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私のお兄ちゃんは完璧すぎる  作者: 朱雀 蓮
第2章 転校生編
53/75

球技大会 後篇

読者の皆様!!

この度は投稿が大幅に遅れたことを深くお詫びいたします。

この度の西日本の大雨で某晴れの国の自分の家も倉敷真備町までとは言いませんがダメージを受け執筆どころではない状態で、今これを執筆している状態では自宅の処理もすみ何とか持ち直しました、もしこれを読んでいる被害に遭われた方々には「頑張って下さい」としか力がない自分は言えませんが、一分一秒でも早く被害に遭われた方々の安全と安心が訪れる日を心より願っております

                                      朱雀 蓮

人間は本気で顎を殴られたら大体気絶する・・・それは喧嘩やボクシングをする者や見るものにとっては当り前のことだ、その理由は脳が揺れるところにある、人間は脳が振動することにより、脳震盪が起こり血栓や内出血になることもある。

 それ故、顎は人間の急所の1つに割り当てられており、現在少年の無防備な顎には凄まじい一球が突き刺さった。

奏多の顔面にボールが当たった瞬間、同じくコート上にいた黒服0番こと3年上田太郎はニヤリと笑っていた。

 そう、すべては計画通りだった。

 前半は敢えて動かず、後半戦に奏多と自軍のリーダー撫子との一騎打ちをさせることにより常に奴の張りつめる警戒網を解かせ背後と周りに潜ませた我らが刺客の手によりコートにワックスを含んだモップで奏多の後ろのエリアだけを重点的に擦り、そして、凶球による気圧されか、その威力で下がった瞬間、仕掛けておいた罠が発動する。

 そして現在奏多の顔面、正しくは下顎に凄まじい威力の球が命中し、勢いよく頭から倒れた。

 誰から見てもマズイ倒れ方だった。

 鈍い音が体育館のセンターコートから響く、そして倒れた青年の身体はピクリとも動かなかった

 「奏多!!」

 近くに居た大前が奏多に掛けよると、奏多は光のない目を見開いたまま、上を見ていた。

 「だ、誰か!おい!誰か、先生を呼んで来い!おい、奏多、奏多!!!おい!」

 そして保険担当の教師が駆け寄ると、奏多の状態を見た

 「まずいな・・・意識がない。急いで担架を!」

 担架で運ばれる奏多を心配する目で同じチームのメンバーが見送るなか、敵チームの撫子が同じチームの外野の後輩の胸ぐらを持ちあげていた

 「てめぇら・・・何のつもりだ?あぁ!?誰がご丁寧にワックスがけしろって言ったんだ!?答えろ!」

 「え、えっと・・・」

 「そ、その・・・」

 うじうじしている後輩を見て遂に撫子は切れた。

 凄まじい右ストレートの拳が後輩の頬を翳めその目を睨む

 「次下らねぇことしたらコレ、顔に当てるからな。」

 腰を抜かした自軍の後輩を見向きもせずコートに戻り試合は再開した。

 そこからは一方的な試合展開が続き10分が経過し、現在残っている人数は5-11と約2倍差で離されそのまま前半は終了し第一試合は大敗だった。

 だが、試合のどうこうよりも今は奏多の容態を皆心配していた。

 「先生、奏多の具合は?あいつ大丈夫なんですか!?」

 「ええ、さっき保健室から連絡があったけど、意識はまだ戻ってなくて、保健室で寝てるわ・・・でも命に別状はないようだし少しすれば意識も戻るらしいわ」

 「・・・刹那は?」

 「乙さんは・・・確か人差指が折れてるらしいけど、指を固定した瞬間体育館に走って行こうとしたところを取り押さえて安静にさせているって、でも、奏多君が搬送されてきてから彼の傍を離れていないそうよ。」

 「月夜殿は?大丈夫でござるか?」

 「ええっと、十六夜さんよね・・・確か、お腹を押さえて何か訴えていたらしいけど、別に何事も無く今体育館に戻ってきてるそうよ、だから一番の健康体ね。」

 とりあえずはホッとしたが、奏多の様態が心配なのは変わらず重く暗い空気がその場を支配していた。

 「み、皆!だ、大丈夫だって!!奏多君なら心配ないよ!大丈夫だからさ、後半勝って奏多君に報告しに行こうよ!」

 渚の一声で皆が少し明るくなる中、他の競技の場でも同じように怪我人が多数出ているため、今回の球技大会全体の空気は暗くなっていた。

 だが、時は残酷にもその場に居る者たちの心の整理をさせぬまま経過して行った。

 「ああは言ったけど・・・正直結構しんどいかも・・・」

 「うむ、奏多殿が抜けたのも大きいでござるがそれよりも・・・草薙先輩でござる。」

 あれから勢いは収まるどころか逆にイライラがたまりボールの威力は上がっている撫子のボールを止めれるわけも無く前半は為す術がなかった。

 「ですが、拙者なら辛うじてとれるかもしれないでござる」

 「・・・というと?何か策が?」

 永遠が首を傾げながら問う

 「うむ、実は拙者先程の前半戦外野から内野の状況を見ている間に何とかあの球の軌道や球事態を肉眼で捉えれることに成功したでござる、ですから拙者が球を取り、この中で球威がある者が草薙先輩以外を消していくという作戦にしましょう」

 「うん、確かに紅葉さんの言う事は筋が通ってるけど、あんな球何回も受け止められるの?」

 「・・・それは一回取ってみなければわからぬ・・・ですが安心なされよ轟殿。」

 「じゃあ、ボールを投げるのは俺がする。奏多の恨みだ・・・」

 何時もののほほんとした感じは一切なく本気で起こっている大前に一同は若干気圧されていた。

 「承知した、では大前殿には攻撃手を、各々方は外野からのボールに当たらぬように全力で避けできれば取って頂きたい、こんな感じでよろしいかな渚殿?」

 「ええ、OKよ、そして改めて言うと、これは奏多君への弔い合戦よ、卑怯な手には正当な正義で返すのが基本!」

 「そして・・・容赦なくぶちのめすのもまた正義(ヒーロー)の務めよ」

 作戦会議の後ろからの声に皆が反応すると其処には何故か腕と頭に包帯をしている月夜が立っていた

 「月夜殿!おお、大丈夫そうで何よりでござる」

 「いやはや、スマンな、我が力が万全であればあの程度瞬時に回復しておったのだが・・・まぁ、それは置いといて、話は聞いた、我の雷神の俊足(ナルカミ)で全てを避け、全てを獲ろうではないか。」

 「ええ、その気合よ!じゃあ!行くわよ!!」

 『おぉ!!』

 結局だれも包帯に関して突っ込まないまま試合は始まった。

 本初の予定通り撫子の凄まじい剛球を紅葉が迎え撃った

 「ぐっ・・・うぅぅ、な、何という威力・・・まるで岩を投げられたような衝撃と重さ・・・」

 「紅葉さん!大丈夫!?」

 「え、ええ・・・奏多殿はこれを何回も獲っておられた。守られっぱなしでは武士の名が廃る!!」

 そういうと大前にボールを渡し、全力で投球した

 「お前ら・・・何の恨みがあって、あんなことをした!」

 怒りの言葉と共に一人当たった。

 「誰が、計画した・・・誰が!」

 また一人当たった。

 「俺の親友を・・・怪我させるように仕向けたのは何処のどいつだ!!!」

 怒りの投球は続く、中学時代からの親友を陥れた相手チームの男共を当て続けた。

 その威圧感に圧倒され8人を当てて勢いは止まった。

 「お前らぁ!気圧されるなぁ!!あいつさえ当てれば向こうの攻撃は無くなる!大前を狙え!」

 だが、作戦通り皆素早く撹乱し大前に定めがつかないように動いた。

 「ふははは!こっちだこっち!当ててみれるものなら当ててみよ!!」

 「・・・鬼さんこちらてのなるほうへ~」

 月夜と永遠の煽りも決まり益々どうすればいいか分からなくなる。

 「くっそ!こうなりゃ、リーダー頼みます!!」

 撫子にボールが渡ると紅葉が颯爽と前へ飛び出し獲った、だがかなり負荷がかかり獲る際に膝が折れていた。

 「はぁはぁ・・・まだまだぁ!!」

 そしてボールは大前と渡り・・・

 「おらぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 再び大前の怒りが爆発し、ボールは相手を外野へ送る。

 だが、残り6人の時点で0番こと上田太郎はその球を止めた

 「調子に乗ってんじゃねぇぞ!勝ち組がぁぁぁ!!」

 そして相手側からも怒り・・・否、嫉妬心が乗り移っているかのような勢いのある球が飛んできた。

 大前は避けようと移動しようとした瞬間、足が動かなかった。

 「て、てめぇら!!」

 な、なんと相手の外野の選手が靴ひもを結ぶ振りをし、白線ギリギリにいた大前の足を掴んでいたのだった。

 生憎死角からか、誰も気づかず、大前がふと前を見るとボールは勢いよく大前の顔面を捉えた。

 だが、ボールは大前の目の前で止まった。

 「か、奏多?」

 「待たせた。すまない、そしてありがとう、大前。」

 ニコッと大前に微笑むと、何とも言えない嬉しいのか、泣き出しそうなのか分からないクシャクシャな顔で奏多の肩をバンと叩いた。

 「ああ、待ったぜ!!じゃあ、ちゃっちゃと・・・」

 「ああ、迅速かつ確実に・・・」

 『終わらせようか』

 撫子以外を当てるのに掛かった時間は2分とかからなかった、何時もはパットしないチャラ男の大前がここまで輝くとは思わず、奏多と連携しながら敵を片付ける姿はまるで熟年のコンビプレーだった。

 そして、最後はこの二人の一騎打ちだった

 「すいません、勝負の途中に・・・」

 「いや、今回は無駄且つ要らない横やりが入ったからな、今回は私の配慮が足らなかった、味方のモブ共が世話を掛けた・・・スマン。」

 お互い謝った所で、再び投げ合いが始まった

 「おい!奏多ぁ!!」

 投げる

 「はっい!何ですか!?」

 獲る、そして投げる       ㊟投げ合いが続くため【投げる】【獲る】の表現を一部省略します。

 「怪我の具合はどうだ?大丈夫なのか!?」

 「はい!まだちょっとクラクラしますが大丈夫です!!」

 「そうか!なら・・・早めに決着点けなきゃな!!」

 「はい!ですが!勝つのは・・・僕です!!!」

 「いいや!私だ!!!!」

 そして、撫子の球を受け止めた奏多は全ての力を振り絞り、投げた。

 もし、これが駄目なら、自分の負けだという覚悟もして、この球を投げた

 だが、ボールはがっしりと構えた撫子に抑えられ、もう皆が駄目だと思った瞬間、ボールは真下へと落下した。

 「な、なんで?いましっかり押さえてたはずじゃあ・・・」

 「回転でござる・・・横から見てハッキリしたでござるが、今の球凄まじく回転してたでござる・・・」

 そう、奏多はボールを投げる際、指に最大限の負荷を掛け投げることにより高速かつ超回転の球を投げた

 「・・・完敗だな」

 コートのど真ん中で大の字になった撫子を見届け、奏多も眠る様に倒れた。

 周りで自分を呼ぶ声が聞こえるが体も・・・声も・・・視界も全てが使えなかった。

 そして、再び目を覚ますと、保健室の天井と顔を眺める数人の友人の顔が目に入った

 「あ、起きた!!」

 「奏多君!」

 「へっ!無茶しやがって」

 と大前が手に持った賞状を奏多に渡した。

 その賞状には優勝という2文字が乗っていた。

 「あれからさ、相手チームの男子の反則行為がバレて、他の競技でも結託した連中が各部活のエースや部長を集中的にラフプレイで怪我させたことが発覚したから計画した、え~と・・・名前忘れたけど3年生の男子が全部計画っつーか指示してたんだってよ。おかげさまで夏に大会控えてる部活人の数名が怪我しちまって、その先輩ボコボコにされた挙句、撫子先輩から本気で殴られたんだとよ」

 「おう!私のダイナマイトパンチをお見舞いしてやったぜ!」

 空を切る右ストレートは轟音を鳴らしていた・・・果たしてその先輩は無事なのだろうか・・・

 そんな事を気にしつつ、奏多は時計を見た

 「もう3時か・・・結構寝てたんだな、僕・・・って、あ!弁当が・・・」

 「ああ、それに関して何だけど、美味しく皆で頂きました」

 代表して飛鳥が重箱を奏多に渡すと中身はすっからかんだった。

 「良かった~無駄にならなくて・・・ありがとうございます」

 「いえ、いえ、でも、奏多君は今日はもう帰りなさい!何も無かったとはいえ頭打ってるんだから今日はもう家に帰ってゆっくり休みなさいな。靫空君の担当の仕事は私達でフォローするから」

 「はい、会長のお言葉に甘えさせていただきます、よいしょっと・・・あ、鞄持ってきてくれたんですね、ありがとうございます・・・それと、今から着替えるのですいませんが・・・」

 「う、うん!じゃあ皆今日は解散!各自何処にもよらないように!!」

 こうして、奏多は後ろに奏をサイドカーに紅葉、加奈を乗せ自動運転機能を使い家へと帰った。

 そして、家の前に人影を見た。

 金髪の綺麗な女性、年代は自分と同じらしく、白いワンピースと黒い日傘を差し、靫空家の近くに立っていた。

 バイクを降りた加奈はその女性に特に関心せず家に戻っていき、奏、紅葉も家へと入っていく中、奏多はその女性を見ていた、否、向こうからの視線を見つめ返していた

 「・・・あ、あの?何か御用ですか・・・?」

 「・・・・ようやく、見つけた・・・My Knight(わたしの騎士)。10年ぶり・・・位かしら?まぁ、とにかくお久しぶりです。()()()()

 その呼び名で名乗ったのは一度しかない、しかも印象的に残っている仕事の時だ。

 確か、小国の姫の護衛且つ賊と首謀者の殲滅・・・数週間に及ぶ初めての執事(バトラー)に扮しての任務・・・そうだ、そして、この呼び名で呼ぶ人間は1人しかいない・・・

 「・・・レイラ・レルジェント・シェルフォード」

その名を呼び、聞いた瞬間、彼女の唇は奏多の唇を覆い、夏の前の夕日がそれを美しく照らすのだった


次回投稿日は2週間以内を予定しております。

過去に投稿した物語のキャラクターがここで登場します!

もし、お忘れの方は第40篇 来訪 EP0-1からEP0-3まで読んでいただければもっと面白く読めると思います!

ではまた次回お会いしましょう!

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