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勇者になりたいのに賞金首になっちゃったボク ~人助けするたびに、懸賞金と仲間が増えていく~ バンディット!!  作者: ちゃんなか
異世界の夜明け!ヤマモモ村編

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第38話 “勇者になりたいのに賞金首になっちゃったボク”

 ――ミヤコとタイガがヤマモモ村を出発する3日前。


 王都朱円(シュエン)。

 その中心にそびえ立つ〝煌霞城(こうかじょう)〟内にて。


 城内へ足を踏(ふ)み入(い)れて、まず目に飛(と)び込(こ)んでくるのは、鮮烈(せんれつ)な紅(くれない)の色彩(しきさい)だった。

 深紅(しんく)の絨毯(じゅうたん)が王の間へ続く回廊(かいろう)をまっすぐに貫(つらぬ)き、漆黒(しっこく)の石床(いしゆか)に鮮(あざ)やかに映(は)える。

 朱塗(しゅぬ)りの柱には金箔(きんぱく)が施(ほどこ)され、龍(りゅう)や鳳凰(ほうおう)の意匠(いしょう)が精緻(せいち)に彫(ほ)り込(こ)まれている。天井から垂(た)れ下(さ)がる赤絹(あかぎぬ)の幔幕(まんまく)は、風を受けるたび緩(ゆる)やかに波打っていた。


 本来なら、その回廊(かいろう)は厳粛(げんしゅく)な静寂(せいじゃく)に包まれているはずだった。

 だが今は――場違(ばちが)いなほど慌(あわ)ただしい2人分の足音が響(ひび)いている。


 回廊(かいろう)を急いできた2人は、王の間から現(あらわ)れた巨漢(きょかん)を見つけると、ぴたりと足を止めた。


「開守(カイシュウ)!! どこ行ってたネ!!」

「今朝目覚めたばかりでしょう!? まだ絶対安静(ぜったいあんせい)ですよ!!!」


 焦(あせ)りながら声を荒(あら)げるのは、その巨漢(きょかん)の部下、調査隊(ちょうさたい)副隊長(ふくたいちょう)の玲玲(リンリン)と雲(ユン)だった。

 真紅(しんく)の光に包まれた回廊(かいろう)で、2人の声はやけに鋭(するど)く反響(はんきょう)する。


 対する巨漢(きょかん)――開守(カイシュウ)は、2人の騒(さわ)ぎをものともせず、ただ落ち着いた眼差(まなざ)しで歩(ほ)を進めていた。

 しかしその巨体(きょたい)には包帯(ほうたい)が幾重(いくえ)にも巻(ま)かれ、腕(うで)や脚(あし)はギプスで固定され、至(いた)るところにガーゼが貼(は)られている。


 赤い装飾(そうしょく)に囲(かこ)まれたその姿(すがた)は、まるで血煙(ちけむり)の戦場から帰還(きかん)したばかりの戦士(せんし)のようだった。


「お前達……王の間の前だぞ、静かにしないか」

「静かにって……そんな姿(すがた)でよく冷静でいられますね……!!」


 2人の焦(あせ)りとは裏腹(うらはら)に、開守(カイシュウ)の声音(こわね)は凪(な)いだ湖面(こめん)のように穏(おだ)やかだった。


 だが、その沈着(ちんちゃく)さの裏(うら)で重い責務(せきむ)を背負(せお)っていることは、誰(だれ)の目にも明らかだった――


「今回の失態(しったい)……王へ直接(ちょくせつ)ご報告(ほうこく)し、謝罪(しゃざい)してきた。寝(ね)てなどいられん」

「報告(ほうこく)なら、もう私達(わたしたち)が帰った時にしたヨ!!」

「〝私(わたし)が〟ですね!! ボロボロの体に鞭打(むちう)って数時間で報告書(ほうこくしょ)をまとめ上げ、提出(ていしゅつ)しています……っ!!」


 玲玲(リンリン)と雲(ユン)は開守(カイシュウ)ほどではないが、彼(かれ)らも体中に包帯(ほうたい)を巻(ま)いていた。

 それだけ先日の少年……タイガとの戦いは激(はげ)しかったのだ。


「ねェ開守(カイシュウ)……王様はなんて言ってたアル? 開守(カイシュウ)、クビになったりしないアルか?」


 玲玲(リンリン)は瞳(ひとみ)を潤(うる)ませながら、怯(おび)えるように問う。

 雲(ユン)もまた、硬(かた)い表情(ひょうじょう)のまま僅(わず)かに汗(あせ)をにじませ、答えを待っていた。


「……大丈夫(だいじょうぶ)だ。まあ、次はないだろうがな」

「ッ!! そっカァ……! よかったアル!!」


 玲玲(リンリン)は子供(こども)のように開守(カイシュウ)へ抱(だ)きつき、涙(なみだ)ぐんだ顔を安堵(あんど)の笑みにほころばせた。

 その無邪気(むじゃき)な仕草(しぐさ)に、雲(ユン)もまた肩(かた)の力を抜(ぬ)く。


 だが、彼(かれ)はすぐに真顔へ戻(もど)り、一歩前へ出た。


「……で? あの〝少年〟……確(たし)か〝タイガ〟とか言いましたか……彼(かれ)の処遇(しょぐう)はどうするのですか?」


 名を口にした途端(とたん)、回廊(かいろう)の赤い灯が一層(いっそう)濃(こ)く燃(も)え上(あ)がったように見えた。

 開守(カイシュウ)の表情(ひょうじょう)は険(けわ)しく引(ひ)き締(し)まり、その声音(こわね)は低く響(ひび)いた。


「ああ、ヤツに関しては――」



 ――

 ――――

 ――――――



 ――そして現在(げんざい)。


 ちょうどミヤコとタイガがヤマモモ村を出発した頃(ころ)。

 王都朱円(シュエン)の冒険者(ぼうけんしゃ)ギルド・朱牙(しゅが)にて――



「――た、大変です!!! 大変ですよ~!! マスターァ!!!」


 普段(ふだん)はクールビューティーとして通っている受付嬢(うけつけじょう)の、素っ頓狂(すっとんきょう)な大声が広間に響(ひび)いた。

 冒険者達(ぼうけんしゃたち)も思わず手を止め、何事かとざわめきが走る。


「どうしたの? 蘭(ラン)、そんなに大きな声を出して」


 ギルドマスターは、騒(さわ)がしい声にも眉(まゆ)1つ動かさず、長椅子(ながいす)に腰掛(こしか)けて冷静にお茶を啜(すす)っていた。

 艶(つや)やかなチャイナ服が体の曲線を際立(きわだ)たせ、普段(ふだん)なら誰(だれ)もがその色香(いろか)に目を奪(うば)われる――はずだった。


「大変なんですよ!! 1週間ちょっと前に、<永遠の石(ノアスフィア)>の中に閉(と)じ込(こ)められた少年が居(い)たじゃないですか……」

「ああ……あの面白い坊(ぼう)やね。あの子結局、冒険者(ぼうけんしゃ)試験(しけん)受けなかったらしいのよね……ふふ。気まぐれなのか、なんなのか……」


 マスターは遠い目をし、思い出を味わいながら微笑(びしょう)を浮(う)かべる。

 だが、その余韻(よいん)を叩(たた)き割(わ)るように、蘭(ラン)と呼(よ)ばれた受付嬢(うけつけじょう)は机(つくえ)の上へドンッ!! と1枚(いちまい)の紙を叩(たた)きつけた。


「受けられるわけありませんよ……だって、彼(かれ)は……ッ!!」


 その紙は、つい先程(さきほど)届(とど)いた〝大陸政府(たいりくせいふ)〟からの重要通達。

 ギルド内に緊張(きんちょう)が走る。


「……? なになに……こ、れは……」


 視線(しせん)を落としたマスターの顔が、艶(つや)やかな笑みを浮(う)かべたまま石像(せきぞう)のように固まる。

 その数秒後、彼女(かのじょ)の喉(のど)から絞(しぼ)り出(だ)された声は――




「え"え"え"え"え"え"え"え"えええ""えええええええエエエエ"エ"エ"エエエエエええええええええええええ"ええええエエエ"エ"エ"エ"エエエエ"エエエエエエエエェェ"ェェェェェェェェえ"えええええ"ええ"えぇ"ぇぇ"ぇぇぇぇぇええ"え"え"えええええええええエエエエエ"エ"エ"エ"エエエエエ"エ"エ"エ"エえええええええええ"え"え"え"ええええええええええええええええ"え"え"エ"エエエエエエェェェ"ェ"ェェェェ"ェェェェェェェェッッ"ッッッッ!"!"!"!"!!!!!!"!"!"!"!!!!!???"?"?"?"??"」


 広間を揺(ゆ)るがす大絶叫(だいぜっきょう)だった。

 目をひん剥(む)き、口を大きく開けたマスター。

 その姿(すがた)には、もはや色香(いろか)も威厳(いげん)もなかった。




 ――のちに受付嬢(うけつけじょう)、周 静蘭(シュエ・ジンラン)は語る。



『ここで働いて4年になりますが……マスターのあんな顔と声は、生涯(しょうがい)忘(わす)れられません――』



 ――

 ――――

 ――――――



 ――それから数時間後、場面はタイガとミヤコの旅に戻(もど)る。


 2人は村から一番近い大きな都市、ラクシャマ王国の城下町に来ていた。


「んお~!! スパイシーないい香り~! 何か食べていこうよ!!」

「そうだにゃ。じゃあブルティア料理でも食べるか? この街でも食べられたはずだ」

「お~!! 村で食べたあの魚だね! いいじゃん、食べよう食べよう!!」

「ふっ……まあ村で獲(と)れるのよりは味は劣(おと)ると思うけどにゃ」


 ミヤコはなぜか城下町の魚と張(は)り合(あ)うように言いながら、飲食店街へと足を進めた――


 ◆ ◆ ◆


「――んめええええええええええええええええええええェッ!!!!」

「……う、うめェ……っ」


 無邪気(むじゃき)にブルティアを頬張(ほおば)るタイガと、なぜか手を止めたまま硬直(こうちょく)するミヤコ。


 ◆ ◆ ◆


 <ブルティアの炭火スパイス焼き《C》>


 炭火で炙(あぶ)られた皮は香ばしくはぜ、クミンなどの香辛料(こうしんりょう)と香草の匂(にお)いが鼻をくすぐる。

 焼き上がった魚の表面は金色に輝(かがや)き、箸(はし)を入れれば白い身がふわりとほぐれ、脂(あぶら)がじわりと溢(あふ)れ出(だ)す。

 柔(やわ)らかな身の甘(あま)みとハーブの爽(さわ)やかさに、あとからレモンの酸味(さんみ)が追いかけてくる、たまらない1品だ。


 ◆ ◆ ◆


「味付けのレベルが違(ちが)ェ……こ、これがプロの……い、いや! でも鮮度(せんど)は村の方が高かったにゃ!!」

「うんうん!! どっちも美味しいよ!! サイコー!!!」


 意地を張(は)るミヤコと、ただ幸せそうに食事を楽しむタイガ。

 対照的な2人の姿(すがた)は、屋台の前でひときわ目立っていた。


「まあ、ちょっといい屋台を選んだもんな……これ1つで30ディジー。お値段(ねだん)も周りと比(くら)べてだいぶ高いが、おミャー金持ってるもんな」

「うん! ボクちょっとお金持ち!!」


 エッヘンと胸(むね)を張(は)るタイガ。

 意味は分かっていないが、とりあえず〝勝(か)ち誇(ほこ)るポーズ〟だけは全力だ。


 そんな調子に呆(あき)れながらも、ミヤコはふと真剣(しんけん)な顔つきに戻(もど)り、身を乗り出して小声で囁(ささや)いた。


「……それにしても……なぁ、さっきから気づいてるか?」

「ん? なにが~?」


 タイガの能天気(のうてんき)な返事に、ミヤコはジト目を向ける。


「見られてるんだよ……っ! さっきからずっと。多分、冒険者(ぼうけんしゃ)っぽいヤツらに……」


 言葉の通り、剣(けん)や槍(やり)を携(たずさ)えた旅人風の者達が何人も通(とお)り過(す)ぎ、そのたびに、妙(みょう)な緊張(きんちょう)を帯びた探(さぐ)るような視線(しせん)を2人へ向けていく。


「あ~、確(たし)かにね。ミヤコの耳が珍(めずら)しいからじゃない?」

「いや〝ケモニア〟なんか、いっぱいいるし……猫(ねこ)の〝ケモニア〟なんて、特に多いし……」


 実際(じっさい)、通りを歩くだけでも耳や尾(お)を持つ人々は珍(めずら)しくない。

 中には背(せ)に翼(つばさ)がある者までいた。


「ミャーよりも……タイガ、多分おミャーの方をみんな見てる」

「え? そうなの? えへへ、知らない間にボク有名人になっちゃったかな?」


 のほほんと笑うタイガに、ミヤコは眉(まゆ)をひそめる。


(タイガが朱円(シュエン)の〝森の主〟を倒(たお)したことがここまで伝わってるとか? それとも……)


 ミヤコの中に、不吉(ふきつ)な予感がじわりと広がっていた。


 だが、当のタイガはというと――


「んお~!! んめええェッ!!!」


 両頬(りょうほお)をパンパンに膨(ふく)らませ、夢中(むちゅう)で魚を食べ続けている。


「……まあ、いいか」


 周囲(しゅうい)から注目されているのに、全く気にも留(と)めず食事を楽しむタイガ。

 その姿(すがた)にミヤコも毒気(どくけ)を抜(ぬ)かれ、不安をひとまず飲(の)み込(こ)む。


「せっかくのいい飯なんだ、楽しまなきゃもったいないよな……あ~む!! ――ガキィッ!!!」


 豪快(ごうかい)に魚へ噛(か)みついたはずのミヤコの口から、金属(きんぞく)を噛(か)んだような嫌(いや)な音が響(ひび)いた。


「いってぇええええええッ!!!??」

「んえェ!? どうしたのミヤコ!?」

「あが……ってぇ……っ!! にゃんだ~? フライパンの欠片(かけら)でも入ってたか? 異物混入(いぶつこんにゅう)だぞ……って、えええ!!!?」


 慌(あわ)てて口から取り出したものを見て、ミヤコは目をひん剥(む)いた。

 掌(てのひら)の上でぎらりと光ったのは、魚の中から出てきたとは思えないほど眩(まばゆ)い――黄金の円盤(えんばん)。


「ひゃ……100ディジー金貨ァ!!?」


 ミヤコは思わず目をパチクリさせ、今しがた自分の口の中から出てきたモノを眺(なが)める。


「お~! なに、魚の中にあったの? ラッキーじゃん!!」

「いやラッキーすぎてこえ~よ……なんだよこれ、なんで……はッ!?」


 そこでミヤコは、はっと胸元(むなもと)に手を当てる。

 服の下では、勇者のペンダントが淡(あわ)い光を放っていた。


「……やっぱ、<うんのよさ>100アップは伊達(だて)じゃねーにゃ……飯食ったのに、収支(しゅうし)プラスじゃないか……」


 眩(まばゆ)い金貨を掲(かか)げながら、ミヤコは乾(かわ)いた笑みを浮(う)かべるしかなかった――



 <タイガ達の合計所持金:

 タイガの所持金13万9,850ディジー+ミヤコの所持金9,000ディジー(蒼面蛾(ソウメンガ)のレアドロップクエストで得(え)た報奨金(ほうしょうきん)6,000ディジー+元々の所持金3,000ディジー)-⦅30(屋台のご飯代)×2⦆+100


 =14万8,890ディジー>


 ◆ ◆ ◆


「――よし! 腹(はら)ごしらえも済(す)んだし、冒険(ぼうけん)に行こう!!」


 満足そうに腹(はら)をなでながら、タイガは屋台から路地に出るなり言った。


「冒険(ぼうけん)って……少しはゆっくりして行かないのか?」

「思い立ったが吉日(きちじつ)だよ!!」

「……まあいい、それなら冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドに行くにゃ」


 目的地は決まった。

 2人は何日かぶりにギルドに足を運ぶことにした――



 ◆ ◆ ◆



 ――ラクシャマ王国の冒険者(ぼうけんしゃ)ギルド・<黄金の砂時計(おうごんのすなどけい)>。


 石造(いしづく)りの建物はどっしりとした威厳(いげん)を放ち、その壁面(へきめん)には砂漠(さばく)の民特有の象形文字(しょうけいもじ)や幾何学模様(きかがくもよう)が刻(きざ)まれている。

 入口には赤や青の布(ぬの)が幾重(いくえ)にも垂(た)れ下(さ)がり、強い日差しを遮(さえぎ)って涼(すず)やかな陰(かげ)を作っていた。


 2人は石畳(いしだたみ)に心地よい足音を響(ひび)かせながら、ギルドの内部へと入った。


「お~! 凄(すご)いね、なんだかピラミッドみたい!」

「ピラミッド……? またよくわかんにゃいこと言ってるな……」


 内部は外観以上に豪奢(ごうしゃ)だった。


 高い天井には黄金の装飾(そうしょく)を施(ほどこ)した梁(はり)が渡(わた)され、天窓(てんまど)から砂(すな)色の光が斜(なな)めに差(さ)し込(こ)んでいる。

 冷たい黄色の石床(いしゆか)には幾何学模様(きかがくもよう)のカーペットが敷(し)かれ、赤や青、緑の色彩(しきさい)が目を引いた。

 壁際(かべぎわ)では、冒険者達(ぼうけんしゃたち)が水煙草(みずたばこ)の煙(けむり)をくゆらせながら、依頼(いらい)について話(はな)し込(こ)んでいる。


 中央には丸い木製(もくせい)の酒場カウンターが据(す)えられ、その奥(おく)に受付カウンターがある。

 カウンター傍(そば)の〝クエスト依頼板(いらいばん)〟には羊皮紙(ようひし)の依頼状(いらいじょう)がびっしり貼(は)られ、冒険者達(ぼうけんしゃたち)が群がっていた――




 ――その受付カウンターの前。


「へっへっへ~、お姉ちゃ~ん。ちょっとこれから遊びに行こうぜ~」

「はいはい、また今度ね」


 黒髪(くろかみ)に褐色(かっしょく)の肌(はだ)をした受付嬢(うけつけじょう)は、踊(おど)り子(こ)風の艶(つや)やかな衣装(いしょう)に似合(にあ)わぬほど落ち着いた声で、酔(よ)っぱらった冒険者(ぼうけんしゃ)を軽くあしらっていた。

 フラれた男がカウンターに突(つ)っ伏(ぷ)すと、隣(となり)の冒険者(ぼうけんしゃ)が「またかよ」と肩(かた)をすくめ、ホールのあちこちから小さな笑いが漏(も)れる。


 そんなカウンターの騒(さわ)ぎを尻目(しりめ)に、ミヤコはタイガに解説(かいせつ)する。


「さ~て、ミャーのランクでも受けられるクエストは……

 てか、おミャーのレベルなら、いきなり《D》ランクくらいのクエストも受けられるかもな」

「へ~。ボクって〝Lv(レベル).6〟だけどこれって高いんだ」

「そうそう〝Lv(レベル).6〟ならきっといいクエストが……って〝Lv(レベル).6〟!!!?」


 ミヤコはぎょっとして叫(さけ)んだ。


「嘘(うそ)つけよ!! たった〝Lv(レベル).6〟で〝Lv(レベル).15〟の〝双職者(デュアルクラス)〟を倒(たお)せるわけねーだろ!!!」

「嘘(うそ)じゃないよ~! 〝Lv(レベル).6〟って書いてるもん!!」


 タイガは嘘(うそ)つき呼(よ)ばわりされて、子供(こども)みたいに頬(ほお)をぷくっと膨(ふく)らませる。


「え……じゃあ前に別の職業(しょくぎょう)でレベル上げてたとか?」

「ん? レベル上げをして、Lv(レベル).6になったんだよ……? ミヤコと会う3日前に〝この世界に来て〟そこから三日三晩(みっかみばん)、森の中で戦ってたんだ。まあその時は3までしか上がらなかったけどね~」

「へ……? 〝この世界に来た〟……?」


(そういやこいつ、最初に会った時もそんなこと言って……)


 その言葉に引(ひ)っ掛(か)かり、ミヤコの耳がぴくりと動いた。


「それでミヤコを追って村まで走った2日でLv(レベル).5に。その後、開守(カイシュウ)と戦って6になったんだ」

「ちょっと待て。おミャー、さっきの〝この世界に来た〟ってどういう意味なんだ?」

「ああ。ボク〝元いた世界で死んじゃって〟それでここに〝転生〟してきたんだ」

「は……? て、〝転生〟……!? それに死んだって……」


 〝転生〟……そして、すでに1度死んだことがあるという告白(こくはく)。

 その瞬間(しゅんかん)、ミヤコの脳裏(のうり)に、龍煌驛(りゅうこうえき)のホームで耳にした小さな呟(つぶや)きが蘇(よみがえ)る――



 ――

 ――――

 ――――――



『――まあ……それにボク、もう〝1回死んでる〟し。死ぬのは〝かくごのうえ〟だよ』



 ――

 ――――

 ――――――



「――おミャー……冗談(じょうだん)言ってるわけじゃないよな?」

「マジだよ、マジ。大マジよ!!」


 タイガは呑気(のんき)に言うが、ふざけている雰囲気(ふんいき)は全くない。

 逆(ぎゃく)にその無邪気(むじゃき)さが、不気味な真実味を帯びていた。


「……ちょっと、鑑定(かんてい)していいか?」

「ん? 鑑定(かんてい)? よくわかんないけどいいよ~! ボク受付に行ってくるね~!!」

「か、〝鑑定(かんてい)〟――!!」


 ミヤコの瞳(ひとみ)が、鋭(するど)く光を帯びる。


「んお!? なんか今くすぐったかった……!!」


 スキルが発動し、タイガのステータスが映(うつ)し出(だ)される――


「――ホントに〝Lv(レベル).6〟だ……でも、レベルしかわからねェ……」


 嘘(うそ)ではない。だが、常識(じょうしき)で考えればあり得(え)ない。

 そう、タイガが〝異常(いじょう)〟であることだけは間違(まちが)いない。


「え~……にゃんだこれ……死んで転生ェ……? 嘘(うそ)にしろ本当にしろ、なんだか変なヤツと旅に出ちまったな~」

「すみませ~ん!! 何かいいクエストありませんか~?」

「あ、もう行ってる……まあ、いいか……」


 ミヤコは呆(あき)れたように猫耳(ねこみみ)を伏(ふ)せた。


(ま、変なヤツだってのは重々承知(じゅうじゅうしょうち)の上だったし……いまさらか)


 己(おのれ)の胸(むね)に生まれた不安も、仲間の正体への疑念(ぎねん)も、全部どこかに吹(ふ)っ飛(と)ばしてしまう――そんなタイガを前に、ミヤコも深く考えることは止めた。


「あ、ようこそ! 冒険者(ぼうけんしゃ)ギルド・<黄金の砂時計(おうごんのすなどけい)>へ!!」

「お~? おいおい、姉ちゃんこっちにもスマイルくれよ~!!」


 受付嬢(うけつけじょう)は、酔(よ)っ払(ぱら)いを軽くかわしながら、タイガににこやかに応対(おうたい)する。


「クエストをお探(さが)しですね……それではランクを……ん? ……えと……あれ……?」


 だが、彼女(かのじょ)はタイガの顔を見た途端(とたん)、その笑顔を固まらせてしまった。


「うん? どうしたの……?」

「え……あ、あれ……? だって……へ?」


 タイガが首を傾(かし)げる一方で、受付嬢(うけつけじょう)の顔から血の気が引いていく。

 その額(ひたい)にはじっとりと冷や汗(あせ)が浮(う)かび、手元の羊皮紙(ようひし)がわずかに震(ふる)えていた。


「おいおい、どうしたんだよ姉ちゃ~ん? 顔色悪いぜェ……?」


 近くにいた酔(よ)っ払(ぱら)いの冒険者(ぼうけんしゃ)も異変(いへん)に気づき、訝(いぶか)しげに目を細めた。

 その視線(しせん)が、ふとタイガの顔に向く。


「……ん? 坊主(ぼうず)。お前……どっかで見た顔だな……」

「え? おじさんとボク会ったことあったっけ?」

「え~と、確(たし)かぁ……今朝貰(もら)った~……」


 男はポケットを探(さぐ)り、何かを取り出そうとする。

 彼(かれ)が酔(よ)った手つきでいくつものポケットを探(さぐ)っている間に――


「なあ、タイガ」


 ミヤコがカウンターへ追いつき、横から声をかけた。


「そういや、おミャー職業(しょくぎょう)はなんだ? 何かステータスが高い特殊(とくしゅ)な職業(しょくぎょう)とかじゃないのか?」

「うん? 職業(しょくぎょう)?」

「え……ま、マジか?」


 ミヤコは耳を疑(うたが)った。


「この世界で生きてて、自分の職業(しょくぎょう)を知らないなんてこと、ありえないだろ……」

「むう……だからボク、まだ〝この世界に来て日が浅い〟んだよ」


 その言葉に、ミヤコはじっとタイガを見つめる。


(ほ、ホントにこいつ……〝異世界人(いせかいじん)〟なのか……?)


 さっきまで半信半疑(はんしんはんぎ)だった話が、急に現実味(げんじつみ)を帯びてきた。


「え~と、職業(しょくぎょう)はな……ステータス欄(らん)のレベルの前に書いてあるやつだよ」

「レベルの前……どれどれ、確(たし)か……」


 タイガがステータスを確認(かくにん)しようとした――その瞬間(しゅんかん)。


「え"え"え"え"ええええエエ"エエえええええええエエエエエ"エエエエエッ!"!?」


 ギルドの大広間に、酔(よ)っ払(ぱら)い冒険者(ぼうけんしゃ)の絶叫(ぜっきょう)が木霊(こだま)する。

 その悲鳴を聞き、周囲(しゅうい)の冒険者達(ぼうけんしゃたち)が「なんだ?」と騒(さわ)ぎ始(はじ)める。


「うわ!!? なに!? どうしたのおじさん!!?」

「て、ては……ては……しょ……ッ!!!」


 酔(よ)っ払(ぱら)いは呂律(ろれつ)の回らぬ声を上げながら、手に握(にぎ)った羊皮紙(ようひし)とタイガの顔を交互(こうご)に見比(みくら)べ、額(ひたい)に脂汗(あぶらあせ)を浮(う)かべる。

 その異様(いよう)な様子に、ようやくタイガも不安を覚える。


「だ、だいじょうぶ……? おじさ……」


 タイガが心配そうに、優(やさ)しく声をかける。

 だが、男はなぜか真っ青な顔で後ずさる。


「あ、アレ……お前……アレと……」

「うん……? アレ?」


 酔(よ)っ払(ぱら)いの冒険者(ぼうけんしゃ)が震(ふる)える指で示(しめ)したのは、ギルドに鎮座(ちんざ)する巨大(きょだい)な掲示板(けいじばん)。

 クエスト依頼(いらい)の数々に紛(まぎ)れて、異彩(いさい)を放つ1枚(いちまい)の羊皮紙(ようひし)が目に入る。


「え!!? あれボクの写真じゃん!! えへへ……やっぱりボク有名人?」


 そう――その羊皮紙(ようひし)の中央には、タイガの顔が大きく印刷されていた。


「ホントだ。なんでおミャーの顔が……いや、ちょっと待て……これって……」


 ミヤコの視線(しせん)が、紙の上段(じょうだん)に並(なら)んだ黒々とした文字をとらえる。



 そこに記されていたのは――




 ━━━━━━━━━━━━━

 《 W A N T E D 》

 D E A D O R A L I V E

 ~タイガ~

 懸賞金(けんしょうきん):1,000,000ディジー

 ━━━━━━━━━━━━━




「――こ、これって……」


 ミヤコは紙面に並(なら)ぶ文字を追い、息を呑(の)む。



 そして次の瞬間(しゅんかん)――



「――て……〝手配書(てはいしょ)〟じゃねェかあ"あ"ああああああああああああああああああああああァァ"ァ"ッッ!"!"!!??」

「ええええええええええェェッ!!!?」


 タイガも同時に絶叫(ぜっきょう)。

 2人の声が響(ひび)き渡(わた)り、ギルド内は一気に騒然(そうぜん)となる。


 タイガは慌(あわ)てて掲示板(けいじばん)から紙を剥(は)がし取(と)り、ミヤコと一緒(いっしょ)にその内容(ないよう)をまじまじと見つめる。

 そして、ミヤコが紙を裏返(うらがえ)すと――その目が、裏面(うらめん)に記された罪状(ざいじょう)の欄(らん)で止まった。


「<罪状(ざいじょう):王国調査隊(ちょうさたい)に対する襲撃(しゅうげき)>……って……そ、そうかァ……あ、あはは……」


 ミヤコは紙面を凝視(ぎょうし)したまま、口元をわななかせる。


(あんな強引な手段(しゅだん)をとる奴(やつ)らでも、紛(まぎ)れもなく王国の正式な調査隊(ちょうさたい)……

 それに手を出したんだ……こうなるのは……当然――)



 ――そう、頭では理解(りかい)できる。



 けれど。



「いや――やっぱ納得(なっとく)出来るかあああああああああああああァァァッ!!!!」


 ミヤコは飲(の)み込(こ)みかけた憤(いきどお)りを、怒声(どせい)と共に吐(は)き出(だ)す。


「タイガはミャーの故郷(こきょう)を助けてくれたのに……!!」


 握(にぎ)り締(し)めた拳(こぶし)が震(ふる)える。


「こんな仕打(しう)ちって……ッ!!!」


 悔(くや)しさと怒(いか)りが胸(むね)を焼く。


 ざわ……ざわ……と、ギルド内の冒険者達(ぼうけんしゃたち)がざわめき始める。

 恐怖(きょうふ)にひきつった声が、あちこちから漏(も)れた。


「ひゃ……100万ディジーって……こいつ〝《B》ランク〟の賞金首(しょうきんくび)じゃねーか……っ!!!」

「な……〝《B》ランク〟……!? ドラゴンやゴーレムとかと同じランクか……!!!?」

「バケモンだ……皆殺(みなごろ)しにされるぞ……ッ!!!」


 その声が連鎖(れんさ)のように広がり、恐怖(きょうふ)が一気にギルドを支配(しはい)した。

 もはやギルド中の者達は、タイガを人間ではなく〝怪物(かいぶつ)〟として、怯(おび)えきった目で見ていた。


「指名手配(しめいてはい)……?」


 唖然(あぜん)としたまま、自分の顔写真が印刷された手配書(てはいしょ)を見つめるタイガ。

 さすがにこの状況(じょうきょう)では、いつもの呑気(のんき)な笑顔も消える――と思いきや。


「“つまりWinner(・∀・)?”」

「敗北者(Loser)だよッ!!!」


 ミヤコは思わず、腹(はら)の底から叫(さけ)んだ。


「敗北者……? “取り消せよ……!!! ハァ… 今の言葉……!!!”」

「取り消さねェよ!! おミャーわかってんのか!!? この状況(じょうきょう)ッ!!」


 ミヤコは周囲(しゅうい)を見回す。


 引かれている――どころじゃない。

 全員が、息の仕方すら忘(わす)れている。


 そんな状況(じょうきょう)を前に、タイガは少し頭をひねったあと、勢(いきお)いよくカウンターに飛びついた。


「ねえ! お姉さん!!」

「ひいィ!!!?」


 受付嬢(うけつけじょう)は、タイガが磁石(じしゃく)みたいにカウンターへ吸(す)いついた瞬間(しゅんかん)、悲鳴を上げて仰(の)け反(ぞ)った。


「何か指名手配(しめいてはい)を取り消す方法ないかな……? そのためならボク、どんなクエストだってやるよ!!」

「ひッ……ひエェェェ……っ!!」


 受付嬢(うけつけじょう)は青ざめたまま、掠(かす)れた声を漏(も)らす。


(めっちゃビビられてる……そりゃそうだよな〝《B》ランク〟って……ミャーが同じ立場でもああなってる――)


 ――〝《B》ランク〟。

 それはこの世界の人々にとって〝人智(じんち)を超(こ)えた脅威(きょうい)〟と同義(どうぎ)だった。


 受付嬢(うけつけじょう)はがくがくと震(ふる)え、涙(なみだ)を滲(にじ)ませ、今にも崩(くず)れ落(お)ちそうな声を絞(しぼ)り出(だ)す。


「だ、だれかァ……助けてェ……ッ!!!」


 その瞳(ひとみ)からこぼれた雫(しずく)が、カウンターへ落ちる。

 誰(だれ)にも届(とど)くはずのない小さな音――だが、ある男の胸(むね)にだけは、雷鳴(らいめい)のように響(ひび)いた。


「――お……ッ!! おまっ……!! お前ェ……っ!!!」

「ん?」


 振(ふ)り向(む)いた先にいたのは――さっきまで受付嬢(うけつけじょう)をナンパしていた酔(よ)っ払(ぱら)い冒険者(ぼうけんしゃ)だった。


「……ね、姉ちゃんには……!!」


 剣(けん)を抜(ぬ)き放(はな)つ手が震(ふる)える。

 刃先(はさき)がカタカタと鳴るのに、それでも彼(かれ)は吠(ほ)えた。


「受付の姉ちゃんには……指一本触(ふ)れさせねェぞォオオ!!!!」

「へ……?」


 その雄叫(おたけ)びが、恐怖(きょうふ)に固まっていた冒険者達(ぼうけんしゃたち)を奮(ふる)い立(た)たせた。

 彼(かれ)らは次々と、腰(こし)の武器(ぶき)へ手を伸(の)ばす。


「そ、そうだ……!! このギルドを襲(おそ)おうなんて、見過(みす)ごせねェ!!!」

「黙(だま)ってやられてたまるか!!! 命なんざ、冒険者(ぼうけんしゃ)になった瞬間(とき)に捨(す)てた!!!」


 身につけた鎧(よろい)や、手にした武器(ぶき)がカタカタと鳴る。

 歯の根が合わない者もいる。握(にぎ)った柄(つか)が汗(あせ)で滑(すべ)りそうな者もいる。

 それでも彼(かれ)らは、じりじりと前へ出た。


「え……? い、いや待って……! ボクは別に戦うつもりは……」

「いけえええええええええええェェッ!!!! かかれえええええええええええええええェェッ!!!!!」


 タイガの制止(せいし)を振(ふ)り切(き)って、ギルド内にいた冒険者(ぼうけんしゃ)全員が怒号(どごう)と共に襲(おそ)いかかってきた。


「う、うわ……うわあああああああああああああああああああああああああああッ!!!!?」

「た、タイガァ!! 逃(に)げるにゃァ!!!」


 2人は反射(はんしゃ)的に踵(きびす)を返し、ギルドの扉(とびら)を突(つ)き破(やぶ)る勢(いきお)いで外へ飛び出した。

 砂(すな)を蹴(け)り、城下町の大通りを全力疾走(ぜんりょくしっそう)する。


「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!! 待てえええええええええええええええ!!! 賞金首(しょうきんくび)いいいいいいいいいいいいいいいいイイイイッ!!!!」」」


 背後(はいご)から雄叫(おたけ)びが津波(つなみ)のように押(お)し寄(よ)せる。

 振(ふ)り返(かえ)れば、武器(ぶき)を振(ふ)りかざした冒険者達(ぼうけんしゃたち)の群れ。


「うわ~~~~ん!!! どうしてこうなっちゃったの~!!!?」

「知るかあああああああ!!! このふざけた世界のせいだにゃああああああああああァ!!!!」


 喧騒(けんそう)が城下町を揺(ゆ)らし、必死で逃(に)げる2人を冒険者達(ぼうけんしゃたち)が追い立てる。



 しかし――



 そんな状況(じょうきょう)でも、タイガはふと何かを思い出したように顔を上げた。


「ああ!! そうだミヤコ!! そういえば、さっき言ってた話だけどさァ!!!」

「なに!!? それ今言わないといけないこと!!!?」


 全力疾走(ぜんりょくしっそう)しながら、タイガは叫(さけ)ぶ。


「ボクの職業(しょくぎょう)さ……<〝バンディット〟>だった!!!」

「はあ!!? <〝バンディット〟>!!?」


 ミヤコの声が裏返(うらがえ)る。


「それおミャー〝ならず者〟って意味だろ!!!?」

「〝ならず者〟!!? なんだよそれ~!!?」


 タイガの悲鳴が重なる。


「うわ~ん!!! 勇者になりたかったのに〝賞金首(しょうきんくび)〟になっちゃった~!!!!!」

「〝ならず者〟の〝賞金首(しょうきんくび)〟って最悪じゃねェか!!! そんな奴(やつ)が〝勇者〟になんて、なれるわけねェだろォ!!!」


 容赦(ようしゃ)のない、理不尽(りふじん)な現実(げんじつ)。



 だが。



 タイガは足を止めない。


 振(ふ)り返(かえ)らない。


 追いかけてくる怒号(どごう)の中で、少年は胸(むね)いっぱいに息を吸(す)い込(こ)み――



「――いいや!!! なるッ!!!」



 ――叫(さけ)んだ。



「それでも〝勇者〟に――ボクはなる!!!!」


 その声は、どこまでも真っ直ぐに響(ひび)いていく。


 城下町を飛び出した2人の影(かげ)が、大地に長く伸(の)びる。

 砂塵(さじん)が舞(ま)い上(あ)がり、追っ手の声は次第に遠のく。



 こうして。



 〝勇者〟を夢(ゆめ)見ながら、

 〝賞金首(しょうきんくび)〟になってしまった少年の――



 少しばかり、常識(じょうしき)から外れた――



 けれど確(たし)かに〝世界を変えるかもしれない〟冒険(ぼうけん)が、幕(まく)を開けるのだった――



 ――

 ――――

 ――――――



 ――あの日、〝勇者〟は泣いていたわ。


『何も変えることが出来なかった。何もかも手遅(ておく)れだった』って――



 この世の果てには、邪智暴虐(じゃちぼうぎゃく)の〝魔王(まおう)〟がいる。

 すべてを支配(しはい)し、世界を我(わ)が物(もの)にしようとしている。



 〝女神〟の――あの子の願いに応(こた)える者よ。

 ならば行きなさい、大っきなこの異世界(いせかい)へ――

 ~あとがき~


【ヤマモモ村編(へん)、完!!】


 明日から第2章開始です!!

 よければブックマーク、評価等で応援よろしくお願いします!!

 感想、コメントなども待っております!!




 現在(げんざい)のタイガのステータス――


 バンディットLv(レベル).6


 HP:343 MP:201

 ちから:117

 みのまもり:77

 すばやさ:170

 こうげき魔力(まりょく):115

 かいふく魔力(まりょく):66

 きようさ:231

 うんのよさ:88


 所持スキル


 〇基礎能力(きそのうりょく)スキル


 タフネス《E》[パッシブ]

 体が頑強(がんきょう)になり、最大HPとみのまもりが上がる。


 マッスル《D》[パッシブ]

 肉体(にくたい)の力が高まり、ちからが上がる。


 アジリティ《D》[パッシブ]

 身のこなしが軽くなり、すばやさが上がる。


 脚力(きゃくりょく)《D》[パッシブ]

 足を使った行動をする際(さい)、ちからが上がる。


 水属性(みずぞくせい)耐性(たいせい)《F》[パッシブ]

 水属性(みずぞくせい)から受けるダメージを軽減(けいげん)する。


 風属性(かぜぞくせい)耐性(たいせい)《F》[パッシブ]

 風属性(かぜぞくせい)から受けるダメージを軽減(けいげん)する。


 封印(ふういん)耐性(たいせい)《F》[パッシブ]

 封印(ふういん)に対する抵抗力(ていこうりょく)が上がる。


 雷属性(かみなりぞくせい)親和(しんわ)《F》[パッシブ]

 雷属性(かみなりぞくせい)による攻撃(こうげき)の威力(いりょく)が上がり、雷属性(かみなりぞくせい)から受けるダメージが減少(げんしょう)する。


 〇技能(ぎのう)スキル


 剣術(けんじゅつ)《E》[パッシブ]

 剣(けん)を装備(そうび)している間、攻撃力(こうげきりょく)が上がる。


 斧術(ふじゅつ)《E》[パッシブ]

 斧(おの)を装備(そうび)している間、攻撃力(こうげきりょく)が上がる。


 軽装(けいそう)慣(な)れ《F》[パッシブ]

 軽装時(けいそうじ)、すばやさが上がる。


 伐採術(ばっさいじゅつ)《E》[パッシブ]

 木を伐採(ばっさい)する際(さい)の作業効率(さぎょうこうりつ)が上がり、疲労(ひろう)が軽減(けいげん)される。


 水泳《F》[パッシブ]

 水中での行動力が上がる。


 〇武技(ぶぎ)スキル


 パワースラッシュ《F》[アクティブ]

 力をためて、重い一撃(いちげき)を放つ。


 〇???スキル


 ???《?》

 詳細不明(しょうさいふめい)。

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