2.腕輪の思い出
眠りについた龍は夢を見た。
先程、冒険者の男に渡した腕輪のことだ。
何故、あの男に腕輪を渡そうと思ったのか……。
かつて腕輪を手に入れた時に共に居た男と先程の男が似ていたのだった。
別段そのことを思い出したから、というわけではなく龍としては完全に無意識だったわけだが、運命とは面白いもので時空を超えて、かつて共に魔王と戦った男の子孫に腕輪が渡ることになったのだから……。
元は魔王城の宝物庫に収められている品だった。
かつて、勇者と呼ばれた男と共にまだ若かった龍は魔王城に乗り込み多くの魔族と戦いを繰り広げた。三日三晩に渡る戦いの中で勇者と共に龍の力も覚醒していった。当時は翼が2枚だったが、4枚になったのはこの時の覚醒からであった。魔族の魔力を喰らい、思考の読み取りや多くの魔術を使えるようになったのもこの時だった。龍にとってこの戦いはその生の中で最も自らを強く成長させた戦いだった。ほとんどの魔族を薙ぎ倒し、残るは魔王のみとなった。もはや勝ち目のなくなった魔王の投降により、後日停戦協定が結ばれ、魔族の魔界から人間界への侵攻は止められた。
魔王城にあった財宝のいくつかを龍は、停戦に協力した報酬として受け取った。腕輪はそのうちの一つだった。
それ以前に集めた宝と、それ以後に集めた宝と、数多の財宝に囲まれて眠るうちにそんなことも忘れてしまっていた。
あれからどのくらいの年月が経ったのか……この洞窟を居所と定めてからどのくらいなのか……ほとんどを眠って過ごしていたからか全く分からなかった。
それでも特に問題はなかった。若いうちにやりたいことはやったつもりであったし、今日のようにふらふらと洞窟にやってくる者の相手を時々するだけでも存外面白いものだ。そうして、見ていた夢のことも忘れるくらいより深く深く龍は眠っていくのだった。
過去編的な……
あくまで龍という超越存在を主軸に据えたい気持ち。




