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57.『初イベントだよっ!』

現実パート&説明多めとなります。

 

 

 


「はあ、まったく、大変な目に遭ったな。まさかあんな大事になるなんて思いもしなかった」



 場所は変って現実世界。

 俺は“∞”をログアウトしていた。

 さっきまで自宅のお風呂に浸かっていて、柔軟剤のおかげでふわふわに仕上がったタオルで頭を拭きながら、リビングを目指し廊下を歩く。



「いきなりあんな質問攻めされてもどうしろっていうんだよ」



 ついさっきまでプレイしていたゲームの中で、フィズを始めとする職員やちょうどその場に居合わせたNPCの人達に取り囲まれた。

 そして森で偶々遭遇したジェノザウルスというモンスターについて散々聞かれ、俺はどうしたら良いんだとオロオロするしかなかったのだ。



「なんとかリアブルさんがその場を納めてくれてから良かったけど……。あれはちょっとしたホラーだったな」



 騒ぎが大きくなると以前ロックベアー討伐の件でお世話になった、副所長のリアブルさんが出てきてNPCたちを落ち着かせてくれた。

 リアブルさんにも俺はジェノザウルスについて説明し、必要なことを全て教え終わるとそのまま解放されたので早々に宿に戻りログアウトしたというわけだ。



「あ、お兄ちゃん。お風呂上がった~?」


「ああ。お前もさっさと入れよ」



 リビングの扉を開け中に入ると、テレビの前のソファに春香がだらしない格好で座っていた。

 テレビではお笑い芸人が多数出演しているトークバラエティ番組が垂れ流しにされている。



「見てないなら消しとけよ」


「ねえねえお兄ちゃん。さっき“∞”の公式ホームページ覗いてみたら更新されてたんだけど、これ、見てみてよ」



 春香は俺の話が聞こえなかったのか、それとも無視したのか、返事をする代わりにタブレットPCを差し出してきた。

 条件反射でそれを受け取ってしまう。

 画面が暗転していたので軽くタップすると、バックライトが点灯し画面が映し出される。



「どれどれ」



 俺は映し出されていた《運営からのお知らせ》という記事を読んでみた。





 **********



《運営からのお知らせ》



 いつもVRMMORPG“∞―エンドレス―”をプレイして頂き誠にありがとうございます。

 本日はプレイヤーの皆様にゲーム内で行われるイベントについてお知らせ致したします。



 イベント名 【森の中の死闘】


 開催期間 ○月×日(◇)AM10:00 ~ ○月△日(☆)PM23:59 まで


 開催地 第二の街ヴァイス及び近郊の森


 参加条件 無条件(どなた様でもご参加頂けます)



《運営陣よりコメント》


 VRMMORPG“∞―エンドレス―”がスタートし、今回は初のイベントとなります。

 イベントは【森の中の死闘】という名前に『(たたか)う』という文字があるので想像が付くと思いますが、戦闘討伐系イベントとなります。

 プレイヤーの皆様には協力プレイを楽しんで頂けると嬉しいです。

 なおイベントの詳細については別途専用のページを開設しましたので、そちらの方をご覧ください。

 では、今後もVRMMORPG“∞―エンドレス―”のことを、よろしくお願いします。



 **********





「読み終わった?」


「ああ、ちょうどな」


「初イベントだよっ! 腕が鳴るよねっ」



 春香に聞かれた時にちょうど最後まで読み終えた俺は、タブレットPCを春香に返す。



「ただこれだけだとイベントがどんな内容なのかいまいちわからないな。戦闘って事はモンスターと戦うのかな?」


「ん~、どうなんだろう。もしかしたら悪党を倒すようなイベントかもよ。特設ページにはその辺について触れてなかった」



 そう言われて俺はフォートからヴァイスへ向かう途中、NPCの盗賊たちに襲われたことを思い出していた。



「そうか、そういう場合もあるのか。それで?」


「ん? なに」


「イベントだよ。お前はこのイベントどうするんだ?」



 俺がそこまで聞くと春香はガバッとソファから立ち上がり、声高らかに宣言した。



「もちろん参加するに決まってるでしょ! だって初イベントだよっ、初! 参加しないなんて選択肢を選ぶなんてあり得る!? いやありえないでしょ!」


「お、おう。そう、か」



 春香はまだお風呂に入っていないはずにもかかわらず、頬を上気させつつビシッという効果音が背後に見えそうなポーズを取り、右手の人差し指を伸ばし俺の鼻っ面へと突きつける。

 興奮の余り変な反語まで使っていた。



「今回のイベントは討伐目標は公開されてないけど、特設ページに色々書いてあったから。えっと――はいこれ! お兄ちゃんも読んでおいてね!」



 タブレットPCの画面を何度かタップし、再び俺に手渡す春香。



「じゃあ私はお風呂入ってくるね」


「ご、ごゆっくりー……」



 そう言い残して春香はリビングから出て行く。

 トットットという階段を登る音が聞こえるので、着替えを取りにいったん部屋に戻ったのだろう。

 俺はさっきまで春香が座っていたソファに腰を埋め、手元のタブレットPCを読むことにした。




 **********



 イベント【森の中の死闘】特設ページ!



 ~STORY~


 最近ヴァイスの街近郊の森に異変が起きている。

 今まで存在していなかった『黒い影』が森を徘徊しているらしい。

 黒い影の目撃者から話を聞くと、街の人々は口を揃えてそんな馬鹿な、何かの間違いじゃ、と疑い間違いであって欲しいと願ってしまう。

 いったい黒い影の正体とは………。





《イベント特別ルール》



 1)今回の【森の中の死闘】期間中、ヴァイスの街近郊の森は一部が特異空間となります。

 一度森の中に入りますとイベントをクリアするか、死亡しない限り森への出入りは出来なくなりますのでご注意ください。

 ※もちろん通常通りの森もありますので、イベントに参加しない方も安心して森の探索をすることが可能です。



 2)森に足を一歩踏み入れると数十倍という広さとなり、マップも通常の物からイベント専用(特異空間用)へと切り替わります。

 なお特異空間でもマッピング機能はありますので、二度目以降は通常のマップ同様に一度探索した場所に関しては表示されます。

 ※森の広さは同じタイミングで森に入っている、全プレイヤー数に比例して広くなります。

 


 3)森の出入口は一カ所のみで共通ですが、出入り口を超えた先はランダムで転移されます。

 したがってマッピングしていない場所に転移されることもありますのでご了承ください。

 ※転移はPT単位で行われますので、もしフレンドの方などと一緒に参加したい方は、PTを組むことを強くお勧め致します。



 4)森の中では他のプレイヤーと遭遇する可能性があります。

 その場合協力するしないは皆様の自由ですが、他のプレイヤーの方に対する悪質な行為は厳正に処罰致しますので、ご遠慮くださいますようお願い致します。

 ※処罰対象の詳細につきましては、ハラスメント行為について、のページをご参照ください。



 5)森の中で遭遇する全てのモンスターは、PTの人数が増えるにつれて強さが増していきます。

 これはPTを組んでいない他のプレイヤーと協力し、モンスターと戦う場合も適用されます。

 ※一体のモンスターと戦えるプレイヤーの最大人数は十二名(二PT)となります。

 したがって十三人目が攻撃を加えた場合、その攻撃は無効となりモンスターには一切影響を及ぼしません。



《イベント報酬》



 今回のイベントでは戦闘終了後のドロップアイテムに、イベント限定レアアイテムがドロップする可能性があります。

 全ての戦闘にこれは適用されますが、レアアイテムのドロップには確率がありますので、ドロップしない場合も十分考えられますのでご了承ください。



 さらにプレイヤーの皆様の戦闘結果により、イベント終了後運営よりプレゼントをお送りさせて頂きます。

 戦闘結果とは特異空間内で特定の対象を討伐した数のことを指します。

 討伐数のカウントは特異空間マップの下部に表示されます。

 


 レアアイテムならびにプレゼントの中身につきましては、シークレットとさせて頂くため事前告知は致しません。

 気になる方は是非イベントに参加し、実際に手に入れご自分の目で確かめてください。



 **********





 重要な説明はこんなところだ。

 あとは定型文的な利権に関する文章や、規約の文章が延々と続く。

 大体必要な情報を得ることが出来た俺は、そっとタブレットPC側面に付いている電源ボタンを長押しし電源を落とした。



「【森の中の死闘】か。一回くらいは挑戦してみようかな」



 俺はこの時そこまでイベントに執着するようなことはなかった。

 とりあえずちょうどゲームの中でヴァイスの街にいるし、様子見がてら顔を見せる程度としか考えていなかった。

 だがそれも長くは続かないことになる。



 全ては次に俺がログインした時、ガルムさんからの指名依頼を確認したことが発端となるのだった。





お読み頂きありがとうございます。


目をショボショボさせ半分寝ながら書きました……。

イベントの説明文は後日訂正が入る可能性があります。

そして次話はまたゲームパートに戻ります。

イベント開始です。

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