舞踏会
スラム街の子供たちへの炊き出しとギルドの依頼をこなしていると
あっという間に2週間が過ぎた。
そう、今日は姉さまのお婿さんを見つける日です。
「姉さま、気分はいかがですか?」
「みんなには悪いんだけど、私はまだ結婚の意思はないわよ?」
「そんなことを言わずに、相手が見つかったら気が変わるかもしれないですよ。」
渋々、俺がプレゼントしたウェディングドレスを身に着けた。
「姉さま、綺麗ですよ。」
「そお? ありがとう。」
アクセサリーも装着し、いざ出陣!
母さんは、いつも着ているパーティドレス。
ソフィアは、マリー作のドレスを着ている。
会場に到着すると姉さまとソフィアがご令嬢に囲まれた。
ちょっと待った!
殿方の注目ではなく、ご令嬢の注目を浴びてしまったのだった。
その勢いに負けて殿方は遠ざかる。
逆効果じゃないか!
母さんもオドオドしちゃってるし、どうしたら良いのか。
そこに現れたのが王妃キャサリン様。
「はいはい、皆さん落ち着いて。エミリーとソフィアを開放してちょうだい。」
ありがとう、キャサリン伯母様。
開放されたが、もうグッタリしている2人。
「皆さん、紹介するわね。私の姪にあたるエミリーとソフィアよ。辺境伯ハワード家の娘なのだから失礼の無いようにね。」
取り囲んでいたご令嬢たちが1歩下がった。
これでもう囲まれることはないだろう。
珍しいドレスとアクセサリに目が眩んで大変なことをしてしまったと反省しているようだ。
母さんも加わり、一段高くなった場所でご令嬢や殿方と挨拶を交わす。
流れ作業のように挨拶しているが、まだ姉さまの目を奪う殿方はいないようだ。
挨拶が終わると本番のダンスが始まる。
流石に姉さまのウェディングドレスでは裾を引きずっているので踊れないだろう。
本来準備していたパーティドレスに着替えた。
姉さまは何を着ても綺麗です。
「エミリー様、私と踊っていただけませんか?」
「結構よ。他の方を誘って差し上げて。」
姉さま、なぜ断るのですか!
結構イケメンだったのに。
「なんかギラギラしててキモイわ。私というよりも王様や父さまとお近づきになりたいという下心が見え見えなのよね。」
「確かにそうでしょうけど、そこは割り切らないとお嫁にいけませんよ。」
「だから嫁に行く気はないと言ってるじゃないの。」
確かに姉さまの言う通り、政略結婚が目的で集まった人たちのパーティなのだろうけども。
うーん。どうしようか。言い返せなくなってしまった。
「まあ、仕方ないか。もし、姉さまがずっとお嫁にいけないときは俺が面倒みますよ。」
「嫁に行けないんじゃなく、行かないんだからね! そこ重要だから間違わないでね。まあ、その時はよろしく頼むわ。」
残念ながら今回もお婿さんは見つかりそうにありません。
一方、ソフィアは最初に囲まれた恐怖から立ち直れず、ずっと母さんの影に隠れていました。
そして、お披露目会に参加していた人もいたようで俺も一時囲まれかけましたが、姉さまが気になって聞き流してしまった。ごめんなさい。
俺には3人の嫁がいるのでもう嫁は結構です。
舞踏会の翌日、商人が訪ねてきた。
「お久しぶりです。盗賊から助けていただいたジャックです。その節は大変お世話になりました。」
あー、あの時の商人さんか。
「いえいえ。急いでいたとはいえ、置いて行ってしまったので心配しておりましたよ。無事、王都に着けてよかったです。」
「あの後は盗賊と遭遇することもなく、無事旅を終えることができました。本日は到着したご挨拶と何かお力になれないかと思って参りました。」
「今のところは大丈夫です。今後、お世話になることもあると思いますのでよろしくお願いします。」
「あと、娘がですね、アオイ様に憧れてしまったようで会いたいと申しておりまして、お店の方に遊びに来ていただけると助かります。」
10歳くらいの娘さんだったかな?
恋愛対象ではないし、まあいいか。
「わかりました。ぜひ伺います。」
ジャックさんが帰ったあと、今後のことを考えていた。
目的であった舞踏会も終わり、そろそろ父さんが待つ町に戻ることになるだろう。
スラムの件が中途半端になりそうだ。
今は支援をしているが、俺が町に戻ったらそのうち忘れられ、元の状態に戻ってしまうのではないか。
帰る前に何かしておきたい。
そろそろお金も溜まってきたし、始めるとするかな。




