↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
勇者になりたいのに賞金首になっちゃったボク ~人助けするたびに、懸賞金と仲間が増えていく~ バンディット!!  作者: ちゃんなか
相対する転生者達――グリングリン・ロッジ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/87

第39話 “もし……転生したら……?”

 ~グリングリン・ロッジ編、開始~

 ――都会の喧騒(けんそう)から少し離(はな)れた、白い建物の屋上。


 風を遮(さえぎ)るものはなく、快晴(かいせい)の陽ざしがまぶしいほどに降(ふ)り注(そそ)いでいる。

 けれどそこは、どこか寂(さび)しく――まるでこの世から切(き)り離(はな)された箱庭のようだった。


 フェンスの外には、ビルの群れが立(た)ち並(なら)び、道路を行き交う車の音が、遠くでかすかに響(ひび)いている。

 屋上の隅(すみ)では、古びた室外機がゴウン……ゴウン……と規則的(きそくてき)な唸(うな)りを上げていた。

 その音だけが、時間がまだ動いていることを教えてくれる。


 外の世界から見れば、ここはきっと〝透明(とうめい)〟だ。

 誰(だれ)の視線(しせん)にも映(うつ)らず、誰(だれ)の記憶(きおく)にも残らない。



 そんな孤独(こどく)を抱(かか)えた、少年少女が屋上に佇(たたず)んでいた。



 少年は青色の病衣(びょうい)を、少女は淡(あわ)い緑の病衣(びょうい)を身に纏(まと)っていた。

 どちらも少し大きめで、袖口(そでぐち)から細い手首がのぞいていた。


 少女は長い栗色(くりいろ)の髪(かみ)を風に遊ばせながら、屋上のフェンスの前に立つ。

 眩(まぶ)しさに目を細めつつも、その緑の瞳(ひとみ)は遠くの街を見つめていた。

 そこにあるのは羨望(せんぼう)――そして、届(とど)かないという現実(げんじつ)の影(かげ)。

 少年はその背中(せなか)を、ただ黙(だま)って見つめていることしかできなかった。


 沈黙(ちんもく)が長く続いたのち、ようやく風に混(ま)じって落ちた声は、少女のものだった。


「……たった、〝一度きりの人生〟……」


 短い言葉。

 けれど、その響(ひび)きには、彼女(かのじょ)がどれほどその意味を考え続けてきたかが滲(にじ)んでいた。


「〝だから好きなことをしなきゃ〟とか〝夢(ゆめ)をかなえなきゃ〟〝やるべきことをやらなくちゃ〟……とか、続く言葉は星の数ほどあるけど……」


 少女の声は明るいが、そこにはどこか愁(うれ)いも滲(にじ)んでいた。


「そんなコトを言える人は、きっと……このフェンスの外側で、〝自由に生きてる〟人達なんだろうな……」


 呟(つぶや)く彼女(かのじょ)は笑顔を浮(う)かべていた。

 けれどその顔は、陽光を受けながらも今にも泣き出してしまいそうだった。


 少年は一歩踏(ふ)み出(だ)し、何か言おうと口を開く――が、言葉が見つからない。


 そんな彼(かれ)の気持ちを察したのか、少女は静かに振(ふ)り返(かえ)る。

 そして、目を細めて微笑(ほほえ)んだ。


「ねえ、〝ロマ〟……キミはさ――」


 風の音の中、優(やさ)しく、けれど少し震(ふる)える声が届(とど)く。


「――もし、〝生まれ変わる〟なら――〝ナニ〟になりたい?」



 その言葉は、白い屋上の空に溶(と)けていった――

 よければブックマーク、評価等で応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。