↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
18/37

第10章 タチアナの日記 この仕事が好きです


私の名前は、タチアナ・ニキーチナと申します。

三十四歳。

夫を亡くしてから、もう何年か経ちました。

若い頃。

私はあるお屋敷で。

奥様やお嬢様方のお身支度をお手伝いする仕事をしておりました。

髪を整えたり。

白粉を使ったり。

頬に紅を差したり。

衣装や装身具との釣り合いを見たり。

そういったことです。

その後。

結婚をして。

いったんは。

そうしたお仕事から離れておりました。

ですが。

夫が亡くなってから。

私は。

自分で暮らしていかなければならなくなりました。

さて。

どうしたものかしら。

そう考えた時。

思い出したのです。

そういえば。

私には。

若い頃に覚えた仕事がありました。

昔の奉公仲間や。

後輩たちに。

少しずつ声をかけてみました。


「どこかで。

お身支度のお手伝いが必要な方はいらっしゃらない?」


最初は。

そんなところから。

始まったのです。

ありがたいことに。

私は。

昔から。

この仕事が。

それほど不得意ではありませんでした。

何度か。

お仕事をいただくうちに。

少しずつ。


「あの人は腕がいい」


と言っていただけるようになりました。

それから。

お客様から。

別のお客様をご紹介いただき。

その方から。

また別のお屋敷をご紹介いただき。

今では。

何とか。

自分一人が食べていくには困らないくらいには。

お仕事をいただけるようになりました。

本当に。

ありがたいことです。

私がお伺いするお屋敷の奥様や。

お嬢様方は。

皆様。

とてもよくしてくださいます。

もちろん。

お仕事ですから。

大変な日もあります。

舞踏会の前などは。

朝から。

何軒も続けて呼ばれることもあります。

髪が。

なかなか思うようにまとまらない日もありますし。


「今日はもう少し明るい顔にしてほしい」


ですとか。


「このドレスなら、頬の紅はもう少し控えめな方がいいかしら」


ですとか。

皆様。

それぞれ。

ご希望があります。

ですが。

私は。

この仕事が。

とても好きです。

何と言っても。

一番楽しいのは。

お支度が始まる前と。

終わった後の。

その違いです。

朝。

まだ眠そうなお顔で。

髪も少し乱れて。


「今日はあまり調子がよくありませんわ」


などとおっしゃっていたお嬢様が。

私の前に。

座ってくださる。

そこから。

少しずつ。

髪を整え。

顔色を見て。

白粉を使い。

頬に紅を差し。

目元を整え。

衣装に合わせて。

全体を仕上げていく。

そうすると。

先ほどまで。

寝起きで。

少しぼんやりしていたお嬢様が。

鏡の中で。

少しずつ。

別人のように。

美しくなっていくのです。

最後に。

髪を整え。

装身具をつけ。

もう一度。

全体を確認する。

そして。


「はい。

これでよろしいと思います」


と申し上げる。

お嬢様が。

鏡を見て。

少し驚いたように。

笑ってくださる。

私は。

その瞬間が。

大好きです。

先ほどまで。

普通に。

お部屋で朝を迎えていた方が。

今は。

誰が見ても。

美しい。

立派なご婦人になっている。

それを。

自分の手で。

作ることができる。

こんなに。

楽しい仕事は。

そうそうないと思っています。

ですから。

夫を亡くした後。

どうやって生きていけばよいのか。

不安だった時期もありましたが。

今では。

こうして。

自分の腕で。

暮らしていけることを。

とても幸せに思っています。

さて。

そんな私が。

ある日。

ソーモフ家から。

お声をかけていただきました。

ソーモフ家には。

以前にも。

何度か伺ったことがあります。

奥様のお支度を。

お手伝いしたこともありました。

ですから。

お屋敷そのものは。

よく知っています。

それなりに。

大きなお屋敷です。

そして。

女性のお身支度ができる使用人も。

ちゃんといらっしゃいます。

ですから。

お呼びがかかった時。

私は。

少しだけ。

不思議に思いました。

今日は。

そんなに。

人手が足りないのかしら。

とはいえ。

お仕事をいただけるのは。

ありがたいことです。

私は。

いつもの道具を持って。

ソーモフ家へ向かいました。

お屋敷へ着いてみても。

やはり。

それほど。

人が足りないようには見えませんでした。

女中たちも。

きちんと働いています。

奥様付きの方々も。

いらっしゃる。

ますます。

私は。

どうして呼ばれたのか。

分からなくなりました。

まあ。

すぐに。

分かるでしょう。

そう思って。

案内されたお部屋へ。

入ったのです。

そこで。

一人の男性から。

今日のお仕事について。

説明を受けました。

五十歳ほどの。

落ち着いた方でした。

若旦那様のお身の回りを。

長く担当していらっしゃる。

ヤーコフさんという方です。

私は。

てっきり。

奥様か。

あるいは。

どなたか若いお嬢様のお支度を。

お手伝いするものだと思っていました。

ところが。

ヤーコフさんのお話を聞いて。

私は。

本当に。

目が点になりました。


ヤーコフ「本日、お願いしたいのは若旦那様でございます」


私は。

一度。

聞き間違えたのかと思いました。


タチアナ「……若旦那様、でございますか?」

ヤーコフ「はい」


間違いではありませんでした。


タチアナ「お顔を整える、ということでしょうか?」


殿方であっても。

身だしなみを整えること自体は。

別に。

おかしなことではありません。

ところが。

返ってきた答えは。

私の想像とは。

まったく違うものでした。


ヤーコフ「いいえ」


そして。

とても落ち着いた声で。

こうおっしゃったのです。


ヤーコフ「本日は、若旦那様を宮廷婦人として仕上げていただきたいのです」


私は。

しばらく。

何も言えませんでした。

宮廷婦人。

若旦那様を。

宮廷婦人に。

今まで。

いろいろなお仕事を。

いただいてきました。

急ぎのお支度も。

難しいご注文も。

ありました。

ですが。

これは。

聞いたこともない。

ご依頼でした。

正直に申し上げますと。

一体。

どういう事情なのだろうと。

聞いてみたくて。

仕方がありませんでした。

ですが。

私は。

事情を聞くために。

呼ばれたのではありません。

お仕事をするために。

呼ばれたのです。

依頼は。

依頼です。

ですから。

なぜ若旦那様を。

宮廷婦人にする必要があるのか。

その理由については。

あえて。

何もお尋ねしませんでした。

まずは。

お仕事です。

若旦那様。

イリヤ様に。

椅子へお座りいただきました。


タチアナ「失礼いたします。少しお顔に触れて、詳しく拝見してもよろしいでしょうか?」


イリヤ様は。

少しだけ。

居心地が悪そうなお顔をなさいましたが。


イリヤ「うむ」


と。

お許しくださいました。

そこで私は。

お顔を近くで。

きちんと拝見しました。

頬。

顎。

口元。

額。

目元。

普段。

奥様やお嬢様のお顔を見る時と。

やること自体は。

大きく違いません。

どこを明るくするか。

どこを控えめにするか。

顔立ちの中で。

どこを生かすか。

ただ。

当然ながら。

今回は。

いつものお客様とは。

少々。

違います。

その日は。

翌日の本番へ向けた。

一度目のお支度。

いわば。

試しのようなものだそうでした。

そして。

明日の本番にも。

ぜひ。

来てほしいとのことでした。

それについては。

何も問題ありません。

お仕事でしたら。

きちんとお代をいただければ。

何度でも参ります。

幸い。

翌日の予定も。

空いておりました。


タチアナ「承知いたしました。では、本日一度仕上げてみて、明日はその結果を見ながら調整いたしましょう」


そう申し上げてから。

もう一度。

イリヤ様のお顔を。

よく拝見しました。

すると。

一つ。

気になるところがありました。

お髭です。

もちろん。

きちんと。

剃ってはいらっしゃいました。

ですが。

顎の下や。

口元の一部に。

ほんの少し。

残っているところがあります。

普通の殿方としてなら。

別に。

気にするほどのことではありません。

その上から。

白粉を使って。

少し誤魔化すことも。

できます。

ですが。

今回のご依頼は。

殿方に。

面白半分で。

白粉を塗ることではありません。

本当に。

宮廷婦人として。

通用するように。

仕上げてほしい。

という。

ご依頼です。

でしたら。

私も。

中途半端なことは。

したくありません。


タチアナ「恐れ入りますが、こちらと、それから顎の下を、もう少しきれいに剃っていただけますか?」


イリヤ様は。

少し。

意外そうなお顔をされました。


イリヤ「まだ剃るのか?」

タチアナ「はい。このままでも白粉をのせることはできます。ただ、本当にご婦人らしく見せたいのでしたら、こちらはきちんと整えていただいた方が、仕上がりがずっと自然になります」


すると。

ヤーコフさんが。

すぐに。


ヤーコフ「承知しました」


と。

答えてくださいました。

どうやら。

本当に。

冗談ではないようでした。

この方を。

本気で。

美しい宮廷婦人に。

仕上げるつもりなのです。

でしたら。

私も。

本気で。

やらせていただきましょう。

後になって。

聞いたことでございます。

どうやら。

こうした催しが始まって。

まだそれほど経っていなかった頃には。

殿方を。

婦人として仕上げる技術にも。

ずいぶん。

差があったようでございます。

もちろん。

私自身が。

その場にいた全員を。

一人一人。

拝見したわけではございません。

ですから。

あくまで。

後から。

耳にしたお話です。

ですが。

その中でも。

私がお支度を。

担当させていただいた。

イリヤ様は。

ひときわ。

お美しかった。

……という。

評判だったそうでございます。

自分で。

こんなことを申し上げるのは。

どうにも。

調子のよい話のようで。

あまり。

本意ではないのですが。

まあ。

事実として。

そういうお話を。

後になって。

何度か。

耳にいたしました。

ということで。

いよいよ。

お支度を始めることになりました。

順番といたしましては。

まず。

お顔を。

きちんと整えていただく。

そのあと。

女性用の基礎のお支度をしていただき。

そこで。

私が。

お化粧を担当する。

そして。

最後に。

本番用のドレスや。

装身具などを。

整えていく。

そういう段取りになりました。

まず。

お髭です。

最初のうちは。

若旦那様付きの方が。

剃っていらっしゃいました。

ですが。

途中から。

どうしても。

少し気になるところが。

目につきまして。


タチアナ「申し訳ありません。少しだけ、私にやらせていただいてもよろしいでしょうか?」


そうお願いして。

最後の仕上げだけは。

私自身で。

させていただきました。

顎の下。

口元。

頬のあたり。

ほんの少し。

気になるところを。

丁寧に。

整えていきます。

そして。

ようやく。

かなり。

つるりとした。

きれいなお顔になりました。

もちろん。

まだ。

お化粧はしておりません。

ですが。

これなら。

きれいに。

仕上げられそうです。

私は。

少し。

安心いたしました。

その後。

私は。

いったん。

少し脇へ。

控えておりました。

ここから先は。

衣装のお支度をする方々の。

お仕事です。

まず。

シュミーズを。

お召しになります。

その上から。

ステイズを。

身につけていただき。

お身体の形を。

少しずつ。

整えていきます。

さらに。

スカートの形を作るためのものを。

身につけ。

その上から。

ペティコートなどを。

重ねていく。

私は。

それを。

少し離れたところから。

見ておりました。

何とも。

不思議な気分でございました。

つい先ほどまで。

どこから見ても。

堂々とした。

若い殿方だった方が。

今は。

シュミーズを身につけ。

ステイズで。

身体の線を整えられ。

大きなスカートの形まで。

少しずつ。

作られていく。

もちろん。

まだ。

完成したご婦人の姿ではありません。

ですが。

服を一枚。

また一枚と。

重ねていくたびに。

先ほどまでの。

若旦那様とは。

少しずつ。

見え方が。

変わっていくのです。

私は。

これまで。

たくさんの奥様や。

お嬢様方のお支度を。

拝見してきました。

ですから。

シュミーズも。

ステイズも。

ペティコートも。

珍しいものではありません。

けれど。

それを。

若い殿方が。

順番に。

身につけていくところを。

目の前で見るのは。

もちろん。

初めてでございました。

何とも。

妙な光景です。

そして。

同時に。

少しだけ。

興味深くもありました。

衣服というものは。

これほど。

人の見え方を。

変えるものなのですね。

やがて。

基礎のお支度が。

ひと通り整いました。

すると。

ヤーコフさんが。

私の方を見ました。

どうやら。

今度は。

私の番です。

私は。

道具を手元へ寄せました。

そして。

イリヤ様の前へ。

もう一度。

座ったのです。


タチアナ「では。ここからは、私がお顔を仕上げさせていただきます」


さて。

ここからが。

本当の。

お仕事です。

さて。

いよいよ。

お化粧でございます。

普通のお嬢様や。

奥様を。

より美しく。

より華やかに。

仕上げる。

そういうお仕事でしたら。

これまで。

何十回。

何百回。

いえ。

もしかすると。

何千回と。

やってきたことかもしれません。

もちろん。

お顔立ちは。

お一人お一人。

違います。

肌の色も。

目の形も。

頬の高さも。

髪の色も。

違います。

それでも。

どうすれば。

その方を。

より美しく見せられるか。

それを考えることには。

慣れております。

ですが。

今回は。

少し。

事情が違いました。

何と申し上げれば。

よろしいのでしょう。

いつものお客様の場合。

すでに。

ご婦人のお顔として。

出来上がっているものを。

そこから。

さらに。

美しく。

整えていけばよいのです。

ところが。

イリヤ様の場合。

その前のところから。

考えなければなりませんでした。

どうすれば。

このお顔が。

より柔らかく見えるのか。

どこを。

強く見せてはいけないのか。

どこなら。

そのまま。

生かすことができるのか。

これは。

正直に申し上げまして。

大変でした。

何しろ。

私自身。

殿方を。

本格的に。

ご婦人として仕上げた経験など。

ございません。

それに。

この頃は。

まだ。

こうした催しについて。

皆が。

十分な経験を持っていたわけでもなかったようです。

ですから。

私にも。

これをすればよい。

という。

決まったやり方が。

ありませんでした。

困りました。

かなり。

困りました。

ですが。

いつまでも。

困っているわけにはまいりません。

私は。

自分に。

何度も。

言い聞かせました。

いつもと。

同じです。

いつもと。

やっていることは。

同じなのです。

この方のお顔を。

一番。

美しく見せる。

それだけを。

考えればよいのです。

そうして。

少しずつ。

手を入れていきました。

白粉を使い。

頬に。

紅を差し。

目元を。

いつもより。

柔らかく見せ。

お顔全体の。

印象を見ながら。

少し。

手を止め。

また。

直す。

その繰り返しでございました。

正直。

ずいぶん。

時間がかかりました。

ですが。

少なくとも。

何もしていなかった。

最初のお顔と比べれば。

はるかに。

ご婦人らしく。

見えるようになってきました。

私は。

何度も。

少し離れて。

全体を確認しました。

近くで見るだけでは。

分からないこともあります。

一歩。

離れて。

また。

近づく。

そうして。

ようやく。


「これなら」


と。

思えるところまで。

仕上げることができました。

そこで。

ふと。

周りを見ると。

皆様。

ずいぶん。

驚いたお顔をしていらっしゃいました。

特に。

男性の方々です。

先ほどまで。

いつもの若旦那様を。

目の前で見ていた方々が。

今。

同じ椅子に座っている。

同じ方のお顔を見て。

何とも。

言葉に困ったような。

お顔をしているのです。

ヤーコフさんなど。

一瞬。

本当に。

何もおっしゃいませんでした。

毎日。

イリヤ様のお顔を。

見ていらっしゃる方です。

その方が。

黙ってしまわれたのですから。

少し。

おかしくなってしまいました。

ですが。

私は。

笑うわけにはまいりません。

お仕事中です。

最後に。

鏡を。

イリヤ様の前へ。

置きました。


タチアナ「いかがでございましょう」


挿絵(By みてみん)


イリヤ様は。

鏡をご覧になりました。

そして。

しばらく。

本当に。

何もおっしゃいませんでした。

驚いて。

いらっしゃったのだと思います。

無理もありません。

つい先ほどまで。

そこにあったのは。

若い殿方のお顔でした。

ですが。

今。

鏡の中にいる方は。

少なくとも。

一目見て。

先ほどと同じ印象を受ける方では。

ありません。

私にとっては。

本来。

この瞬間こそが。

お仕事の。

一番楽しいところです。

お客様が。

鏡を見て。


「まあ」


と。

驚いてくださる。

そのお顔を見るのが。

私は。

大好きなのです。

ですが。

今回ばかりは。

いつものお嬢様を。

美しく仕上げた時とは。

少し。

違いました。

何とも。

複雑な気持ちでございました。

私は。

いったい。

何をしているのでしょう。

若い殿方のお顔を。

一生懸命。

ご婦人らしく。

仕上げているのです。

少し前の私でしたら。

こんなお仕事をする日が来るなど。

想像もしなかったと思います。

それでも。

出来上がったお姿を。

もう一度。

よく見てみました。

きれいでした。

本当に。

美しく。

仕上がっていたのです。

そうなれば。

やはり。

私は。

嬉しかったのです。

そのあと。

髪のお支度も。

整えていきました。

用意されていたものも使いながら。

髪の形を整え。

最後には。

鬘まで含めて。

全体を。

仕上げました。

結果から。

申し上げますと。

大成功だったと。

言ってよかったと思います。

お顔だけではなく。

髪まで整えてしまいますと。

もう。

最初に。

椅子へお座りになった時の。

イリヤ様とは。

ずいぶん。

印象が違って見えました。

もちろん。

まだ。

本番用のすべてのお支度が。

終わったわけではありません。

ですが。

明日。

どう仕上げればよいのか。

私にも。

だいたい。

見えてきました。

その日は。

試しのお支度でしたので。

仕上がりを。

皆様で確認したあと。

今度は。

外していくところまで。

私も。

お手伝いさせていただきました。

せっかく。

時間をかけて。

きれいに仕上げたものを。

今度は。

一つずつ。

元に戻していくのです。

これもまた。

何とも。

不思議な気分でございました。

そして。

翌日。

私は。

約束どおり。

もう一度。

ソーモフ家へ伺いました。

今度は。

試しではありません。

本番のお支度です。

前の日に。

一度。

経験しておりますので。

二度目は。

ずいぶん。

やりやすくなっていました。

どこを。

どう整えればよいのか。

どこに。

時間をかけるべきなのか。

前の日より。

私にも。

よく分かっています。

そうして。

イリヤ様を。

もう一度。

宮廷婦人として。

仕上げさせていただきました。

これで。

私にとって。

初めての。

殿方を。

ご婦人として仕上げるお仕事は。

ひとまず。

終わりました。

この時の私は。

当然。

思っておりました。

ずいぶん。

変わったお仕事だったけれど。

これで。

おしまいでしょう。

まさか。

このあと。

同じようなご依頼が。

一件。

また一件と。

次々に。

私のところへ。

舞い込んでくることになるとは。

この時の私は。

まだ。

想像もしていなかったのでございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。