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僕を共有した五人の乙女~告白は1億ポイントから!?~  作者: 寝不足魔王


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第27話:金曜日、千二百ポイントの鉄槌と「筋肉(パワー)」の誤算

 金曜日の放課後。一条凪いちじょうなぎは、校門の前で深く頭を下げた。

「みんな、本当に今週はありがとう。僕の『筋肉痛』のために、わざわざ湿布を買ってきてくれたり、マッサージまでしてくれたり……。おかげでもう、ピンピンしてるよ」


 凪の爽やかな笑顔。だが、それを受ける5人の乙女たちは、全員が「借りてきた猫」のように大人しく、かつ不自然なほどに距離を保っていた。

 それもそのはず。彼女たちの全身は、昨日の「特訓」の代償である凄まじい筋肉痛によって、一歩動くたびに悲鳴を上げるガラス細工のような状態だったからだ。


「……ううん、凪くん。……お大事にね(……っ! 笑うと腹筋が千切れそうよ!)」

 聖奈が、引きつった笑顔で応える。


「じゃあ、週末はみんなゆっくり休んでね! はい、これ、お見舞いのエナジードリンク!」

 凪が一人ずつに手渡した「労い」の1本。

 裏:全員に【お見舞いボーナス:10pt獲得】。


 凪の姿が完全に見えなくなった瞬間。第3代ディーラー、藍澤凛あいざわ りんが、その野性味溢れる瞳に「集金人」の光を宿した。

「……野郎ども。処刑の時間だぜ。……ルナールへ急げ」


 いつもの喫茶店『ルナール』。

 テーブルの上には、凛の1235ptという絶対的な資本力を示す管理端末が、不敵に光を放っていた。


【現在の所持ポイント】

藍澤 凛:1235pt

霧島 凪沙:414pt

支倉 聖奈:358pt

一ノ瀬 舞夜:220pt

瀬戸 ほのか:135pt


「さあ、ドローだ」

 凛がBOXから今週の5枠を引き抜く。その瞬間、彼女たちの背筋に冷たいものが走った。凛の「根性ルール」の呪いか、引き当てられた内容はことごとく「肉体労働」に近いものばかりだった。


「まずは【公開枠:1】。『凛の部活の球拾いに付き添う』。形式はオープンオークションだ。……始めろ!」


「……5ptよ」

 聖奈が、消え入るような声で入札した。

 本来なら凪を独占できる枠だが、内容は「球拾い(労働)」。さらに落札したポイントはすべて強敵である凛の懐に入る。

 舞夜も「……凛さんの資金をこれ以上増やしたくないわ」と静観。結局、聖奈が最低価格の5ptで落札した。


「チッ、安値だな。……次だ、【公開枠:3】。『凪の背中におんぶしてもらう権利』。……ドラフト(一発提示)だ!」


 この瞬間、教室内……いや、喫茶店の空気が爆発した。

 4度目のおんぶ。聖奈にとっては正妻の証、舞夜にとっては札束の証明。筋肉痛でボロボロの彼女たちにとって、凪の背中は唯一の救済シェルターだった。


『支倉聖奈:300pt』

『一ノ瀬舞夜:200pt』


「落札者は、聖奈! 300ポイント、きっちり回収させてもらうぜ!」

 凛が豪快に笑う。聖奈は「……300ポイント。来週の私の財布は空っぽだけど、あの背中だけは渡さないわ……!」と、執念でスマホを握りしめた。


 戦場はクライマックス、正体不明の「非公開枠」へ。

 【非公開枠:4】。中身は『凪くんの部屋で一緒に朝食(当たり)』。

 これに全財産を賭けたのは、瀬戸ほのか(145pt)だった。


「……ほのか、もう魚の漢字は書きませんぅ! 145ポイント、全額投入ですぅぅ!」


 見事に落札。開示された中身が「朝食」だと分かった瞬間、聖奈が「私のクジがぁぁぁ!」と椅子から転げ落ちた。ほのかは「勝利の味ですぅぅ!」と、筋肉痛を忘れて狂喜乱舞した。


 しかし、続く【非公開枠:5】。

 舞夜が「次こそは当たりを……!」と残りの200ptを投入して落札したが、開示された内容は――。

『凪くんに「凪沙の家」の犬の散歩に行かせる権利(出品者:凪沙)』


「………………」

 舞夜が、白目を剥いてゆっくりと後ろに倒れ込んだ。200pt払って、週末に「犬の散歩を遠くから眺める」だけの苦行。それはまさに、精神的なケツバットだった。


「……以上で終了だ。……おいおい、見ろよ」

 凛が管理端末をタップする。そこには、回収した合計約700ptを加算した、驚愕の数字が躍っていた。


【藍澤 凛:1835pt】


「……1800ポイント超え。……ボク、来週は凪とハワイに行けるんじゃねーか?」

 凛の不敵な笑みが、敗北者たちの心に突き刺さる。しかし、ローテーションは非情だ。

「……次週の管理者ディーラーは、4位の凪沙だ。……凪沙、端末を渡すぜ」


 凪沙が、お菓子を齧りながら無造作に端末を受け取る。

「……うん。……来週は、……ふわふわにする」


 絶対王者・凛の1800pt。破産した舞夜と聖奈。そして、次期管理者・凪沙。

 一条凪の週末は、球拾いと、犬の散歩と、そして「145ptの朝食」という、歪な愛の形に埋め尽くされていく。


 自宅で明日の準備をしていた凪は、カレンダーを見て首を傾げた。

「……明日は球拾い。日曜は犬の散歩と、ほのかちゃんと朝ごはん。……なんだか、僕の週末がどんどん『便利屋』みたいになってる気がするな」


 自分の価値が1800ptという天文学的な数字に到達していること。

 そして来週、天然の凪沙による「ふわふわな地獄」が待っていること。

 

 商品(凪)は、深い溜息を一つついて、電気を消した。


---

■今回のオークション終了時の所持ポイント

藍澤 凛:1835pt(舞夜・聖奈等から大量徴収)

霧島 凪沙:354pt(入札控えめ+次期ディーラー確定)

一ノ瀬 舞夜:10pt(自爆破産)

支倉 聖奈:58pt(300pt消費)

瀬戸 ほのか:5pt(全額使い切り)


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