表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
私のお兄ちゃんは完璧すぎる  作者: 朱雀 蓮
第2章 転校生編
44/75

偽善者

更新しました!!

遅くなって申し訳ありません!


次の日の朝、カーテンを開けると、快晴とまではいかないが、真っ白の雲が広がっていた。

奏多は昨日と同じくピッチングマシーンで特訓を行い、その隣で紅葉が素振りをしていた。

いい汗をかいた所で2人とも切り上げ、朝食の準備に入った。

奏多は調理、紅葉が配膳役と居候二日目にして既に熟年夫婦のようなコンビネーションだった。

「奏多殿、そろそろ奏殿を起こす時間でござる。」

「そんな時間か、ありがとう、じゃあ寝坊助を起こしてくるよ。」

奏多は2階に上がり日に日に寝相が面白おかしくなっている妹を起こしに掛かった。

「スースー・・・スースー」

気持ちよさそうに寝息を立て、寝ている妹を見るとつい微笑んでしまう。

だが、奏多は無慈悲にも布団をバサーっとめくり、カーテンを開けた。

「おはよう。朝だぞ、朝ごはんできてるから起きて。」

だがこの妹、布団なしで2度寝をし始めた為、奏多は溜息をつき、奏の背中と足を持ち、がっしりと抱えた。

「ほら!起きる!」

一瞬、お姫様だっこのような態勢になり、意識が覚醒した奏はパッと腕から離れた。

「さ、早く朝ごはん食べよ。」

奏多は先に下に降り、奏はドキドキしながらその後を追うのだった。

「奏殿、おはようでござる、ささ、朝食を食べるでござる。」

席に着き、皆一緒に箸を進める。

奏多はテレビをつけると、生中継でニュースが流れていた。

「野生の猪が死体で山の麓で見つかったらしいな。」

「しかも近いね、物騒だなぁ。」

だが紅葉はテレビ画面をジーっと見つめていた。

「紅葉さん?どうかした?」

「いえ、なんでもないでござる。」

茶碗の白米を口に運び、お茶をズズズと飲み干した。

その後各自、制服に着替え、リビングに集まった。

「この、すかーと、という腰巻は足元が寒いでござるな。」

慣れない様子で制服を着ているがギャップの違いか、2人はオオォォォとなった。

そして、家を出ると奏多はバイクのエンジンを掛けた。

静かにバイクは起動し、中央のデバイスパネルにこのバイクのAIであるアイが眠そうな表情で画面に現れた。

『おはよう〜、ファァァ・・・では!今日も張り切って行こーう!』

するとバイクの右側の装甲が横に開き座席の様になった。

昨日読み込んだマニュアルの通りだ。

マルチライディングシステム、サイドカーが内蔵され最大4人乗れる。

 すると、隣から目を輝かせながら塀を飛び越えてきた加奈が現れた。

 「すっごーい!!何コレ!!トランス〇ォーマー?」

 ジロジロ舐めるように見ていた。

 「いや、修理に出してたバイク・・・機能が加わったんだよ、加奈も乗ってく?」

 加奈は大きく首を縦に振ると、もう片方からも座席が開いた。

 奏多はトランクから4人分のヘルメットを取り出し、最終的に、運転席:奏多 運転席後ろ:奏 右サイドカー:紅葉 左サイドカー:加奈という形で家を出た

 バイクは普通自動車と同じ横幅まで広がり、通り過ぎるものは案の定皆物珍しそうな目でバイクを眺める

 4人はフルフェイスのヘルメットの中で顔を真っ赤にしながら迅速かつルールを守って学校へと向かうのだった。

 学校でも奏多の修理されたバイクに皆目がいき、教室でもざわざわとなっていた。

 奏多はバイクの件に関しての質問を軽く流し、席に着いた途端、奏多の携帯が勢いよく鳴った。

 『マスター!!ロックかけ忘れてる!もう、ウッカリさんだから!!』

 その瞬間、皆が奏多の携帯に移った美少女に目をやった。

 特に月夜が興味津々だった

 「め、盟友よ・・・こ、この携帯の中に捕らわれし可憐なる女は誰だ?」

 「あ、ああ・・・バイクのコンピューターに設定されたAI。」

 『もー!!マスター!!私の名前はアイって付けてくれたじゃない!!皆にもそう紹介してよ!!』

 プンプンと起こった表情になったアイを見た一同 (主に男子)は可愛いと思った。

 「そうだぞ!!こんな可愛い子俺たちにも紹介しろ!!」

 「そうだそうだ~!!」

 アイの言葉に乗っかる様に男子がヒートアップしいつの間にか奏多の携帯の前に1人ずつ座り自己紹介する列が完成していた。

 「・・・はぁ~」

 奏多は大きくため息を付き落ち着きを求めた。

 そしてふとあることに気がついた

 「ねぇ、月夜・・・刹那と永遠まだ来てないのか?」

 「ああ、何時もなら来てる時間だが・・・風邪でも引いたんじゃないか?」

 いや、あの二人は風邪何て掛からない・・・はずだ。

 奏多は少し心配しながらも2人が来るのを待った。

 だが遂にHR開始時刻にも現れず、奏多の後ろの2席は空席のままだった。

 HRが終わり気になった奏多は先生に聞きに行った。

「乙さん?あー今朝から電話しても繋がなくて、困ってんのよ。」

奏多はこの瞬間、最悪のパターンを想像してしまった。

「先生、すいません。緊急の用事があるので早退します。」

「えっ!?HR終わったばっかりよ!?」

奏多は深めに頭を下げるとHRが終わってもなお自己紹介をし続ける男子どもから携帯を取り上げ荷物をまとめると走り去っていった。

 その様子を皆ガヤガヤと言いながら見ていた。

 奏多はバイクのエンジンを掛けフルスロットルで学校を飛び出した。

奏多はバイクを走らせ、以前聞いていた住処の場所へ向かった。

場所で言えば小さい住宅街の離れた場所にある一軒家だ。

そこは滅多に人が通る場所ではないので一定期間住むのには丁度いい場所だ。

 しかも2人の性格上近所への引っ越しの挨拶もせずつながりも切っているはずだから気にも止められないだろう。

『マスター、そこを右に曲がって200メートル先だよ!』

アイのナビゲーションで最短時間で住処の家に着いた。

 奏多は家の外の門を開け扉の前へと来るとと雨で殆ど落ちているが、ドアノブに血が付いていた。

「くそっ!予想が外れててくれ!!」

ガチャリと開きっぱなしの扉を開き、警戒するよう恐る恐る家に入ると玄関には夥しい血と刹那、永遠の2人が倒れていた。

「おい!刹那、永遠!!しっかりしろ!!」

息をしていないし、血色も悪い・・・血の渇きから見る限り時間が経ち過ぎている・・・

奏多は急ぎ救急車を呼び、その間に2人の容態を確認した。

「まだ、微かにだが心音が聞こえる・・・まだ助かる、いや、助ける!」

急ぎ家にある毛布やタオルで体温の低下を止める処置をし、とにかく息をしてないので人口呼吸に入った。

 2人を交互にしていく為、当然時間が掛かる

意識は戻らず、仕方なく救急車が来る前に家にある武器、書類等を全てバイクに隠した。

そして、救急車が来ると奏多は同じくきた警察に事情を誤魔化し話すのだった。

「ほぉ、じゃあ、君は義理の妹さんたちとの連絡が途絶えたから学校を抜けてきたと・・・」

「はい、気になってきてみればあの有様で・・・」

「君は妹さんたちが以前から誰かから恨まれてた・・・とは聞いてませんか?」

「はい、特には、それに妹たちは護身術を学んでいた経験があるのでそう簡単にはあんな重傷しませんよ。」

 そう、二人の実力であそこまで深手を負わされた事実に奏多は納得できていないのだ。

警察の人が引き続き質問をしようとした途端、後ろから老刑事が口を開いた。

「すみませんが、君は昨日の夜どちらに?」

「家にいました、妹と居候が証明できます。」

疑ってるのか・・・僕を

 まぁ、当然だろう、心配して言ってみれば、そこに血まみれの妹、疑われる要素は大ありだ

「分かりました、妹さんたち最近引っ越してきたばかりらしいので、恨みの可能性はなし・・・まぁ、何処ぞの頭のおかしい奴の犯行でしょうな。」

とほかの警察の人が警部に耳打ちをした。

「朗報ですよ、妹さんたち、一命を取り留めたようですよ。ですが傷が深過ぎて、意識はまだ戻ってないようですが。」

それを聞いて奏多は心からホッとした。

「よかった、よかった!!ありがとうございます!ありがとうございます!」

 奏多は頭を下げたが老刑事からの質問は続く。

「で、もう一つ、靫空さん、君は医者か何かを目指してるんですか?」

「いえ、何故ですか?」

「いやー医者が言うに、ここに来る前に体温低下処置がなければ死んでいた・・・と言ってたらしく、普通あんな血を見て、しかも、身内のあんな状態を見て特にショックを受けずに処置をできるとは、よっぽど知識が長け見慣れている。だから医者でも目指してるのかと・・・」

鋭いな・・・このジジイ

「いえ、本で読んだ事を実践しただけですよ、それに血は料理で魚とかをバラす時に慣れたんで・・・」

この男に迂闊に話せば疑われる可能性があると感じた奏多はその後も上手く言い逃れ、事情聴取の為、奏多は警察に任意同行で、バイクに乗り警察署に向かった。

解放されたのは夕方になり、奏多はその後、2人が入院した病院に真っ先に向かった。

病室に入ると、大量の機械に囲まれてた2人を見つけた。

「すいません、2人の容態は?」

その場にいた看護婦に聞いた。

「現在は安定期に入ってます。何しろ失血死のギリギリだったので、しかも傷口は刃物で肩を骨まで切られていました。」

「そうですか・・・ありがとうございます。」

看護婦が出て行くと、奏多は2人の手を握った。

「何で、逃げなかった・・・いや、この2人は逃げたんだ、だが敵が予想以上だった。」

 二人の弱り切った状態を見てもやもやした気持ちになる・・・

 椅子に座り、2人が集めていたターゲットの男の資料に目を通し、奏多は驚きの一文に目をやった

 「これは・・・こんな奴と戦ったら紅葉さんは・・・」

奏多は紅葉とこの男を戦わせてはならないと判断し、急ぎ家に帰ると、家の自室で正座して待っている紅葉を見つけた。

「おかえりでござる。奏多殿。」

明らかに様子がおかしい、殺気がほとばしっている。

「紅葉さん?どうしたんですか?」

「今日の帰りに奴が、現れたでござる。拙者の目の前に!」

 現れる意味が解らない・・・あいつの目標は組織の裏切り者である2人だったはずだ・・・紅葉さんがこの町に居ることすら知らないはずなのに・・・

「・・・それで?何と?」

「果たし合いでござる。今宵の11時に指定された場所で戦うでござる。」

「行ってはダメです!!殺されます!」

すると、紅葉はフッと笑った。

「女の身である拙者に気を使ってくれるのは、ありがたいでござるが、これは宿命でござる。止めるな。」

「ダメです!実力が違い過ぎます!殺されるだけです!あの男は貴方以上の・・・」

 すると、ギロッとこちらを睨んだ。

 「では、奏多殿は私ではあの男に勝てないから逃げろと!皆の・・・父の・・・剣の命を奪った男から逃げろと?」

 「はい。お気持ちは分かりますが・・・」

「貴方に、拙者の心は、憎しみは、分からない!横から口を出すな!!」

 奏多の声は紅葉の大声に遮られた。

 「奏多殿は・・・分かって下さると思っていた。過去を話し共感してくれていたから、拙者の悲しみも分かって下さっていると思っていた!!!だが、違った・・・貴様はただの偽善者だ。人をその気にさせ最終的にはその心を裏切る。最高のの偽善者だ!!!!」

 確かにそうかもしれない・・・優しくぶっているだけで、実際にはその優しさが結果的に傷つけているかもしれない・・・でも、あの二人の様にやられるのを見て見ぬふりは・・・そうさせないように止めないことは出来ない!!

奏多は無言で立ち上がり入り口で手を広げ通せんぼした。

 「なんのつもりだ・・・」

 「行かせません・・・」

 紅葉もスッと立ち上がった

「そこを退け!」

そして、手に持っていた真剣の鞘で奏多の顔に一撃

 辛うじて防いだが、紅葉の蹴りが奏多の腹に刺さる。

 奏多は壁に叩きつけられながらも直ぐに立ち上がった。

 「どうした?来ないのでござるか?」

 「僕は・・・あなたと戦いたくない。」

 だが、非情にも真剣の収まった鞘は奏多の頭を勢いよく殴った。

頭から血が滴る、だが奏多はよろよろと立ち上がり、入り口に立った。

「弱いくせに・・・いきがるのもいい加減にしろ!!!」

すると、もう一撃が頭に炸裂した。

 だが奏多は無言で立ち上がる

「舐めるのも大概にしろ!侮辱しているのか!男ならやり返せ!!」

 だが奏多はそのまま手を広げじっと動かない。

 「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

そして、紅葉の叫びと共にその後も、あらゆる箇所を殴られ続けながらも奏多は立ち尽くした。

「もう、いい加減、倒れろぉぉぉぉ!!!」

本気の一撃が奏多の鳩尾に入った。

奏多は頭からの流血で顔中血まみれのまま地に伏した。

「ハァハァ、偽善者のくせに生意気な!」

血まみれの奏多をみて、刀を持つ手が震えたが、そのまま、紅葉は家を飛び出した。

奏多は目を覚ますと、真っ暗な和室に居た。

「止められなかった・・・」

畳に拳を叩きつけた。畳に血が滲む。

 戦っていたら止められたが、戦えば彼女の憎しみは膨らみやがて暴走する。

 憎しみや、復讐心は人を修羅に変える事もある。

 彼女を修羅の道へ落とさないように説得するつもりだったが無理だった・・・

するとガラリと戸が開き、ソナタがフラフラとはいってきた。

「あの、小娘、儂に一服盛りおった・・・妹君も気絶させられておる。」

彼女なりの気の使いだろうが、今回は止められなかった自分が悪い・・・

「行き先もわからない・・・これじゃあ彼女は殺されてしまう。」

時刻は既に10時45分、仮に今からシラミ潰しに町中を探しても遅いだろう。

すると携帯が勢いよく鳴った。

『マスター!携帯から数時間前のやり取りを聞いてたから、紅葉さんが出て行く際にバイクから発信機を発射して彼女の着物に取り付けたよ!!』

何処ぞのメガネ探偵レベルの用意周到さに感心しながら奏多は急ぎ二階の自室から武器を一式取り、ぐるぐるに布に巻かれた棒を取り出すと背中に括りつけバイクに乗った。

「アイ!場所までのナビを頼む!最短でだ!」

『了解!』

そして、奏多が目指す場所、今は誰もいない神社、その境内で2人の剣士がにらみ合っていた。

「・・・・」

「・・・・」

 一人は佐々木紅葉腰には日本刀を差し男を睨む、そしてもう一人の男、左目に眼帯をし、腰には2本の刀、名を宮本(みやもと)信長(のぶなが)。かつて同じ道場にいた二人が今ここに互いを睨みあっていた。

 「この日を・・・待っていたでござる。」

 先に口を開いたのは紅葉だった。

 「貴様を・・・仲間や父の剣士としての命を奪った貴様を!!殺す日をな!!!」

 だが信長は鼻でフンと笑った。

 「そうわめくな・・・キサマもあの日の父親の様にしてやろう・・・そして流派、円月流(えんげつりゅう)は消える。」

 「ぬかせ!!」

 そして互いに刀を抜く。

 「ほう、一家相伝の一振りをお前如きが継承するとは・・・あの道場も今は落ちぶれたものよなぁ」

 その言葉と共に紅葉は一気に間合へ詰め寄った。

 敵の意表をつき高速で敵を屠る、先制技、円月流【一の型】繊月(せんげつ)

 だが信長はニヤリと笑う。

 「遅い!」

 紅葉が自分の間合へ入った瞬間、足で紅葉の身体を吹っ飛ばした。

 だが、直ぐに体勢を整え斬りに掛かる。

 「動きが一直線直ぎるわ!!!」

 紅葉の一閃をひらりと躱し、信長が持つ刀、(きば)(そう)は紅葉の胴体を斬り裂かんとはさみの様に襲い掛かる。

 円月流【双・五の型】上下弦(じょうかげん)

 間一髪で滑りこむように紙一重で躱すも括った髪の一部がスパッと斬れた。

 紅葉は距離を取ろうと後ろへ下がった。

 「はぁ、はぁ、早すぎる・・・全部読まれる。」

 「当り前だ、同じ流派同士、打ち合いで勝つのは常に相手の技を予測すること、だが・・・」

 信長は刀を収め鞘を掴んだまま目をつぶり構えた。

 「何だ・・・その構えは?」

 と次の瞬間目をカッと見開き凄まじい二段突きからの袈裟切りを繰り出した。

 咄嗟に剣で二段突きは防いだが袈裟切りは紅葉の右腕をかすった。

 「ほう、反応はお手の物・・・【双・二十の型】欠け月で仕留められんとは・・・」

 「二十の型だと!?円月流は18の型までしかないはずだ!!」

 すると大笑いした

 「馬鹿が、何時までも進化の無い剣に未来などあるか。」

 ニヤリと笑い紅葉の返り血をぺろりと舐める。

 「ああ・・・血は良い。生を実感させてくれる。」

 もう昔の信長は残っていないと確信した紅葉は次で仕留める体勢に入った。

 「ほう、奥義でくるか・・・」

 構えで読まれているが決まれば一撃必殺、【十八の型】無月。

 人間の速度の到達点、神速のスピードで敵を斬る。円月流奥義である。

 肉体への反動が大きく、何度も使用できない技だが決まれば勝ち、人間の反射スピードを超えたガード不可の一撃。

 「いくぞ・・・覚悟しろ!!」

 狙うは首、一撃で仕留める・・・と剣を構え、攻撃の体勢を取った瞬間

 -パン

 紅葉は膝から崩れ落ちた、いや崩されたのだ。

 「なっ!?飛び道具だと・・・」

 信長の手にはハンドガンが握られており、その発射口からは火薬の煙が上がっていた。

 「次の手を分かっていながら躊躇する必要なし。」

 弾丸は紅葉の右足に命中し、激痛が紅葉を襲った。

 「卑怯・・・な!!そこまで落ちたか!!!」

 「フン、俺は戦い続けながら殺した者の武器を貰いさらに強くなる・・・貴様の様にただ剣のみの者は昔の俺の様になるのだ!!」

 眼帯を取ると縦一線の傷、深々と目を斬っている。

 「この傷は且つて、武者修行中、俺が立ち寄った村が紛争に巻き込まれた時の傷だ。俺は無力だった!村人は殺され、俺は地面に這いつくばりながら見ているだけ・・・俺は絶望した。俺が身に着けた剣など家畜の糞以下の様なものだ!!だから殺してやったのさ!剣を!!!!そして、俺はある組織に属し俺の目を奪ったあの悪魔を探している。」

 怒りが見える、紅葉も恐怖するような威圧・・・この男は自分の憎しみなどちっぽけな程に思える光景を見てきたのだ・・・

 奏多のいう通りだった・・・あの時言いかけた言葉。

 『あの男は貴方以上の・・・憎悪と復讐心を兼ね備えている』

 と言おうとしたのだ。

 恐らく全てを知って私は勝てないと判断し、私のつまらないプライドに反論しながらも止めようと一方的に殴られていたのだ・・・

 「拙者は・・・馬鹿だ。」

 敵の力量も見極められないは愚か、見極めた者の忠告を無視し、偽善者呼ばわりし、一方的にいたぶっただけ・・・

 「もう殺せ・・・もう戦う気力も勝機もない・・・・」

 紅葉は膝をつき、目を閉じた。

 「では、願い通り殺してやる。お前の血で鮮血の雨を浴びるとしよう。」

 牙を抜き、構える、その姿は処刑人にふさわしい風貌。

 (道場の皆、父上・・・奏多殿。すいません、拙者では勝てませんでした。)

 そして、刀は勢いよく振り下ろされ、紅葉のうなじに差し掛かろうとしたした瞬間

 「なっ!?誰だ貴様!!」

 フルフェイスヘルメットの男が振り下ろされた刀をコンバットナイフで防ぎギリギリと金属音が響きながら剣を弾き紅葉を抱きかかえると後ろに退いた。

 「奏多・・・殿?」

 ヘルメットの目の部分をパカッとあげニコッと笑った。

 「良かった・・・間に合って。」

 紅葉を下すとヘルメットを外し、紅葉と目を合わせた。

 「どう・・・して?あんなに酷い事言ったのに・・・・」

 だが奏多は優しく微笑む

 「いえ、紅葉さんの言う通り僕は偽善者かもしれません・・・僕の不用意な発言で紅葉さんを傷つけてしまったのかもしれない。だから、いいんです。」

 涙が溢れてきた。

 「でも、でも・・・」

 奏多は紅葉を抱き寄せた

 「自分を責めないで・・・全部背負い込まなくてもいいんです。ある時には逃げてもいいんです。もっと自分を大切にして下さい。」

 「奏多殿・・・う、うう・・・うぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 紅葉の頭を撫でる。

 だが、信長はイライラした様子でそれを見ていた。

 「フン、所詮は女、剣士のくせして戦場で泣くとは・・・情けない」

 紅葉を落ち着かせると、奏多はスッと立ち上がった。

 「怒りや憎しみしか情を持たない修羅に落ちた人間には言われたくないセリフですね。」

 「小僧・・・良い度胸だ。名前は?」

 奏多はナイフを構える

 「答える必要なし!!」

 ナイフを投げると同時に走り、弾いたと同時に敵の死角から殺りにかかる、だが二刀流の信長は反応し奏多のナイフは防がれた。

 「こんなおもちゃで我が命は奪えん!」

 ナイフは折れ、奏多は蹴りで吹っ飛ばされた

 「奏多殿!!」

 吹っ飛ばされた奏多は空中で体勢を整えると口から血をペッと吐いた。

 「なるほど・・・2人がやられるわけだ・・・」

 「2人?ああ、昨日の裏切り者の双子か。貴様知り合いだったのか」

 「ああ、だからかたき討ちって事で。」

 すると信長は大笑いした。

 「貴様、面白いな。後ろの武器を抜く時間をくれてやる。本気で来い。」

 「では、お言葉に甘えて・・・」

 奏多は布をシュルシュルと取り、そこには一本の刀が現れた。

 「貴様・・・本当に何者だ?何故その刀を持っている?」

 「奏多殿の持っている剣・・・まさか!?」

 そう、奏多の持っている刀は且つて天才と呼ばれた伝説の剣士が持っていたとされる一振り

 「・・・菊一文字(きくいちもんじ)則宗(のりむね)!!」

どうも!引っ越してから起きるのは7時なのに何故か毎朝5時30分に目覚めるという謎の習慣が発生している朱雀です!ゴールデンウィークもあとわずか!!5月病にかからぬよう毎日少しづつ運動するなどしてだらける習慣を減らしましょう! ←(既に5月病感染中、部屋からあんまり出てない作者ですwww)

それと、少し全体的に内容を増やすことにしました。

その作業が終わり次第、最新話の執筆にとりかかります、どうぞお楽しみに!!

感想&ご意見お待ちしております!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ