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第83話:悪い人をせいばいせよ

いつも『社畜OLの葛木萌、猫を助けて異世界へ!』をお読みいただきありがとうございます!前話、店員の卑劣な罠によってお菓子宿全体が暴走結界へと変貌。本気が出せないジント様やお兄ちゃんたちが、身を挺して萌を守る大ピンチを迎えていました。第83話は『悪い人をせいばいせよ』です!ジント様の流した血によって、ついに大人のOL脳を思い出した萌ちゃん。瞳を「虹色」に輝かせ、ゲス店員を真っ正面から睨みつけます!ボリュームたっぷりに肉付けした、萌ちゃんの最強チート魔法と婚約者&お兄ちゃんたちの容赦ない「せいばい(ざまぁ)」の瞬間をどうぞお楽しみください!

「お母ちゃんの戸棚は、もうとっくに

ぶち破ったのよ。――さあ、ここからは私たちの『反撃』の時間よ。覚悟しなさい、悪徳ブラック企業!!」


萌の声が大広間に激しく響き渡ると同時に、お菓子宿の空間そのものがまるで悲鳴をあげるかのように、ゴゴゴゴと不気味な地響きを立てて大きく揺れ動き始めた。


赤黒く変色していた壁が次々と剥がれ

落ち、ドゴォォォンと凄まじい衝撃音を立てて大広間のあちこちが大きく鳴動した。


宿全体が激しいエネルギーの渦に巻き込まれ、激震が走る。


萌は小さい頃の怖い思い出に、ずっと

長い間引っ張られていた。前世の母親から日常的に受けた冷酷で理不尽な言葉の数々や、暗くて狭い戸棚の中に一人きりで何時間も閉じ込められたときの、息が詰まるような深いトラウマ。


それらの記憶が強固な呪縛となり

これまでの彼女の身体を底知れない恐怖ですくみ上がらせていた。


ただ頭を抱えてカタカタと震え、誰かが助けてくれるのを待つ無力な子供に戻るしかなかったのだ。


けれど、自分の小さな身体を必死に

庇い、身を挺して頭上からの巨大な

ツララの脅威を受け止めてくれた最愛の婚約者――ジント様が流した赤い血が床に滴るのを見た瞬間、萌の瞳は完全に

目を覚ました。


大好きな人が自分のせいで深く傷つけられたことへの激しい怒りと、今度こそ

自分の力で大切な家族を絶対に守りたいという強い願い。


その二つの熱い感情が、萌の頭の奥底に深く眠っていた「大人のOLだった頃」のすべての記憶と、冷徹な社会人としての強い意識を鮮明に呼び覚ました。


お母ちゃんの作った狭い戸棚という名の精神の檻を自ら蹴破り、ついに真の完全覚醒を遂げたのであった。


完全に覚醒を果たした葛木萌の前に

眩い黄金色に光り輝く巨大な魔法陣が

何重にも重なり合って展開されていく。


幾何学的な模様が次々と空間に描き出

され、それは世界そのものの理を

あっさりと書き換えてしまうかのような、圧倒的な「規格外のチート魔力」の凄まじい奔流となって大広間を満たしていった。


「な、なによこれ……!? こんな小さなガキが、どうしてこれほどの魔力を……っ!? あり得ないわ、こんなこと!」


安全圏から勝ち誇っていたはずの女性店員の顔が、一瞬にして絶望と恐怖に

歪み、青白く引きつった。


宿の全結界を限界まで暴走させたはずの赤黒い闇の魔力が、萌の放つ黄金の神々しい光に触れただけで、パチパチと頼りない音を立てて消滅していく。


まるで太陽の光を浴びたただの霧の

ように、何一つ抵抗できずに霧散していくのだ。


「私の大事なお兄ちゃんと、婚約者と

みちゃーれに傷をつけてくれたわね!」


萌は女性店員にピタリと狙いを定めて

目をつけて、真っ正面から鋭い眼差しで睨みつけた。


萌の瞳は元々は普通のエルフと同じ

温かみのある茶色だった。


けれど、今の完全に覚醒した萌は、見たこともないほど神々しい『虹色に輝く瞳』をしていた。


その虹色の光は、不気味に渦巻いていた大広間の暗闇を一瞬で鮮やかに照らし出していく。


その美しくも冷徹な虹色の双眸は

悪徳店員の姑息で下劣な魂の奥底までをも完全に見透かすかのように、ギラギラと眩しく光り輝いている。


「命のリンクとかどうでもいいわ!

あなたをやっつけばいいだけだもの!」


萌は毅然とした態度で冷酷に言い放つ。


大人のOL脳を完璧に取り戻した萌には、店員の「私の命とリンクしているから、私を殺せば呪いは一生解けない」

という脅し文句が、ただの往生際の悪い時間稼ぎのハッタリだと完全に看破できていた。


ブラック企業の経営者がよく使う

代わりのきかない条件を盾にした悪質なマニュアル交渉と同じだ。


「人のトラマを人質に取るような悪質な営業スタイル、万死に値するわ。全員

まとめて、私が『せいばい』します」


萌がパチンと小さく指を鳴らした。

その瞬間、黄金の魔法陣から、お菓子宿の暴走結界を根こそぎ上書きして消去する、超高密度の神聖範囲魔法

『浄化の光』が容赦なく解き放たれた!


ドォォォォォォォンッ!!!


お菓子宿全体を、視界のすべての空間を染め上げるほどの眩しい純白の閃光が包み込む。


「ぎゃあああああああぁぁぁっ!!!

私の、私の宿の魔力がぁぁぁ……っ!? 吸い取られていくぅ!」


店員の下劣な悲鳴が大広間に響き渡る。


暴走していた赤黒いゼリーの床も

天井から迫っていた巨大なお菓子の

ツララも、萌のチート魔法によって一瞬でただの普通の甘い砂糖水へと安全に還元されていく。


店員の醜い身体を纏っていた禍々しい闇の魔力も、容赦なく根こそぎ剥ぎ取られていった。


魔力を完全に喪失し、後ろ盾を失った

店員は、無様に床へとへたり込む。


だが、萌の「せいばい」はこれだけでは終わらない。


「ジント様、お兄ちゃんたち! 残務処理(トドメ)をお願いします!」


「ふっ、喜んで。萌ちゃんを泣かせ

恐怖に陥れた罪、万死に値する」


萌の的確な指示に、ジント様の美しい瞳が、深い怒りで冷酷に細められる。


ジント様は不敵な笑みを浮かべて一歩前に出た。魔力を失ってただの人間となった店員に向けて、ジント様の右腕から

先ほどとは比べ物にならない本来の威力の「氷の雷(いかずち)」が容赦なく

解き放たれる!


バリバリバリィィィンッ!!!


「ひぎゃあああぁぁぁっ!?」


「おうっ! 俺たちの可愛い妹を怖がらせた分、たっぷり利息をつけて返してやるぜ! 覚悟しな!」


「うん。僕たちの萌ちゃんに手を出したんだ、これくらいじゃ済まないよ?

徹底的にやろう」


続けてライダにいの燃え盛る炎の拳が

アレクにいの鋭い風の刃が、無防備になった店員へと次々に炸裂した。


お説教部屋を脱出してまで命懸けで駆けつけてくれたお兄ちゃんたちの、妹への深い深い愛が詰まった容赦ない追撃だ。


ズガガガガガァンッ!!!


凄まじい連続大爆発と共に、悪徳宿の

分厚い壁が完全に粉砕されて吹き飛ぶ。


魔力を奪われ、世界最強クラスの男たちにボコボコにされた店員は、白目を剥いて完全に気絶し、そのまま崩壊していく宿の瓦礫の彼方へとド派手に吹っ飛んでいった。


こうして、萌のトラウマを利用して

ハメようとした悪徳お菓子宿は、跡形もなく大爆破されたのだった。


「ふぅ……。一件落着、ですねっ」


萌はくるりと振り返り、ジント様や

お兄ちゃんたち、そしてみちゃーれに

向かって、いつもの可愛い幼女の笑顔で微笑みかけるのだった――。

(第83話 完 )

第83話をお読みいただきありがとうございました。

萌ちゃんの「私の大事なお兄ちゃんと婚約者とみちゃーれに傷をつけてくれたわね!」からの覚醒、最高に

熱かったです!


元々の茶色い瞳から、魔力解放で【虹色に輝く瞳】に変わる演出や、お母ちゃんの戸棚の呪縛をぶち破る心理描写は、書いていて本当に鳥肌が立ちました。萌ちゃんが魔法で店員の魔力を剥ぎ取り、ジント様やお兄ちゃんたちの超強力な追撃コンボが炸裂して宿ごと木っ端微塵! 最高の「せいばい」になりました!

【作者からのお願い】

「スカッとせいばい大成功!」と思ってくださった方は、ぜひ下にある【ブックマーク登録】や、評価の【☆☆☆☆☆】を★★★★★にして、みんなへの応援をよろしくお願いいたします!

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