17. ずっと恋は終わらない
十七話目です。
よろしくお願いします。
「コレット様、お話はまとまりましたか?」
扉越しにセシルから声を掛けられて、大丈夫だと返事を返したら扉を開けてセシルが入って来た。
「ラインハルト殿下ですね?コレット様付きの侍女セシルです。ガルディオン辺境伯様より手紙を預かっております」
セシルが一通の封筒を殿下に渡す。殿下は中の手紙を見て少し顔を引き攣らせていた。横からこっそり覗き込んだら。
『コレットに手を出しやがって、辺境伯領に着いたら覚悟しやがれ!』
って、書いてあった。
「父様ったら…。殿下、気にしなくて良いですよ。いざとなったら二人で逃げましょう」
「いや、陛下からも言われていたんだ。君の父上の鉄槌は甘んじて受けるよ」
「コレット様、殿下。今日はこの宿に泊まって明日の朝、出発いたします。よろしいですか?」
「うん、それでいいよ」
「それでお部屋は殿下とコレット様、私は別部屋にさせて頂きます」
「なっなんで?殿下は一人部屋で私とセシルが同室でしょ!」
「コレット様は妃殿下ですから、ご一緒でも問題ないかと」
「セシル!聞いてたの?問題ありまくりだわ」
「コレット、何もしないから一緒にいてよ」
「殿下…」
「では私は下がりますので、御用があればお呼び下さい」
「あっ、セシル!」
セシルは、すすすっと音もなく部屋から出ていった。
「コレット、こっち来てよ」
「殿下…」
殿下に近寄ると抱き締められる。
「何もしないんじゃなかったんですか?」
「しないよ。抱き締めるだけ。コレットが俺の腕の中にいるのを実感したいんだ。やっと俺のコレットになった…」
「ごめんなさい、ずっと私を好きでいてくれてありがとう」
「うん。ずっと好きだった」
「私も好き」
「キスぐらいならいい?」
「それ以上はだめですよ」
「分かってる…」
近付いてくる殿下の顔を見ていると、ルイスと同じヘーゼルの瞳に気づく。やっぱり殿下はルイスでもあるんだ。
安心して瞳を閉じると優しいキスが唇に降ってきた。
翌朝、辺境伯領に向かって馬車を進める。辺境伯領が近付くにつれて殿下の顔色が悪くなる。大丈夫だろうか?心配だ。
もし、父様が殿下を殴ろうとしたら伝家の宝刀『父様なんて大っ嫌い!』を発動しよう。母様を味方に付けるのもいい。
二日後、辺境伯領に到着した。セシルが連絡してくれていたんだろう。領に入った途端、領民からの歓迎を受けた。
「姫様〜お帰りなさい!」
「王子様を捕まえてきたそうで、おめでとうございます!」
「姫様〜、俺のとこに嫁に来てくれるの待ってたのに〜残念っす」
「姫様〜お帰り!」
「ただいま〜帰って来たよ〜皆元気だった?」
「皆、元気ですよ!!」
「コレットはすごい人気だな」
「だから勘違いしたんだけどね」
歓迎の人波を抜けると屋敷が見えてきた。屋敷の前には髪を逆立てた父様の姿が見える。…父様、剣持ってない?
屋敷の前に馬車は止まる。殿下にエスコートされて私も馬車を降りる。
「ラインハルトぉ!覚悟はいいんだろうな!」
父様が殿下に斬りかかろうとする、その間に入り込み殿下を庇うように立つ。
「コレット、俺なら良いんだ」
「殿下は黙ってて下さい」
父様と対峙し真っ直ぐに睨みつける。
「父様、殿下を傷付けたら父様の事、嫌いになりますよ」
「だがコレット、こいつはお前を!」
「好きだから良いの!」
「だからと言って父として許せんのだ!そこをどけ、コレット!」
「父様なんて…父様なんて大っ嫌い!!!」
『大っ嫌い!』で心臓を刺された父様は持っていた剣を落として膝を着く。
「コレットぉ…」
「貴方の負けですわね。これ以上やるとコレットはここを出ていっちゃいますよ」
「母様!」
「お帰りなさいコレット。極上の王子様を捕まえてきたわね」
「うん!」
「コレット嬢の母上様ですね。ラインハルトです。よろしくお願いします」
「まあまあ、殿下。ようこそ辺境へ。さあ屋敷に入りましょう。皆あなた達の到着を待ってたのよ」
「母様、父様は放っておいて良いの?」
「自業自得よ。暫く放っておいて」
殿下は領民や屋敷の皆から歓迎された、父様を除いて。未だ伝家の宝刀は発動中だ。
「コレット、俺一度王都に戻るよ。ちゃんと向こうを終わらせて戻ってくるから待ってて」
「絶対、帰ってきてね。…帰って来なかったら私が王都に迎えに行けばいいか」
「すぐ片付けて戻るよ」
「うん待ってる」
ラインハルト殿下は王都に戻り王籍を抜け、臣籍降下し侯爵位を賜った。殿下は爵位なんて要らないって断ったらしいけど、陛下から何かの役に立つから持っとけって言われたんだって。
殿下は仕事の引き継ぎを済ませたら辺境伯領に来てくれる。辺境伯家を継ぐのはアルス兄様だけど、その補佐として頑張ってくれる予定だ。
そして今日、殿下が帰って来る。私は待ち切れなくて領境まで迎えに来た。
「お帰りなさい!殿下!」
「もう殿下じゃないよ。ラインハルトだ。コレットにはハルトって呼んで欲しい」
「うん、お帰りハルト」
「ただいま、ココ」
お帰りなさいのキスを交わす。
ハルトは元側近のカイン様を連れて戻って来た。カイン様は『王宮の仕事に疲れました。ラインハルト様をからかえないのも詰まらないですから』と、満面の笑みでおっしゃってた。
辺境伯領は益々賑やかになりそうだ。
『きっと姫様には優しい王子様が迎えに来てくれますよ』
昔、領地の皆が言ってたのは本当の事だった。ちょっと立場は逆だけど。
可愛いお姫様は優しい王子様をお迎えに来たのでした。
Fin
最後まで読んで頂きありがとうございます。
これで完結となります。
ありがとうございました。
これ以降は週一位で短編を投稿出来たらと思っています。
よろしくお願いします。




