉公企業の方針に当てはめられることで、可能性が狭まっていた。でも十一歳でインターンに出れば、その個体を別の環境で見た目が存在する。その目が、丁稚奉公企業の判断を相対化できる」


「鏡として、別の目が加わる」


「そうだ。中間点も、鏡だ。外の目が入ることで、閉じた領域が自分を見ることができるようになる」

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