不良少年と夢を見る弐
暴力行為があります。嫌な方は最初の方を見ないで途中から見てください。
ある家族の話をしよう。母親と父親とその子供の三人家族で構成されている。まず、母親と父親の昔の関係を話そう。母親は風俗店で働いていて、父親はその客と来ていた。話している間に、お互いのことが好きになっていく二人。父親はすぐに母親を風俗店を辞めるように説得した。母親はそれに了承して、父親と一緒に暮らすことを決めた。それから、一年の時が過ぎる。母親のお腹の中に子供ができていて、二人は新しい幸せを掴もうとしていた時に、ある事件が起こった。父親の会社が急に潰れてしまったのだ。何も予兆さえなく、潰れた会社に父親は酷く落ち込んでいた。子供が暮らしやすい生活を願うため、父親はフリーターになり、いくつかの仕事をやりはじめた。母親は頑張っている父親のために家で出来る仕事をこなしながら家を家事を頑張ることにした。お互い、家庭を守るため頑張っていたら。ある日、父親がある仕事で遠くに行くことになった。「良い仕事が見つかった」と言っていたが、母親は不安が止まらなかった。すぐに帰ると言って、父親は家から出ていった。そして、10カ月が過ぎ子供が生まれた。生まれた日に父親は病院に来てはいなかった。母親は俺を一人で育ていた。父親からは毎月、生活費だけくるが姿を表すことはなかった。そんな日々が続いたある日、二人で食事している時に、ドアが開く音がして確認するとドアから父親が帰ってきたことがわかった。母親はそれを喜んで父親の方へと向かう。母親が近づいた瞬間、父親は母親の顔を思い切り殴った。五歳の子供は何があったのか数分理解できなかった。目の前の人間が母親を殴った危ない人だと、そう理解した子供は母親の前に立って手を広げ守るようにした。父親は「邪魔なんだよ」と怒鳴りつけて、子供を蹴りつけて部屋の方へと向かう。部屋の周りにあるものを壊している。子供は床で這いずりながら化け物を見るような目でその人物を見た。その日から化け物は家に住むようになった。
「あのー、大丈夫ですか」
優しい声が耳元から聞こえる。この声を俺は知っている。頭を整理しながら目の前の人物を見る。金谷葉月、俺の妄想で作った友達だ。夢を共有している設定など夢の中の妄想ではよくあることだと認識している。友達を作りたいため病気で休んでいるクラスメートを妄想で仲良くしている俺は他人から見たら痛い人だろう。
「どうしよう、返事がない。まさか、死んでいるのか」
慌ている姿は男でもあっても可愛らしかった。男に可愛いというのは色んな意味駄目かな。なんとなく、目の前にいる人間を懐まで抱き寄せた。金谷は驚いた顔でもがいているが俺は一切気にしないで抱き締める。
「お、お、お前なにやっているんだよ。いきなり抱き締めるとか…あ!!」
金谷は必死に声をあげている後、「タメ…口」と青い顔して小さいことで呟いている。クラスメートが俺にぶつかった時の反応と同じだ。そんなことで殴る分けねぇよと内心思いながらも金谷を落ちつかせるため優しいことで言い返す。
「最初に言っていたが敬語とかはあんまり好きじゃないんだ。これからはタメ口でいいから」
「あ、はい!!わかりまし…わかった」
一瞬、敬語に言いそうになっていたな。混乱している金谷の頭を撫でる。金谷はやっと落ち着いたのか、俺の瞳を見てきた。もしかしたら、灰色の目を気になるのか?「…綺麗」と言葉が聞こえた。父親から気持ち悪いと言われていた瞳を金谷が褒めている。あー、自分の妄想なのに嬉しく思ってしまう。顔が熟れすぎたトマトみたいな色になっているを見せてたくなくて金谷を抱き締めた手を外して、後ろの方へと下がらせた。顔を見れないようにしたことだが「…顔が赤い」と指摘されてしまった。
「始めてなんだよ、瞳のことを純粋に綺麗だと言われるのは」
「え、そんなに格好良くて綺麗な瞳なのに」
「あー、もううるさい。それ以上褒めるなよ」
金谷がニコニコしながら俺の瞳を褒めてくる。あぁ、褒められるのはやっぱりなれることができないな。困った顔で金谷を見る。最初は敬語キャラで根倉だと思ったが優しい顔しているこいつからは第一印象のひとかけらさえ見当たらない。まぁ、妄想なんだろうが。妄想なら妄想でいい、俺は友達という関係でやりたいことが沢山ある。俺は決心して金谷に願いを告げる。
「…俺やりたいことがあるんだ」
「やりたいこと?」
「友達みたいなことをやってみたかった!!」
自分で言っておいて、ぼっちみたいなことを言っているが、ぼっちなので気にしないで続きを言う。
「ほら、先程の抱き締めることも友達とやることだろう。そんな感じで色んなことをしたいんだ」
「うん?うーん…」
「友達と抱き締めあうのかな」と呟いている金谷に、俺は「漫画でやっているじゃないか」と言い返した。金谷は考えることを諦めたのか半笑いで俺の方を向いた。
「わかった。面白そうだし、協力するよ」
「おぅ、それじゃ、名前呼びからいこうぜ」
金谷は先ほどよりはましだが青い顔をしている。名前呼びだけなのに恐がれるのかよ、俺。ショックを受けながらも俺は面と向かって「葉月」と言葉にした。葉月は目を見開いたがすぐに小さな声で「十六夜さん」と零した。よし、「さん」付けは取れていないけど、仲良くなれば慣れて「さん」付けを取って、名前を呼んでくれるはずだ。俺が微笑んで、葉月を確認すると同じ顔していた。いいなぁ、この感じ。なんと表したらいいのかな。終わりに近付く世界で俺はそんなことを考えていた。
夢が終わった瞬間、俺は目を覚ました。はぁ、現実は嫌なものしか見えないから嫌だ。ボロボロな部屋を見渡して気分が下がった。母さんが安全に家で暮らせるよう、俺はバイトに出かける。もう少しだけ、夢を見ていたかった。




