家畜が爆産
家畜たちの出産ラッシュが始まった。
1頭が6~10頭程出産している。
魔物に食べられてしまう可能性が高い世界なので多産なのだろう。
そういえば、近頃少しずつ気温が上がってきたような?
『ティア、そろそろ雨期かな?』
『そうですね。まもなく雨期に入りますね。そろそろ田植えの準備をした方が良いですね。』
農夫のバンに苗の準備を指示した。
今は向こうの世界でいうところの春だ。
これから雨期に入って、雨期が終わると夏になる。
雨期は2日雨が降り、1日晴れが繰り返す。
日本の梅雨のように毎日雨が降り続くわけではない。
そして、雨期になると現れる魔物がいる。
レイニービックトード(蛙)とレイニーエスカルゴ(蝸牛)、そしてアメフラシ(ウミウシ)だ。
レイニービックトードの太ももは美味だ。
この時期、とても人気のある食材のため高く売れる。
また皮は撥水性が高いため、雨具やテントの素材に使われる。
レイニーエスカルゴは、肉が貝のように歯ごたえがあり美味だ。
珍味として重宝される。
殻は砕いて、家畜の餌や畑の肥料に使われる。
アメフラシは非常に厄介な魔物だ。
海から上がってきて、紫の毒を吐く。
肉にも毒があるため食べられない。
前者の2種は喜ばれるが、アメフラシが害獣扱いとなる。
雨期が近いため爆発的に繁殖した家畜たちの小屋を増築した。
搾乳もできるようになったので、早速チーズ、バター、ヨーグルトを作ってみることにする。
「美咲、チーズ、バター、ヨーグルトは作れるかな?」
「いや、無理です。でも、それがあればいろんな料理やお菓子が作れますね。」
「わかった。俺の方で作るからその後の加工は任せるね。」
『ティア、作り方を教えてもらえる?』
『この世界での作り方は原始的で効率が悪いので、あちらの世界の情報を検索した方が良いと思いますよ。』
ちなみにミルクを瓶に入れて必死に振り続けバターを作っているそうだ。
前世に体験コーナーで見たことあるな。
そりゃ、たくさん作れないし高いよね。
それでRoomに戻ってパソコンを使って日本での加工法を検索した。
「マリー、簡易的なもので良いからこんな感じの道具を作ってほしいんだ。」
「了解! 1週間ほど下さい。」
「よろしくね。」
あとはスキル《発酵》、《加工》を使えば何とかなるだろう。
1週間後、道具が揃い、加工もできるようになった。
それで、いままでバラバラに仕事をしてきた孤児たちだが3分割することにした。
食堂で食事をしている孤児たちに話をした。
「今までいろいろと働いてもらったが、そろそろ専属で仕事をしてもらおうと思う。畑チーム、牧畜チーム、加工チームの3つに分けるから希望するところを決めてくれ。」
「姉さま、集計はよろしくね。あと、それぞれのチーム内で交代で休みがとれるようにもしてあげてね。」
「わかったわ。それでね、アオイ。王都にお店を作って直売店にしようと思うのだけれども、どうかしら?」
「構わないけど、ジャックさんとの配分とかちゃんと調整しないと迷惑かけちゃうからね。そこはちゃんとしてね。」
「アオイって、たまにどっちが年上なのか分からなくなることがあるのよね。ジャックさんにはお世話になっているからちゃんと考えるわ。ジャックさんで思い出したけど、砂糖ができる野菜の種が手に入ったそうよ。あとでバンさんに渡しておくわね。」
「了解です。ちなみに資金の方は大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫。プリンの売り上げがあるから十分よ。あと、お菓子やケーキとかも作れるようになると良いわね。」
そろそろ人員が足りなくなりそうだな。
「そうだ。隣町の孤児院の院長さんが見学させてほしいって手紙が来ていたわよ。どうする?」
「良いんじゃないですか? 良ければこちらに引っ越してもらってもいいですしね。人員が確保できるし、こちらにもメリットありますよ。でも、人が流出することになるので領主さんが機嫌を損ねるかもしれませんね。そこらへんは母さんが伯父さんと調整してね。」
「わかったわよ。その代わり、お菓子ができたら私が一番に試食するからね。母さんだってこれでも忙しいのよ。」
「あと、姉さま。孤児たちへの教育も忘れないでくださいね。文字の読み書きとお金の計算くらいはできるようにしてください。」
「わかったわ。今は使っていない2階の食堂の一部を区切って教室にするわね。」
最初のころは男女別れて食事をしていたが、効率が悪いので全員1階で食事をすることになった。
そのため、2階の食堂は使われていないのだ。
収穫が始まった葉物野菜は子供たちの食欲が底なしのため出荷されずに農園内で消費されている。
自給自足がそもそもの目的で作った農園なので特に問題はない。
夏にはいろいろな野菜が収穫されるだろう。




