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私のお兄ちゃんは完璧すぎる  作者: 朱雀 蓮
第X章 番外編
72/75

Dating story 轟加奈編

 私、轟加奈と靫空奏多、奏との出会いは小学4年生の夏前だった。


 梅雨が明けて夏休みもあと少しの所での急な転校生。皆は、どんな奴かな、男かな女かなとザワザワし始めていた。

 そして先生に連れてこられたのは大人しい感じの男子だった、身長は150位でまぁまぁ高く、細身ぽく見えてガリガリではなくバランスを保っている体型だった


 「じゃあ、靫空君挨拶して」

 「靫空奏多と言います、よろしくお願いします。」


 と簡単な挨拶をし、拍手を受けると先生に支持された私の隣の席にそそくさと座った。

 その後は皆転校生の方へと寄っていくのが自然な形だった。


 「靫空君は何処から来たの?」

 「京都です」

 「何かスポーツしてる?」

 「してません。」

 「ゲームとかは?カードとか!」

 「嗜む程度にやっています。」


 その素っ気ない返事に周囲はややどう接していいかわからず解散は早かった。

 そして転校生も鞄から本を取り出し読み始めた。

 私は誰もいなくなった後で話しかけた


 「ねぇ、それ、何読んでるの?」

 「【化物語(ばけものがたり)・上】ひたぎクラブ」

 「へ、へぇ~面白いの?」

 「昨日読み始めたばかりだけど、結構面白い」


 こちらに返答してくるのは有り難いが本を読みながらだと何だかイラッとくる。

 すると、今度は違う男子が転校生の周りに寄ってきた


 「おい、転校生!何読んでんだ?寄こせ!!」


 と呼んでいる転校生の手から本を奪いとると表紙に書かれたタイトルを見た


 「ばけものご?何だこれ?こんなの面白いのか?」


 と大声で言うため、周囲も何だその本?あいつあんな本読むんだ・・・みたいな感じになっていたが


 「それ、ばけものがたりと読むんです。しかも大人気セラーの本ですよ」


 と軽く指摘し本を奪い返すと途中のページを探しながらため息をついていた

 それとは反面先程大声を出していたクラスのガキ大将剛谷は顔を真っ赤にしていた


 「あいつ、漢字の呼び方間違えてやがんの・・・」

 「小学4年生で、【物語】を【ものご】って・・・だっさ」

 「でも、あの本面白いのかな?」

 「私本好きだから今度お母さんに買ってもらおう」


 という会話がざわめき始めた。

 そして10分後チャイムが鳴り、先生が大束の紙を持って現れた


 「よ~し、じゃあ今日は予告をしていた通りテストをしまーす」


 周囲は一斉にえ~と声を上げたが、先生は無慈悲にもテストを配る


 「夏休み前だから、今回50点以下だった生徒には夏休みの宿題にプリントを追加して渡します」


 さらに悲鳴じみた声が上がる


 「せ、先生!転校生来たばっかだから多分内容が分かってないと思います!だから延期すべきです!」


 と先程のガキ大将剛谷が立ち上がって大きな声で言った

 だが、転校生は


 「別に構いません、大丈夫です。」


 とキッパリ言って筆箱から鉛筆と消しゴムを取り出した


 「はい、剛谷君座ってね~じゃあ、テスト開始!!」


 とテストが始まった。

 内容は分数のまとめテスト、頭を悩ませながら皆解いていく中。

 転校生はスラスラと解き僅か5分で解き終わったらしく、暇そうに頬杖を突きながら欠伸をしていた

 そしてその10分後テストは終了し先生は大急ぎで職員室で採点をしに行った

 その間、またもや剛谷とその取り巻き達が奏多の前に現れた


 「おい、転校生お前のせいでテストが全然出来なかったじゃねぇか!!」


 理不尽にもほどがあった

 だが、転校生は気にせずに本を読み全く話を聞いていなかった

 それを見た剛谷は本を奪い教室の床に叩きつけた


 「俺様の話を無視するとは良い度胸じゃねぇか!!」


 だが、転校生は立ち上がり本を拾い埃を払うように本をパッパと払うとため息を溢しながら口を開いた


 「読書してるんで邪魔しないでください」


 ときっぱりと言い、読書に入ろうとすると剛谷は再び本を取り上げ今度は本を窓の外に放り投げた


 「そんなに読書したいんだったら?どうする本取ってくるか?あぁ?」


 と、至近距離で睨む剛谷を前に転校生は無表情だった


 「何だ、その目は?なんか文句あるのか?」


 と転校生はゆっくりと口を開けた


 「君、朝歯を磨きました?口臭いですよ」


 と鼻を軽く抑えた

 それを聞いた周囲は一斉に笑った


 「あいつ朝歯磨いてねぇのかよ、きったね~」

 「不潔~」

 「歯ぐらい磨けよな~」


 と笑いとさげすむ目が向けられた剛谷は顔を真っ赤にし転校生の胸ぐらを掴んだ


 「ちょ、止めなって!暴力はマズいって」


 と周囲が止め始めたがキレているのか聞く耳持たず


 「あんまり調子に乗るなよ・・・転校生が!!」


 と右手の拳を振りかざし転校生の顔面を捉える

 だが、転校生はその腕をがっしりと掴む、拳は目の前で止まりビクともしない


 「な、う、動かねぇ・・・」


 そして、転校生はがら空きの剛谷の胸当たりにピッタリと拳を付けると軽くトン押すようにパンチを繰り出した

 だが、見ため以上に痛いらしく、剛谷はその場に蹲った

 転校生はため息をつき席に着くと、それと同時に先生がやってきた


 「こら~!!何を騒いでるの?早く席に着きなさい、剛谷君」


 剛谷はお腹を抑えながら席に着くとこちらをギラリと睨んできた。


 「それではテストを返します、じゃあ点数が良い順に返しますね、じゃあ靫空君!満点よ!!」


 と周囲からおぉぉと歓声が上がるが、別に反応も無くテストを受け取る。

 勿論、点数は100点、だが転校生は点数も見る間もなく丁寧に折りたたむと鞄に入れた。

 そして、次々とテストが返される、因みに私はぎりぎりの55点だったが、やはり剛谷は最下位だった。

 そして授業が終わるとヒーローインタビューの様に奏多の周りに人が寄ってくる


 「凄いね!テストも満点で、あの剛谷に喧嘩で勝っちゃうなんて」

 「ねぇ、どうやったらあんな事出来るの教えて!!」

 「靫空君、ココ教えてよぉ」


 だが、転校生は何も答えず教室を出て5分後、ボロボロになった本を手に再び読書に戻った。


 「すいませんが、読書するので」


 と本を開きぺらぺらとページをめくり始めた

 こういう集団のいる場で読書をするという事は、『1人になりたいから話しかけるな』という無言のサインだった。

 だが、まだ周りは小学生、それが分かる者も少なく読書中にも質問の嵐が飛び交う、だが、その中その周りの人間を押しのけ、剛谷が奏多の前に現れた。


 「てめぇ、調子に乗ってんじゃねぇぞ?偶々俺に勝ったぐらいで調子に乗ってんじゃねぇ!!」


 だが、転校生は知らんぷりで読書を続ける


 「相も変わらず読書かてめぇ!!」


 と奏多から本を再び奪い取ろうとする次の瞬間、転校生はまるでバレリーナの様に垂直に足をあげ新品のまだ固いゴムの上履きの先っちょが剛谷の下顎をかすめた


 「日本語が分からないのかな?読書の邪魔をしないでくれってさっき言いましたよね・・・同じことを2度言わせないでください、次はないですよ」


 と腰を抜かした剛谷に向かって言うと、ため息をつき読書に戻った。

 そして、昼休み、小学生にはたまらない給食の時間、皆配給された今日の献立であるカレーライスにあり付いていた

 給食は隣前後の計4人の机を引っ付けて食べるため私と転校生は向かい合って食べていた

 班のメンバーは他は男女1人ずつで、ワイワイ盛り上がりながら食べていた


 「なぁ、靫空はさ何か嫌いな食べ物とかあんの?」

 「いえ、特には」

 「いいなぁ、俺椎茸とピーマン苦手だから残すといっつも母さんに怒られんだよなぁ」

 「嫌いなモノはソレ単体で食べると美味しくないんですが自分の好物と食べれば多少は食べれますよ」

 「へぇ、そうなのか?」

 「ええ、実例を上げるとうちの妹も野菜嫌いが多かったですが好物のハンバーグを作る際に細かく刻んだりして一緒に練りこむんです、それで食べ終わった後に入ってることを知らせたら最初は驚きますが次第に『自分は食べれるんだ』って気になって食べれるようになりますよ、一度お母さんに言って実践してみればどうです?」

 「へぇ~今日やってもらおうっと、今日ハンバーグだって言ってたし!!」

 「じゃあさ、じゃあさ靫空君て何が好物なの?」


 と斜め前つまり私の女子が話しかけていた


 「そうですね、あんまりこれが好物だっていうこだわりはありませんが強いて言えばグラノーラやコーンフレークですね」

 「私も好き~朝一杯の牛乳欠けて食べるんだ~」

 「ええ、最近ではいろんな味もあって美味しいですよね」


 と食べ物の話題で盛り上がっていた。

 その実、この転校生以外に無口かと思えば凄く喋る、しかも話が面白い。

 いつの間にか私も会話に参加しワイワイと盛り上がっていた、だが、彼の表情を見ると何故か違和感を感じた。あんなに笑っているのに・・・

 そして、午後一番の授業はサッカーだった。

 先程のカレーを大盛にした生徒は脇腹を抑えながらアップのランニングをしている。

 今日の体育はサッカーだった、昼ご飯後には一番厳しい競技だ

 各自サッカーボールを持ち、男女2人1組でペアを組まされた。

 私は何故か転校生と組むことになった。

 正直に言って私はサッカーが苦手だ、走るのは好きだがボールを蹴って走る行為がいまいちしっくりこないのと、蹴るのが下手だからだ。

 最初はパス練習、私から蹴るとボールはやはり変な方向へと飛んでいく

 だが、まるでボールの飛ぶ位置が分かっていたのかの様に転校生はジャストでボールをトラップした


 「轟さん、軸足がぶれてるよ。」


 軸足?蹴らない方の足の方か?

 と足元を見ると本当に蹴らない左足の向きが外へと行っていた


 「落ち着いて、軸足を相手に合わせて・・・足の内側で蹴るんだ」


 とまっすぐボールが飛んできたので物凄く上手くトラップできた


 「ええと、軸足をしっかり相手に合わせて・・・足の内側で、蹴る!!」


 云われた通りに蹴るとボールはしっかりとまっすぐに進み転校生の足元へと転がっていった


 「ナイスパス!」


 と褒められたので少しうれしくなってその後も必死になって真っすぐ蹴るをやり続けた。


 「よーしそれじゃあ、次はシュート練習だ・・・そうだな、転校生、ボールをゴール前に出してくれ、練習見てる限りパス出しは上手かったからね。」


 コクリと頷き転校生はパスを出し先生がバシッと決める


 「よし、じゃあ転校生交代だ」


 と今度は先生がパスを出し、転校生がシュートを蹴るが、ボールは勢いよくゴールポストでカーンと弾かれた


 「ああ~惜しかっ・・・・」


 と先生が次のセリフを言い終わる前に転校生は跳ね返ったボールをなんとオーバーヘッドキックでゴールに決めていた。


 「な、ナイスシュート・・・・」


 と唖然とする先生を他所に転校生は気取った感じも無く平然な顔でボールを持って生徒たちの列に戻ってゆく

 皆尊敬のまなざしで彼を見るが、数人憎しみを込めた目で彼を見ていた。

 シュート練習も終わり残り時間20分


 「よーし、残り時間はミニゲームをします!ペア同士でじゃんけんしてください」


 と私と転校生がじゃんけんをし私は負けたので皮肉にも剛谷が居るチームに入ってしまった。


 「それじゃあ、開始!!」


 ホイッスルと共に、勝ちチーム先行で試合が始まった。

 転校生はミッドフィルダーで中間あたりをぶらぶらしていたが、ボールがくれば、獲ってフォワードに渡すそれだけをこなしていたが、そんな中事件は起きた。

 始まって10分が経った頃だろうか、転校生の頭にボールが直撃した。

 転校生がボールをパスし後ろを振り向いた瞬間、パスを貰った剛谷の取り巻きの一人が剛谷にパスを出しかなりの至近距離でボールを蹴った。

 皆心配そうに転校生を見ていたら、転校生はムクッと立ち上がり、フラフラとした足つきで歩き始めた

 先生が保健室に行くよう勧めたが彼は行こうとせずそのまま試合をやり切った。

 一方ボールを蹴った剛谷たちは気まずそうにプレイしていた

 そして、5時間目を終え1日が終わった、転校生はサッと一つ下の階に降り3年生の教室の前で待っていると


 「お兄ちゃん!お待たせ!」

 「いや、大丈夫だよ僕も今終わったばっかりだから、じゃあ帰ろっか」

 「うん!」


 と今日1日の中で一番の笑顔で彼の妹らしい生徒と帰る彼を私は見ていた。

 そして、帰るうちに気がついた


 「もしかして、アイツの家って・・・私の隣!?」


 と予想していた通り、自分の隣の家に入っていく転校生を見た

 私は気になって、隣の家が見える窓からちらりと覗いてみるとリビングにいた転校生はソファに座っている妹と談笑しているのが見えた。


 「あいつ、あんな顔で笑うんだ・・・」


 とリビングの様子を眺めていると、1瞬目があった様な気がした。

 ビクッと一瞬で隠れ、コソコソともう一度リビングを除くと、既に転校生はリビングにおらず、家から鞄を持って出ていくのを見た。

 そして20分後大量の荷物を持って帰宅してきた転校生を見て私は、頑張るなぁ~と思った。

 その後いつもの様にリビングのソファに座り、テレビを点ける、時刻は5時、水戸黄門とか相棒とかの再放送をしていたが、頭に内容は入ってこず、ぼ~としながら時間が過ぎいつの間にか6時30分になっていた。

 今日の夕飯はレトルトのハンバーグにしよう・・・とふと考えていると、インターホンが鳴った。

 宅配便かな?とドアを開けると扉の前には転校生がタッパを持って立っていた


 「あ、こんばんは轟さん、あの、これ作りすぎちゃったんでおすそ分けをしに来たんですけど・・・もうご飯食べちゃいましたか?」

 「い、いや・・・まだだけど・・・」

 「よかった~、じゃあどうぞ!!暖かいのでタッパから出してそのまま食べてください!では!!」

 「え、あ、ちょ・・・・」


 と話しかけようとするが、既にもう姿はなかった。

 リビングに戻りタッパを開けると中には煮込みハンバーグとチーズペンネが入っていた。

 開けたとたんにいい匂いがリビングに広がる。


 「・・・ゴクリ」


 と生唾を飲み込み、パックのご飯をレンジで温めタッパから取り出さずハンバーグを一口


 「お、美味しい・・・」


 口から溢れる肉汁や野菜の旨味をこれほどまでにハンバーグで味わったのは初めてだ。

 ペンネも実によい塩加減で一緒に入っていた切り刻んだトマトがとても会う。


 「手料理なんて・・・久しぶりだ」


 勢いよく食べ続けほんの20分くらいで食べ終えた。


 「ご馳走様でした・・・」


 一人しかいなかったが不意に出てしまった

 その後タッパを洗い、隣に返しに行こうと家のチャイムを鳴らそうと敷地に入ると、庭からビュンビュンと音がした。


 「・・・何だろうこの音?」


 庭を見てみると、そこには汗だくの転校生が3重跳びを連続で飛び続けている姿があった。


 「す、凄い・・・」


 とふと溢した声が聞こえたのか手を止めこちらに向いた。


 「あ、轟さん。どうしたんです?」

 「え、あ、いやタッパを返しに・・・」


 とタッパを手渡すと笑顔で受け取ってくれた


 「ありがとうございます完食してくれたんですね!」

 「う、うん私一人だし・・・」

 「あ、そうなんですか?ご両親はお仕事ですか?」

 「え、う、うん・・・よくいっつも家を空けてるんだ、だからいっつも一人で食べてる」

 「だったら、ご両親のいない日僕の家で食べませんか?いっつも作りすぎちゃう癖があるし妹も人が多いと喜ぶので」

 「え、ああ・・・うん!!」


 勢いよく返事をしてしまった・・・これがあの料理の魅力なのか・・・

 そして、転校生がやってきて1ヶ月が経った、転校生は教室に馴染み、周囲からの反応も良い

 私ももう何度も彼の家でご飯を一緒に食べ、それを聞いた母が挨拶に行き『今後もよろしくお願いします』と言いすっかり甘えてしまった

 だが、一貫して剛谷たちは何時も睨んでる感じだった・・・

 そして、そんなある日事件は起きた。

 平日の夕方、私はウサギ小屋の掃除の為いつもより時間が遅くなってしまい、早く帰るためショートカットしようと公園を駆け抜けた時に、公園の砂場でそれは起きていた


 「こいつ!親が居ねぇんだってさ!!捨て子だ捨て子!!」

 「うわ~!!こいつ泣き始めたぞ~!!きったねぇ~~!!!!」

 「捨て子はこの町から出ていけ~~」


 剛谷with取り巻き達が囲んで誰かをイジメていた、木の棒で突いたり、砂を掛けたりしていた。

 その中心にいたのは転校生の妹、奏ちゃんだった。

 奏ちゃん、出会った最初は恥ずかしそうに接していたが何度も食事をしているうちに打ち解け今では妹のように可愛がっているあの子が虐められているのを見て、加奈は体が勝手に動いていた。


 「ちょっと!!!何やってんのよ!剛谷!!!!」


 と振りかぶった木の棒を持った腕を掴んだ


 「轟さん・・・」


 と泣きながらこちらを見る奏を助けようと手を伸ばし逃げようとすると


 「何だ~お前もイジメられたいのか!?」


 と腕を引っ張られ、砂場に叩きつけられた


 「委員長だからって、調子に乗んなよ~」

 「おい、こいつにションベン掛けてやろうぜ!!」

 「お!良いね~」


 とズボンを下げパンツの間から先端を取り出すとそれをこちらに向けてきた


 「や、やめ・・・」


 だが、次の瞬間、剛谷は横に吹っ飛んだ


 「ぎゃぁぁぁぁ!!!ち〇ち〇に砂が~~~~!!!!」

 「剛谷君!!おい、お前!!一体誰に向かって・・・・ハッ!!」


 するとそこには怒りの形相でこちらを睨む転校生が居た

 転校生は剛谷が持っていた木の棒と砂場の砂を手にすると砂をピッチングマシンの如く下部に向かって投げ、さらにもだえる剛谷を他所に転校生は全力で剛谷を木の棒で殴った


 ドスッ「ギャァ」バギッ「ウッ」メキャ「許し・・・」バキャ「・・・・」バゴッ「・・・・・・」


 殴られた際の呻き声さえも聞こえなくなり、転校生はやっと手を休めたが、今度は自分達を取り巻く剛谷の仲間たちの襟首をつかみ倒れている剛谷の目の前まで運んだ


 「今、僕の妹に対して行ってきたのを倍にして返した。君らにも同じことを今からしようと思ってるんだど・・・良いよね?だって、生きてるお父さん、お母さんに言われなかった?『自分がされて嫌な事は人にはしないこと』って?親が居る君達なら聞いてるよね?だったら、これは君たちがされても嫌な事じゃないって事だ・・・って、なんで漏らしてるの?あ~あ・・・全部こいつに掛かってる・・・小学校4年生にもなってお漏らしか、親が泣くよ?」

 「ゆ、ゆ、許してください~~~~!!!」

 「お願しますぅ~~~~!!!」

 「じゃあ、今から5秒以内に僕の視界から消えてくれ、勿論こいつも」


 と指を5本立て、一本ずつ下げ始めた

 そして一目散に逃げる取り巻き達を見ながら握っていた棒を握りつぶした


 「奏、轟さん、大丈夫?あぁ、奏、色んなところ擦りむいちゃってる・・・大丈夫か?」


 と奏はムクッと立ち上がり、彼の胸で泣いていた


 「ありがとう、轟さん、君が居なかったら間に合わなかった」

 「ううん、私、何にもできなかった」

 「いいえ、君は勇気のある人です、転校していった先では誰も僕たちが虐められても助けてくれなかったけど、君が初めてだった、妹を助けてくれたのは・・・本当にありがとう」


 とギュッと手を握りしめてきた

 私も軽く握り返しパッと手を離した、そして私達は家に帰った

 後日、PTA会長である剛谷の親が転校生がうちの子をイジメたと学校と本人にクレームを言ってきたが転校生はいつの間に用意したのか、撮影された剛谷の日ごろの横暴な態度、他の生徒達からのクレームのコメント、そして妹の傷の治療費&転校初日にボロボロにされたサイン入りの小説の弁償etcなどが職員室にてプレゼンテーション風に紹介(暴露)され、剛谷は夏休み明けに転校してしまった。

 そして、私とその転校生、靫空奏多は月日を重ね高校生になった、私は陸上部のエース、アイツは風紀委員の副会長、偶に持ち物検査に引っかかるけど、自分には大目に見てくれるし、相変わらずご飯は美味いし、優しいし・・・カッコイイし、惚れない理由がない私の隣人である

                                         終・・・かな?


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