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11. 息が合うのも恋のうち

十一話目です。

途中で視点が変わります。


よろしくお願いします。


近隣の村からの依頼で森から毎夜、中型の魔獣が現れ田畑が荒らされて人が襲われていると言う。


魔獣が潜んでいるらしい森の中を歩く。回りの気配を探りながら歩いていると目の前に洞窟が現れた。恐らく魔獣はこの中だろう。中から魔獣特有の腐った様な匂いが流れてくる。


「この中だね」

「そうだな。どうやって魔獣を誘き出すか…」

「そんなの決まってる」


「お、おい!まさか!」


ルイスの静止を振り切り洞窟に向かって魔法を撃ち込む。


「アイスショット!」


森で火魔法は使えないから氷魔法だ。昔、グリズリーの巣穴にファイアーボールを撃ち込んだら森が燃えて父様にしこたま叱られた。



「まだ出てこないか。もういっちょ、アイスショット〜ぉ!」


続けざまに三発撃ち込んでやった。直後に魔獣は叫び声を上げながら洞窟から飛び出して来た。


「よっし!行くよルイス!」


少し呆れ顔のルイスも追従してくれる。


「…こう言うやつだったな」


ルイスが何か言ってたが、聞き取れなかった。


ルイスと共闘するのは楽しい。ここって言う時には間違いのない動きをしてくれる。私の動きに、ここまで合わせられる人は未だかつていなかった。


「ふふっ」

「何が可笑しいんだ?」

「なんでもな〜い。さあ仕上げといきましょうか!」



無事魔獣を討伐し核を回収したら依頼完了だ。


「お疲れ様、ルイス」

「ああ、お前もな。核も回収したし戻るか」

「うん」



王都に戻ってギルドに魔獣の核を提出し報酬を受け取った。


「はい、報酬だよ」

「ああ」


ルイスに半分の報酬を渡す。


「お腹空いたね。カラス亭に行く?」

「そうだな」




二人でカラス亭の扉を潜ると、女将さんから声が掛かる。


「おや、お二人さんいらっしゃい」


ルイスは返事もろくに返さず、いつもの席に着いた。


「こんにちは、女将さん。今日もお邪魔しますね」

「今日はココちゃん、顔が違うね」

「へっ?どう言う意味ですか?」


「この前の時は死にそうな顔してたからさ。ルイスと仲直りしたんだね」

「仲直りと言うか、私が勝手に気まずかったっていうか…」 

「まあ、仲良くやりな」

「うん、ありかとう」



ルイスの席の隣に座り、いつもの日替わり定食とエールを注文する。


「ねえねえ、ルイスって何処に住んでるの?」

「秘密」

「なんで?」

「お前が押し掛けてきて煩そうだから」

「そんな事しないよ」


「そう言う、お前は俺に住処を教えられるのか?」

「私?…私も言えないかも」

「だろ?」


美味しいご飯に舌鼓を打ち、他愛もない話をして食事を終える。話って言っても殆ど私が一方的に話してるだけで、ルイスは偶に相槌を返してくれるのみ。


ルイス自身の事は何一つ話してくれない。私も立場や名前も『ココ』と偽っているのだからお互い様か。


いつもの様に店の前で別れる。次の約束はしていないから、どうするのかと思っていたら。


「次の予定はカラス亭の女将に言付けておく。偶に来て女将に確認してくれ」


「分かった。今日はありがとう。またね」

「ああ、気を付けて帰れよ」

「うん、ルイスもね。バイバイ」


ルイスが街の闇に消えていく。その背中を見送って私も屋敷に帰る道に向かう。今日はギリギリ、セシルにお小言を貰わなくて済みそうだ。



「あら?コレット様、香水をおつけになってます?柑橘系の香りが…」 


「きっ気のせいじゃないかな?夕食にオレンジ食べたからかなぁ?あはっ」


早々に部屋に逃げ込んだ。セシルは鼻が良いんだ。気をつけなきゃ。


ーーー ◇ ー ◇ ー ◇ ーーー


「ご機嫌ですね殿下」

「カインか」


「今日はコレット様とお出掛けだったんでしょ?楽しかったですか?」


「お前に関係ない」 

「ま、私としましては、いつまでもウジウジされる方が迷惑なので、ご機嫌な殿下の方が助かります」


全く、嫌味なやつだ。これで優秀な側近でなければ首にしてやる所だ。


「今日の分の仕事は?」

「私が処理できるものは済ませておきました。後は殿下の決裁が必要な物だけです」

「分かった」


執務室の机に置かれた書類はそう多くはない。カインは仕事は出来るし気配りも良い、毒舌さえなければ。


「殿下、コレット様と上手く行くと良いですね。あの厄介な件もありますし」

「ああ…」


今日、馬に乗せて背中にくっつかれた時は自分の激しい心音が聞こえていないか心配だった。


やっぱりコレットは昔のまま、やってる事が無茶苦茶で、でも楽しいんだ。魔獣討伐も思う以上に息が合って。


子供の頃に戻ったみたいだった。



早く仕事を片付けて次の休みを確保しなければコレットに会えない。急がなければ時間が無いんだ。


先日、やっかいな事案が舞い込んだからだ。我が国との縁を望む隣国の貴族から、俺との縁談が持ち込まれた。


父上は俺の気持ちを知っているから、のらりくらりと躱してくれているらしいが、相手の貴族が強引に縁談を進めようとしているらしい。


父上からは『相手は隣国の公爵だ。いつまでも返事を伸ばすのは難しい。後ニヶ月時間をやる。お前自身で決めろ』そう言われた。


コレットとの未来が無いのなら縁談を受けても良いと思っている。コレットじゃないなら誰でも同じだ。 


だから、ニヶ月の間に答えを出す。それがコレットとサヨナラだったとしても。




最後まで読んで頂きありがとうございます。

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