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14. 成就した恋も恋のうち

十四話目です。

途中で視点が変わります。


よろしくお願いします。

早朝、こっそり屋敷に戻ったらセシルが待ち構えていた。


「コレット様、朝帰りとはいい度胸ですね?私のお小言を聞く覚悟はよろしいですか?」


「あはは?ごめんセシル。夕べ飲みすぎちゃって、酔い潰れて酒場の女将さんとこ泊めてもらったんだ」


「それで?体は大丈夫なんですか?」

「体?別に何とも無いよ?」


(またコレット様から柑橘系の香り…これは旦那様に報告しなくては)


セシルがため息を一つ落とす。


「まあ、無事帰って来たのならいいです。今日は騎士団のお仕事はどうされますか?」


「勿論、行くよ。二日酔いで休みとかかっこ悪いじゃない」

「コレット様が良いなら、お仕事に出てください。朝食は取られますか?」


「うん、何か軽いものを用意して」

「かしこまりました。お部屋の方にお持ちします」

「お願いね」


自分の部屋に戻って仕事に出る前に少し休もう。


朝、カラス亭から帰る時、ルイスは全てを片付けたら迎えに行くって言ってくれた。


これってそう言う意味だよね。


ルイスと両想いになれるなんて思って無かった…恋人同士だよね私達…。


ーーー ◇ ー ◇ ー ◇ ーーー


「殿下、夕べはどちらに?決裁を頂かなければならない書類が溜まってるんですが」


「カイン…」


「…それで、上手く行ったんですか?」

「陛下にすぐ会えるように手配してくれ」

「かしこまりました」



陛下とはすぐに謁見する事ができてコレットとの事を報告した。


「分かった、隣国の公爵令嬢との縁談は断っておく」


「断っても大丈夫だったのでしょうか?」

「ああ、我が国には余り益のない縁談だったからな。向こうは我が国の食糧援助が欲しかったのだろうが、こちらからはあの国に望むものは無い。気にするな」


「はい、ありがとうございます」


陛下はニャっと笑って。


「随分、ヤキモキさせてくれたな。コレット嬢と上手くいったなら何よりだ」

「ご心配をお掛けしました」


「しかし、一足飛びに手を出しちまうとは、我慢が足りないなあ」

「それはその…」

「まあ、いいや。コレット嬢の純潔の証は提出したか?」

「はい、先程」

「取り急ぎ、お前とコレット嬢の婚姻届を神殿に出しといてやるよ」

「ありがとうございます」


「良かったな」 

「はい」

「だが、コレット嬢の親父は厄介だぞ。婚姻前に手を出しちまったんだから、殴られるのは覚悟しとけよ」

「はい、分かっています」

「なら、よし!」


陛下は父親の顔から陛下の顔に戻った。


「では、良き日を選んで第二王子ラインハルトと辺境伯令嬢コレット・ガルディオンの婚姻を発表する」 

「はっ」


「下がれ」

「失礼します」


陛下からの許しはもらえた。コレットに何も言わず婚姻届を出してしまったのは悪いとは思っている。でも、こうなった以上、もう逃がしてやれない。

 

コレットに『ルイス』は俺だと言って謝ろう。


その上で、もう一度愛していると伝えたい。


ーーー ◇ ー ◇ ー ◇ ーーー


「はあぁ、駄目だ…。二日酔いを理由にしてでも休めば良かった」


無理して仕事に出たものの、思ったより体が辛かった。壁に寄りかかっていると、久しぶりにラインハルト殿下から声を掛けられた。


「どうしたガルディオン、辛そうだな…」

「団長…昨日飲み過ぎまして…」

「体調が悪いなら医務室に行って休んでいろ。回復しないようなら今日はもう帰れ」

「はい、申し訳ありません」


ふと、ラインハルト殿下の婚約が決まった事を思い出して、立ち去ろうとする殿下に声を掛ける。


「殿下、婚約が決まられたそうで、おめでとうございます」

「…何の事だ?」

「隣国の公爵令嬢との結婚が決まったと聞きました」

「あれは断った」


「どうしてですか?」

「お前には関係ない」


殿下から返される言葉が素っ気なくて、私は言葉を続けられなかった。


「出過ぎた事を言いました。医務室に行かせて頂きます。失礼しました」


一礼をして殿下の前から下がる。早く医務室に行こう、限界だ…。


「コレット!」


目の前が暗くなり足元から崩れる。焦った様なラインハルト殿下の声が聞こえたが、そこからの記憶がない。



ここはどこだっけ?薬品の匂いのするベッドに寝かされていた。


「あら、目が覚めた?」

「…ティナ先生」


この人は医務課のティナ先生だ。


「随分と疲れていたみたいよ」

「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」


「いいのよ。それより後でラインハルト殿下にお礼言っておきなさいね。倒れた貴女をここまで運んで下さったのよ。貴女が余程心配だったのね。あんな焦った殿下を見たの初めてだわ」


「ラインハルト殿下が?…分かりました。後で執務室に伺います」 


「もう少し休んで行く?それとも屋敷に帰る?馬車を呼んであげましょうか?」

「ありがとうございます。もう少し休んだら自分で帰れます」

「そう?無理しないでね。騎士団の方にはラインハルト殿下が連絡してくれてるから心配しないで。じゃあ、ゆっくり休んでなさいね」


そう言ってティナ先生は医務室を出ていった。


まだ少し体が辛かったから目を閉じて休む事にした。


暫く休んで体調が良くなったから、殿下の執務室にお礼を言いに言ったら案の定嫌味を返された。


「山猿でも倒れる事があるんだな。青天の霹靂だ」


ティナ先生はあんな事言ってたけど、やっぱり殿下が私を心配する事なんてあるわけがない。




最後まで読んで頂きありがとうございます。

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