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私のお兄ちゃんは完璧すぎる  作者: 朱雀 蓮
第2章 転校生編
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自責

かつて、幕末に存在していた反幕府取締組織、新撰組の一番隊隊長、沖田総司。

かの剣士は天才と言われ浪士に恐れられた正義の人斬りだった。

彼が生涯数回しか抜刀しなかった愛刀、菊一文字則宗、現在その一振りは現存するかも怪しいとされているが、今境内で少年が抜刀した刀はまさにそれだった。

「なぜ貴様の様なガキがその刀を持っている。」

「・・・・。」

 奏多は何も答えず、刀を収めた。

「答える気は無いと・・・舐めやがって、まぁ、良い・・・その両腕切り落として、俺が頂く。」

そう言いながら紅葉が所有していた刀、大包平焉を拾い腰につけた。

 「なっ!私の刀を・・・」

 そして、爪をポイと投げ捨てると、大包平焉を抜いた

 「ふん、少し重いな・・だが、いい刀だ。」

 「貴様が・・・その刀を持つなぁぁぁぁぁぁ!!!」

 紅葉の叫びは虚しくも叶えられず、その美しく輝く刀は今、信長の手の上にあった。

 「では・・・これにて貴様の首を斬ろう。」

 そして次の瞬間、奏多の目の前にバッと信長が現れた。

 「は、早い!!」

 文字通り大包平焉が首を目がけ刀が首に当たる直前、奏多は身体を90度まげ、イナバウアーのような体勢で回避した

 回避した矢先、追撃は必須。

 今度は牙で首を狙い断頭するかのように刀を振り下ろす。

 こんどは背骨が折れているかの如く身体を曲げ、ブリッジの体勢になり前髪がちょっとかすったが回避した。

 「柔軟な奴め・・・面白い!!」

 何とか距離を取り、奏多は体勢を整えた。

 (スピードはまぁまぁか・・・捉えられないことも無いが、あの二刀流が厄介だな。回避パターンをことごとく崩される・・・)

 「逃げるか・・・ならば!!」

 と刀をクルクルと回転し始めスピードがどんどん上がり、信長の両腕には大きな回転する刃があった。

 舞い散る木の葉は回転に巻き込まれ粉々になる。これぞ、円月流【双・十一の型】双満月

 そしてその刃は奏多のジワジワと迫っていた。

 奏多はハンドガンを発砲したが弾は回転するブレードで弾かれ意味をなしていなかった。

 奏多は一か八かの賭けに出た。

 「ほう・・・向かってくるか。この刃に!!」

 奏多は菊一文字を抜き、信長は回転する刃を縦の様に構え一部の隙も無かった。

 「これならどうだ!!」

 奏多は人間離れした跳躍力で頭上からの攻撃を仕掛けた。

 「フハハハハハハ!!頭上からだったら行けると思ったか?馬鹿め!!」

 回転する刃を上に向け下から風が舞い上がる。

 「今だ!!行けっ!!」

 奏多がそう叫ぶとブォォォォンと音を上げ階段下から勢いよく奏多のバイクが飛んできた

 『畏まりぃぃぃぃ!!』

 これで正面をガードするか上をガードするかの二択に絞られた、しかもどちらを選んでもただでは済まない・・・

 「温いわ!!」

 なんと信長はバイクを足で止め、刃の回転は緩まったが奏多は回転刃の餌食となった。

 「この・・・カラクリ風情がぁぁぁぁl!!!」

 奏多を吹き飛ばすと、今度はバイクを刀の峰で下から掬うように空へとブン投げた。

 『あーーーーーれーーーーーー』

 ライトでキランと演出をするが重力に逆らえず、隣の竹やぶに真っ逆さまになった。

 「奏多殿!!」

 奏多は服ををズタズタに引き裂かれ頭から血が滲んでいた。

 「浅かったか・・・」

 奏多はムクッと立ち上がりズタズタになった上半身の服を破り捨てた。

 「せっかくの服が・・・」

 その下からは防御用のコンバットスーツを装着していた為体はノーダメージだったが頭からの出血が止まらない。

 「一般人がその様な武装をするわけが無い・・・貴様本当に何者だ?」

 「ただの趣味ですよ、都会じゃあ玩具の銃で撃ちあう遊びが流行ってるんです。サバゲ―っていうんです。」

 信長はフンと鼻で笑った。

 「まぁ、いいさ・・・今からその上っ面の笑顔の下を剥いでやる・・・」

 目の前から消えたかと思うと、今度は後ろから斬りつけてきた。

 コンバットスーツがあるからといって真剣で斬られるとなると何時まで持つか・・・

 奏多は刀を置き、何時もの戦闘スタイルに戻った。

 威嚇用に銃を発射し数秒でも奴に隙が出来たらナイフですかさず首を斬る・・・

 そして実行に移した。

 発射された計5発の弾は、足、腕、腹、胸、頭を狙い放たれた。

 そして案の定全てを弾き終わった後奏多はその間凄まじいスピードで信長の首を狙ってナイフを突き立てる・・・だが

 「な・・・に?カ八ッ!!」

 喉の奥から熱いモノが流れてくる

 そして地面にはそれが・・・血が垂れていた

 何と、信長は足の指で先程放った爪を器用につかみ、奏多の腹に刺していた。

 「フン、足元の武器の警戒を怠るとは・・・甘いな」

 崩れた瞬間、頭を強く踏まれた。

 「どうやら見込み違いのようだった・・・動きはそれっぽいが錆びたカラクリの様だ・・・覇気がない。」

 10年近いブランクは流石に大きい、乙姉妹とやり合った後にそれは痛感していたがまさかここまでだったとは・・・・

 「・・・今回も使うしかないのか・・・・。」

 奏多は血まみれの手でスーツのポケットから薬を取り出し、血で薬を飲んだ。

 すると、再びあの時の様に体がだるくなってきた。

 だが、呼吸が乱れ息が荒れる、目の前も歪みだし、身体が熱い・・・

 「何だ・・・何を飲んだ!?」

 頭上に響く信長の質問もまともに聞こえておらず、今度は頭痛が始まった。

 「グッ!?ガァァァァァッ!!!」

 割れるような痛みが奏多を襲った。

 信長の足を払いのけのたうち回り始めた。

 明らかに前回とは違う・・・

 『し・・りしろ!!・・・をた・・て!!』

 声が聞こえる、自分の声だ・・・だけど何を言ってるか分からない・・・

 あれ?今、俺何してるんだっけ・・・思い出せない。

 奏多はフラフラと立ち上がり、周りを見る目の前には人相の悪い男が何かを叫んでいるが聞こえない。

 そして後ろを振り向くと、女の子が叫んでいる・・・なんでそんなに悲しい顔をしてるんだろ?

 って・・・指さして・・・あっ

 次の瞬間、奏多の背中はクロス状に斬られた。

 コンバットスーツを貫通して背中を斬られたはずなのに痛みはない・・・それどころか快感になっている。

 あっ・・・そうか。こいつ殺すんだったっけ?あれ・・・半殺しだったっけ?まぁいいや。

 奏多は足元にあった菊一文字を拾いフラフラとした足並みで信長に近づく

 「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 そう叫ぶのが聞こえた瞬間

 「は?お前が死ねよ。」

 信長のマックススピードを軽く超え、いつの間にか後ろに居た奏多を信長が振り向いた瞬間、信長の胸板に【死】と深々と斬りつけられていた

 「ば・・・馬鹿・・・なっ!?」

 その場にドサッと倒れた信長に近づき躊躇なく今度は足の腱を斬った。

 信長が叫ぶ、奏多が笑う。

 今度は腕、次は腹、背中、胸、顔、様々な個所に死なない程度の威力で刀を突き刺し子供の様にはしゃいだ。

 「あは・・・あははははははは、あっはっはっはっはっはっはっはっはっは・・・・」

 虫の息の信長に近づき、今度は心臓に刀を突き刺そうとした瞬間。

 「もう!止めて!!」

 その声に反応して咄嗟に声の主を斬った・・・

 「あ・・・」

 紅葉だった・・・足を斬られ動くことも難しいはずだったのに・・・・

 刀が手から抜け、全身から力が抜ける

 すると後ろから抱きしめられた・・・

 「もう・・・止めて・・・あなたのそんな姿見たくない・・・・」

 あれ?あれ?あれ?あれ?なんで泣いてるんだ・・・何でそんなに怖がってるんだ?悪い奴やっつけた・・・って・・・・あれ、何で怪我してるんだ・・・俺が・・・僕がやったのか・・・あ、ああ、あああ、あああああああああ

 奏多は泣き崩れた・・・

 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい・・・・」

 誰かに必死に謝った・・・

 咄嗟に取ってしまった手段が前回と同じようにいくとは限らないなんて決まっていた事だ・・・なのに!

 「守らなきゃいけない人を斬ってしまった・・・・僕は・・・・なんてことを!!!!!!」

 頭を地面にガンガン叩きつける、血が飛び散る。

 「拙者なら大丈夫でござる!!奏多殿は悪くないでござる!!!」

 今度は正面から抱きしめられた

 「も、紅葉さん・・・僕、僕・・・」

 「拙者もあなたを傷つけた・・・これでおあいこでござる。だから、泣かないでほしいでござる。」

 涙を拭いた奏多は次の瞬間、バッと紅葉を押し倒した

 「奏多殿!?な、何を?」

 だが、上に乗っている奏多の胸には菊一文字が刺さっていた。

 「はっ・・・はっはっは・・・・、足・・・の指・・の腱・・・・を・・斬らな・・・かった、貴様の敗北だ!!」

 もう動かせないはずの足が上がっておりその指先で菊一文字を拾い、紅葉を狙ったが間一髪奏多が身代わりとなった。

 そして、奏多の意識は遠く、深く、沈んでいくのであった。




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