幕間 ベルデフ兄弟&マトヴェイ君について
この話を書き始めた時、私はまだ、ベルデフ兄弟とマトヴェイの三人をここまで気に入るとは思っていませんでした。
けれど、書いているうちに面白くなってきたのが、この三人の「関係性の変化」です。
ドミトリーが二十歳。
マトヴェイが十九歳。
アレクセイが十八歳。
三人とも、子供ではありません。
けれど、完全に大人として固まりきっているわけでもない。
幼い頃は、ほとんど兄弟のように育ってきた三人です。
ところが成長すると、どうしても身分の違いがはっきりしてくる。
ドミトリーとアレクセイは貴族の息子。
マトヴェイは使用人。
子供の頃なら三人で同じように遊んでいたのに、大人になれば、そうはいきません。
若旦那様と使用人。
そこには、どうしても距離が生まれます。
ところが。
よりによって、その距離を妙な形で縮めてしまったのが、メタモルフォーゼ会でした。
ドミトリーが宮廷婦人になる。
アレクセイも宮廷婦人になる。
最初は気まずかったはずなのに、何度も繰り返しているうちに本人たちも慣れてしまう。
そして、そのうちドレス姿のままマトヴェイをからかい始める。
スカートを広げてみたり。
妙に気取った挨拶をしてみたり。
おほほ、と女性の真似をしてみたり。
マトヴェイも最初こそ戸惑っているのですが、そのうち、
やめろよ。
気持ち悪い声出すな。
そんな格好で寄ってくるな。
と、昔のような口調に戻っていく。
ここが、私はとても好きです。
身分差そのものが消えたわけではありません。
でも、妙な出来事を何度も共有することで、昔の三人組が少しずつ戻ってくる。
そして最後。
ずっと「見る側」だったマトヴェイにも、二人が一度だけ、自分たちの側へ来る機会を作ってやる。
マトヴェイは、本来なら宮廷のメタモルフォーゼ会へ参加するような身分ではありません。
だから二人は、宮廷へ連れて行くことはできない。
けれど。
自分たちの部屋の中でなら。
一晩だけなら。
自分たちが何度も経験してきたことを、幼なじみにも体験させてやることができる。
そこが、この話の最後で一番好きなところです。
おそらく、あの後の三人は。
かなり遊んだと思います。
せっかくマトヴェイをドレス姿にしたのだから、ただ着せて終わるはずがありません。
裾を持たせてみたり。
カーテシーをさせてみたり。
どちらかが男役になって手を差し出してみたり。
もしかすると、ふざけて抱きついたり。
一緒に踊ってみたり。
マトヴェイはきっと、
そこまでするなんて聞いてない。
と怒ったでしょう。
けれど。
きっと三人とも、かなり楽しかったのではないでしょうか。
翌日になれば。
また若旦那様と使用人です。
身分が変わったわけではありません。
けれど三人には。
子供の頃の思い出とは別に。
大人になってからできた。
絶対に他人には話せない思い出が、一つ増えた。
私は。
そんな三人だったらいいなと思っています。
本編では「さあこれから着る」というところで終わってますが、間違って作っちゃった絵を掲載してこの部分お別れです。




