14 ネーム表示
「砂竜?」
船長室へ。いくつかある絵画のうちの一つの前に止まり、俺たちをその場へ呼ぶ。絵には砂を巻き上げながら獲物を襲う荒々しいドラゴンが。ドラゴンというよりも蛇に近い形状の竜。足と翼がないな。胴体が長いから龍のほうが近いかも。その強さは人智を超え、神や悪魔の化身ではと語られているとか。
誰も敵わないと思わせるほどの強さか。そうすると、位置づけとしてはラスボス後の強敵になるかな。ヴァミではラスボスよりも強い者たちが多数存在する。そのうちの一つだろうか。クリア後に彼らを倒すのもヴァミの楽しみ方の一つだ。
砂竜の住処を指し示す。ここからはかなりの距離があるな。まあ、このままいけば会うことはないだろう。王都へ観光しに行くだけだからな。
「王都が見えてきたよ」
船員さんが指差す方向に巨大なドーム状の金属の塊がみえてきた。何でも古代文明の遺産がそのまま王都になっているそう。ドームではなく実際の形状は球状、下部が半分埋まっているとのこと。それにしてもでかい。平均的な大きさの街が10個くらいは入りそうな大きさだ。
王都に入ってすぐのところに港が。陽の光が入って居ないはずだが明るい。壁が光っているようだ。ここの外壁、光る壁はどんな金属で作られているかまだ判明していないとのこと。
客が王都に降りる。次に荷が運び出された。
「お疲れ、給金だ。縁があったらまたよろしくな」
報酬をもらい、船を降りる。王都の内部はこれまでの街とは違い、どちらかと言うと現代の百貨店に雰囲気が近いかな? 階層がいくつかあり、通路左右にお店がずらりと並ぶ。通路は広く、馬車が余裕ですれ違えるほどの広さ。
「はー、世界にはこんな街があるんですねー」
珍しい作りに驚く女性陣。俺もこの独特の雰囲気に飲み込まれ、へーへーほーほー言いながら周りを見渡す。完全にお上りさんだ。それにしても広い。案内板を見つけ現在位置を確認。ここは一般人が買い物をする区画で、こういった場所が他にもいくつかあるようだった。他、居住区、商業区、工業区、農業区、そして養殖区まである。色々あるな。
前方からにぎやかな声が聞こえてきた。パレード用の馬車いくつか縦に並んでゆっくり進んでいる。中心に一際豪華な衣装に身を包んだ人物が。この人が新王かな。先代が事故で死に、その息子の王子がこれから王になるという話を聞いていた。
えーっと、……なんて名前だっけ。肝心なことを聞かずにここまで来てしまった。いや、忘れただけかな。今更人に聞くのも恥ずかしい。そうだ、オプションにいいものが。
あったあった、「ネーム表示」。これをオンにすると頭の上に名前が表示されるようになる。ネトゲにはよくある設定だな。
ネーム表示をオンにして新王らしき人の名前を見る。「ボル」と頭の上に名前が表示された。非常に便利な機能だ。ボル王子が徐々にこちらに近づいてくる。
「ダン王子!」
「ダン王子様ー、こっち向いてー」
手を振り街の人の声に答えるボル王子。ふむ、もうすでに風格を感じるな。黄色い声援も飛び交う。はは、なかなかに色男のようだ。
ってあれ? 名前が違うぞ。周りはダンと呼ぶ。目をこすってもう一度見ても頭の上にはボルの文字が。俺にはどうしてもボルにしか見えない。
パレードを追おうと皆に言う。しばらく追ってみた。やはり街の人はダンと呼ぶな。
周りを見渡していると頭に「ダン」と名前が書かれた人物を発見。ローブを羽織り、フードを深くかぶっている。こちらがもしかして本物? いや、ただ名前が同じだけという可能性が。それでもお立ち台に乗っている王の名前が違うってのはな。
考え事をしていると、ダナが俺の異変に気がつき「どうしたの?」と声をかけてきた。どうしても気になる。少しだけ調べてみるか。この事を皆に話す。
「私に任せて」
ダナがフードの男を追跡調査することに。一人だけ離れるのは変かなと思い、一旦ここで解散をすることに。夜にギルドに集合で。夜になりギルドへ。ダナ達がすでに居た。同じテーブルにつき、話を聞くことに。
「かなり厄介な問題だね」
難しい顔をして追跡の件を語りだした。
あの後フードの男は住宅街へ。住宅街の端にあるボロ小屋に入っていった。ダナも小屋に侵入。少しすると、ローブを纏ったきれいな女性とと大柄の男がボロ小屋に入る。
「ダンお兄様、考え直してもらえませんか?」
「ダン王子、あなたには「力」、操船技術や良い人柄があります。お考え直しを」
「前に決めたとおりだ。俺は王にはならない」
やはりというか、フードの男は「ダン」だった。彼らの話を整頓すると、王子ダンは王になりたくないため、大臣が持ちかけてきた偽者を変わりに王にするという案を飲んでしまった。そしてここに潜伏し、無事偽物が王になったら国から脱出し自由の身になる。
厄介どころの話ではないな。国が関与している話か。
「どうする?」
「放っておくしか」




