1話
ここは日輪の國。方陣家が管理する直轄領
温かい日差しの中、懐かしい道を通る。あまり変わっていないと彼は思った。
彼は今日、方陣家当主の護衛依頼のためにここにきていた。
仲間は後で合流するとのこと。現在は前線にてやり残したことを行なっているらしい。
詳細は知らない。説明は受けていたと思うがあまり話を聞いていなかった。団員もこれには額に青筋を入れるだろう。ちゃんと聞け!と
そう言えば、と彼は思い出す。
ザンザがこう言っていた。
"兄貴!失礼のないようにお願いするでやんす!本当にお願いするでやんす!"と
他の団員も念を入れるように、同じことを言ってきた。
彼はその全てに同じ返答を返した。
"わかった"と
彼は何もわかっていなかったが、とりあえずわかったと言った。
そう言った時の団員の顔は、心配そうだった。まるで初めてのおつかいに行く幼子を見るような目だった。
そしてその団員の心配は的中する。
ゆっくりと街並みを見ながら歩き、いつしか方陣家の門の前についた。
門番がいる。
彼と門番が目を合わせて数秒。何も言葉を発しない。
門番は思う。え、なに?と
彼は、門番に向かって唐突にこう言った。
「通せ」
第一声がこれだ。
門番は彼を上から下にと見る。
ゴツい体、イカつい顔、背中にはグレートソード。なんだコイツ。怪しすぎる。
どう見てもカタギではない。不審者であった。
故に必然である。
「曲者!!」
彼は捕らえられた。当たり前である。
団員の心配は正しかった。
彼の頭の中には?が浮かんでいた。
◇
廊下に吊るされている淡い光だけが光源の牢屋。周りの牢には誰も入っていない。湿度が高いのか、少しジメジメしている。
牢の中にて、硬い地面の上であぐらをかきながら彼は考えていた。
何がダメだったんだろう。と
彼は考えてもわからない。依頼書を見せればよかったのだろうか?
自問自答を繰り返す。どれだけ考えてもわからなかった。
その時、コツコツとコチラに向かってくる足音が聞こえる。数は2人。1人は女で1人は男。男は鎧を着込んでいる。
彼は瞬時に聞き分けた。
足音が自分のいる牢の前で止まる。
彼は上を見上げた。
女と目が合う。知っている顔だ。昔よりも成長しているが、面影はある。いや、身長はそこまで変わっていない。
「..........え?.....」
真ん中に立つ女の声が漏れる。ありえないものを見たような顔で、目を見開いていた。
しっかりと確認するようにじっくりと見つめてくる。
女は確証のない声で聞いてきた。
「マサオミ様......ですか?」
「ああ」
これが彼、マサオミと方陣ゆかりとの再会であった。




