表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/19

第2話 “冒険者ギルド”

 ――夜が明けた(ころ)、王都・朱円(しゅえん)の正門は、ゆっくりと開かれる。


 ◆ ◆ ◆


「おい! 起きろ!」

「……んあ?」


 猫耳(ねこみみ)の少女が上げた声に、少年――タイガはようやくまぶたを持ち上げた。


 昨夜、〝蛾の王(がのおう)〟を(たお)した後、(かれ)街道脇(かいどうわき)(どろ)のように(ねむ)りこけていた。

 地面に()いた(ぬの)の上で丸くなり、朝露(あさつゆ)()れた草の(にお)いに包まれながら、気持ちよさそうに寝息(ねいき)を立てていたのである。


「う〜ん……もうすこし……ママン……」

「だれがママだ‼︎」

「あだっ!?」


 ()ぼけたタイガの頭を軽くはたき、彼女(かのじょ)黙々(もくもく)荷造(にづく)りを進めていた。


「ほら、これはおミャーが持て」


 彼女(かのじょ)(あご)(しめ)した先には、2枚の巨大(きょだい)な羽が転がっていた。


 昨夜(たお)した〝蒼面蛾王(ソウメンガオウ)〟から切り取ったものだ。

 (うす)羽膜(ひまく)は朝日を受けて、青と銀の光を(にぶ)く返している。

 広げれば、タイガの体をすっぽり(おお)ってしまいそうなほど大きかった。


「朝一で〝ギルド〟に行くぞ。〝緊急(きんきゅう)クエスト〟だったんだ、早く報告(ほうこく)しないとな」

「ん……? そういや〝ギルド〟ってなに?」

「は?」


 タイガの何気(なにげ)ない一言に、少女の手がぴたりと止まる。


「おミャー、まだ()ぼけてんのか? 〝ギルド〟って言えば、〝冒険者(ぼうけんしゃ)ギルド〟の事だろ」

「へ~〝冒険者(ぼうけんしゃ)ギルド〟か~。もしかして、そこがクエストを出したりしてるの?」


 あまりにも常識的(じょうしきてき)なことを聞かれ、彼女(かのじょ)眉根(まゆね)を寄せる。


「え……あたりまえだろ? まるで今、初めて知ったみたいな言い方だな……」

「うん。はじめて知った!」

「はあ!!?」


 思わず彼女(かのじょ)の声が裏返(うえがえ)る。


「いやいや!! ちょっと待て!! 〝冒険者(ぼうけんしゃ)ギルド〟を知らないって、どんだけ田舎(いなか)から来たんだよ!!? てかじゃあ、おミャー……〝冒険者(ぼうけんしゃ)〟じゃないのか!!?」

「ん? 冒険(ぼうけん)はしてるよ。この世界に来てから、毎日が大冒険(だいぼうけん)だよ!!」

「いや、そういう事じゃなくて……はぁ……」


 少女は大きなため息をつき、頭を(かか)えた。


(こいつ〝正規(せいき)冒険者(ぼうけんしゃ)〟じゃないな……手続きとか、ちょっと面倒(めんどう)かも……)


 そう思いながら、目の前の少年に目をやる。


 タイガは、まるで無垢(むく)子供(こども)みたいに、きょとんと首をかしげていた。

 どうやら彼女(かのじょ)の言葉の意味を、本気でわかっていないらしい。


(あ~、もう……世話が焼ける……けど……)


 少女は昨夜の事を思い出す。


 

 人面蛾(じんめんが)の群れ。

 その中心にいた〝蛾の王(がのおう)〟。

 あのままなら、自分は間違(まちが)いなく命を落としていた。


 

 そんな絶体絶命(ぜったいぜつめい)状況(じょうきょう)で、自分を助けてくれたのが、目の前の少年――タイガだった。


「……はぁ。1回だけだからな……」

「ん? 何が?」


 少女の小さな(つぶや)きに、タイガは不思議そうな顔をする。


 だが、彼女(かのじょ)はそれに答えなかった。

 代わりに街道の先、朝日に照らされた朱円(しゅえん)の正門を指さす。


「早く行かないと置いてくぞ。その羽(かか)えてついて来い」

「あ、うん! わかった!!」


 彼女(かのじょ)のそっけない言葉に、タイガは元気よく返事をした――


 ◆ ◆ ◆


「――お~!! デッケェーッ!!!」


 タイガは思わず声を上げる。


 見上げた先にあったのは、巨大(きょだい)な赤い門だった。


 門の両側には、(りゅう)の首を()した(かざ)りが()き出している。

 (するど)(きば)をむき、こちらを(にら)み下す造形(ぞうけい)は、そこを通る者に覚悟(かくご)を問うているようだ。


 その門を(かま)える建物もまた、尋常(じんじょう)ではない大きさだった。

 まるで巨人(きょじん)が出入りするために(つく)られたかのような、どっしりとした木造(もくぞう)建築物(けんちくぶつ)

 (かべ)にはいくつもの(きず)補修(ほしゅう)(あと)があり、長い年月、この場所に立ち続けてきたことを物語っている。


「てかさ……ここってまるで〝駐車場(ちゅうしゃじょう)〟だね。馬車とかめっちゃ()まってるし」


 タイガは門の前で足を止め、周囲(しゅうい)をきょろきょろと見回した。


 建物の周囲(しゅうい)には、何十台もの馬車がずらりと(なら)んでいる。

 荷物を積んだ実用的なものもあれば、金の(かざ)りや(あざ)やかな(ぬの)(かざ)られた、見るからに高そうな馬車もあった。


「ん? まるでっていうか〝駐車場(ちゅうしゃじょう)〟だぞ? ここ」

「え!? ホントに!? ……〝異世界(いせかい)〟にもあるんだね~」


 少女の冷静な言葉に(おどろ)きながらも、タイガは改めてそこに(なら)ぶ馬車へ目を向ける。


 だが、そこにある馬車の中には、普通(ふつう)じゃないモノがあった。


 荷台を引くその馬には〝(つばさ)〟が生えており、それはペガサスと()ばれる幻獣(げんじゅう)(ちが)いない。


 それだけではない。


 中には(ちゅう)()かぶ大きな(へび)……


 いや、違う。


 あれは〝(りゅう)〟だ。


 (りゅう)が荷台を引く、最早(もはや)〝馬車〟と()んでいいのかすら分からないモノまであった。


「はは! でもやっぱ、ボクの()た世界とはかなり(ちが)うね!!」

「そうだろうな。ミャーも〝龍車(りゅうしゃ)〟はここで初めて見たにゃ」


 少女は軽く(うなず)くと、()かすように赤い門を指さした。


「ほら、早く行くぞ。手続きとか色々時間が()かるからな」

「あ、うん!! わかった!!」


 彼女(かのじょ)は門の前まで進み、(まよ)いなく(とびら)(たた)いた。


 すると――


 ゴゴゴゴ……


 低く重い音を(ひび)かせながら、巨大(きょだい)な門がゆっくりと動き始める。


「え!? スゲー!! 自動ドア!?」

「こんくらいデカいと、自分じゃ開けられないからな」


 開いていく門は、まるで大きな魔物(まもの)がその口をあんぐりと開け、待ち(かま)えているようにも見える。

 その(おく)には、薄暗(うすぐら)い通路と、行き交う人々のざわめきが広がっている。


 夢追(ゆめお)い人の、情熱(じょうねつ)欲望(よくぼう)渦巻(うずま)魔窟(まくつ)

 これから自分が()()むその場所を前に、タイガの(むね)は自然と高鳴った。


 少女は全く(おく)することなく、その中へズカズカと進んでいく。

 タイガも小走りで後を追った――


 ◆ ◆ ◆


 ――冒険者(ぼうけんしゃ)ギルド・朱牙(しゅが)


 中へ入った瞬間(しゅんかん)熱気混(ねっきま)じりのざわめきと、酒と魔力(まりょく)()ざった独特(どくとく)の空気が全身を包む。


 広々とした石張(いしば)りのホールには、数十人の冒険者(ぼうけんしゃ)達が思い思いに集まっていた。多くの者が(けん)(おの)(つえ)()(たずさ)えており、喧騒(けんそう)の中にも緊張感(きんちょうかん)(ただよ)っている。


 天井は高く、そこから()るされた無数の赤提灯(あかちょうちん)が、ゆらゆらと(しゅ)の光を(とも)している。


「うお〜! すげェ〜!! みんな強そうだね!!」

「でもミャー達、その強そうな人達にめっちゃ見られてるんですけど……」


 そう……2人が中へ足を()み入れた瞬間(しゅんかん)、ギルド内の空気が一瞬(いっしゅん)止まったような気がした。

 それもそのはず。タイガの背中(せなか)には、異様(いよう)存在感(そんざいかん)を放つ巨大(きょだい)な羽が(くく)りつけられていたからだ。


 普段(ふだん)は静かな笑みで受付に立つ美しい受付嬢(うけつけじょう)も、今は(おどろ)きのあまり手を止めている。


「よく2つも、いっぺんに持てるな。分けて持ってこようと思ってたのに」

「うん、なんだかちっとも重く感じないんだ!」


 まるで遠足のリュックでも背負(せお)っているかのような軽やかな足取りで、(かれ)はそのまま、赤木のカウンターへと向かっていく。


 カウンターの真上には、天井から大きな木彫(きぼ)りの(りゅう)の首がぶら下がっていた。

 その(するど)眼差(まなざ)しは、ギルドに(つど)う者すべてを見下ろしているかのようで、(すさ)まじい威圧感(いあつかん)を放っている。


 少女はタイガの横に(なら)び、一瞬(いっしゅん)だけ周囲(しゅうい)視線(しせん)を気にしてから、小さく息を整えた。


 そして、少し気まずそうに――

 だが()れた口調で、受付に声をかける。


「あ~……こいつ、正規(せいき)冒険者(ぼうけんしゃ)じゃないんですけどいいですか?」

「え? 正規(せいき)じゃない!?」


 少女の言葉を受け受付嬢(うけつけじょう)はタイガと、その背負った羽を交互に見る。


「あ、でも一応(いちおう)ミャーの連れってことで……まあ、ミャーもまだ《E》ランクだけど……」

「……あ~、そうですね。しょ、少々お待ちください……」


 受付嬢(うけつけじょう)動揺(どうよう)(かく)せない様子で答えた。

 その丸い金縁眼鏡(きんぶちめがね)(おく)(ひとみ)は、(おどろ)きで見開かれている。


「え、えと……今日はやはりその……モンスター討伐依頼(とうばついらい)達成報告(たっせいほうこく)ですか?」

「はい、〝蒼面蛾王(ソウメンガオウ)〟の討伐(とうばつ)です」


 彼女(かのじょ)がその名を出した瞬間(しゅんかん)、ギルド内が(ざわ)めく。


「マジかよ、近森の主(きんりんのぬし)(たお)したのかよ……!!」

「しかも、あんなガキが……っ!?」


 周りの冒険者(ぼうけんしゃ)達と同じように、受付嬢(うけつけじょう)も息を()む。


「や、やっぱりそうですよね……〝緊急指定(きんきゅうしてい)〟の……ちょ、ちょっと確認(かくにん)します」


 彼女(かのじょ)一瞬(いっしゅん)だけ(こま)ったような笑みを()かべると、目の前の帳簿(ちょうぼ)()じて(おく)の部屋へと引っ()んだ。

 どうやら上司に相談しているらしい。


(はは、美人なお姉さんが戸惑(とまど)ってるにゃ)


 騒然(そうぜん)とするギルドの中で、自分達が視線(しせん)の中心になっている。

 その状況(じょうきょう)に少女は、少しだけくすぐったいような気分になっていた。


「お~! ホントに(すご)雰囲気(ふんいき)があるね! 〝ユニバ〟のコラボエリアみたい!」

「〝ユニバ〟……? あ、こら! あんまりキョロキョロすんにゃ」


 ただでさえ注目の的になっているというのに、タイガは興奮(こうふん)して首をぐるぐる回している。

 そのたびに背負(せお)った巨大(きょだい)な羽もユサユサと()れるので、周囲(しゅうい)視線(しせん)がさらに集まる。


(うう……変に目立ってる……ミャー達……)


 少女はその猫耳(ねこみみ)をペタンと()らし、ギルド内の視線(しせん)にただ()え続けるのだった――


 ◆ ◆ ◆


 ――少しすると、カウンターの(おく)の部屋から……コツ、コツ、コツ……


 赤木の(ゆか)を、ヒールが(たた)く音が(ひび)く。

 そしてそこから、おそらく受付嬢(うけつけじょう)の上司らしき人物が姿(すがた)を見せる。


「……へえ。あなた達が〝蛾の王(がのおう)〟を(たお)したのかい?」


 (あらわ)れた女性は()が高く、しなやかな肢体(したい)を黒地のチャイナ服に包んでいた。

 その服はぴたりと身体に()り付き、(ゆた)かな曲線を(あま)すことなく()かび上がらせている。


 大胆(だいたん)に開いた胸元(むなもと)には、目のやり場に(こま)るほどの色香が(ただよ)っている。

 (こし)まで(とど)赤紫(あかむらさき)(かみ)は、(つや)やかに光を帯びてゆるやかに()れ、切れ長の(あか)(ひとみ)は、まるで(へび)のように(するど)く、()ややかな光を(たた)えていた。


(うお……これまたセクシーなお姉さんだこと……)


 そのあまりのスタイルと迫力(はくりょく)に、少女は思わず引きつった笑みを()かべてしまった。


「あなた達2人で(たお)したの?」

「あ~……いえ、こいつが1人で……」

「へぇ、(ぼう)やが?」


 女性(じょせい)の問いかけに、タイガはなんてことないように答える。


「うん。そうだよ!」

「へ~。(ぼう)(すご)いじゃない」

「別に大したことじゃないよ。〝女神様〟がくれた力のおかげだし」

「〝女神様〟? ふうん……信心(しんじん)深いのね」


 そのやり取りを聞きながら、少女は内心で(へ~……なんか意外)と感心する。


 なんの宗教(しゅうきょう)かは知らないが、自分の力は神様から(あた)えられたものだと答える。

 年齢(ねんれい)のわりに、ずいぶん謙虚(けんきょ)な考え方だ。


「あ、そうだ! 本題にゃんですが……これ、クエストの報奨金(ほうしょうきん)はどうなりますか? こいつ、冒険者(ぼうけんしゃ)じゃなくて……」

「ああ、そうねェ……うん、指定額(していがく)通りでいいわよ」

「ほ、ホントですか!?」


「えっ!?」と受付嬢(うけつけじょう)が目を丸くする横で、女性(じょせい)はあっさりとうなずいた。


「ええ。本来ギルドに入っていない人がクエストを達成しても、報奨金(ほうしょうきん)減額(げんがく)。場合によっては、支払(しはら)われなかったりするんだけど……今回のクエストは緊急(きんきゅう)だったし特別ね」

「あ、ありがとうございます!!」


 少女は心の中でガッツポーズをした。

 表には出さないが、口元がちょっとだけ(ほころ)んでいた。


 そんな彼女(かのじょ)の横で、タイガも両手を高く(かか)げて宣言(せんげん)する。


「パンパカパーン! ボク達はクエストをクリアしたぞッ!!」


 その(いきお)いで、周囲(しゅうい)にパチパチと小さな(かみなり)(はじ)けた。


「うわっ!? か、〝(かみなり)〟ッ!?」


 受付嬢(うけつけじょう)がビクリと(かた)()ねさせ、思わず一歩下がる。

 その様子にタイガは首を(かし)げて、にへっと笑う。


「よくわかんないけどありがとう! お姉さん!」

「ふふ、次はちゃんと正規(せいき)のギルドメンバーになってからね? ちょうど3日後に〝冒険者(ぼうけんしゃ)試験〟があるわよ。受けてみたらどう?」

「〝冒険者(ぼうけんしゃ)試験〟? なにそれ“ハンター試験”みたいなもの?」

「“ハンター試験”がなにかはわからないけど……この国で年に1度行われる試験で、合格(ごうかく)すれば正式な冒険者(ぼうけんしゃ)になれるの」


「へ~!」とタイガは無邪気(むじゃき)に返事をする。


冒険者(ぼうけんしゃ)か……なんだか楽しそうだね!! ワクワクする!!」

「……おミャー、〝冒険者(ぼうけんしゃ)〟とか〝ギルド〟とか、そんにゃことも知らずに旅してたのか?」

「うん!」

「そんな堂々(どうどう)とうなずくなよ……」


 彼の世間知(せけんし)らずっぷりに、少女は思わず(ひたい)()さえた。


「ふふ、(ぼう)やなら〝《D》ランク〟スタートも(ゆめ)じゃないわ。頑張(がんば)ってね」

「うん! ありがとう! ギルドのお姉さん」


 元気な声を()に、女性(じょせい)はすっと(きびす)を返すと、長い(かみ)をたなびかせながら(おく)の部屋へと消えていった。


「……はあ。やっぱ色々とスケールが(ちが)うな、マスターは」

「えっ!? あの人〝ギルドマスター〟にゃの!?」

「そうです。あの方が当ギルド・朱牙(しゅが)のトップです」


 その言葉を聞いて、少女は(そりゃあの存在感(そんざいかん)にも納得(なっとく)だわ……)と小さくうなった。


「……あ……! そ、そういえば……」


 彼女は、思い出したようにポケットの中から〝青い(こな)〟が入った(びん)を取り出した。


「あんな大物の後に出すのも()ずかしいんだけど……」


 (びん)の中には、(あわ)(あお)(こな)がふわりと(ただよ)っている。

 光を受けるたび、蒼白(あおじろ)(つぶ)がきらりと(またた)いた。


 ◆ ◆ ◆


 <蛾面蒼粉(がめんそうはく)


 〇蒼面蛾(ソウメンガ)の顔部に蓄積(ちくせき)した高純度(こうじゅんど)鱗粉(りんぷん)魔力(まりょく)が、異様(いよう)な形で凝固(ぎょうこ)した希少素材(きしょうそざい)

 (あわ)蒼白(あおじろ)(かがや)きを放ち、見つめ続けると〝顔が青くなってしまい何日も元に戻らない〟と言われている。


 〇精神(せいしん)幻覚系(げんかくけい)素材(そざい)として需要(じゅよう)が高い。

 〇装飾品(そうしょくひん)護符(ごふ)・薬の素材(そざい)


 ◆ ◆ ◆


蒼面蛾(ソウメンガ)のレアドロップです」


(こいつが大量に(たお)した蒼面蛾(ソウメンガ)から、くすねてたんだよな……)


 少女は少し悪い顔でニヤッとしながら、蛾面蒼粉(がめんそうはく)の入った(びん)提出(ていしゅつ)する。


「あ、は~い。《E》ランクのクエストですね~」


 受付嬢(うけつけじょう)手慣(てな)れた動きで(びん)を受け取り、事務的(じむてき)処理用(しょりよう)のトレイへ置く。


「それじゃあ、これが報奨金(ほうしょうきん)の6,000ディジーです。お(たし)かめください」


(……さっきまで目を丸くしてたのが、(うそ)みてぇに冷静だな……)


 彼女は軽く(かた)をすくめ、小さな金貨が入った麻袋(あさぶくろ)を受け取ると、すぐにカウンターを(はな)れた。

 ~あとがき~


 第3話は明日の18時に投稿(とうこう)です。

 第1章完結まで毎日投稿中(とうこうちゅう)!!


掲示板(けいじばん)()られているクエスト】


蛾面蒼粉(がめんそうはく)採取(さいしゅ)

 〇クエストランク:《E》

 〇依頼内容(いらいないよう)

 蒼面蛾(ソウメンガ)の顔部から、まれに採取(さいしゅ)される希少素材(きしょうそざい)――蛾面蒼粉(がめんそうはく)納品(のうひん)

 装飾品(そうしょくひん)護符(ごふ)、薬などの素材として需要(じゅよう)が高まっているため、規定量(きていりょう)を指定の密閉瓶(みっぺいびん)に入れた状態(じょうたい)で、冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドへ納品(のうひん)すること。

 採取(さいしゅ)(さい)は、粉を直接(ちょくせつ)()()んだり、目や皮膚(ひふ)に付着させたりしないよう注意されたし。

 〇報奨金(ほうしょうきん)1瓶(いちびん)につき6,000ディジー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ