ダンジョン 15階 2
素材の回収が終わったので一度ダンジョンを出る。レッサーバイソン対策に金属の盾を買いに行こうと思う。
「俺とブタちゃんは防具屋に向かうけど、ケインはどうする? 防具屋に用事ないだろうから、どこかで待ってるか?」
「俺はレッサーバイソンの肉を孤児院に持っていこうかな。今日の夕飯に間に合うように先にロレッタに渡しておきたいんだ。そうすりゃ今夜はステーキだぜ!」
「今夜はステーキパーティーですね!」
2人がガッツポーズをしてハイタッチしようとするが、身長差がありすぎてハイタッチは難しそうだ。
「それじゃあ別行動でいいな。ユウもケインに付いて行ってくれ。ボディガードだぞ。あとケインの言う事ちゃんと聞くんだぞ」
ユウにも言い聞かせたら、解ったのかケインの後ろに移動している。孤児院ではケインの言う事を聞く方が多いので大丈夫だろう。
「じゃあ盾を買ったらギルドに行くから、そこで待ち合わせよう。そっちも孤児院に行った後はギルドにいってくれ」 レッサーバイソンの肉が入ったマジックバッグをケインに渡す。
「おう」 マジックバッグを受け取るとケインはユウを引き連れて孤児院に向かって歩いて行った。
俺たちは防具屋に向かう――――。
お金は最近稼げているので予算は金貨10枚までだせる。10枚使ってしまうと何かあった時に困るからもう少し安い方が良いのだが、どうだろうか…………。
どうやら鉄装備は金貨6枚が相場のようだ。鉄の盾はラウンドシールドとタワーシールドの2種類売っていた。ラウンドが丸盾でタワーが長方形の大きい盾だ。
「ブタちゃん、これ片手で持てる?」 ブタちゃんに大きい方のタワーシールドを持たせてみる。俺が両手でギリ動かせるくらいの重さだ
「これくらいが片手だと丁度いいかもしれません」 ケインより大きくて厚みもある鉄の盾を片手で扱えるのはさすが怪力スキルだ。
「じゃあそれでいいね」 一応一通り探してみたが鉄の盾にマジックアイテムはなかった。
買い物を済ませてギルドに向かう。ブタちゃんは盾をブンブン振り回してご機嫌だが、当たったら危ないので辞めて欲しい。
「あれ? ケイン達じゃないですか?」 ブタちゃんが指さす方を見ると、
デジャブかな?
以前この辺りで同じ光景を見た事がある。あの時と同じ3人組がケインに絡んでいるようだ。前と違うのはユウがケインの後ろにいる事だが――。
あ、ユウの手を引っ張ろうとした男がユウに殴られて吹っ飛んでいった…………。そしてその3人組は殴られた男を引きずって去っていった。
何なんだ?
「ケイン、どうしたんだ? 何かあったか?」
「ああ、マコト兄ちゃん。あいつらは俺の前の仲間だよ。最近俺の羽振りが良いからって絡んできたんだぜ。でもユウ姉ちゃんが強いって知らなかったんだろうな。ユウ姉ちゃんに手を出そうとして、思いっきりぶん殴られていい気味だぜ」
確かに派手にぶっ飛んでいたな。
「それでケインは大丈夫だったのか? 何もされなかったか?」
「ああ、俺は大丈夫。あいつらはユウ姉ちゃんを狙っていたのかもしれないぜ。『お前みたいなガキが奴隷を連れて生意気だ』とか言ってたからな。それにたまに町で見かけるとコッチをチラチラと見て様子を伺っていたから、もしかしたら俺とマコト兄ちゃんが離れるのを待っていたのかもしれないぜ」
前から狙われていたのか? 全然気が付かなかったが見られていたらしい。確かに俺と一緒にいるときは当然ブタちゃんも一緒だったはずだから、ケインにちょっかいを出そうとは思わないだろう。
「もうこれでユウに手を出そうとする奴はいないと思うが、ケインは気を付けた方がいいぞ。必ずこの中の誰かと一緒に行動するんだ」
「ああそうだな。そうするぜ。あいつらこのマジックバッグには気が付いてなかったけど、これもバレてたら狙われてたかもしれないぜ」
ケインはそう言うとマジックバッグを返してきた。
「そうだな。やっぱりこれはなるべく俺が持つようにしよう」
「よし、気を取り直してダンジョンに向かおう。盾も買ったし、もっと牛を倒すぞ」
「おお、すげえ強そうな盾だぜ。重くないのか?」
「全然軽いですよ? ケインも持ってみますか?」
「やめろ! ケインが潰れてしまう」
ブタちゃんがとんでもない事を言うので慌ててしまった。ブタちゃんはキョトン顔して良く解ってないようなので、ケインに注意しておく。
「あの盾はメチャ重いから近づかない方がいいぞ」 「わかったぜ…………」
ケインも今自分の命が危険に晒されたことを理解してくれたようだ――――。




