17 黄金竜
彼を少し観察。宝物庫から出たときわざわざ扉に鍵をかけて運び出している。そうだ、これだな。俺はその扉に罠を仕掛けることにした。
「まだ時間がかかりそうだ。まあ王子も王女も死んだろうし、焦らずとも良いがな、くっく」
扉を開けるためにドアノブを握り引っ張る。だが扉は開かず、かわりに召喚獣のマンドラゴラが引っ張り出された。
『やっほ、あ”あ”ぁあ”あぁーー!!』
叫び声を聞いてその場に倒れる大臣。もちろん殺してはいない、手加減を仕込んでおいた。前に魔物で試して分かったことだがこのスキルの叫び声はどういう原理かわからないが引っ張った者しか聞こえないとなかなかに便利な攻撃だ。
馬車に積んだ財宝をそのままにしておいて持っていかれるのはまずいな。大臣から宝物庫の鍵を抜き取り、財宝を持って宝物庫へ。鍵を開け宝物庫に入る。
『召喚術士か』
この声は召喚獣か。おっと、今は急いでいるし、宝物庫のお宝だからな。勝手に契約したら盗賊と変わらん。召喚獣の声を無視し財宝を運び込む。
王子のところへ戻る。当然場所はボロ小屋から変えた。戻るとソンタは回復しており、今度は一味を捕らえることに。彼らをみつけ、どう捕まえようか作戦を練ろうとしたが、現場を見てそこまでする必要はないことがわかった。彼らは飲み屋で酔いつぶれていた。
大臣とその仲間を牢屋へ。翌日、ソンタから改めてお礼と、お話がしたいという連絡が。その日の夜に指示された料理屋へ。店員に奥へと案内される。奥には隠し部屋があり、その中に入ると王子、王女、ソンタの3人が。
こちらに礼を言う3人。料理の前にまずお話をしましょうとソンタが。こちらは偽物のときから知っている、それから少し心配になって様子見をしていたら今回の事件が起きたと伝える。
「王子を狙っていた男がこの国は終わりと言っていたんですが」
「ああ、実は砂竜の中に金色の砂竜、「黄金竜」がいると報告があってね」
「黄金竜現れし時、この国は滅ぶという文献があるんです」
文献によると神の化身と言われる砂竜よりもかしこく更に強いとのこと。黄金竜が現れた場合、砂海を捨て逃げよと文献には書かれている。寿命で死ぬまで待つしか手はないようだ。
住民たちには混乱を避けるために黄金竜の件は伏せて情報を流したとのこと。確かにそのまま流せばパニックになるのは目に見える。
黄金竜の話を聞いた大臣は国を放棄することを決め、邪魔になるであろう王子、王女、ソンタを片付けることに。こうして今回の事件が起きた。
「王子、これを。ボルの形見です。それから日記が見つかりました」
首飾りを王子に渡した。ボルとは学友で親友と仲が良かったようだ。リーダータイプで優秀、よく相談にも乗ってもらっていた。
日記には彼の心情が書かれていた。偽王の件はボルは正直乗り気ではなかったけれど、彼のためと整形までして王に。いずれダンがやる気を出すその日までと。
「ボル、俺がこんな情けない男でなければ死ぬことはなかったのに」
首飾りを握りしめる王子。
おそらく今回の行事が失敗したのは黄金竜の仕業だろうとソンタが。ヤツを片付ける方法は存在せず、この国を放棄するしか無いとのこと。
「このままでは国が」
「仕方がないのです、王子よ。人間が敵う相手ではありません」
「俺は王になるのが怖かった、自信がなかった。だけどこんな形で国を失うなんて」
「お兄様……」
悔しそうにする王子。友人の死、彼の想いもあり、今頃になって王として目覚めたようだ。なかなか気難しい人だ。わがままとも言えるか。だが人間臭くて俺は嫌いじゃない。
「王子、王になる気になったんですか?」
「……だがこの状況では」
俺に考えがあると皆に言う。料理は中止にし、ソンタに信頼できる船員、口止めが出来る船員を集めてもらい船を出す。俺たち、王子たちを乗せ、船は夜の砂海へ。
「船員は私達の協力者だ。今回の件は漏れることはないだろう。タカオ殿、こんな夜中に一体何を」
王都から少し出て周りを見て船、人が居ないことを確認、船を止める。船から降り距離をとる。ここなら大丈夫かな、魔法を発動する。
「アイシクルコフィン」
巨大なつららが俺の頭上に。大きさはヒートスフィアと同じくらい。それを砂海に向かって放つ。凄まじい量の砂を巻き上げながら砂海に突き刺さるつらら。半分くらい潜ったところで氷の塊は砕け散った。船に戻ると皆が驚きの表情で俺を迎えた。構わず王子のところへ。
「行きましょうダン王子。ボルさんの想いにこたえるためにも。黄金竜は俺が倒します」




