表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕を共有した五人の乙女~告白は1億ポイントから!?~  作者: 寝不足魔王


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/33

第21話:金曜日、千ポイントの暴力と「筋肉(パワー)」の採決

 金曜日の放課後。一週間を締め括るチャイムが鳴り響くと、一条凪いちじょうなぎは達成感に満ちた表情でカバンを肩にかけた。

 今週は聖奈の「家政婦のような献身」と、舞夜の「奇妙な家宝の押し売り」、そして凛との「放課後ランニング」に明け暮れた。常識人として、彼なりの全力で応えた一週間だった。


「凛、明日の部活の試合、頑張ってね。応援してるから! みんなも、週末はゆっくり休んでよ」


 校門の前で、凪は5人の美少女たちに向かって、これ以上ないほど爽やかな笑顔を向けた。

 それを受けた5人は、一瞬だけ頬を引きつらせ、声を揃えて返した。


「「「「「……ええ、おやすみなさい、凪(くん/先輩)」」」」」


 凪が角を曲がり、その姿が見えなくなった瞬間。5人の空気は、穏やかな放課後から一気に血の気が引く「処刑場」へと変貌した。


「……野郎ども。集金の時間だぜ」


 第3代ディーラー、藍澤凛あいざわ りんが、管理端末を片手に不敵な笑みを浮かべた。

 駅前にある喫茶店『ルナール』。その最奥にあるボックス席。

 テーブルの中央には、25枚の欲望が詰め込まれたBOXが置かれている。凛がその中からガサゴソと5枚の紙を引き抜いた。


「……今週の5枠が決まったぜ。公開枠が3つ、非公開が2つだ。……いいか? ボクのルールはシンプルだ。『筋肉こそが正義』。不純な動機で落札した奴には、追加で腕立て50回のペナルティを課す!」


 凛の「脳筋ルール」に、窓際の一ノ瀬舞夜いちのせ まやが、眉をひそめて鼻で笑った。彼女の画面には、前代未聞の数字が表示されている。


【現在の所持ポイント】

一ノ瀬 舞夜:998pt

霧島 凪沙:279pt

藍澤 凛:260pt

支倉 聖奈:248pt

瀬戸 ほのか:198pt


「腕立て? そんな野蛮な脅し、私の『998ポイント』という暴力の前には無力よ。……さあ、始めなさい、凛さん」


「へっ、言ってろ。まずは【公開枠:1】。『凪の体力作りコーチング』。形式はオープンオークションだ。……入札!」


「……500ptよ」


 舞夜が、ティーカップを置く音と同時に言い放った。

 教室内が静まり返る。先週までの「100pt」という大金が、一瞬で「端金」へと成り下がった瞬間だった。


「……ご、500ポイント!? 一ノ瀬さん、頭がおかしくなったんですかぁ!?」

 ほのかが悲鳴を上げる。聖奈も「……一撃で、私の全財産の倍以上を……!」と絶句した。


「ポイントは溜め込むものではないわ。……すべて、凪くんを『買う』ためにあるのよ」


「……っ。落札者は、舞夜。……次だ。【公開枠:2】。『凪の背中におんぶしてもらう権利』。形式はドラフト(一発提示)だ。……入れろ!」


 聖奈は震える手で、残りの248ptすべてを入力しようとした。しかし、舞夜の表情には、依然として底知れない余裕が漂っている。


『支倉聖奈:248pt』

『一ノ瀬舞夜:400pt』


「……嘘でしょう……」

 聖奈が、スマホを握りしめたまま膝から崩れ落ちた。全財産を注いでも届かない。札束で顔を叩かれるとは、まさにこのことだった。


「……舞夜、お前、本気かよ。……計900ポイント消費だ。……まあいい。次だ、【非公開枠:4】。……入札しろ」


 ここは、再び息を吹き返したほのか(198pt)が、藁をも掴む思いで全財産を叩きつけた。

 見事に落札。凛が、意地悪そうな笑みを浮かべて中身を開示する。


『出品内容:【労働】凪と一緒に、凛の部活の球拾いをする権利。出品者:藍澤 凛』


「……はぇ? 動物カフェは!? 甘いデート枠はどこにいったんですかぁぁ!」


「悪いな、ほのか。ボクが今朝、こっそり中身を書き換えておいた(※ディーラー特権)。来週はボクの試合があるからな。人手が必要なんだよ!」


「……また労働ですかぁぁぁ! 198ポイントも払って、炎天下で球拾いなんて、死んじゃいますぅぅぅ!」


 全5枠のオークションが終了した。

 凛は、舞夜が支払った900ptを含む、全員の落札ポイントを管理端末に吸い込ませた。


「……おいおい、見ろよ。……合計1200pt超えだ。……ボク、来週は世界を支配できるな」


 舞夜の財布は空っぽ(残高98pt)になったが、彼女は「……ふふ。来週の週末、凪くんは土曜も日曜も、私のものよ」と、勝利者の笑みを崩さなかった。


「……いいわね、舞夜さん。でも、あなたが凛さんに差し出したその1200ポイント……。再来週、私が管理者になった時、さらに高く売ってあげるわ」


 聖奈は、再び0ptになった自分の画面を見つめ、不気味なほど静かな声で告げた。

 

 一条凪は、自宅で明日の準備をしながら、ふと寒気を感じて窓を閉めた。

「……なんだか、明日の予定がすごい埋まってる気がするな。……気のせいか。よし、寝よう」


 自分の価値が1000ptの大台を軽々と越え、4桁の暴力によって売買されていること。

 そのすべてを知らぬまま、幸せな「商品」は、電気を消した。


---

■今回のオークション終了時の所持ポイント

藍澤 凛:1235pt(回収pt+初期残高260pt)

霧島 凪沙:269pt

支倉 聖奈:0pt(再破産)

一ノ瀬 舞夜:98pt(使い切り)

瀬戸 ほのか:0pt(完全破産)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ