順応する悪魔
最新話投稿しました!昨日の夜更新したのですが、何故か出来ておらず・・・
とにかく、楽しみになられていた皆さまには本当に申し訳ございません!
1限目終了の休み時間、乙姉妹はクラスの男女からの質問攻めになっていた。
その内容は、ほとんどが奏多との関係性であるが、2人とも奏多のことを兄と言っているのだ。
その様子を奏多はため息を付きみていると、月夜と加奈がやってきた。
「ねぇ、あの2人ほんとに奏多の兄弟なの?」
「いや、違う。僕にも何のことだかさっぱりだ。」
すると、クックックと月夜が笑っていた。
「これは、あれだな!生き別れの兄と姉妹!!妹たちは病で床に伏した両親から生き別れた兄の存在を知り、はるばる会いに来たがいいが、本人が知らないっていうケースだな。」
奏多は呆れながら首を横に振った。
「そんな、云われエピソードはない。それに・・・」
それに・・・奏は僕が拾ったんだ。両親なんて居ないんだ。
「それに?何?」
「いや、何でもない。だから、彼女たちは何か勘違いしてるんだろう。後で話してみるよ。」
と次の授業の用意をして、奏多は席に座った。
そして時は過ぎ放課後。
「ねぇ!お兄ちゃん!ごはん食べよ!」
「食べよー。」
と奏多の席の両端に椅子を着け風呂敷に包まれた大量の缶詰を出した。
「お前たち・・・それが昼ご飯か?」
「うん!日本のは美味しいし色んな種類があるし!」
「コスパ最強!」
とツナ、鯖、焼き鳥、コーンとそのほか様々な種類の缶詰を開けプラスチックのフォークでバクバク食べていった。
両端を取られしょうがなく奏多は弁当を出した。
今日の奏多の弁当の品は白米 (3種のナッツ掛け)、鶏もも肉のローズマリー煮込み、マカロニサラダ、半熟ゆで卵、Tボーンステーキ。
奏多が弁当に手を付けようとすると、2人は目をキラキラさせ奏多の弁当を覗いていた。
奏多はその目を気にせず、箸を鶏肉に伸ばした。
だが、口に入ろうとする鶏肉を2人は悲しそうな目で見る、流石に食べづらく、弁当に入っている残り2つの鶏肉をそっと缶詰の蓋に乗せた。
すると目を輝かせ鶏肉を口に運び頬を抑えおいしそうにしていた。
ここまで美味しそうに食べてもらえると悪い気はしない。
「お兄ちゃん!こっち向いて!」
と何だと言わんばかりに振り向くとフォークに刺した焼き鳥の缶詰の肉を口に入れてきた
「お返し!お兄ちゃんの料理美味しい!」
そして反対側からもツンツンとされ同じく口に砂肝を突っ込んできた。
「お返し・・・兄ぃの料理相変わらず美味しい・・・。」
無理やり押し込まれたに近いが、第三者の目から見ればただの『アーン』である。
「で、どう?缶詰美味しい?」
お前の手作りでも何でもないだろうが!と言いたいが缶詰に罪はない。まぁ実際缶詰は悪くない。
「あ、ああ。美味しいよ。」
すると、顔に笑顔が灯り、刹那と永遠はは次々と缶詰の中身を奏多の口に突っ込んできた。
「ちょ。ちょっと待て!小豆とシーチキンとサクランボを一緒にするなぁぁぁぁ!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁ」
うん。不味かった!
昼休みを終え、奏多の顔色は真っ青になっていた。
「盟友よ・・・大丈夫か?保健室行くか?」
首を横にフルフル振り、震える手でノートに文字を書いていた。
そして、放課後・・・授業中の記憶は殆どなく、6時間目でやっと自我を取り戻した。
未だボーっと頭を押さえ、1人機械のようなスピードで教科書通りの反省文を書いていた。
「失礼しました・・・。」
先生に反省文を出し、職員室を出ると時刻は6時。
奏多はため息をつきながらバイクに向かうと、さらに胃が痛くなった。
「ブルンブルン!!永遠~!良いね!このバイク!!」
「盗んだバイクで~走りだす~・・・・」
ちょっとアウトな歌を歌い始めたので走って止めた。
「おい・・・何をやっている?僕のバイクから降りろ。」
と若干切れ気味に2人をバイクから引きずり落とした。
「もぉ~!せっかく盗んだバイクで走りだそうとしてたのに~」
「行く先も~解らぬまま~・・・」
これ以上15の夜を歌わせる訳にはいかないので奏多は急ぎバイクに乗りその場を去ろうとした。だが、
「お兄ちゃんと~ライドゥゥゥ!!」
「ライディングデュ〇ル!あくせられーしょん~・・・」
これ以上は本当にマズイ!!権力が・・・
と言いながら二人が背中に抱き着き普通に3人乗りの交通違反になるので何とか降ろそうと、近場の公園まで急ぎ走らせた。
「此処ならいいだろ!降りろ!話があるんだろ!!」
と暗くなって街灯に照らされた公園に降りると2人は子供のようにはしゃぎながら、ブランコに乗った。
「きゃはははは!ブーランブーラン!」
「(必死にブランコを漕いでいる)」
だが、漕ぎながら刹那の口調が変わった。
「・・・ねぇ、戻ってきてよ。Ⅱ。私も・・・Ⅳも、ずっと探してたんだよ!」
「Ⅱ・・・帰ろ?」
2人ともブランコを漕ぐのを止め、目から涙を流していた。
この涙は奏多の心にズキリと刺さった。
「Ⅲ、Ⅳ・・・。」
奏多は2人の前に立ち頭を下げた。
「すまない・・・まだ、まだダメなんだ!僕は今の家族を・・・妹を守らないといけない!!!」
だが、2人の様子は変わることはなかった。
「ふざけないでよ・・・ふざけないでよ!!私たちがどれだけ・・・どれだけ、思ってたかも知らないくせに!!!!」
「あんな、普通の人間。放っておいても良い!Ⅱには相応しくない!!」
だが、奏多も負けじと反論した。
「彼女は・・・奏は今の僕にとっての全てだ!!!!」
それを聞き、2人の雰囲気が変わった。
「じゃあ・・・殺せば、今のⅡは無くなるってことだよね・・・」
「あいつ殺せばⅡ、帰ってくるんだ・・・」
それを聞き奏多も雰囲気が変わった。
「奏に危害を加えてみろ・・・僕が・・・・俺が!お前らを殺してやる。」
すると、二人はくすくすと笑った。
『無理だよ・・・』
2人の声がシンクロした。
『お兄ちゃんは私たちには勝てないよ・・・』
そしてブランコに乗っていたはずの2人は一瞬にして奏多の両側に立っていた。
『だって、私たちは完璧だもん』
奏多が距離を取り後ろを振り向くと其処には既に2人の姿はなかった。
◇
家に帰ると、入り口に奏が仁王立ちして立っていた。
「遅い!何やってたの!話があるから早く入って!」
何故か不機嫌だ。奏多は恐る恐るリビングに入ると椅子に座らされ、奏が迫ってきた。
「ねぇ・・・今日お兄ちゃんのクラスに転校生が来たってホント?」
無言で頷く。
「その転校生がお兄ちゃんを自分のお兄ちゃんって言ってるらしいけど・・・どういうこと?」
笑っているが目は笑ってない。間違えれば乙姉妹の前に奏にやられてしまいそうな感覚に陥った。
「ああ・・・実は。」
奏多は語った。乙姉妹は数年前に死んだ自分にそっくりな兄がおり、転校前に街で見かけた自分を兄と重ねてしまい、自分を兄と呼んでいると・・・。
100%嘘の物語、嘘物語である。
それを聞き奏は涙を流していた。
「そっか・・・そういうわけだったんだ・・・・・それじゃあ仕方ないね!うん、仕方がないよ!!」
成功した。
その後、話を逸らすため晩御飯に全力を注いだ。
次の日、奏多は疲れた顔で登校するも、乙姉妹の遠慮のなさはほぼ衰えなかった。
「じゃじゃーん!これ、なーんだ?」
と休み時間いきなり大声を上げ皆がそれに反応するとその手には古めかしい茶封筒が握られていた。
「それ何?写真?」
皆が不思議がりながら茶封筒に目をやり、その中身を取り出す。
「ご名答!!これは・・・お兄ちゃんの小さい時の写真!!」
それを聞いた瞬間、クラス中がざわつきながら刹那の方へ寄ってきた。
「っていっても、数枚しかないけどね。」
と机の上に3、4枚の写真を出すと皆、おぉぉぉぉ、と声を上げた。
その写真は推定からして3、4歳のころの奏多の写真だった。
「か、可愛い~!!」
「ムスッとしてる~」
女子が盛り上がっている中、大前が写真を見る。
「何か生意気そうなガキだな。」
それを聞き女子の目が変わった。
「はぁ!?あんたなんかが口出しするんじゃないわよ!」
「そうよ!今でも生意気そうなあんたに奏多君が生意気扱いって・・・身の程を知れ!!」
女子の集中砲火を受け大前は凹みながら自分の席に座った。
「良かったら、この写真あげよっか?データならあるし、何枚でも刷るよ~!!」
それを聞き奏多は止めようとしたがそれを聞いた女子の荒波に勝てるわけが無く弾き飛ばされてしまった。
それを見て乙姉妹はニヤッと笑っていた。
「ふっふっふ!まだまだだよ~」
「次、行ってみよ~」
と極秘と書かれた封筒を出した。
「こいつは・・・そう誰にでも見せれるモノじゃないんですよねぇ~、ねぇ、永遠さん?」
「そうですね~、刹那さん」
芋芝居だがその封筒に入っている物には興味が出てきた女子が群がってきた。
「見たい人は付いてきてくださいな~」
「ひあうぃーご~」
と十数人の月夜、加奈、恵里佳を含めた女子達がゾロゾロと廊下の奥に連れ出されていった。
~3分後~
帰ってきた全員、顔を真っ赤にしながら小さい袋を手に持っていた。
「おい、お前ら何を渡した?」
と奏多が刹那に話しかけると笑顔で応えた。
「お兄ちゃんのー盗撮したセミヌードシーン5枚セット!税込み500円!」
「初回価格は税込み299円・・・デ〇ゴスティーニ~」
と写真にはいつどのタイミングで取ったのか自宅の風呂場の入浴中の写真やシャワーを浴びているシーン、大事なところは湯気や光が守っており、ソナタをいれていない朝に撮られたものだとわかる。
奏多は拳を震わせながら目が笑っていないニッコリをした。
「商売をするんじゃないよ・・・盗撮もだ!」
と2人揃ってどこかで見たベロを出した。
「「てへぺろ!」」
奏多は大きなため息を付き頭を抱えながら机に蹲るのだった。
◇
5時間目・・・本日の体育はバスケットボール
男子と女子と別れ行うが本日は男子の半分が女子の方を見ているのであった。
「ほい!永遠、パス!」
と刹那から永遠にパスが渡り3ポイントシュートを放った。
その瞬間、永遠の胸が上下にブルンと揺れ、男子がうぉぉぉぉぉぉと声を上げ、その男子を女子がゴミを見るような目で見る。
「胸ばっかみて・・・男子ってサイテー」
「そんな事より!見て、奏多君がボールを持ったよ!」
奏多がボールを受け取り敵陣のゴールポストに向かってドリブルで進む。
バスケ部のブロックをフェイントで潜り抜け、ダンクをゴールにぶち込んだ。
女子サイドからはきゃぁぁぁぁぁぁぁぁっと歓声が上がり、それを男子が白い目で見る。
「女子もカッコイイ男子のまえだと、デレデレすんだよな~」
互いに聞こえる位の声量で喋っているため男子と女子を挟むネットは良い境界線になっていた。
一方、奏多は先程ばらまかれた写真の回収をしようとしていたが既に時遅く、学園内にバラまれているという事で、先程
『分け前だよ!はい!』
と半分の取り分という結構な厚さの札束を手にしてしまい、もう、どうすることもできず、鞄に眠っている。
正直、自分の写真が出回っているというのは知っていたがここまでオープンなモノは初めてだった。
怒りをバスケットボールにぶつけながら全力でプレイをし、ワンゲーム5分の試合を4試合。
1.24-3 (奏多チームWIN) 2.15-0 (奏多チームWIN) 3.44-7 (奏多チームWIN) 4.22-4 (奏多チームWIN)
どこぞの世代の如きのプレイでバスケ部のメンバーも唖然としながら見ているのだった。
隣のコートでも乙姉妹からつながる連係プレイで全試合勝利、やはり本当に兄弟ではないのかという疑いは強まるばかりだった。
そして放課後、鞄に荷物をしまい、帰ろうとすると、後ろから両肩を掴まれた。
「ねぇ、お兄ちゃん!デートしよう!」
「でーと!」
その言葉にクラス中がはぁ!?となった。
「・・・嫌って言ったら?」
と言うと、耳打ちしてきた。
「お兄ちゃんの18禁の写真を販売開始にする。」
「兄ぃのふるぬーど!!」
小声でとんでもない脅しを掛けてきたので首を縦に振らざるを得なかった。
◇
オゾンモールにきた3人は真っ先に日用品や便利雑貨の置いてある【優印】にやってきた。
「これは、デートではなく、ただの荷物持ちか・・・」
その手には大量のレトルト商品や、学校で使用するであろうノートが山盛りに乗っていた。
「次は~服!お兄ちゃんがチョイスしてよ!」
「れっつ!せれくと!」
と言われるがままに服選びをさせられ、会計を済ませるまで店の外のベンチに座っていた。
そして、その後ろ10メートルに3人の影が・・・
「あいつら・・・普通に買い物してるわね・・・。」
「いや・・・我にはただの・・・デートと言うやつにしか見えないんだが。」
「ええ、あれはデートよ」
加奈、月夜、恵里佳の3人が店からでた3人が腕を組みながら歩いていく姿を見ているしかなかった。
一方その頃、奏多は今世紀最大の嫌な顔で引きずられながらフードコートに連れていかれ、端の方にあるメクドナルドに3人分の飲み物と2人分のビッグバーガ、大盛ポテト、チキンナゲット、ソフトクリームを注文しに行かされるのだった。
「ふんふふ~ん♪」
「ふんふんふんふふ~ん♪」
二人は謎の鼻歌を歌いながら待っていると、他校の男子高校生らしい男たちが近寄ってきた。
「ねぇねぇ!君達今Free?ってか双子?可愛いね~、ねっ!俺らと遊ばない?」
いかにもチャラそうで、遊び慣れている感じだ。
「え~・・・今、お兄ちゃんが注文取りに行ってるからさー・・・悪いけど、遠慮するね!」
「ノーサンキュ~」
馬鹿にした対応で男子高校生たちの誘いを断るも、諦めず言い寄ってきた。
「何~?お兄ちゃん連れ?てか、今どきの男子高校生が彼女とじゃなく妹とデートとか・・・だっせ~!!」
「どうせ、妹は可愛いのに、兄はぱっとしないダメ男ってかんじだろ?妹の荷物持ちだけって役割のな!」
「マジだっせぇ。ハハハハハハハ!!」
男子高校生たちの笑い声が座っている2人の頭上を飛び交う。
「・・・良いよ。付いてきて、楽しいことしようよ」
「・・・遊んであげるよ。」
と荷物を置き、男子高校生たちを男女共通の大型のトイレに誘った。
「へぇ・・・素直じゃんか。」
男子高校生たちが後に続きすんなり入って1分30秒、2人が出てきてプンプンと顔を膨らませながらトイレから出ていた、だが、そのトイレには鍵が掛かったままだった。
その頃、奏多はおぼんいっぱいに注文品を運んできた。
「お待たせいたしましたよ・・・はい。」
自分の分のアイスティーをおぼんからとり、席から立ち上がった。
「これで十分だろ、見た感じ問題は起こしてないようだから、そこだけは褒めてやる。」
それを聞くと二人そろって頭をンッと出してきた。
「・・・叩けばいいのか?」
「「撫でて!」」
これくらいならいいかと・・・二人の頭をなでなでと撫でる。
「くああああああああ!!!頭、頭撫でてる!!」
「うごぉぉぉぉぉぉぉ!!!あ、あんなに気持ちよさそうな顔して・・・」
「しゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!まんざらでもないような顔してる・・・」
フードコートでサングラスとマスクをした三人組がその光景をじっと見ているのだった。
「はい、おしまい・・・僕は帰るからな。」
「うん!今日は楽しかったよ~!!ありがと、お兄ちゃん!」
「兄ぃ・・・ありがと。」
立ち去る自分に絶えず笑顔で手を振って、それを見ながら別れるのだった。
そして、その夜・・・ショッピングモールの大型トイレの個室で数人の男子高校生が半殺しの状態で発見され、奏多は下唇を噛みしめながら、数時間前この手で撫でた頭の主たちの笑顔を思い出しながら自らの手の平から血が滲むくらい握りしめていた。
次回投稿は明後日を予定しております。
この小説に関する質問・ご感想、バシバシお待ちしております!




