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『第90話 眠るとそこには私を転生させた神様がいた』

いつも応援ありがとうございます!前回、お腹が空いて大泣きしてしまった萌。アレクお兄様たちが大慌てで我

に返る中、ジント様が特製のミルク粥スープを用意してくれました。


今回は、その美味しいミルク粥をたらふく食べたあとの出来事です。


満足して眠りにつくはずだった萌ですが、赤ちゃん特有のあるハプニングが起きてしまい、ジント様たちが過去最大の大パニックに!?


さらに、そのあと眠りについた萌の前に現れたのは……?物語の大きな節目となる第90話、新章のヒントと衝撃の未来が明かされる重要回です!

高級馬車の中。


お腹が空いて大泣きしてしまった私に

ジント様が特製の『最高級砂糖入り・

特製ミルク粥スープ』を用意してくれた。


お兄ちゃんたちも大慌てで私の頭を撫でてあやしてくれて、私はジント様に

スプーンで優しく口元に運んでもらいながら、一生懸命それを食べた。


私はミルク粥をたらふく食べたあと寝る予定だった…


「あうあう!(おいちかったー!これで

少しは魔力回復したかな)」


私は手をグーパーグーパーしながら魔力のめぐりを確かめていたけど、まだ全然魔力が空っぽ…どのぐらい空っぽかと

言うとわかりやすいのは600g入る

ペットボトル入る底にちょびっと溜まってるぐらい。


話を戻そうー満腹になり眠りかけたところで食べた物が口から出てきたのだ。


「……っ!?」


「も、もえちゃんどうしたの!?ミルク粥美味しかった?それとも体調悪いのかな」


「萌!?ど、どうしたんだよ!口から白いのがヨダレのよう垂れてるぞ!」


「もえちゃん…そんなに僕の作ったミルク粥は美味しくなかった…?」


…それはミルク粥は美味しかったよ?

でもねこれは赤ちゃんあるあるあって

心配する必要ないんだよねゲップさせないとこうなってしまうから…。


赤ん坊は胃の形が未熟だから、飲んだ

あとにちゃんとゲップをさせて空気を

抜いてあげないと、こうやって簡単に

吐き戻しちゃうのだ。


元OLの知識としては知っているけれど

まさか自分がそれを体験することになるとは思わなかった。


「すまない、萌ちゃん、すぐに私が魔法で治療を――」


「待てジント、萌ちゃんの顔色は悪くないよ。……そういえば、昔読んだ古い文献に、赤ん坊は食後に背中を優しく叩いて『気』を抜いてやらねばならないと

あったような……」


アレクにい様が、さすがの頭脳で何かに気づいたように顎に手を当てた。


ジント様はアレクにい様の言葉を信じ

恐る恐る私の小さな身体を縦抱きに

して、自分の広い肩口に私の頭を乗せた。


そして、大きな手のひらで、私の小さな背中を優しく、トントン、と叩き始めた。


「萌ちゃん……これでいいのだろうか。苦しくないかい……?」


トントン、とリズミカルに背中を刺激され、胸のあたりに溜まっていた空気の

塊が、すうっと上に持ち上がってくるのを感じた。


「……きゅっ、げぷ」


私の小さな口から、なんとも気の抜けた、可愛らしいゲップが一つ零れ落ちた。


その瞬間、私の胸のつかえは完全に取れて、すっきりとした爽快感が広がっていく。


「出た……! 今、萌ちゃんの口から何かが出たぞ!」


「ああ、顔色がさらに良くなった。

ジント、大成功だ」


「……よかった。本当に、よかった……」


ジント様は、今度こそ本当に安心したように大きなため息をつき、私の額に

そっと愛おしそうにキスをした。その

瞳には、私への深すぎる情愛と、安堵の涙がうっすらと浮かんでいる。


「にゃ、にゃ〜〜ん

(本当に、人騒がせな赤ん坊だねぇ……)」


馬車の隅っこで、みちゃーれが呆れ果てたように尻尾をパタパタと振っていた。


ゲップをしてお腹もすっきりした私は

今度こそ急激な睡魔に抗えなくなってきた。


ジント様の優しいトントンという振動を感じながら、私は大好きな家族の腕の中で、あうあうと幸せそうに深い眠りへ

と落ちていった。


「――やあやあ、久しぶりだね

萌ちゃん。ずいぶんとちっちゃく愛くるしい姿になっちゃって」


(……え?)頭上から響いた、どこか

緊張感のないのんびりとした声に

私はゆっくりと意識を浮上させた。


気づけば、私はジント様の温かい腕の中でも、高級馬車のシートの上でもなく

見渡す限り一面が真っ白な、重力すら

感じられない不思議な空間にぽつんと

座っていた。


自分の手を見てみると、もちもちの赤ん坊の手ではなく、見慣れた前世のOL時代の私の手だった。


「あ、あなた様は……! 私をこの世界に転生させた、あの時の神様!?」


慌てて声を上げると、私の目の前で

光をまとった白髭の優しそうな神様が、あははと楽しそうに笑っていた。


どうやら私は今、夢を通じて神様の領域に招かれているらしい。


「そうだよ。いやぁ、下界の様子を覗いてみたら、君があまりにもばぶばぶ

言っているから心配になってね。

急に2歳児から0歳児の赤ん坊にまで

縮んじゃって、自分でもびっくりしただろう?」


「そうですよ! お菓子宿で『浄化の光』を放ったあとに急に体が縮んじゃって……さっきも確認したんですけど

今の私の魔力なんて、600グラム入るペットボトルの底にちょびっと溜まってるくらい、完全に空っぽなんです!」


私が前世の感覚で必死に訴えると

神様は「なるほど、分かりやすい例え

だね」と納得したように頷いた。


「結論から言うとね、その幼児化は君の肉体の『防衛本能』なんだ。君が使った聖属性魔法は、本来なら大人の大魔導士が命を懸けて放つレベルの規格外のものだった。

それを幼い身体で使ってしまったから

魔力が一気に枯渇して、肉体が生命を

維持するために一番エネルギーを使わない『赤ん坊』の姿まで退化して時間を

巻き戻したんだよ」


「防衛本能……。じゃあ、私はずっと

このばぶばぶな赤ん坊のままなんですか!?」


これでは大好きなパンケーキを食べるどころか、前世の知識を活かしておやつを作ることもできない。


焦る私に、神様は悪戯っぽく微笑んだ。


「大丈夫、ちゃんと元の姿に戻る方法はあるよ。君の馬車はもうすぐ、世界中の富が集まる商業都市『グランマルシェ』に到着する。その街にある

『伝説のアイテム』を見つけ出すんだ。それを君の手で手に入れるんだ。

そして――」


神様はそこで、一度言葉を切って力強く微笑んだ。


「君がずっと作りたがっていた、前世のあのお菓子……そう、『マカロン』を

そのアイテムの力を使って完成させるんだ。最高級の砂糖と、その伝説のアイテムが交わった時、君の枯渇した魔力は

一気に全回復する。

そうすれば、元の姿……いや、もしかしたらもっとお姉さんの姿にまで戻れるかもしれないよ?」


「グランマルシェの商会……伝説の

アイテム……そして、マカロン……!」


パッと目の前が開けたような気がした。


悪徳宿からゲットした大量の最高級砂糖は、まさにこのためにあったのだ。


ただのおやつ作りではなく、私の身体を元に戻すための運命の鍵。


新章の目的が、はっきりと胸に刻まれた。


「さあ、お迎えが来たようだ。

ジント君たちも、君が起きなくて相当

パニックになっているみたいだからね。頑張っておくれよ、元OLの天才お菓子

職人さん」


神様が優しく手を振り、真っ白な世界が急速に光の中に溶けていく。


あ、これで夢が終わるんだな、と思ったその時。神様は立ち去るように見えて、ハッと何かを思い出したように私のほうに振り向いた。


「あっそうだ、僕の愛しい萌……。

赤ん坊になってて大変なところ申し訳ないけど、未来を変えて欲しいんだ」


「み、未来……? 未来になにかあるんですか?」


唐突すぎる神様の言葉に、私は光に消えかける視界の中で必死に問い返した。


神様の表情が、心なしか少しだけ真剣なものに変わる。


「未来……に、萌の家族、ヴィンテ・ラジと、ジントを救って欲しいんだ……。詳しい詳細は言えないけど、だけど

きっと萌なら救えるから……。僕の愛しい――」


「ちょっと待って! 神様、それどういうこと――!?」


私の必死の叫びも虚しく、そこでぷつりと夢が強制終了してしまった。


待って、私の家族とお兄ちゃんたち……それにジント様に、これから一体何が起こるの!?


しかも詳細は言えないって、そんなの

一体どうやって対策しろっていうのよーっ!!


この物語は、前世の知識を活かして美味しいおやつを作りながら、みんなで楽しく旅をするお話なはず。


それなのに、神様が言い残した

「未来に起こること」とは、一体何が

起きるのでしょうか――。

(第90話 完)

記念すべき第90話をお読みいただき、ありがとうございました!


今回は、萌ちゃんがミルク粥をたくさん食べたあとの

「ペットボトル例え」や「赤ちゃんあるあるの吐き戻し&ゲップ騒動」の可愛いドタバタから、後半の

「神様からの衝撃の予言」まで、すべての要素が完全に

1つになった豪華な回になりました!


自分の料理が不味かったのかと絶望するジント様や

毒を疑うお兄ちゃんたちの慌てっぷりが相変わらず愛おしいですね。


そして去り際に神様から残された、まさかの

「未来を変えて、家族とジントを救ってほしい」という衝撃の予言……!


楽しいおやつ旅のはずが、一気に大きな謎と伏線が張られたところで幕を閉じます。


萌ちゃんたちを待ち受ける未来の運命とは? そして

グランマルシェの商会にあるという伝説のアイテムとは一体……!?

次回、ついに馬車がグランマルシェに到着し、萌ちゃんが目を覚まします!


読者の皆様へのお願い 「ゲップが出てすっきりした萌ちゃんが可愛い!」「ここで終わるの!? 続きがめちゃくちゃ気になる!」と思ってくださった方は、ぜひ作品への応援をお願いいたします!


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登録・評価(☆☆☆☆☆を★★★★★に!)をポチッと押していただけると、萌ちゃんが次の街で未来の危機をはねのける大きなエネルギーになります。どうぞよろしくお願いいたします!

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