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16/19

16 瞬間移動

 簡単な仕事じゃかったのか、なにか大きなミスでもしたのか。


「こうなると心配だね」


 とダナが。確かに偽物が王になるより厄介な状況になってるな。この国もあの本物の王子もこの先どうなることやら。ダナがじーっと俺を見る。……、ああ、わかったよ。王子に探りを入れよう。ただ悪い状況だから俺も行くことに。


 ファティマとクリスとは一旦別れ、ダナの後ろについて住居区に入り、王子が住むというボロ家へ。家が痛みすぎていて王子が中にいるのがわかる。別段変わった様子はないようだ。周りに何軒か潰れかけの家があるが住んでいる様子はない。王子以外に人の気配はない。ダナの話では前もそうだったとのこと。国の兵士とか置いておくと逆に怪しいか。それに王子も協力しているわけだから目を光らせる必要はなかったのかな。


 しばらく彼をつけることにした。何かしらの動きがあるかもしれない。それに我々の接点はここだけだからな。話しかけようか迷ったが、向こうは俺達のことを全く知らないわけだ。そんな状態で話しかけたら状況が悪化するのは目に見えている。ここは様子見を続けよう。


 3日後動きが。一人の男が王子を訪ねてきた。中に入って少し話をした後、一緒に外に出てきてまた話を。うーん、いまいち聞こえない。


 そうだ。オプションで「ボイス」をみつける、現在50。これを100にしてっと。おお、聞こえる聞こえる。他愛のない内容の会話だったのだが、男が急に耳を疑うことを言いだした。


「アンタにはここで死んでもらう」

「どういうことだ?」


 指を鳴らすと他のボロ家から大男と気を失っている女性が出てくる。大男は女性の首に刃物を。「王女だ」とダナが。


「この国はもうおしまいだ。まあどうせアンタは同じように殺される運命だったけどな。おっと、少しでも動いたら王女の命はないぞ」

「ソンタはどうした? 貴様たちで彼を倒せるとは思えないが」

「薬で眠っている。簡単だったよ、料理番を少し脅しただけだからな。この国最強の騎士も薬には勝てないようで、アーッハッハッハ!」


 男は柄に手をかける。まずい状況だ。回り込んで王女を助ける? いや時間がない。強引に突っ込む? それも厳しい。ここからかなりの距離がある。ダナの速さでも気が付かれるだろう。俺ならいけるかもしれないが力の制御に失敗したら彼女の命が危険にさらされる。最悪死も。


 となると方法は一つか。


 オプションを開き回線速度を出す。これを10にまで落とした。一発勝負は怖いな、ダナに実験を手伝ってもらおう。ダナを見る。徐々に動きが鈍くなってきて完全に止まった。体を動かす。ダナが早送りのように一瞬動く。彼女に今のが見えたかと聞く。「何が?」と答える。成功だ。俺が王女を助けて、合図をしたら、あの男を片付けてくれと伝えた。


 大男を見る。映像が乱れた、ここだな。走って大男のところまで。普通なら見られてしまっているであろう速度。大男が気が付き今頃ナイフで王女の喉を突いているだろう。だが大丈夫。持っているナイフを回収、王女から引き離した。


 今だ! と合図を送る。ダナが男に向かって突っ込む。手に持った剣を叩き落とし、喉元に短剣を突きつけた。二人共縛ってボロ小屋に。


「タカオが大男のところまで瞬間移動したように見えたけど、何したの?」


 不思議そうな顔でダナが俺に尋ねてきた。ネットゲームではよくある現象。相手が回線の遅延や、相手のPCの処理が遅かったりするとキャラがワープするように見える現象が起こることがある。今回は回線速度を落とすことでこれを故意に引き起こした。周りは急に俺が大男の位置までワープしたようにみえたわけだ。瞬間移動ではなく時間が止まる感じ? とダナ。まあそんなところかな。


「ありがとう。君たちは?」


 これまでの経緯を話す。当然俺の能力は伏せ、偶然知ってしまったと話を作って誤魔化してはいる。そうか、と王子は理解してくれた。王女を部屋に運び入れる。目を覚ますまで部屋で待つことに。彼女が目を覚ますと同じくらいに、外から物音が。体を引きずりながら重鎧を来た騎士がこの小屋に。彼が騎士のソンタとダナが。


「ご、ご無事でしたか、良かった。ぐっ、大臣め……」

「ソンタ、おまえこそ」


 牢屋に閉じ込められていたが力で無理やり脱出したとのこと。流石は国1番の騎士。ただわからないのは道中誰も居なかったこと。おかげでこうやって脱出出来たわけだがとソンタ。


 乗りかかった船、ここは俺が動くか。騎士ソンタに大臣のいるであろう場所を聞き向かう。ソンタに貰った城内部の地図を確認、宝物庫か。城の奥地下。


 ソンタから聞いたとおり城には誰も居なかった。警備がいない、門番すらいない。馬車が1台、止めてあるだけだった。罠というわけでもなさそうだ。それならそれで楽でいいけど。


 城に入り宝物庫へ。大臣はどうやら自分の手で財宝を運び出していたようだった。「この宝はすべて私のものだ。誰にも触らせない」と独り言を呟きながら財宝を運び出す大臣。なるほど、それで城の者たちを全て遠ざけたわけか。おかげで簡単に片付けられる。

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