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27.「……また、ね?」

4月に入って初めての更新です^^

もっとサクサク書けたらいいな~。

なんで1日は24時間しかないんだろう?


※予約投稿している時点(2日17:07)で、いつの間にか本作品のお気に入り登録者数が170を越えていました!

本当にありがとうございますm(_ _)m

そしてこれからもよろしくお願いします!


 

 

「じゃあお邪魔しました」



 お詫びの品をもらって、俺はこのくらいでお暇させてもらうことにした。

 その旨を伝えるとメレディアン家当主代理の女の子セサラ、同家執事長のワルターさん、同家メイド長のルーシアさん、そしてメイド兼セサラの護衛を務めるというセレスティさんの四人が、わざわざ外に出てまで見送りをしてくれた。

 

 今になって初めて屋敷の全貌を外から見ることになったのだが、予想通りメチャクチャでっかい建物だった。

 門の所なんて門番が左右に二人立っていて、さらに交番みたいな小さな建物まで設置されている。



「ぜひともまたお越し下さい。この度はご用意出来ませんでしたが、その時はお食事でもいかがでしょう? 当家のシェフの料理は絶品だとお越し頂いたお客様方から、お褒めの言葉を頂いております」



 ワルターさんが俺にそう話しかけてきたので、俺は『その時はぜひ』と曖昧に答えておいた。

 それでも満足だったのか、ワルターさんは笑顔で受け止めてくれた。



 クイクイ、クイクイ。



「……また、ね?」



 セサラが俺の服を掴んで見上げるようにしながら言った。



「ああ、また今度な」



 俺は彼女の頭をポムポムと軽く叩く。

 そしてメレディアン家の屋敷に背を向けて、その場をあとにする。

 途中何度か振り返ってみたが、セサラ以外の三人はずっと頭を下げて見送ってくれていた。






 *********



 イオ様がお帰りになるのをお見送りして、そのお姿が見えなくなるのを確認してから頭を上げる。

 わたくしとルーシアがほぼ同じタイミングで上げ、その雰囲気を感じ取ったセレスティが遅れて上げた。

 


「それでは執事長、私は仕事に戻らせて頂きます」



 ルーシアは残していた仕事を終わらせるために屋敷に戻っていった。

 我が娘ながら、仕事にストイックな姿勢がにじみ出ていますね。



「お嬢様。お屋敷の中に入りましょう」



 セレスティがセサラ様を促してルーシアに続いて屋敷に戻ろうとしているようでした。



「………」



 ですが、セサラ様はその場から動こうとせず、ただただイオ様が去っていった方向を見続けているばかり。



「お嬢様はそんなにイオ様が気に入ったんですか? 確かに、良い人でしたね。……ぼそぼそぼそ(あんな事しちゃった私のことも、笑って許してくれたし)」 

 


 セレスティはわたくし達に聞こえないよう小さな声で言ったつもりでしょうが、わたくしの耳にはちゃんと聞こえています。

 やれやら、まだまだメイドとしてもセサラ様の護衛としても精進が足りないようですね。

 幼馴染み気分が抜けきっていないのでしょう。



「セサラ様、イオ様は『また来る』とおっしゃっていましたから、また会う機会は必ずありますよ」



 わたくしの言葉を聞いて、セサラ様は振り返り視線が合いました。

 どこまでも真っ直ぐ澄んでいて、濁りなど一片も見受けられない綺麗な瞳。

 いつまでもそのままでいてもらいたいと、使用人ながら思ってしまう今日この頃です。



「お茶、教えて」



 セサラ様が一言わたくしにそう言いました。

 考えるまでもなく、お茶の淹れ方を教えてと言うことでしょう。



「どうしたんですか? 今まで一度もそんなこと言ったことなかったのに」



 相変わらず砕けた口調で質問するセレスティには、ちょっとこのあとで再教育が必要かもしれませんね。

 もちろん、ルーシアメイド長の力も借りて。



「お茶、飲ませて、あげたいの」



 そう言ってまたイオ様が去っていった方向を見つめるセサラ様。



 おやおや、どうやらイオ様のことを本当に気に入ったようですね。



「それではさっそく、本日からお茶のお稽古を始めましょうか? 使用人の中で一番お茶を淹れるのが上手いのはメイド長です。わたくしからメイド長に申しつけておきますが、いかがいたしますか」



 セサラ様は少し考える素振りを見せましたが、すぐに返事をなさいました。



「……ん。すぐに、始めたい」



 あまり稽古事に精力的ではないセサラ様を知っている者からしたら、これは周囲が驚くような進歩でしょう。

 思わず破顔して『かしこまりました』と言ってしまいました。



「お嬢様! 頑張って下さい! 私も応援してますからねっ」


「――良い機会です。セレスティ、アナタも一緒にメイド長に鍛えてもらいなさい」


「えっ!? なんでですか執事長!」


「問答無用、ですよ」


「そんなっ、メイド長のしごきって本当に大変なんですよ! あれ、ちょっと、なんでなにも返事してくれないんですかー!」



 慌てるセレスティを置いて、セサラ様と共に屋敷へ戻るため足を進めていると、セサラ様が小さく気合いを入れるように手をギュッと握りしめていました。



 ―――わたくしは応援致しますよ、セサラ様。



 これからの段取りを頭の中で考えつつ、屋敷の扉に手をかけた。



 ………………。

 …………。

 ……。

 


 *********







 屋敷は北広場のさらに奥まったところにあった。

 いわゆる一等地と言った場所だったようで、高級感溢れる町並みと住人のNPCが見て取れた。

 俺はとりあえず一番近い北広場に向かうことにして、マップを確認しながら歩いていた。



「えーっと、シャロンシャロン――あったあった。《コール:シャロン》」



 そんな俺はステータスを開いてシャロンにコールをかけていた。

 さっきお詫びの品としてもらった手紙にあった、『第二の街ヴァイス』について聞くためだ。



 プッ、プッ、プッ、プッ、プッ、―――。



「……うーん、繋がらないな」



 どうもシャロンはログイン自体はしているようなのだが、忙しいのか俺のコールにでる気配がしなかった。

 仕方がないのでコールを切る。

 コールには現実の電話にあるみたいに、着信履歴を見る機能がある。

 なので俺からのコールがあったって気が付いたら、シャロンの都合が良い時にあっちからまたコールし直してくるだろう。



「他の誰かに……は、聞けないよな」



 俺のフレンド登録者数は三人しかいない。

 シャロン(俺の実の妹)、セイ(妹の友達その1)、マリエル(妹の友達その2)だ。



 シャロンはコールに出なかったし、セイは俺と同じでこの“∞”初心者だから聞いてもわからないだろう。

 最後の頼みはマリエルさんだが、正直一度あっただけの間柄なので、気軽にコールするというのは気が引けてしまう。



 ではどうしようか、という問題なのだが―――。



「そうだ、クエスト発行所に行ってみよう。あそこならいろんな情報があるはずだ」



 クエスト発行所というのは正式名称なのだが、プレイヤーからは通称『冒険者ギルド』と呼ばれていて、正式名称よりも通称の方が広まっているという逆転現象が起きている。

 俺もそれに習ってこれからはクエスト発行所のことを、冒険者ギルドと呼ぶことにしよう。



 冒険者ギルドでは正式名称の文字通りクエスト――多種多様な任務の依頼書を紹介していて、その任務内容をこなすことで報酬を手に入れることが出来る、らしい。

 


 らしい、という理由は、俺はシャロンから知識として教えられただけで、まだ一度も実際に行ってみたことがないからだ。



「そうと決まれば行ってみるか。場所は――」



 ステータスからマップを開き、場所を確認する。

 どうやら冒険者ギルドがあるのは、今俺が向かっている北広場と中央広場とを繋ぐ通りの途中にあるみたいだ。



「どうせだからナビを使ってみるかな」



 俺はウィンドウで表示されている地図上で、目的地の冒険者ギルドの場所をタッチする。



《【クエスト発行所フォート支部】へのナビゲーションを開始しますか? Yes/No》



 するとナビを使うかと聞かれたので、Yesをタッチした。



《ナビゲーションを開始します。頭上に現れる矢印に従って移動して下さい》



 言われて上を見てみたら、黄色い矢印が前方斜め上に浮かび上がっていた。

 なるほど、こんな風にナビされるのか。

 ただ俺の車に積んでるカーナビとは違って、音声案内や目的地まであと○○○メートルみたいな表示はないみたいだな。

 


 俺は矢印が指し示す通り、目の前に続く通りを進み始めた。





お読み頂きありがとうございます!


ようやく主人公が冒険者ギルドへと向かいました。

そして、ここから物語はバトル方向へと推移します。

熱い展開にしようとあれこれ考え中ですので、少々お待ち下さい。


次話もよろしくお願いします^^

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