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46.「見事なもんじゃろ?」

当作品のお気に入り登録者数が400を超えました!

ありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。


※誤字修正・加筆5/10 5/11

 

 

 

「とりあえず、というわけじゃないが。今すぐこの場で用意出来る物を見せてやろう。ちょっと待っておれ」



 ガルムさんは店番をしていた弟子を大声で呼んだ。

 弟子の人の『はーい』と返事が聞こえてきた。

 


「なんでしょう」



 ほどなくして先程の男性が部屋にやってきた。



「おう、儂の倉庫からこれに書いてある防具一式と槍を持ってこい。コイツに見せるからの」


「わかりました」



 ガルムさんはいつの間に用意していたのか、一枚のメモを取りだし弟子の男性に手渡す。

 そして男性はメモを片手に再び扉の向こうへと姿を消した。



「さっき『儂の倉庫』って言ってましたけど、あっちの店頭に飾ってあるのは?」


「あっちのも儂が作った歴とした作品じゃが、生産性を優先した物での。どうしても丹精込めて作った物には性能の差が出てしまうんじゃ。もっとも、それでもそんじょそこらの代物よりは良い出来だと自負しておるがの」



 どうだと言わんばかりに胸を張って言い切るガルムさん。

 その姿からは自信に満ちあふれているように見える。



「お前さんにはそれなりに良い物を見繕ってやったつもりじゃから、楽しみにしておけ」


「ありがとうございます。楽しみです」



 ガルムさんが俺の事をここまで気にかけてくれてるのは、きっとワルターさんにもらった紹介状のおかげだ。

 ワルターさんには感謝しないとな。



 それからしばらくして部屋の扉が開き、先程の男性が顔を覗かせる。

 男性は一度扉を全開まで開けると通路へと戻り、一抱えほどの木箱を小さな手押し車に乗せ再度部屋に入ってきた。



「お待たせしました」


「なんじゃ? 思ったより時間が掛かったの」


「なかなか言われた物の現物が見つからなくて。――誰かさん(・・・・)が倉庫の整理をいつまで経っても一向にしてくれなかったせいで」


「う、うぐぅ」



 弟子の小言がガルムさんに見えない棘として突き刺さる。

 二人の関係は師弟とのことなので、勝手にガルムさんの方がヒエラルキーが強いと思っていたが、男性の方も以外とやるようだ。

 男性は本気でガルムさんを糾弾するつもりは最初から無かったようで、『今度近いうちに整理して下さい』と言ってこの話題にピリオドを打つ。

 


「ほっ」



 弟子の男性を見ていた俺の視界の隅では、ガルムさんが胸に手を当て一安心していた。



「まず、コレの中身は防具です。槍の方は通路に用意してあるので、今部屋に入れますね」



 ずっと持ちっぱなしだった取っ手を床に下ろし、再び通路へと出る男性。

 次に部屋に入ってきた時、男性は数本の槍が固定されている台ごと部屋に戻ってくる。

 槍は理科の実験で試験管を刺して置いておく、あの木製の台を大きくしたような物だった。 



「槍はどれという指定がなかったので、とりあえず目に付いた物を一通り持ってきました」


「ご苦労じゃった。もう店の方に戻ってよいぞ」



 ガルムさんの言葉を聞いて部屋をあとにしようとする男性に、俺は慌ててお礼を言った。

 男性は気にしないで下さいと言い残し、部屋をあとにした。

 部屋には俺とガルムさん、そして防具が入った木箱と数本の槍が残される。



「さてと。まずは防具の方からじゃ」



 二人で木箱のところまで移動し、ガルムさんが蓋に手をかける。

 ギシッと木が擦れる音が一瞬鳴り、木箱の中が白昼に晒された。



「どうじゃ見事なもんじゃろ? こいつは【ブルーライトクリスタル】をメインの素材に使って作ったんじゃ。差し詰めこいつは【ブルーライトクリスタルアーマー】と言ったところかの」



 ガルムさんが木箱の中に頭から上半身を突っ込み、パーツごとに防具を取り出して見せた。



「っ! す、スゴイですね」



 取り出された防具は全体的に青色で、所々、縁の部分や固定具を通す穴などの部分が白色になっている。

 そして所々から布の切れ端のような物が垂れ下がっていて、その布は綺麗な紫色をしていた。

 


 今まで使っていた【足軽】の装備が剣道の防具みたいな見た目で、少し大きめだった感があったのに対して、今目の前にあるこれは無駄を省いて体にフィットさせるようなスマートな感じだ。



「見てわかる通りじゃが、お前さんが使っておった【足軽】装備よりも防具の厚みが薄くなっておる。その分防具自体の重量はかなり軽くなっておるのじゃ。じゃが安心せい。薄くなったと言ってもこの防具に使った【ブルーライトクリスタル】には、周囲の魔力を取り込み外から衝撃が加えられると取り込んだ魔力を使って衝撃を和らげる、という性質があるんじゃ。じゃからコイツは物理的な攻撃に対しては、見た目と違ってかなり優秀なんじゃぞ」



 ガルムさんは手にした腕部分の装備を叩きながら説明する。

 俺も防具に手を伸ばし、ガルムさんと同じように腕部分の装備を手に取った。



「うわ、本当に軽い。見た目よりもかなり軽く感じます」



 予想以上の軽さに驚くと、ガルムさんは笑顔でそれも眺めていた。

 驚いた俺の顔を見られていたことに気が付き、オタオタと平静を装おうとする俺を後目にガルムさんは口を開く。



「それと、コイツの追加効果は『物理攻撃耐性アップ』と『魔力回復率アップ』じゃ。物理攻撃の方はさっき説明した素材の特性じゃな。魔力の方は防具の裏に使った生地に【ドレインフラワー】という、魔力を蓄える性質を持つ花から取った染料を染み込ませているからじゃ。じゃからほれ、生地は元々白かったんじゃが紫に染まってるじゃろ? コレを使ったのはブルーライトクリスタルの性質で言ったと思うが、その性質のせいで減る使用者の魔力を補うためじゃ。本当はモンスターの毛皮なんかを使いたかったところじゃがな」



 紫色の布の正体は【ドレインフラワー】という花から取った染料だった。

 俺の頭の中では紫色のチューリップみたいな花が思い描かれている。



「そういえば聞き忘れておったが、お前さんは【鑑定】スキルは持っておるか?」


「【鑑定】ですか? いえ、残念ですけど持ってないですね」


「そうか。ならもしかすると【足軽】の方の性能も数値では知らんのか?」



 俺は頷いて肯定する。



「じゃあ儂が鑑定で見た結果を教えといてやろう。その方が【足軽】とこいつの性能の違いがわかりやすいじゃろ」



 ガルムさんはサラサラっとペンで紙に書き込む。

 そして『ほれ』と書き終わった紙を俺に差し出す。



【足軽】(全身装備時)


 防御力 +15


 追加効果 『装備重量軽減』 『クリティカル発生率アップ【槍】』


 鉄板と木材を使って作られた防具。

 槍を使用する者向けかつ初心者向け。


 ※“∞”初回無料プレゼント。

 ※メンテナンスフリー(破壊不可)



【ブルーライトクリスタルアーマー】(全身装備時)


 防御力 +30


 追加効果 『攻撃耐性アップ【物理】』 『魔力回復率アップ【×1.1】』


 耐久値 100%


 ブルーライトクリスタルという魔石をふんだんに使って作られた防具。

 使用者の魔力を代償として物理的な衝撃を緩和する。

 上記の特性は常時発動。



 なんと、防御力が初期装備の二倍になっていた。

 それに加えて物理攻撃に対しての耐性もアップしていて、これはかなり高性能なんじゃないか?

 他の人の装備とかを見たことがないから、何とも言えないけど。



「とまぁ防具に関してはこんなところかの。それじゃあ次は槍じゃ」



 俺はブルーライトクリスタルの防具も名残惜しかったが、それ以上に興味が勝り槍のところへ足を進めた。



「ちょっと待っておれ」



 ガルムさんは数本ある槍の中から二本手に取り、交互に見比べていたかと思うとその内の一本を俺に差し出した。



「試しにコレを持ってみるんじゃ。軽くなら振っても良いぞ」



 俺は両手の掌を上にして槍を受け取る。

 すると、今まで使っていた槍とは違い金属特有の冷たい感触と、重さが掌に伝わってきた。



「じゃあちょっとだけ振らせてもらいます」


「あぁ」



 ガルムさんに断ってから槍を自分なりに構えてみる。

 現実の俺はこんな構えなんて知らないけど、ゲームでは【槍】スキルを取っているおかげなのか、考えることなく自然と体が動く。

 そして一回、二回、三回と正面の空いたスペースに向けて突きを繰り出す。

 右へ左へ、上へ下へ、正面へと一通り槍を振って動きを止めたところで、次の槍が手渡された。



「次はこれじゃ。同じように好きに振ってみてくれ」



 俺は今まで振っていた槍をガルムさんに返し、次の槍を受け取った。



「……ん、なんだ?」



 二本目の槍を受け取った時に、妙な感覚が俺の首筋を刺激した。

 冷蔵庫の扉を開けた時に感じる冷気というか、ストローを使って息を吹き付けられる感覚というか……。



「お前さんにはそっちの方がいいみたいじゃな。儂もそっちの方が合っておると思うぞ」


「俺に合ってる? この槍がですか。でも、なんでそんなことがわかるんですか?」


「うーむ……言葉では表現しづらいんじゃが、長いこと鍛冶をやっておると何となく勘でわかるんじゃよ。どの武器がどいつに合っておるのか」



 これは職人さん特有の感覚というやつなんだろうか?

 テレビとかで時々クローズアップされる、その道の達人って紹介される人が似たようなことを言ってた記憶がある。



「――ほれ、これがそいつの性能じゃ。一応お前さんが今まで使っておった物の性能も書いておいたぞ」



 俺が手の中にある槍を見ていた隙に、ガルムさんは【鑑定】スキルを使って槍の性能を書いて寄越した。

 


【初心者の長槍】


 攻撃力 +7


 効果 ―――


 一般的な長槍。

 矛先は鉄で柄は堅い木から作られている。


 ※“∞”初回無料プレゼント。

 ※メンテナンスフリー(破壊不可)



偃月槍(えんげつそう)


 攻撃力 +18


 効果 『スタミナ-1』


 耐久値 100%


 偃月刀に似た形状の矛先を使用した槍。

 突くだけでなく薙ぐことも出来る。

 通常の槍よりも矛先に重量が寄っているため、攻撃力は上がるが取り回しに癖がある。



 防具の性能が二倍になっていたのにも驚いたが、武器に至っては約三倍近く性能の数値が上がってた。

 ただ攻撃力が上がった反面、スタミナが減ってしまうようだ。




お読み頂きありがとうございます。


やっと新装備の紹介が出来ました。

今まで武具の性能面の表現がなかったのは、鑑定していなかったからです。


また今回登場した武具は、現在のところ(第一の街フォート、第二の街ヴァイスまで)はゲーム内でNPCから入手出来る最高ランクの装備となっております。

プレイヤーが作った装備はもう少し先になりそうです。

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