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僕を共有した五人の乙女~告白は1億ポイントから!?~  作者: 寝不足魔王


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第24話:火曜日、筋肉への反逆と「お掃除連合」の結成

 火曜日の朝。私立聖蘭学園2年A組の教室は、もはや教育機関としての機能を失いつつあった。

 教壇に立つ第3代ディーラー・藍澤凛あいざわ りんが、ストップウォッチを片手に咆哮する。


「いいか野郎ども! 朝のスクワット100回だ! 凪と一緒にやり遂げた根性のある奴には、特別に3pt進呈してやるぜ!」


 その号令に合わせて、一条凪いちじょうなぎが「ひい、ふう」と爽やかに汗を流している。常識人の彼は、これを「クラス全員での健康増進運動」だと信じて疑わない。

 しかし、文化系の支倉聖奈はせくら せいなと一ノ瀬舞夜いちのせ まやにとって、それは地獄の沙汰だった。


「……3ptのために、私の膝を壊せというの? 野蛮だわ。野蛮すぎて涙が出るわね」


 舞夜が、震える手で102ptという心許ない残高を表示したスマホを握りしめる。聖奈もまた、240ptという「中流階級」の資産を守るため、スクワットの輪から一歩引いていた。


 中庭の物陰。

 これまで「正妻の座」を巡って火花を散らしてきた聖奈と舞夜が、初めて密会を持っていた。


「……一ノ瀬さん。認めなさい。このまま凛さんの『筋肉ルール』に従っていたら、金曜日のオークションで私たちは彼女の軍資金にされるだけよ」


「……癪だけど、その通りね。あのアスリート、1235ptという暴力を背景に、私たちの得意分野をすべて『根性なし』の一言でポイント対象外にしているわ」


 二人の間に、かつてない連帯感が生まれる。

「組みましょう。……凛さんの『動』を、私たちの『静』で封じ込めるのよ」


 ここに【お掃除・静寂連合】が結成された。

 作戦はシンプルだ。凪の周囲を「徹底的な美化」と「静寂」で埋め尽くし、凛が付け入る隙――つまり、凪を運動に誘い出す物理的な隙間を消し去ることである。


 昼休み。

 凛が「凪! 校庭でサッカーしようぜ!」と、3倍ボーナス確定の誘いをかける。

 しかし、そこへ聖奈が割って入った。


「ダメよ、凛。校庭は今、私たちがワックスがけの準備……いえ、特別な除草作業で立ち入り禁止にしておいたわ。……ねえ、一ノ瀬さん?」


「ええ。凪くん、午後の授業に備えて、今は図書室でアロマを焚きながら読書をしましょう。……静かに過ごすこと。これが今、この学園で最も尊い『規律』よ」


 舞夜が凪の腕を優雅に引き、図書室へと連行する。

 凪は「……みんな、急に図書室の風紀に厳しくなったね。でも、落ち着くからいいよ。ありがとう、二人とも」


 裏:【愛の証明】静寂による精神安定:3pt獲得。

 凛の「筋肉3倍」は、フィールドを奪われることで完全に封殺された。


「……あいつら、徒党を組みやがって! ボクのポイント発行権を妨害するなんて、独占禁止法違反だろ!」


 凛の叫びが廊下に響くが、連合の防御は鉄壁だった。

 一方、どちらの陣営にもつきたい瀬戸ほのか(15pt)は、聖奈から「凛の弱点を探れ」というスパイ任務を受けていた。


「凛さん、あ、あの……腹筋50回やれば、本当に5ptくれますかぁ?」


「おうよ! ほのか、お前は根性あるな! やれ、もっと追い込め!」


「ひ、ひぃぃぃ! 筋肉、筋肉ですぅぅ!」


 裏:ほのか、5pt獲得。しかし、引き換えに明日の筋肉痛が確定した。


 放課後。

 凪は、校庭が静まり返り、図書室が厳格に管理されている状況を見て、深く感動していた。


「凛の『根性』と、聖奈たちの『規律』。この二つが合わさって、この学園はどんどん洗練されていくね。……みんな、本当にかっこいいよ。ありがとう」


 凪の、全方位への一点の曇りもない感謝。

 その瞬間、五人のスマホに一律で【調和への報酬:10pt】が振り込まれた。


「「「「「……明日も、よろしくね、凪」」」」」


 夕暮れの校舎。

 一人残った凛は、管理端末の1235ptという数字を眺め、不敵に笑った。


「……連合だか何だか知らねーけどよ。……どんなに妨害しようと、金曜日のオークションを仕切るのはボクだ。……札束ポイントで、お前らの知略を全部粉砕してやるぜ」


 暴力的な資本力を信じる凛と、連合を組んで対抗する聖奈・舞夜。

 三週目の決戦へ向けて、ポイントという名の弾丸を充填する乙女たちの夜は、さらに深く、熱くなっていく。


---

■火曜日終了時の所持ポイント

藍澤 凛:1235pt(※ディーラーのため据え置き)

霧島 凪沙:304pt(+10pt)

支倉 聖奈:253pt(+13pt)

一ノ瀬 舞夜:115pt(+13pt)

瀬戸 ほのか:30pt(+15pt)


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