↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
6/8

なにか不穏な空気感

 祭りが終わる。終わった後の祭の怖さときたら、それはそれは、恐しい。


 みんなまだ燃えている。ガヤガヤとした感じが続く。家庭ではみんなで喜んで。楽しそうじゃないか。


 店は繁盛して、働き者も今夜は遊ぶ。男も女もみんな笑って、烙末は、なんだか悲しくなる。


 なぜだろうか。烙末は、自分に捕まれる場所がないからだと思った。その思いは、記憶のなさへの憤りと、そして自らを思う憐れさで、


 窓の反射が、しとしと歩く、烙末の、惨めな姿を見せてきた。


 アンティゴネは疲れたから寝てしまうね。と、そんなふうにして部屋に帰った。烙末もそうしようかと思ったが、一人寂しく部屋にいるのも、


 すこし、惨めに思えてしまい、とにかく街を歩き回った。


 街は恍惚と輝いて、大通りにはまだまだ人がいっぱいいた。恋をするものもいるし、また恋されるものもいる。


 まるでローマにいるみたいじゃないか?


 烙末は近くの酒場に行って酒でも喰らう。喰らった酒は不味かったが、酔えるなら別に良かった。


 思えば、この世界、つまり、私のいた世界とは違う世界に来て、初めて休めたような気がする。


 記憶がないのに、しかしどうしてこの世界は私の世界じゃないと思えるのだろうか。わからない。わからないが、そのことを考えると、誰かの顔が、ぼんやりと思い浮かんでくる。


 いったい、誰だ?


 思い出していると、話し声が聞こえてきた。さっきの店で話をしていた二人だ。こんどは三人で話していて、何やら神妙そうであった。


 烙末はぼやけた顔のことなど忘れて、少しそいつらの話を盗み聞きした。なんとなく、別に理由もなく、好奇心と放埒さで。


 「小アジアの方だとどうだ?」


 「だめだな。そこは(ピー)の手の中だ。」


 「目指すはアテナイ?」


 「ただでさえヘレニズムに侵略されてるのにか?」


 「いいさ。それでも同志はほしい。」


 「それが修正主義者でも?」


 「目的は(ピー)だろ?別に構わんさ。」


 「向かうべきは闘争か。」


 「いや、逃走かもしれんがね。」


 「あのジパングの連中はどうだ?」


 「さぁね。あそこにや金があるらしいが、金目当てに貿易し出すと近世に逆戻りだな。」


 「しかし、とにかくこの国だろ?まずはさ。この国の(ピー)を引き入れて、そこからだ。エジプトの兵器を使うには、連携が直接取れる同志がいる。」


 「死者の書?」

 

 「違う。たしか、」


 烙末は気分が悪くなってきた。酔いが回るのが早い。安い酒は気分を悪くさせる。そう感じて、


 烙末はとにかく、外に出て、風に当たりたくなった。


 外に出て、部屋に戻る際、奇妙な光景が後ろで広がっていた。


 先ほど飲んでいた酒場に軍隊が入ってゆくではないか。烙末は厄介ごとに巻き込まれるのを避けて、とりあえず急足で宿に向かった。


 直後、銃声が街に反響す。鐘が9時をお知らせした。


読んでいただいて本当にありがとうございました。




少しでも「おもしろい」「続きが気になる」とおもってくださったなら↓の☆☆☆☆☆を押して評価をくれたら幸いです。




この本があなたの糧になりますように。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。