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私のお兄ちゃんは完璧すぎる  作者: 朱雀 蓮
第1章 日常編
24/75

林間学校①

 林間学校、別名、林間学舎や林間学習とも呼ばれる学生ならではの行事の1つである。

 そこでは優雅な大自然に囲まれた施設で学生たちが互いの力で様々な事をこなしていく行事だ。

 また、吊り橋効果が絶大なイベントで恋愛に発展するケースが多々あり男子は好きな女子にカッコつけでアピールしたり、女子は好きな男子に積極的にアピールする、その結果偶に上手く行くという正にリア充へとランクアップするのだ。

 だが、この合宿はそんな甘い恋愛心とただ一人の男に向けられた嫉妬心が織り交ざろうとしていたのだった。

 靫空奏多はボストンバックとアタッシュケース、靫空奏はスーツケースをバイクに積み朝7時、何時もより早く学校へと向かった。

 「お兄ちゃん、いよいよだね!林間学校!」

 「昨日からそればっかだりだな。そんなに楽しみか?昨日からずっと言ってるな。」

 見ても分かる位に浮かれている奏多は運転中にも関わらず呆れていた。

 「まぁ、初めてだからそう考えるのはごもっともだ。でも、怪我をする可能性もあるから・・・」

 「『気をつけて行動すること!』でしょ、お兄ちゃんも昨日からそればっかだよ。」

 一本取られ、奏多は笑っていた。

 直ぐに学校につき、バイクを置きそれぞれ各々の教室に行くと、ちらほらと座っていた。

 「あ、奏多!おっはよ~!」

 「おはよう。やっぱり皆こんなテンションなんだね。」

 逆に奏多の様に何時ものテンションの者など1年の教室ですぅすぅ寝ている澪位だった。

 席に着くと、隣にはソワソワしている月夜を見つけた。

 「おはよう、月夜。どうしたの?」

 「あ、ああ。盟友よ。そ、その・・・我に掛けられた呪いが・・・大いなる振動の呪いによって、我が臓物に影響が出てしまう可能性があるのでな。」

 「要は、乗り物酔いか。薬は持ってきてるの?」

 「い、いや・・・それが我が家の秘薬が切れていて・・・対抗策がないのだ。」

 もし、乗り物酔いしてしまい、胃からリバースしてしまえば、ただでさえ人見知りかつ中二病である月夜は林間学校どころではなくなるだろう。

 「それだったら、僕のをあげるよ、予備で薬は数錠持ち歩いてるから、ほら。」

 奏多は行き返りの分2錠を渡すと、急に顔に活力が戻った。

 「ゴクッ・・・ふ、ふははははははは!これで、恐れるものは何もない!さぁ!盟友よ!2日の修練所を楽しもうではないか!」

 軍服使用の制服の金色の勲章が太陽の光でキラッと輝き、さっきとは一変していた。

 「そ、それは良かった。って、もう先生来てるし。」

 チャイムもなっていないのに既に京子はルンルン気分で教壇に立っていた。

 「さぁ!ちゃっちゃとホームルーム終わらせてバスに乗り込むわよ!最初のクラスは1台バスが貸し切りになるから急ぐわよ!!」

 それを聞き皆、鞄を持ち急ぎ走りバスが待つ学校のロータリーへ行くと、大型バスがあった。

 「よーし!乗り込むわよ!!」

 荷物をバスに積み込みバスに乗り込みそれぞれ皆、仲の良い者と座り始めた。奏多は風紀委員の立場上廊下を走るわけにはいかなかったので最後に乗り込むと人数の関係で奏多は一番後ろでボッチ状態になっていた。

 「ねぇ、奏多君!良かったら真ん中椅子だすから隣座らない?」

 その言葉が走った瞬間、通路側の女子は皆同じく椅子を出し始めた。

 「いや、大丈夫。僕は一人で本読んでるから。」

 と手持ちのアタッシュケースから本一冊と、音楽プレイヤーを取り出すと、自分の世界に浸ってしまった。

 だが、逆に一人席に座りながら本を読む奏多はレアなので密かに写真を撮り始める者もいた。

 バスが出発し、10分経った頃、寝始めるものが次々と出てきた。

 それもそのはず、何時もより早くきて快適な環境で目的地に到着するまで待つ。そんな状況だと嫌でも睡魔が襲ってくるのだ。

 それは奏多も同じだった、元より眠気を増幅させるクラシックを聞いていたので気付いたころには寝てしまっていた。

 だが、それに感ずいた女子達は奏多の寝顔の写真を密かに撮っているのだった。

 そして30分後、奏多が目を覚ますと目の前には席を乗り出した女子が構えており、目を擦るとそれは消えていた。

 奏多は大きい欠伸をすると周りをきょろきょろ見渡しても誰もいなかったので気のせいだと思い、アタッシュケースに本と音楽プレイヤーをしまった。

 「さぁ!起きた起きた!もうすぐ着くわよ~!!」

 京子の大声で寝ていた者も寝ぼけていた者も起こされ、荷物をまとめた。

 その数分後、バスは停車し皆降りると、そこには都会にはない大自然が広がっていた。

 「じゃあ、先に施設に入って他の生徒が来るまで待機!」

 今回泊まる施設は元々旅館だったものを改造したものらしく施設は全国にある林間学校の施設の中でも1,2を争うところだ。

 皆、中に入ると、去年もそうだったがやはり施設としては最高だった。

 綺麗な木造の床、屏風、壺、高級旅館を漂わせる。

 数十分後、高等部1年A組、B組、2年A組、B組、3年A組、B組、総勢122人は施設に集まり、大ホールで集会を行った。

 そこでは各学年での林間学校中のスケジュールの載ったしおりを配布、その後各自動きやすい格好に着替え集合という伝達だった。

 各自、鞄を持ち部屋へ向かう。

 奏多も男子の大部屋に向かっていたが、京子に止められるのだった。

 「ごめん!人数がオーバーしちゃって、大部屋じゃなくてこの離れに行って欲しいんだけど・・・」

 「構いませんよ、相談して時間を掛けるよりかは僕が行く方が早いですから。」

 「ごめんね!お詫びに昼ご飯のおかずあげるから。」

 そうして奏多はまた一人離れの部屋に行く事になった。

 離れは男子の泊まる西館とは真反対に位置しており、近くには女子が泊まる東館の方にあることを奏多はまだ知る由もなかった。

 奏多が大部屋に向かっていると、撫子と渚に出逢うのだった。

 「おっす!って奏多何でここにいるんだ?ここ東館だぞ。」

 「それが・・・」

 大方訳を説明すると大笑いした。

 「お前はつくづく面白い奴だな、まぁババ抜きするから部屋近いからいいけど。それに・・・」

 と奏多と肩を組みこそこそ話を始めた。

 「私が黒城を見張ってるから、とりあえずは安心しとけ・・・」

 「ありがとうございます・・・」

 奏多はチラッと渚を見ると顔を赤らめながらこちらを見ていた。

 「では、僕は急ぎ着替えるのでこれで。」

 と奏多は離れの部屋についた。

 離れの部屋は一人部屋としては広すぎる位で、テレビ、冷蔵庫、エアコン完備で正直こっちに来て正解だと思ってしまう。

 奏多はジャージを着て先程のホールに行くのだった。

 ホールに行くとほとんどの生徒が揃っており、奏多は自分のクラスの列に並ぶのだった。

 「え~それでは、これより各学年でこの山を登頂してもらいます。1年は北、2年は西、3年は南から登頂してもらい、頂上にて用意している弁当で昼食をとってもらいます。」

 いきなりの登山にエーっと言いながら皆渋々外に出るのだった。

 奏多は山の入口で念入りにストレッチをしていると、月夜は持久走の時と同じ顔になっていた。

 「大丈夫だよ。この山、そんなに険しくないしね。じゃ、行こうか。」

 この登山は固まってではなく、個人で早く上がってもよく、奏多は去年も一番乗りだった。

 今年も奏多は山の岩肌をもろともせず、走りながら上がっていく。その後ろを加奈が追いかけてくる。

 「おーい!奏多~!今年は負けないぞ~!」

 後ろで同じくらいのスピードで追いかけてくる、奏多も微笑みながら追い越されぬように全力で上がっていった。そして10分後、流石に息が上がり、奏多と加奈がぜぃぜぃ言いながら、頂上を見渡した。

 山頂と言っても設備が整った大きな公園があるため、そこらへんの自然公園と変わらなかった。

 「いやー絶景だな。奏多写真獲ろ!」

 と加奈がスマホを出し、自撮りの態勢になった。

 「ほらほら、笑って!はい、チーズ!!」

 くっついて撮っているため胸が当たる。

 とそこへ、奏多達と同じく息を上げた撫子が来た。

 「よっ!写真撮影か?私も混ぜてくれ!」

 奏多のもう片側に来たことにより、両脇に柔らかいモノが・・・

 「どうした?奏多、顔が固いぞ」

 「ほら笑って笑って!」

 奏多は頑張って笑顔を作り写真を撮った。

 「よし、轟!その写真送ってくれ!」

 とケータイを出し、SNSで写真を送った。

 「奏多にも送っておいたから。」

 奏多はケータイを開き送ってもらった写真を見ると、やはり自分の顔は歪んで見えた。

 (・・・作り笑顔上手くなったな)

 奏多は自分に呆れながらため息をついた。

 そして頂上に全員上がってきたところで弁当に時間となった。

 奏多は弁当を受け取り木の下の木陰に座ると、何時ものメンバーも寄ってきた。

 「奏多君、一緒に食べよ。」

 飛鳥が奏多の隣に座ると我も我もと座り始め、円の形となってしまった。

 『いただきまーす』

 と食べ始めようとした瞬間、こちらに京子が来た。

 「靫空君!約束通りおかずをって、うわっ!!」

 何かに躓いたのかこちらに向かって思い切り突っ込んできた。

 「危ない!」

 奏多は弁当を一瞬で置き、皆の弁当に土が掛からないよう抱き寄せるように、優しく受け止めた。

 「先生、怪我はありませんか?」

 「あ、ありがと・・・あービックリした。」

 奏多が離すと、奏多の弁当におかずを一品置いていった

 「よし、約束は守った、ではさらばだ!」

 というと風の様に去っていった。

 「約束?なんの?」

 「ああ、さっき草薙先輩にも話したけど・・・」

 事情を知った瞬間、皆目の色が変わった。

 「じゃ、じゃあお兄ちゃんの寝泊まりするところは私たちと寝泊まりするところと近いの?」

 「ああ、ほぼ隣と言っても過言じゃないよ。でも何でだい?」

 「い、いや!な、何でもない!ほら!ご飯食べよう!」

 奏多は奏のいう通り弁当を食べ続き始めたが、それとは裏腹に女子達というハイエナ集団たちの脳裏には奏多との遊びや、お喋り、寝た後の事を考え始めるものがいたのだった。

 弁当を食べ終わり、奏多は1人見晴らしの良い高台へと来ていた。

 「良い風だな・・・」

 風を顔で浴びる、目を閉じると周りの音が全てシャットされた感じになり奏多にとっては最高のシチュエーションだった。

 「あら、靫空君。どうしたの?」

 いきなりの声に振り向くと恵里佳がいた。

 「ああ、高ノ宮さん。いや、風をね浴びてたんだ。」

 奏多はその場に座ると、隣に恵里佳も座ってきた。

 「はぁ~、ん~~~!ホントね、気持ちいいわ。でも疲れちゃった。」

 大きく腕を伸ばし、深呼吸をしている。

 「でも、帰りもあるからね、頑張っていこう。」

 奏多は景色を見る。だが、恵里佳は奏多の横顔を見ていた。

 「・・・綺麗だ。」

 「・・・え?」

 「うん、とっても、美しいよ。」

 こっちを向いてまじまじと言ってくるのでドキドキしてしまう。

 「そ、そう?そんなに綺麗?」

 「うん、森の景色。」

 それを聞いた瞬間、勢いよく立ち上がりその場を立ち去ってしまった。

 「靫空君の・・・バカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 奏多は首を傾げながら引き続き景色を見ていた。



 

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