林間学校②
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弁当を食べ終わり、下山の時。
流石に下りは走ると危ないので皆と同じペースで下っていった。
「ぜぇ、ぜぇ、わ、脇腹が・・・」
人の3倍体力のない月夜が脇腹を抑えながら懸命に下っている姿を見た奏多は
「大丈夫?焦らずゆっくり行こう。月夜のペースで行こう。」
奏多は月夜のペースに合わせゆっくり下っていく、その姿はただの恋人同士だった。
奏多が危ない所で月夜に手を差し伸べ、一緒に下っていく。月夜も顔を赤らめながら下っている、すると、前方で悲鳴が聞こえた。
それは加奈がよそ見していたのか躓いてしまい足首を捻ってしまったようだ。
「轟さん!大丈夫?」
「うん、なんとも・・・痛っ!」
足首がパンパンに腫れみただけで痛そうだった。
それを見た奏多は急いで駆け寄り鞄から救急箱を出した。
「けっこう腫れてるな・・・ちょっと我慢してね。」
腫れた個所を触ると、痛そうに顔を歪める。奏多は蒲鉾板と包帯を出し水筒の水で当て布を濡らし患部を冷やすように固定、包帯をその上から丁寧に巻く。
「これでよし!でも、歩くのは危険だから・・・」
と鞄を腹に回し、背中を空け背負う態勢になった。
「ほら、乗って。」
「い、いや!だ、大丈夫!歩ける・・・よ」
一歩進んだ瞬間、再び激痛が走りその場にかがんだ
「ほら、いいから!轟は陸上部の事もあるから早く治さないと。」
無言でコクリと頷き、奏多の背中にソーッと乗った。
加奈は奏多の背中につかまる。
「しっかり捕まって!下り危ないから。」
そう言われギュッと捕まる、奏多の匂いがする。
―ヤバい、ドキドキしてるのが伝わってるかな・・・心臓の音が!
こうして終始ドキドキしながら、下山をしていくのだった。
一方、月夜も心配そうに見ながらも、脇腹へのダメージがあるため月夜も脇腹を抑えながら一緒に歩いていた。
だが、その少し先の方で、眼鏡山が奏多を睨みメモ帳に書いていた1ページを握りしめてポケットにしまった。
下山が終わり、奏多は施設の保健室に加奈を運び、3分後、足を氷で冷やしながら松葉杖をつく加奈が出てきた。
「大丈夫か?それ・・・」
「おおげさ!こんな怪我ちょくちょくやるし、3、4日すれば治るっての!さ、行こう!」
けがをした加奈に引っ張られ奏多はため息をつきながら集合場所に行くのだった。
集会場に集まり、これから夕飯までの間、各自自由時間となった。
「よーし!奏多!!トランプするぞ、早く座れ!」
撫子が新品のトランプを出し、ロビーの待合室のテーブルに座った。
「シャッフルは先輩がどうぞ。」
とカードをチェックし先輩に手渡すと、ぎこちなくシャッフルをし、終いには空中でばらけてしまった。
「あー・・・僕がやりますよ。」
「へへっ・・・すまん。」
と手慣れた手つきでショットガンシャッフルをし、交互に札を配った。
「ゲームは1回勝負のババ抜きでしたね。ではやりましょう。」
ゲームを初め、手札は奏多7枚、撫子6枚と奏多がジョーカーで始まった。
「じゃあ、私から引くな。」
と1枚引くとまさかのジョーカーだった。
「げっ!幸先悪ィ~!じゃあ、お前が引け!」
―分かりやすい・・・
カードを1枚高く出し、心理戦に持ち込もうとしているらしいが・・・
奏多は躊躇なく1枚を引き、手札を捨てた。
「草薙さん、目線でばれてますよ。」
そう、明らかにジョーカーに目線が行っているおかげで分かりやすいのだ。
そして、奏多の手札1枚、撫子2枚、そして奏多の引くターン。
「くっそーーーー!こうなったら・・・」
手札をシャッフルし、奏多の前に伏せた。
「・・・なるほど、最後の最後に運任せとは貴方らしい・・・」
負ければ、戦闘。勝てば、多分何か命令しろって言われる・・・勝っても負けても若干地獄。
「右か左、では!左!」
どこぞのカードゲームのドローの様にカードを引いた。
結果は・・・ジョーカー。
「よっし!まだ私にもチャンスがある!」
と奏多も手札を伏せ、とにかく運に掛けた。
撫子はじーっとカードを覗き込み右を選ぶ。
「本当にそっちでいいんですか?」
ブラフを掛けた。
「ううう・・・なら、こっちか?でも・・・うがあああああ!!」
頭を抱え、悩み始めた。
正直、奏多にもどっちにジョーカーがあるか分からないが、こういう事で運を狂わせれるかもしれない・・・そんな非科学的な考えをした。
「ええい!もう考えるのは止めた!私の野生の感は・・・右だぁぁぁぁぁぁ!!」
右を引く・・・その瞬間、撫子の口がにぃと上がった。
「私の・・・勝ちだ!」
目の前には二枚の Aが出されていたのだった。
「よっしゃ~!ひっさびさのタイマンだ♪ふんふふ~ん♪」
奏多は諦め素直に従った。
「では、あんまり人気のない所でやりましょう。」
「オッケー!よっし!今日で決着つけてやる。」
施設から数十メートル離れた場所、誰も来そうにない場所。
その場で二人ともストレッチをし、両者構えた。
「10秒倒れたり、負けを認めたりしたら負けな、ぜってぇ、手ぇ抜くんじゃねぇぞ!」
「ええ、逆にそんなことしたらこっちがただじゃ済みませんよ・・・」
お互い無言になり、睨みあう。そして、鳥が飛び立つ音の聞こえた瞬間。
ぶつかった。お互いの拳と拳。両者力は一切抜かず、拳がギリギリと鳴る。
そして同じタイミングで退くと、今度は撫子の蹴りが奏多の腹に炸裂した。
勢いよく倒れたが、ブリッジの手の態勢で倒れずその反動で撫子の腹に両足が食い込む。
だが、鍛え抜かれた体にダメージはなく、奏多の足を掴みジャイアントスイングを放った。
ゴロゴロと転がりながらも、直ぐに体勢を治した。
現在、互いに実力は五分五分。
再び間を取り、じりじりと近づいてゆく。
動いたのは撫子だった。凄まじいスピードで接近してくる。
奏多はボディのガードを固めたが、思惑が外れ撫子の態勢は奏多の足元を狙い足首を掴み、バッと空中に飛んだ。
人間離れした撫子の跳躍力は約6m、現在奏多を抱えたまま4メートル空中に上がり、一瞬で奏多の脇に足を引っかけ、そのまま地面に落下してゆく。
これぞ、【疾風迅雷落とし(しっぷうじんらいおとし)】またの名を【キン〇ドライバー】。
このままでは脳天から落下し、一撃で・・・うん、恐らく首と頭蓋骨はただでは済まないだろう。
奏多は固められた脇を思い切り振りほどき、逆に撫子の足首を掴み、体勢を崩した。
空中分解した技で二人は共に落下していった。
すると、今度は奏多が立ち上がった撫子の股下をスライディングで通り抜け、後ろから腕を掴み、足を足でロックする。
これぞ脱出不可能の技【パロスペシャル】。
掴んだ腕を前に揺さぶり、体重を掛ける。
「ぐっ!や、やるな~!」
余裕で話しているが全体重を掛けているので無事なわけが無い。
「このままいくと骨が折れますよ・・・参ったっていったらどうですか?」
「冗談じゃ・・・ねぇ!負けるかぁぁぁぁ!!」
振りほどこうと上半身をブルンブルン揺らすが、足に負荷がかかり膝を着いた。
「ぐがああああああああああ!!!」
すると、頑張って立ち上がり勢いよく背中から落下した。
背中を思いっきり打ち、奏多も顔を歪めた。
撫子の腕はプルプル震え先程の疾風迅雷落としでかなり足に負担が掛かっていた、一方奏多はかなりの勢いで背中を打ったことで呼吸をすることが困難になっていた。
お互い、次の一発で決まる。そう確信していた。
そして、最後の力を振り絞り、ダッシュでお互いに拳を出した。
その拳は最初と同じくぶつかり合い、互いにその場で倒れた。
「ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ・・・た、立たねぇと。」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・立つんだ。」
互いに立とうとするも、身体が思うように動かず、10秒経過・・・
「また・・・引き分けか。」
「そうですね・・・ドローです。」
そのまま仰向けで空を見ながら二人は笑っていた。
戦いが終わり、1時間後、両者はスッと立ち上がり骨をボキボキ鳴らした。
「ん~・・・よっし!大体治った!」
「そうですね、けっこう回復しましたね。」
ダメージはほとんど無くなり、身体は寧ろ軽くなっていた。
「でも、疲れた~。こりゃあ、今日寝るとき気持ちいいだろうな。」
「そうですね、久々に運動した気になれました。ありがとうございます。」
フラフラした足つきで施設に帰ると、時間は夕方の4時、あと2時間後に夕食の自炊が始まる。
「ちょっくら、休むわ。じゃあな!」
撫子と別れ奏多も自室の別館に入ると、衝撃の光景を目にした。
「・・・何やってんの?」
その前に、何故いるとは聞かなかったが、そこには自宅に置いてきたはずのソナタ(人間体)がいるのだった。
「おお!主様!ボロボロじゃな、どうした?喧嘩でもしたのか?」
「僕の質問の方が先だ。何をしている?」
「いや~、2日も家に1人ぼっちだと考えると寂しいなと考えたので、荷物に紛れて付いてきちゃった!って感じじゃのう。」
「・・・来ちゃったものは仕方がない。まぁ、幸い別館は部屋1つだし、部屋に風呂ついてるし、大丈夫だけど・・・ただし!その姿は止めて、今すぐ戻れ!」
「了解じゃ、この姿は細かい作業がしやすいからのう、ちょうど、家にあったカルピスを持ってきていたので飲んでいたところじゃ。いや~カルピスやばいのぅ!最高だのぅ!」
カルピスの水割りをグビグビ飲む。
「君を見てると気が抜けてくるよ・・・」
カルピスを飲み終わり、ドロンと猫に変わると座る奏多の膝に乗ってきた。
「主様は寛大じゃのう、優しすぎるわ・・・」
「それはどうも、ありがと。」
すりすり頬を擦り付けるソナタの頭をくしゃくしゃ撫で、立ち上がった。
「ちょっとこの部屋見てみるか・・・」
この別館こと、特別個室部屋は特別来賓客に使用していた客間で設備はかなりいい。
外には個室専用の露天風呂、ジャグジーサウナ完備。
テレビも良く見ると全チャンネル視聴可能、FreeWi-Fiもつながっており正に天国の様な部屋だった。
すると、別館のインターホンが鳴った。
「おーい!盟友よ!いるか?」
「うん!鍵は開けてるから入ってきなよ!」
月夜が大きめの鞄を持って入ってきた。その鞄は勉強会でも目にしたものだ。
「暇になってな!我の左腕に秘める聖遺物の残骸が疼いて仕方がないのだ・・・さぁ!相手をしてもらおう!」
と鞄からは案の定ゲーム機が入っており、部屋に入ってくると部屋の設備にポカーンとしていた。
「普通に羨ましい。何だこの引きこもりに最適な空間は・・・なぁ、合宿中ここで住んでいいか?」
かなり素に戻っており、目を輝かせていた。
「残念ながら、駄目だ。もし、同級生の女子を夜の間も別室且つ個室に連れ込んでいたと先生に知れたら、僕は学校に帰ればすぐさま反省文行だ。」
そうか・・・と残念そうな顔になっていたが、諦めながらもゲームを起動していた。
「今回はこのゲームだ!」
と画面に出てきたゲームは懐かしのゼビウスだった。
「最近はレトロゲーも視野に入れているからな、ポイント勝負で1回勝負!」
分かったと首を縦に振り早速月夜からゲームを開始した。
「レトロゲーって、例えばパックマンとかエレベーターアクションとか?」
「ああ、ああいうスコア系はやりがいがある。あと、メトロイドとか光神話パルテナの鏡とかもいいよ」
「僕はリメイク版しかプレイしたことないけど、月夜は?」
「ああ、そこら辺は大体網羅した。でも、リメイク版のピットは最高だった!」
「それは、分かるね、声優さんのボイスはかなりいいし、グラフィックも最高だったしね。で、追加コンテンツ込みのやり込み要素は全部クリアした?」
「誰に物を言っておる・・・クックック我こそは!遊戯の頂点にして・・・あっ!死んだ!」
決め台詞を言う前にゲームオーバーとなりスコアは15万5567点とまぁまぁだった。
「じゃあ、僕の番かな。」
専用の古いゲーム用のガチャガチャするコントローラーで開始
手慣れた指でコントローラーを操作し順調に敵を倒してゆく。
月夜のスコアを超えようとしたその瞬間、画面が消えた。
「え?って!ソナタ!!お前、何やってんだ!」
「猫!?可愛い・・・」
と時間を見ると集合時間10分前だった。
「あ・・・急がねば!!」
ソナタはこの事を知らせるために・・・すまない!!
奏多は帰ったらカルピスを買ってやろうと誓い集会場に集まるのだった。
日曜日は国立大学受験らしいので頑張ってください!もちろん私立受験や高校受験を控えている方、日夜仕事をしている人も、学生の方も病気やけがなくお過ごしになられることがもちろん最も良いです。 長くなりましたが、頑張ってください! 次回投稿は来週になります!




