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『第95話 いざグランマルシェへ』

いつも応援ありがとうございます!


前回、大渋滞の馬車の中で繰り広げられた前代未聞の

ババ抜き対決を制した萌とジント様。


大いに盛り上がったババ抜き対決が終わり、私たちは検問を終わらせ、いざ『グランマルシェ』へとうまを走らせました!


門をくぐった先に広がっていたのは、商売人たちの威勢のいい掛け声が飛び交う、活気溢れる大都会の市場。


賑やかな街並みを萌に見せながら、ジント様が語った優しくも深い言葉とは……?


そして、勝者のご褒美である最高級ホテルへ到着し

いよいよマカロン作りのための規格外な過保護パワーが動き出す、新章開幕の第95話です!

大いに盛り上がったババ抜き対決が終わり、私たちは検問を終わらせ、いざ

「グランマルシェ」へとうまを走らせた。


ババ抜きで最下位(ドベ)となり、未だにへのへのもへじの顔のまま座席の隅で魂が抜けているアレクにい様を乗せた

高級馬車は、巨大な城門をくぐり抜け

ついに大陸最大の商業都市の内部へと

足を踏み入れた。


校門を通り過ぎると、そこに広がっていたのは、言葉を失うほどに圧倒的な活気と熱気に満ちあふれた世界だった。


「安いよ安いよー! 本日入荷の東方スパイス、今ならなんと50パーセントOFFだよーっ!」


「こっちは極上の魔獣の毛皮だ! 異国からの商隊が遅れてるから、今日だけ特別に赤字覚悟で売っちゃうよ!

寄ってって、買ってって!」


見渡す限り、人々が行きかい、商品を

売ろうと色んな人が安いよー!今なら

50パーセントOFFと赤字覚悟で売っている人がいた。


白磁のような美しい石畳の道の両側には、洗練されたデザインの大きなお店

から、色鮮やかなテントを広げた露店

までがズラリと並んでいる。


世界中の珍しい布地や宝石、見たこともない果物が並び、行き交う人々も仕立ての良い華やかな服を纏って楽しそうに

品定めをしていた。


日本でいうところの、銀座の大歩行者天国とアメ横の活気を足して、さらに極上のファンタジー魔法をトッピングした

ような空間だ。


(さすがは世界中の富と商人が集まる

商業都市『グランマルシェ』……!

歩いているだけでもエネルギーがもらえるみたい。これなら、お目当てのマカロンの材料も絶対に最高のものが手に入るわね!)


私が中身OLの血を騒がせて、短い手足をバタバタと動かしながら「あうー!

あぶー!」と目を輝かせていると

ジント様がフワリと極上の微笑みを浮かべた。


「さすがグランマルシェって感じだね。みんな安く売って赤字覚悟だろうが

買って貰えるだけでも幸せなことなんだよ、萌」


ジント様は萌を抱き上げながら、窓に

覗かせ、賑わっているところを見せていた。


その逞しい腕の中にすっぽりと包まれながら、私はジント様の美しい横顔を見上げる。


冷徹な公爵閣下として世界を震撼させることもあるジント様だけれど、この大陸最大の商業都市を治めるトップとして

必死に生き、商売を楽しんでいる領民

たちの姿を本当に愛おしそうに見つめているのだ。その優しくて深い言葉に

私の中身OLの胸はキュンと温かくなる。


「あうー、ばぶぶ!(ジント様、みんなとっても楽しそうだね!)」


私がジント様の胸にちっちゃなおつむを預けてばぶばぶと頷くと、ジント様は

愛おしそうに私の頭を優しく撫でてくれた。


やがて馬車が停車したのは、街の中心部にそびえ立つ、まるで王宮かと見紛うほどに巨大で美しい白亜の最高級ホテル

だった。


案内されたのは、その最上階を丸ごと

貸し切ったという『特級特別貴賓室

(ロイヤルスイートルーム)』。


ふかふかの最高級ペルシャ絨毯に

クリスタルの巨大なシャンデリア。


窓からは、先ほど見てきたグランマルシェの活気溢れる街並みが一望できる。


ベッドにいたっては、大人10人が川の字で寝られるのではないかというほどのキングサイズだ。


ババ抜き勝者のご褒美とはいえ、国家元首の受け入れレベルの超VIP待遇に

私は「豪華すぎて目がチカチカするわよーっ!」と心の中で嬉しすぎる悲鳴を

あげた。


「萌ちゃん、この部屋なら空気も清浄だし、ベッドも柔らかい。旅の疲れもすぐに吹き飛ぶはずだよ。ライダ、アレク、さっそく例の件を始めろ」


ジント様が私を特等席のふかふかソファにそっと座らせると、先ほどまでババ

抜きで一喜一憂していたお兄ちゃんたちに、冷徹な公爵閣下の顔に戻って鋭い

指令を下した。


「おう、任せとけジント! 街の商業ギルドの幹部どもはすでにホテルの一階に

呼びつけてある!」


ライダにい様が不敵に笑い、さっきまで落ち込んでいたアレクにい様も、眼鏡の奥の瞳をキリッと光らせて手帳を開いた。


「萌ちゃんが作りたいという『マカロン』の材料だね。まずは、このグランマルシェに入荷している全ての

『最高級砂糖』の在庫を把握させよう。

萌ちゃんに粗悪な砂糖を使わせるわけにはいかないからね」


ジント様はさらに、恐ろしいほど冷徹な声で、さらなる過保護命令を付け足した。


「当然だ。この街にある一等品の砂糖、そしてマカロンの材料になり得る最高級のアーモンドや卵は、すべて我が公爵家が法外な値を付けてでも

『買い占める』。一般の商人や他国の

貴族に1粒たりとも渡すな。萌ちゃんが好きなだけ使えるよう、このホテルの

倉庫を特級の材料で埋め尽くすのだ」


「御意に、公爵閣下」


お兄ちゃんたちが、まるでこれから敵国を滅ぼしに行くかのような真剣な表情で深く頭を下げ、部屋を飛び出していった。


(ジント様ーーーっ!? さっき

『買って貰えるだけでも幸せ』って良いこと言ってたのに、新章に入った瞬間から職権乱用と過保護のスケールがやっぱりバグってるわよーっ!!)


私は心の中で全力のずっこけをかました。


さっきまで赤字覚悟で必死に売っていた商人たちの幸せを語っていたジント様が、私のマカロンひとつのために

大都会の最高級砂糖市場を力技で完全独占しようとしているのだ。


普通のばぶばぶな0歳児エルフなら

怯えて泣き出すところだが、私は元OL。


ジント様たちのあまりの過保護っぷりに、呆れを通り越して

「愛されてるなぁ」とクスクス笑ってしまう。


「ふふ、萌ちゃん。まずはこの甘い果実のジュースでも飲んで、お兄ちゃんたちの報告を待とうね」


ジント様が、街で一番高級な冷たい完熟果実のジュースを私の小さな口元に運んでくれる。


大都会グランマルシェ。


世界中の富が集まるこの街で、私たちの過保護で美味しいおやつ旅は、さっそく街全体を大混乱に陥れながら、ド派手に幕を開けるのだった。

(第95話 完)

第95話をお読みいただき、ありがとうございました!


ついに新章『グランマルシェ編』へと突入いたしました!


「50パーセントOFF!」「赤字覚悟!」と賑わう市場のエネルギーに圧倒される萌ちゃん。


そんな萌ちゃんを抱き上げて窓の外を見せながら

「買って貰えるだけでも幸せなんだよ」と語るジント様の優しさと領主としての深い眼差しには、思わず胸が

キュンとしてしまいましたね。


……が、感動したのも束の間(笑)。


勝者のご褒美の超豪華スイートルームに到着した瞬間

萌ちゃんが「マカロンを作りたい」と言っただけで

街中の最高級砂糖や材料を力技で『完全買い占め』しようとするジント様とお兄ちゃんたち。


さっきの感動的な領主としてのセリフはどこへやら

萌ちゃんファーストが行き過ぎて大都会の経済がさっそく大ピンチを迎えています!


次回第96話、買い占められた最高級の材料たちがホテルの部屋に続々と運び込まれます!


萌ちゃんはいよいよ、前世の知恵を活かした幻の

スイーツ『マカロン』の試作に取り掛かりますが

そこでまた新たなドタバタが……!?


読者の皆様へのお願い


「ジント様の商人としての言葉が深くて素敵!」

「でも直後の買い占め令へのギャップに爆笑した!」

と思ってくださった方は、ぜひ作品への応援をお願いいたします!


ページ下部にある【広告の下】から、・ブックマーク登録・評価(☆☆☆☆☆を★★★★★に!)をポチッと押していただけると、萌ちゃんが次の街で伝説のアイテムをサクッと見つける大きなエネルギーになります。どうぞよろしくお願いいたします!


8月26日水曜日はお休みいたしまふ!

8月27日木曜日から再開いたじす!

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