子供たちに洗礼の儀式を
翌日、家畜を連れてジャックさんがやってきた。
家畜は牧場の囲いの中に放った。
のんびりと草を食べている。
なんか癒されるねぇ。
「トリの方はもう少々お待ちください。数日後には到着すると思いますので。」
「了解です。あと、収穫するまでしばらくはかかると思いますのでそれまで野菜の配達をお願いします。」
「了解しました。」
ジャックさんが帰ったあと、動物たちの寝床となる小屋を作った。
数日後に届くということなので鳥小屋も作った。
加工場も建屋だけは作っておいた。
昼食を食べていると最初の少女リンが近づいてきた。
「アオイさん、ここに連れてきてくれて本当にありがとう。あの時は騙すとか言ってごめんなさい。」
「良いんだよ。君が今幸せを感じてくれていることが俺の喜びだ。」
不意にリンを鑑定してみた。
*ステータス
名前: リン
称号: 孤児
職業: なし
性別: 女
年齢: 12歳
レベル: 1
状態: 健康
スキル
精神耐性、農業
数日の農業体験をしただけでスキル《農業》を獲得したようだ。
さすが神の加護を得た土地なのだろう。
成長促進が働いているようだ。
それよりも職業が与えられていないということは洗礼の儀式を受けていないということだろう。
他の子を見てもみな職業を持っていない。
親もおらず、儀式を受ける余裕もなかったのだろう。
「みんな、今日の午後のお仕事は無しだ。これから洗礼の儀式を受けてもらう。そのあと、ちょっと魔物を狩ってもらってレベルを5まで上げてもらうからね。ご飯が食べ終わったものから隣の教会に向かってくれ。」
俺は先に教会に向かいケートさんに説明した。
「わかりました。私が見届け人の役目をいたします。」
「お願いします。あ! 神様もお願いしますね。」
『わかっておる。』
最初に現れたのはリンとリンの兄のケントだった。
まずはケントからだ。
「あなたはどんな未来を望みますか?」
「俺は妹、そしてみんなを守れる強さが欲しい。」
「わかりました。ケント君、神に祈りなさい。」
ケントが祈ると天から光が差し、ケントを照らした。
*ステータス
名前: ケント
称号: 孤児、リンの兄
職業: 戦士
性別: 男
年齢: 14歳
レベル: 1
状態: 健康
スキル
精神耐性、農業、剣術
「ケント君は戦士の職業を得ました。スキル《剣術》を持っていますので剣の稽古をすると良いでしょう。」
「ありがとうございました。」
次はリンだ。
「あなたはどんな未来を望みますか?」
「私はみんなを癒せる力が欲しい。」
「わかりました。リンさん、神に祈りなさい。」
リンが祈ると天から光が差し、リンを照らした。
*ステータス
名前: リン
称号: 孤児、ケントの妹
職業: 回復師
性別: 女
年齢: 12歳
レベル: 1
状態: 健康
スキル
精神耐性、農業、光魔法
「リンさんは回復師の職業を得ました。光魔法の適正を持っています。回復魔法の練習はもちろん、魔力量を増やす努力をするように。魔力枯渇で回復できなくなってしまっては助けられなくなってしまいますからね。」
「儀式が済んだら農地の奥にあるダンジョンに向かうよ。着いてきてね。」
儀式の終わった5人を連れてダンジョンへ向かった。
途中、畑をみるともう芽が出ていた。
ダンジョンは入り口に門が出来て小綺麗になっていた。
中もちゃんと照明があり、以前のように真っ暗ではない。
『メイプル、スライムを出してくれ。』
無数のスライムが出現した。
スライムは無抵抗にポヨポヨしているだけだった。
「この短剣を持ってスライムの核を突き刺してね。」
交代で次々とスライムを倒していく。
1人当たり15匹のスライムを狩るとレベルが5になった。
ここにも成長促進が働いてるようで得られる経験値が多い。
これでHPやMPが上昇したので職業を生かしたスキルも使えるようになるだろう。
全員に職業を与え、レベル5に上げ終わるともう外は暗くなっていた。
孤児院の子供たちは生活にも慣れ順調なので久しぶりに自宅に戻ることにした。
「母さん、ただいま。」
「あら、アオイ。孤児院の方はもう大丈夫なの?」
「うん、順調だよ。それより、ソフィアは?」
「あなたは本当にシスコンね。ソフィアならもう寝たわよ。最近、マリーさんが忙しくて遊んでもらえないから拗ねてたわよ。」
「そうですか。俺のことは何も言ってなかったんですね。いつものことなのでいいです。」
「ところでアオイ。そろそろ私たちは故郷に戻りたいのだけれども護衛してもらえないかしら?」
「そうですね。そろそろ父さんが寂しがるでしょうね。では、明日帰りますか。」
「随分と急ね。孤児院を放置して大丈夫なの?」
「Roomもそうですが、明日やることも含め父さんには内緒にしてくださいね。父さんにバレると政治的に利用されてしまうので。」
「確かにそうね。内緒にすると誓うわ。明日起こることが楽しみで寝れないじゃない。」
「明日の夕方帰省ということで姉さまとソフィアにも準備させてください。」
「わかったわ。でも、まだエミリーは起きてるから直接話してきたら?」
姉さんの部屋に向かった。
「あら、アオイ。なんかアオイが有名になっちゃって、姉さん寂しいわ。」
「姉さま、明日の夕方に帰省するので準備しておいてくださいね。」
「随分と急ね。どうしたの?」
「母さんがそろそろ帰りたいそうです。それと姉さまに面白い情報を教えてあげます。」
「え? 何かしら?」
「俺が作った孤児院の場所が聖域になってしまったのです。神の加護が働いているのですよ。成長促進が働いていてスキルの獲得やレベルアップが早いんです。」
「え! そんな場所があるの! 私は帰らないわよ。研究者としての血が騒ぐわ。」
「じゃあ、姉さまに孤児院のオーナーを任せていいですか?」
「お仕事があれば結婚結婚言われないし、実家に帰る必要もなくなりそうね。良いわよ。オーナーになってあげるわ。」
「ありがとうございます。姉さまなら安心して任せられます。このままでは孤児院が心配で旅にも出れないので悩んでました。ちなみに敷地内にダンジョンもありますよ。しかも、ダンジョンマスターと話もできます。」
「なんですって! ダンジョンの謎も解明できるじゃない! 私にとって天国よ。長いエルフの寿命をかけて研究できそうだわ。」
「とりあえず、一旦帰って父さんの許可をもらいましょう。姉さまだけには先に教えてしまいますが、明日ゲートの魔法を使う予定です。」
「あなた、あの伝説の魔法ゲートも使えるの! 私は弟の研究もしなければならないわ。楽しくなってきたわ。」
興奮気味の姉さまを残してRoomに戻った。




