4. 弾け飛んだ恋も恋のうち
四話目です。
よろしくお願いします。
五日後、無事王都に到着した。
屋敷では執事のセバスと侍女のニーナが出迎えてくれた。
「お嬢様、よくいらっしゃいました。旦那様より伺っております。一年間お世話させて頂きます、私が執事のセバス。こちらは侍女のニーナです。よろしくお願いします」
「ニーナです。お嬢様にお会い出来るのを楽しみにしておりました」
「ありがとう。一年間よろしくね」
「こちらこそ、よろしくお願いしますね。さあお嬢様、お部屋へご案内いたしますわ」
そう言うとニーナは屋敷の中へ入っていった。
「さあさ、お嬢様方も中へどうぞ。荷物は使用人で片付けておきますから」
セバスに促され屋敷の中に入る。ニーナに案内されたのは二階の日当たりの良い部屋で、内装も落ち着いた感じが気に入った。
「こちらがお嬢様のお部屋になります。そちらの侍女の方はどうされますか?」
「セシルは私の隣の部屋でお願いしたいのだけど。彼女は侍女であり私の護衛でもあるから」
「承知いたしました。すぐご用意いたします」
ニーナは一礼して下がっていった。
「セシル、取り敢えず私の部屋に入りましょ」
「コレット様、お茶をご用意いたしますから、お部屋でお待ちください」
「あ、喉渇いてたの知ってたんだ。じゃあお願いね」
「かしこまりました」
ソファに座りセシルがお茶を用意してくれるのを待つ。
「とうとう王都に来たんだ。やっとヘンリー殿下に会える。どんなに素敵になってるだろう?いつ会えるかな?」
ヘンリー殿下の事を考えると胸がドキドキする。早く会いたいなぁ。
お茶をしながら明日からの事をセシルに相談する。
「セシル、明日からまず何をしたら良い?ヘンリー殿下にはすぐ会える?」
「コレット様、まずは騎士団の入団試験に申し込みをしましょう。それから、ヘンリー殿下にお会いするには、まず面会を申し込まなくてはなりません」
「そうなんだ…。じゃあ取り敢えず騎士団の入団試験の申し込みしようか」
「はい。こちらが申し込み書になります。私が書きましょうか?」
「いいよ。それくらい書くよ」
セシルから申し込み書を受け取り書いていく。
「そう言えば、セシルも騎士団に入るの?」
「いえ、無理です。コレット様がお入りになる騎士団は貴族のみが入団できる所ですので」
「そうなの?私としては貴族だけより平民ごっちゃの方が居心地良いと思うんだけどな」
セシルは首を振る。
「旦那様よりの厳命です。平民が混ざると荒くれ者も多くなります。お嬢様を危険な目に合わせない為のご判断です」
「別に良いのに」
書類を書き終わると同時に、ドアがノックされニーナから声を掛けられる。夕食が用意出来たので食堂に来て欲しいとの事だった。
夕食を取り入浴を済ませ、今日は早く寝る。明日は王城に行けるんだ。もしかしたら、ヘンリー殿下とばったりなんて事があるかもしれない。
ドキドキして中々寝付けなかった。
翌朝、セシルに起こされるまで寝過ごしてしまった。やっぱり疲れていたのかなあ。
朝食を終え、支度を済ませたら王城に向かう。ヘンリー殿下に会えるとも分からないのに、私の心はドキドキを止めてくれなかった。
王城に着き、衛兵に騎士団詰所の場所を聞いて、入団試験の書類を提出に向かう。
「コレット様、私は所用がございますので少しお側を離れますが、お一人で行けますか?」
「大丈夫だよセシル。子供じゃないんだから」
セシルと別れ一人で詰所に向かって歩いていると、前方から金色の髪をした男性が歩いてくるのが見えた。運命の神様はやっぱり私の味方だったんだわ!
「ヘンリー殿下!」
ヘンリー殿下は私の顔を見て、少し訝しんだ様な気もしたが気にせず話し掛ける。
「ヘンリー殿下、コレットです!コレット・ガルディオンです。お約束を果たすために王都に来ました。私のお婿…」
「ヘンリー殿下ぁ〜」
私が言い終わる前に殿下を呼ぶ声が聞こえた。辺りを見回すとピンク色のドレスを着た、ふわふわの金髪に青い目の女性がヘンリー殿下の元に駆け寄って来た。
「マリエッタ、淑女が走ってはいけないよ?」
「ふふっ、ごめんなさい。でも殿下に少しでも早く会いたかったんですもの」
「マリエッタ…僕もだよ」
ヘンリー殿下はマリエッタと呼んだ女性を抱き寄せて額にキスを落としている。
「殿下、あの…」
ヘンリー殿下は私がいた事を思い出したようで。
「あーーその赤い髪、君はコレット・ガルディオン嬢だね。覚えてるよ…久しぶりだね。それで僕に何か用?」
「え、あの、その女性は…?」
「ああ、紹介するよ。僕の婚約者マリエッタ・ベルウッド伯爵令嬢だよ」
「婚約者…」
「そうだよ。それで君は僕に何の用かな?」
婚約者…婚約者…ヘンリー殿下に婚約者がいる。私との約束は?
「殿下…は私…の…」
ヘンリー殿下は約束なんて覚えていなかったんだ。私一人、ヘンリー殿下と結婚するんだと思い込んでいただけだった…。溢れそうな涙をぐっと堪えて顔を上げる。
「ご婚約、おめでとうございます。私、騎士団に入団する為に来ました。久しぶりにお会い出来て良かったです」
「騎士団に入団するのか。頑張ってね。君なら大丈夫だよ」
「ありがとう…ございます」
「それじゃあ僕は仕事があるから失礼するよ」
ヘンリー殿下はマリエッタ嬢をエスコートしながら城の中へ消えていった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。




