悪夢再び1
投稿が遅くなって申し訳ございません!!個人的な事情で投稿が疎かになっている状態で安定して投稿できるのが来年になりそうなので、そこの所よろしくお願いします。
朱雀蓮
目を開けると、夕焼けの様な真っ赤な空が広がる、周囲からは呻き、泣き、叫び、雄叫び、様々な声が響く。
体中が熱い、痛い、まるで全身を焼かれたような感じだ。
手を見ると赤い液体で真っ赤だった
身体から力が抜ける、寒い・・・眠たい・・・苦しい・・・
呼吸をすると激痛が走る、恐らく肺が潰れている・・・
『大丈夫・・・』
声が聞こえる、誰の声だろう?
『・・・・は、絶対助けるから。』
優しい声だ、聞いてるだけで心が安らぐ・・・でも、誰だか分からない
顔を見ようとしても顔に霞が掛かって見えない、次第に声も濁ってき始めた。
何か言っているか分からない、だが、言葉を止めると立ち上がった。
そして次の瞬間、何かが自分を覆った、生ぬるくドロッとした何かが体を覆う
だが、それに触れた瞬間、全身に針を刺されたような痛みが体を貫いた。
『あ・・あ・・・う゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!、か゛あ゛あ゛あ゛!!!!!——————————————————』
全身を心をドロドロとしたものが纏う感覚が分かる、力が漲る、頭が冴える、血が滾る・・・あぁ、殺したい 殺したい 殺したい 殺したい 殺したい・・・殺そう
『ハハハハ・・・ハハハハハハハハハ!!!!!ギャハハハハハハハハハ!!!!アッハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!ウオァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!』
雄叫びが上がる、誰の声か分からない、獣の様な雄叫び、聞いてるだけで嫌になる、だが、僕はこれをどこで聞いている?僕は誰だ?一体これは何なんだ?
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
がばっと起き上がり汗だくの身体を触り、自身の掌を見ると、手は綺麗に何も付いてなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ、何だ?今の夢・・・・」
昔の記憶だと思ったが全く身に覚えがない、あんな経験と思い出、全くない・・・って、あれ?どんな夢だったっけ?
時計を見ると3時30分、床についてまだ2時間しか経ってないが、眠気は一切なかった。
「んにゃ?どうした?主様、魘されていたぞ」
「あ、ああ・・・すまない、変な夢見てたらしい」
「そうか、ふにゃぁぁ~・・・儂はまた寝る、お主は?」
「もう起きるよ、汗だくだし、シャワー浴びてくる・・・ってもう聞いてないし・・・」
飼い猫神であるソナタは直ぐに寝息ってしまっていた。
冷たい水を頭から被り、暖かいお湯で身体を流す。
だが、一向に手の震えが収まらない、夢の記憶は無いが、心の奥底で何か悪いモノを感じ取っている。
最近覚えた恐怖というものだろう・・・か?
風呂から上がり夏だが暖かいココアを飲んだ。
ほろ苦く甘い風味が口に広がり、混乱する頭と、張りつめた心をゆっくりと溶かす
ソファから立ち上がり身体を捻る、バキボキと音が鳴り体がほぐれる、気休めにテレビを点けるが深夜なので殆どのテレビ番組はやっておらずせいぜい通販番組位だった。
「暇だなぁ・・・」
正直やることといえば、一週間後に控えた期末テスト、その対策・・・はしなくても全然余裕だ、多分9割もしくは満点行けるだろう、だが問題はそこではない。奏多にとってこの時期一番頭を痛めるのは周りの愉快な仲間たちの事である。
時を戻すと今朝の事である、奏多が少し遅れ目に教室に入ると共に、奏多の足元にひれ伏す3つの影があった。
エントリーナンバー1!授業よりも陸上!授業は睡眠時間!!関東の黒き疾風・轟加奈
エントリーナンバー2!前半真面目後半落書きタイム!宵闇の使徒 (自称)・十六夜月夜
エントリーナンバー3!学校に来る意味知ってるか!?最近のブームは授業中早弁・乙刹那
「「「勉強お゛じえでくだざい~~!!」」」
「お前たち、自業自得の意味を辞書で調べてからここに出直してこい」
怒るのも納得だった、刹那を覗いた2名はテスト前になると直ぐに泣きついてくることが習慣になってき始めているからだ。
「一回は現実を見て勉強をする習慣をつけてくれ、じゃないと来年大学受験どうするんだ?」
すると3人は立ち上がり堂々と
「スポーツ推薦!!」
「推薦」
「行かない!!」
と宣言し、奏多は呆れた、この3人の将来計画に呆れてしまった
「で!どうなの!?教えてくれるの?」
「勿論だよな!な!盟友よ!!」
「じゃあ、明後日の日曜日の朝からお兄ちゃんの家で!決まり!!」
何も言っていないのにすべて決定してしまった。
「では、私も行っていいですか?」
その背後から、レイラがヒョコッと現れた。
「え・・・何で?」
彼女が奏多とその他数名を除く者以外の記憶を消して転校してきて4日が経過したがレイラの知能、運動能力は目を見張るものがあった。
「お嬢様のお願いをまさか貴様・・・断るというのか?」
同時にレイラの付き人である神代楓が凄い眼光で睨みつけてくる。
「え、あ、あの・・・その・・・・分かりました」
もう、嫌になってくる・・・
そして、昼休みにはその噂を聞きつけた生徒会メンバー&風紀委員メンバーも参加となってしまい、自動的に何時ものメンバーが勢ぞろいで週末集合することとなった。
頭を痛めながら家へと帰り今へと至る、正直ストレスが溜まってフィバーしそうだ。
そして、ハッと我に返ってみれば包丁を握りカレーの準備をしていた。
玉ねぎ ジャガイモ 人参 茄子 パプリカ 鶏肉を捌き、ココナッツオイルの缶を開け、市販のスパイス10種を砕き、磨り潰し、市販のカレールー4種類と混ぜ、具材をぶち込み煮ながら、蜂蜜、生クリームで溶いたピーナッツバター、すりおろした林檎、コニャックを混ぜ込むこと1時間、鍋蓋を開くとスパイスの香りが広がる。
時計を見ると、時刻は5時過ぎ、漸く何時も起きる時間となった。
「あと2時間か・・・」
奏を起こす時間は7時過ぎ、そして、あと1時間後には自動的に居候の紅葉が起きてくる、最低あと1時間本格的に暇だ・・・
だが、5時になったらニュース番組が始まるのでテレビを点けるとエンタメニュースや芸能、スポーツと最近の各業界の不祥事が目立つ内容が多く、正直こういう事ばかりする位なら有名になんてならなきゃいいのに・・・
すると、ジャンルが変わり、ワールドワイドなニュースに変わった。
内容は紛争が悪化した、国と国との対立、軍事テロ、見ているだけで胸糞悪くなる
「また、出向かなきゃ行かないのか・・・」
そう、数年後には・・・約束したのだ、戻ると
だが、今は今だけはこの幸せを楽しもう、そうだ!週末の勉強会だって楽しみと思えればいいんだ!!
そうポジティブに考え、開き直った所で紅葉が起きてきた。
「おはようでござる、ふぁぁぁぁぁ・・・」
「ああ、おはよう、そう言えば約束今日だったね」
そう、今日は紅葉との特訓の日、特訓と言っても紅葉は基礎が出来ているので木刀による実践に近い戦闘シュミレーション・・・てところだ。
「そうでござる!!拙者、とてもワクワクしてるで候!!」
と満面の笑みでこちらを見てくる、眩しい・・・
奏多は朝食の準備を開始し、あっという間に準備し終わると、奏を起こしに2階に向かった。
「ほーら、奏朝だぞ、ほら!起きた起きた!!」
いつもの様に布団を奪い去ろうとしたとき、とある違和感に気がついた。
「なっ!?布団と一体化してる・・・だと?」
そう、何とわざとなのか、信じられない位寝相が悪く奇跡的なことが起きたのか、奏は掛け布団のチャックに足をいれ布団と合体していた、その姿は変形しかけのゲッターロボットみたいになっていた。
「ん・・・ふぁぁぁぁ・・・・あ、おはようお兄ちゃん」
どうやら寝相が悪く奇跡が重なったようだった、布が破れぬように丁寧に奏を布団から引きずり出し、いつもの様に布団と枕はベランダへ送られ、すぐさま朝食に入る。
今日はベーコンエッグにトースト、ミネストローネ、サラダ、プリン(カラメル無し)、牛乳
皆黙々と食べ進め、ほんの十数分で食べ終わってしまった。
そして全員用意を済ませると鞄を持ち奏多はバイクのエンジンをかけ奏は後ろに乗り、紅葉はサイドカーに乗り込んだ。
『どうも~おっはようございま~す!!マスター!!』
「ああ、おはよう、スマンがそのテンションもうちょっと下げてもらっていい?」
『無理です!私のテンションは・・・常にスーパーハイテンションです!!』
「そうか、常にピンクっぽいのか・・・」
『マスター、その表現何だかいやらしいです』
「上げても無い上げ足を取ろうとするな、的を射ている表現だ」
バイクに搭載されたAIであるアイと話しながら走行していると隣からスポーツ型のバイクが後ろから追っかけてきた。
奏多と同じくフルフェイス型のヘルメット、黒塗りのバイク、後ろから追ってくるバイクは奏多の隣に付くとヘルメットのカバーを上にあげると、その顔は数日前死闘を繰り広げたレイラのお付き執事、神代楓だった。
だが、顔を見せただけで何もなく、ちょっと重い空気が流れ学校に着き乗っている二人が降りた後は楓と二人きりとなり重苦しい空気となった。
このまま無言のまま立ち去りたい・・・と思っていたら
「・・・お、おは・・・よう・・・」
「・・・へ?」
普通に挨拶された、奏多にとって凄まじい事だった、転校して数日、口を聞くにしてもレイラとの会話中に少し口をはさんでくる程度・・・あくまでこういった感じの話し方はしてこない
「お、おはようといったのだ!!悪いか!!」
「え、いや・・・お、おはようございます・・・」
奏多は気圧されながらも挨拶した。
「・・・・。」
「・・・・。」
会話が弾まない・・・どうしよう
「あ、えっと・・・その、レイラさんは?今日は一緒じゃないんですか?」
「え?あ、ああ!お嬢様は今日は明日の勉強会の為にお洋服を買いに昨日の放課後から世界トップレベルのデザイナーを呼びつけ今も服を作らせていらっしゃる。」
「わざわざ、その為に?やっぱり、お姫様となるとやること違うな・・・」
「なんだ、貴様文句あるのか?」
「い、いえ、そういうわけでは・・・あ、ところで、明日は神代さんも来るよね?勉強会」
「い、行っていいのか?」
「う、うん。レイラさん来るから来ると思ってたけど・・・」
「確か場所は・・・」
「うん、僕の家」
(奴の、靫空奏多の家!?お、お、お、お、落ち着け!!冷静になれ・・・奴は敵、そう!敵だ!!きっと、勉強会と息巻いておきながら、お嬢様だけを別室に呼び出し、救出しに行こうとする私もろとも、奴の毒牙に・・・・いやいやいや!!何を考えている私!?)
「えっと、神代さん?大丈夫?」
と肩にポンと手を置いた瞬間
「触るなぁぁァァァァァァ!!!!この○○○○!!!!(自主規制)」
と胸の中央をあの時と同じ威力ではないが回転するくらいの威力のモノをくらい、校舎に頭から激突した
「グハァ!!!な、なぜぇぇ・・・」
「はっ!しまった!!すまない!!大丈夫か!!おい、靫空奏多!!」
意識が飛んだ、ホントに何でこんな目に遭うんだろう
と目が覚めたら保健室の天井が広がっていた
「あれ・・・僕は?一体・・・」
あれ、どうして倒れたんだっけ・・・思い出せない
「目覚めたか!?大丈夫か?」
「あ、れ?神代さん・・・もしかして、神代さんが僕をここまで運んできてくれたの?」
「え、ああ・・・」
「ありがとうございます!どうして倒れてたか思い出せないけど、君が僕を運んでくれるなんて、ホントにありがとう」
「ぐっ!!」
奏多の感謝の笑顔が楓に槍の様に突き刺さる
「大丈夫ですか?神代さん」
「あ、ああ・・・大丈夫だ、ああ、明日の勉強会私は・・・」
「あ、来ます!?分かりました!あ、神代さん何かアレルギーとかあります?」
「い、いや・・・大丈夫だ」
「そうですか!って、やばっ!もう授業2時間目始まる!行きましょう神代さん!!」
「ああ・・・行こう」
と2人は走りながら教室に入ると、ギリギリセーフだった。
「どうしたの?1時間目、来なかったけど?大丈夫?」
「うん、何でか保健室で寝てたんだ、多分貧血かな?でも、もう大丈夫、神代さ、いや神代君が倒れている僕を運んでくれた」
何故ここで言い直しをしたのかを説明しよう、神代楓の性別は女であるが、制服は男であり生徒には男子としてふるまっているので、何かわけがあるのだろう、だから奏多もそれは隠しながら振る舞っている
「そうなのか、盟友よ気をつけろよ。」
「うん、今日のお昼はレバニラとほうれん草の炒め物でも食べるよ。」
奏多はハハハと笑い席に着くと授業開始と共に鞄からテスト前の課題を取り出し黙々とやり始めた
正直テスト前なので授業もテストに備えた自習に近く先生の監視も甘い
ちらりと周りを見ると大体の生徒が真面目に取り組み頑張っている・・・が、昨日お願いしていた3人は寝ていた。
もう、明日この3人以外に別の場所で一緒に勉強しよっかな
奏多はそんな事を冗談で考えながら課題を進めた、今日は土曜日3時間目までしかなのであと1時間、とりあえずそれ位あれば余裕で終わりそうだ
そうして、1時間はあっという間に過ぎ、2時間目は国語、数学、英語の課題を終わらせ、3限目に突入する前の休み時間、奏多の席に珍しく永遠がやってきた
「兄ぃ・・・これ」
と小さな小箱を渡してきたので中身を確認すると、先日の1件以来無くしたものだばかりと思っていた自作のウェーブシューターだった。
「あの屋敷から帰るとき見つけて改良した・・・糸の応用は良い。けど、まだまだ改良の余地ある・・・詳しい事紙に書いた」
「凄いなお前は、技術面ではお前には勝てないな」
「そんな事・・・あるかな?」
「じゃあ、今度お礼にお菓子でも作ってきてやるよ、何がいい?」
「・・・レアチーズケーキ」
「了解、じゃあ、今日作って明日渡すよ」
無表情でわーいと両腕をあげ自分の席へと戻っていった。
正直嬉しい、あれからも自作ガジェットの開発を行っているので今日の特訓でも試そうと思っていたところだ。
ウキウキのまま授業へと入り奏多はササッと課題を終わらせ、時間がまだ30分くらい残っていたので暇になってしまった
今朝は早く起き過ぎてしまったので、正直朝の暖かい光を浴びて眠くなってきている。
―ちょっと寝よう
と頬杖を突くスタイルでウトウトと寝てしまった。
そして、また夢を見る、今朝の記憶とは違う夢だった。
見覚えのない平原、少し肌寒い空気が体を包む、寝そべっているのか目の前には満天の星空、夏の大三角形 デネブ・アルタイル・ベガがしっかりと見える
『綺麗だね』
隣から声が聞こえる、だが、顔には靄が掛かっているように何も見えない・・・
『・・・ごめんね、私のせいだよね』
何故か謝られた、しかも泣いているようだ・・・何故だろう・・・意味が解らない
『でも、絶対・・・絶対、・・・・から』
肝心の事が聞こえない、絶対、どうするのだ?
何だ、この記憶は・・・誰だ、貴方は一体誰だ・・・誰なんだ?
と隣にいる人に手を伸ばそうとすると、カクンと首が揺れた
「・・・ん、あ・・・・」
目を見開くと周りからの視線が一斉に集まっていた、クスクスと笑い声と『尊い・・』みたいな顔をしている人もいる
奏多は髪をワシャワシャとし、起立し、先生に許可を貰って顔を洗いに行った
頭がボーっとする、何か夢を見ていた気がするが・・・駄目だ、何も思い出せない
バシャバシャと冷水で顔を洗う、顔をハンカチで拭く
教室に戻ると、視線は集まるがすぐさま試験勉強に戻る
そして、授業が終わり皆一斉に帰る用意をし始めた。
「奏多珍しく寝てたね」
「ああ、あまり寝れてなくてね、急に眠気が襲ってきたんだ。」
「お兄ちゃん、何か魘されてたよ、なんか夢見てたの?」
「ん・・・いや、思い出せない、でも、なんかスッキリしたし、これから買いものして帰る」
「買いもの?何処に?」
「商店街、大量買いするならあそこが一番」
「手伝うでござる、荷物位持つでござるよ」
「そうかい?なら、一緒に行こう」
「だ、だったら私も行く!!」
「私も~!!お菓子買いたいし!!」
「私も・・・」
そして、結果的に奏多、紅葉、加奈、刹那、永遠で買いものに行く事になった。
商店街は賑わっており、奏多は八百屋からめぐっていった
「あら~奏多ちゃん、今日は女の子たちと一緒なのね~若いっていいわね~」
「ははは、皆友達ですよ、えと、人参、玉ねぎ、舞茸、牛蒡、インゲン、ジャガイモ、キュウリ、トマトを下さい。」
「はいよ、また、勉強会かい?」
「はい、今度は人数が増えまして献立考えるのも大変です」
「あっはっはっは!!まるでお母さんだねぇ、あ、そうそうコレ商店街の福引券」
と他愛無い話を済ませ、袋一杯の野菜と福引券を受け取りお金を払うと次は肉屋に向かった
「おう!奏多君!お久しぶり!!今日はどうする?」
「鶏肉をお願いします、胸を2キロほどお願いします」
「あいよ!では、お値段は・・・」
お金を払い肉と福引券を受け取った
と、後ろを振り返ると買い物に付き合うと言った面子は各自行きたい店に行っていた
次は魚屋、そこではブラックタイガー、車海老、伊勢海老、を大量に買った
それには訳があった・・・先日の一件の後、ソナタに頼まれていた海老を買い忘れたためその日の風呂で見えないところをその鋭い爪で引っかかれ痛い目に遭ったばかりだ。
もし、この際機嫌を取っていなければ、次何かしらの機嫌を損ねる行為をしたとき確実に僕は全身のありとあらゆる所を掻きむしられるだろう。
だから、とりあえず、ノルマはクリアした
そして、落ち着いたところで奏多は福引券が大量にあることに気がついた。
荷物をバイクに置き、奏多は福引所へと向かった。
1回回すのに3枚の福引券、現在奏多の手には53枚の福引券があった
「17回か・・・まぁ、回してみよう」
と51枚の券を渡しガラガラと音が鳴る
まず一発目は白・・・ポケットティッシュか某美味しい棒
2、3、4、回目も同じく白で、5回目を回したとき、カランカランと音が鳴った
「大~当た~り~~!!緑は2等、最新ゲーム機セット!!」
と当たったのは最近発売となっていて何処に行っても売り切れ状態のゲーム機、Five senses Synchronized Virtual Reality 通称FSVRだった。
RPGゲームや、FPS、アクション、恋愛シュミレーション、多種多様なゲームを最新のヘッドギアゴーグルとソフトで遊べるゲームだ
テスト終わったらやってみるか・・・
そして、6、7、8、9、10、11は全て白そして12回目で再びカランカランと音が鳴る
「今度は、赤色4等のロードバイク~!!」
バイクがあるから正直いらないので、後で刹那か永遠にでもやろう
そして13、14、15、16、と白
そして、最後17回目で音が鳴った
「おめでとうございま~す!!1等の温泉旅館ペアチケット1泊2日分です!!」
こうして、奏多の手には最新ゲーム機、ロードバイク、温泉ペアチケット、そして14本の美味しい棒(コーンポタージュ、タコ焼き、めんたい、チーズ、サラダ)を手に再びバイクに戻り荷物を置いた
そして、同伴してきた4人はというと、紅葉は骨董品を扱う店で刀を見ており、加奈はスポーツ用品店でスパイクを鑑賞、刹那は駄菓子屋で小学生と駄菓子選び、永遠は本屋から出てきていた
「なんかいい本あったのか?」
とコクリと首を振り手に持っている袋から大きめの本を取り出した
「えっと・・・【週間 小型ロボット創刊】あ~お前これ、初回だけ安くて後から凄く高くなる本だぞ」
「知ってる、だからYoutubeで製作動画載せる」
「お前、Youtuberだったのか」
「現在、登録者数56万人・・・セっちゃんチャンネル」
「普通に凄いな・・・」
「もっと褒めてもいい・・・」
これ以上おだてると調子に乗りかねない、だが、53万人は凄い、帰ったら見てみよう
「あ、そうだ、お前らどっちか自転車要らないか?」
「刹那が欲しがってる、私はセグウェイがあるから良い」
奏多は永遠がセグウェイに乗っている姿を思い浮かべたが違和感しか感じない
「わ、分かった、じゃあ刹那に渡しとくよ、んじゃそろそろ行くか、お前は刹那を呼んで来い僕は紅葉さんを呼んでくる」
そうして刹那に自転車を渡し、そこで解散となった
「いや~それにしても、奏多くじ運いいわね、1等と2等取って行っちゃうなんて」
「まぁ、多分こういうところで運使ってるせいで他の事に運が回ってないのかもね」
自分で言っていて悲しくなってきた
「にしても、奏多殿、そのげーむ機とやらとても大きいでござるな、どうするでござるか?」
「もちろん遊ぶさ、でもテスト終わってからね」
と話している内に直ぐに家に到着し3人は奏多の家へ入った。
「あ~お腹減った~奏多~今日の昼ご飯何~?」
「塩ラーメン、野菜入れるけど、量どうする?」
「マシマシマシ」
「拙者は普通で、奏殿は待たないのでござるか?」
「奏は友達たちと夕方まで残って勉強するんだって」
「そうでござるか、では縁了なくいただくとしよう」
と乾麺を茹でている間に大量のキャベツともやしを塩コショウで炒め麺が茹で上がると共にスープと麺を器に入れ、野菜を盛り付けた
「はい、お待ち」
加奈は野菜の下から麺を探すのに必死になり、奏多と紅葉は普通通りに麺を啜っていた
「偶にはインスタントもいいね」
「そうでござる、偶には手抜きも必要でござる」
「ふぉうふぉう!かなふぁもたまにふぇぬいていいんだふぉ」
「口のモノ飲み込んで話せ」
加奈は水で流し込むとへへへと笑っていた。
「手抜き・・・か、偶には良いか」
と麺を啜り汁を飲み干し野菜を頬張る
「「「ごちそうさまでした」」」
奏多は器を水道に運び、直ぐに洗い物を済ますと、リビングに勉強道具を持ってきた
「加奈、紅葉さん、2人には今から勉強を教える、特に加奈は明日だけじゃあどうにもならないようだからね」
奏多は何時買ったのか解らないが伊達眼鏡を装着し指揮棒のような棒を手に教材を広げた。
「「ええええええーーーーーーーーーーーー」」
二人の声がリビングに響いた
そして、5時間みっちりと奏が帰ってくるまで勉強会は進んだ
「ただいま~・・・って、どうしたの!?二人とも何だかゲッソリしてるし、お兄ちゃんは何で眼鏡?」
「ああ、今まで二人にはテスト対策強化プログラムに取り組んでもらっていた」
と奏が二人を見ると、加奈はゾンビみたいに呻き声をあげ、紅葉はブツブツと生物の暗記用語を唱えていた。
「あ、あぁぁぁ・・・奏、ちゃん、お、かえり・・・」
「密着結合—クローディン 接着結合―カドへリン デスモソーム-カドへリン ギャップ結合―コネクソン・・・・」
「だ、大丈夫紅葉さん?」
「あ、ヘミデスモソーム殿・・・おかえりでござる」
「奏です、ってお兄ちゃん・・・一体どんな勉強法を?」
「この勉強法ならテストの時に『あ、ここ勉強したところだ!!』って思える位記憶に染みつかせる感じの教え方をした」
良く見ると奏多も疲れている顔になっていた、特におかしくなっている加奈を見たところかなりてこずったらしい。
「奏は大丈夫か?期末試験の勉強?」
「うん!お兄ちゃんが先取りして教えてくれてたところもあったから今回は大丈夫!!」
「そうか、えらいぞ奏」
と奏多は奏の頭を撫でる
「え、えへへ・・・そんな事ないよ~」
奏はニヤニヤと照れ笑いしながら制服から着替えに2階へと上がっていった
「よし、奏も帰ってきたことだし、ご飯にしよう」
その言葉を聞いた瞬間、勉強に疲れた2人はぐだ~っとなっていた
奏多は夕食の用意をするためキッチンに向かい、今朝無心になって作っていたカレーを温め直し急速でご飯を炊いた
そして30分後、食卓には野菜ゴロゴロのカレーが盛られていた
「「「「いただきま~す」」」」
皆一斉に一口、口の中にまろやか且つスパイシーな風味が広がる。
「美味しい!!」
「うん!美味い!!」
「一風変わったカレーでござるな?何カレーでござるか?」
「ココナッツカレーだよ、前々からやってみたかったんだ」
「ココナッツか~だからこんなにまろやかなんだね」
「他にも蜂蜜、林檎、ピーナッツバター、あとはコニャックかな」
「コニャックってお酒の?」
「うん、深みが増すんだ、ウィスキーやワインでも大丈夫」
皆へぇ~と料理の知識に感心していた。
そしてものの数分で皆食べ終わり、満足した顔で加奈はソファーで眠ってしまっていた
「私も何だか眠くなってきた・・・」
「二人とも寝るんだったらちゃんと風呂に入りなよ、今入れてくるから」
「ありがと~お兄ちゃん」
風呂をいれ奏と加奈はトボトボと風呂へと入っていった
そして、出てくる前と出た後の様子があまり変わっておらず、2人ともトボトボと2階へ上がっていった
2人が寝静まるのを確認して時計を見るとまだ8時過ぎだった。
「ちょっと早いけど、行く?」
「拙者は何時でも」
「了解、じゃあ直ぐ準備しよう」
と奏多はソーッと2階へ上がり簡単な武装をすると、何種類か道具を外へ行きバイクに乗った。
「お待たせしたでござる行きましょう」
最近は私服を買って女の子らしい格好をしていたが、戦いの前となると和服に着替えていた
「じゃあ、行こう」
と奏多がエンジンを掛けると、紅葉は奏多の後ろに乗った
そして走り出して、数分後、奏多は異変に気がついた
「紅葉さん・・・ちょっと抱きしめる力強くないですか?」
「え?す、済まないでござる!!」
とパッと手を離した
「ちょ、手を離したら危ないですよ!!」
「す、す、済まないでござる!!」
と再びギュッと抱きしめる
「じゃあ、このままでいきましょう、すいません」
「い、いえ・・・こちらこそ・・・」
紅葉の心音がダイレクトに伝わってくる、要らないこと言って驚かしてしまったらしい。
そのまま20分無言のツーリングは続いていった
そして、目的地に着いた
「ここは・・・」
「そう、あの神社、調べて見たら此処、だいぶん昔に使われなくなったみたいでめったに人も寄り付かないらしい。」
「なるほど、アイツもそれを知っててここを選んだわけですな・・・ちっ!!」
相変わらず信長の事は毛嫌いしているようだ
「んまぁ、それは置いといて・・・やろっか」
「ええ、手加減は無しでござる」
と紅葉は愛刀である大包平焉を抜いた
一方、奏多はぐにゃんぐにゃんのナイフを取り出した
「奏多殿?それは?」
「ゴムナイフだよ、これは君の特訓だから君は使い慣れた武器で、僕は色んな武器で戦う」
「なるほど・・・ですが、拙者を舐め過ぎでござるよ・・・」
と特訓は始まった
仕掛けたのは紅葉、以前よりもスピードが上がっており、一気に間合を詰める
すると奏多は手首に機械を装着すると、紅葉に向かって何かを発射した
「む?」
紅葉は軽々と避けたが、それ以上は近づかなかった
「なるほど・・・発射速度は良し、今のが弾モードか・・・あとは、巣、紐か・・・」
と機械のダイヤルを回しロープに合わせると近くの木に向かって発射した
そのまま糸がまかれるように奏多は木の頂上付近に上った。
「なっ!?一瞬にして木の上に!!まるで忍者でござるな・・・」
「ほら、感心してる暇ないぞ、今度は撹乱だ・・・」
と周りの木々を猿の様に飛び、一瞬で姿が見えなくなった。
風で木々が揺れるように聞こえるため、移動する際の音が解らず、気配も察知できない
「・・・一体どこに?」
すると背後からガサッと音がした
「そこか!!!」
と後ろに刀を振ると、そこには奏多の姿はなく、丸い球体があった
「!?」
次の瞬間、球体は凄まじい閃光を放った。
「ぐっ!!目が・・・」
「はい、まずは1回目」
と背中に尖ったものが当たる感触がした。
「ぬう・・・悔しいですが完敗でござる」
「ほら、これは練習なんだから、直ぐに立て直して!じゃあ、行くよ!」
「承知!!!」
それからは3時間ぶっ通しで特訓は続き、現在34回仕切り直しをし、紅葉はまだ一度も勝ててなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「よし!次で最後だ!!殺す気で来い!!」
「・・・うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
叫びと共に紅葉がこちらに走ってくる。
奏多のウェーブシューターは既に燃料切れで使えず、奏多はゴムナイフを構えた。
すると、紅葉は刀を投げた
刀はフリスビーの様に回転しながら奏多に向かってくる
(ゴムナイフでは弾き返せない・・・避けるしかない!)
奏多はしゃがみながら回転する刃を躱した・・・が
顔を上げた瞬間、正面に紅葉の姿はなく、再び彼女の姿を捉えたときには既に時遅く、真上にいた
「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
真上から飛んできた紅葉は瞬時に奏多の腕を掴み、奏多を取り押さえた
「はぁ、はぁ、はぁ・・・一本で、ご・・・ざる。」
とその場に倒れてしまった
「気を失ってる・・・体力の限界だったか、でも、彼女がああいう戦法でくるとは意外だった」
奏多は気絶している紅葉を抱え、神社の境内に寝かせた
「流石に・・・僕も疲れた・・・少し、眠い・・・・。」
と奏多の意識も途切れてしまった。
石畳に身体が沈むのが分かる、気絶しながら痛かった。
そして、目が覚めると頭に柔らかい感触があった。
「あ、起きたでござるか?奏多殿」
目の前には紅葉の顔が度アップで映りこんでいた
どうやら膝枕されているようだ
「目が覚めたら奏多殿が地面に倒れていたので流石に地面で寝かせるのは駄目だと思いこの様な形になったでござるが、そ、その・・・心地は大丈夫でござるか?」
率直に言おう、とても気持ちいい、太腿の肉の付き方がとても柔らかい
「うん、とてもいいよ、凄く心地がいい」
すると、紅葉は顔を真っ赤にし覆うように抑えた
いつまでもこの体勢は失礼だと感じた奏多はスッと立ち上がり深呼吸をした
時計を見ると深夜3時・・・
「やばい!!今日の勉強会の下準備しなきゃ!!!!!紅葉さん!早く帰ろう!!!」
「承知!!」
と二人は急ぎバイクに乗り奏多はスピードなどお構いなしで道路を走って行った
そして、家についた奏多は静かに玄関を開け、シャワーを浴び、綺麗な服に着替えキッチンに立った
キッチンに立つと、鍋に水を張り、その中に昆布を5、6枚入れた
煮立たせぬよう弱火でじっくり煮詰めること30分、沸騰する直前で火を切り、昆布をざるに取り出す
鍋の中身はそのままで、次に大量の鰹節をいれ再び煮詰める
そして鰹節が沈んだらすべて取り出す
その液体を布で越し再び鍋に戻し、そこに塩、薄口しょうゆ、みりんをいれ、ひと煮立ち
「よし、完成だ」
完成、特製出汁、そして使った昆布と鰹節は調理し、煮つけとおかかにした
その後は昨日買った食材を今日の昼食に使うため下準備し、時計を見ると時計の針は6時を回っていた
その後も奏多の料理は続いた、勉強中につまむお菓子作り、永遠の分のケーキ、そして全ての料理が終えた時点で時刻は9時40分、リビングには甘い匂いが漂っていた。
そして10時になると家のチャイムが鳴り響いた
-そして、此処から小さな煉獄の開幕であった
次回予告:こうして、勉強会は始まった、何故先輩の面倒まで見ないといけないのか理解できない・・・どうしてこんな損な役回りばかり廻ってくるのだろうか・・・と少年は苦悩する。
次回、私のお兄ちゃんは完璧すぎる【戦いの果て ~そして結果は・・・~】
お楽しみに




