↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
84/145

第82話:呪いと反撃

いつも『社畜OLの葛木萌、猫を助けて異世界へ!』を

お読みいただきありがとうございます!


前話、店員の卑劣な罠によってお菓子宿全体が暴走結界へと変貌。本気が出せないジント様やお兄ちゃんたちが、身を挺して萌を守る大ピンチを迎えていました。


ついに迎えた第82話、タイトルは『呪いと反撃』です!読者の皆様が気になっていた「あれ? お兄ちゃんたちってお説教されてたんじゃ……?」という疑問の舞台裏が、ジント様の回想でついに明かされます!


そしてみんなの流した血と傷跡を見た萌が、ついに

「前世の狭い戸棚」という呪縛を自らの意思でぶち破ります!大人のOL脳と最強チート魔力が完全覚醒し、ここから最高の反撃(ざまぁ)がスタートします!

それでは、第82話をお楽しみください!

ズガガガガガァンッ!!!


暴走したお菓子宿の全魔力が込められた巨大なツララ。それが、ジント様が展開した氷の障壁へと凄まじい衝撃音と共に激突した。


「くっ……あぁ……っ!!」


ジント様が短い苦悶の声を漏らす。

萌の上に覆い被さり、背中を盾にしながら掲げた右手が、あまりの衝撃にミリ

ミリと震えていた。


高位魔族であるジント様にとって

こんなお菓子宿の結界など本来は一瞬で消し飛ばせる代物だ。


だが、店員の「私が死ねばガキの呪いは一生解けない」という卑劣な脅迫のせいで、本気の出力を出すことができない。


アレクにいも、ライダにいも同様

だった。


萌の精神への影響を恐れるあまり、全員が完全に後手に回らざるを得なかったのだ。


「ひっひっひ! いい気気味ねぇ! その

まま潰されちゃいなさい!」


安全圏から狂ったように嘲笑う店員。

頭上から迫る、すべてを押し潰さんと

する暴走結界。


そんな絶体絶命の窮地の中。読者の方の中には「あ、あれ……? アレクにいと

ライダにいは、お父様にお説教されてたんじゃなかったっけ?」と疑問に思った方もいるかもしれない。


実は、話はジント様がお菓子宿へと出発する直前まで遡る。


まさにジント様が萌のところへ行こうとしていた、そのときだった――。


「待って! ジント! 僕も連れて行ってくれ――萌ちゃんのことが心配なんだ!」


長男のアレクにいは、お父様のいるお説教部屋からドタバタと大きな音を立てて飛び出してきた。


そして、今にも転移魔法で飛び立とうとしていたジント様を必死に引き止めたのだ。


「俺も連れて行ってくれよ! もし萌が危険な目に遭ってるなら、俺が助けに行きたいんだよ!」


次男のライダにいも、説教部屋から

アレクにいのすぐ次へと慌てて出てきた。


お父様のお説教を途中で抜け出すという大罪を犯してまで、二人は必死にお願いをしてジント様を引き止めていたの

だった。


妹を想う兄たちの必死の熱意に押され

ジント様は二人を伴ってお菓子宿へと

乗り込んだ。


それが、先ほどのド派手な乱入劇の真相だった。話を現在へと戻そう。


ジント様の背中越しに、頭を抱えて

ガタガタと震えていた萌の視界に

真っ赤な血がポタポタと滴り落ちてきた。


(あ、あれ……? この血……だれの……?)


それは、必死に氷の障壁を維持するジント様の、右手の隙間から溢れたもの

だった。


さらにその向こうでは、壁に叩きつけられたみちゃーれが、ボロボロの身体を

起こしてなおも店員を鋭い目で睨みつけている。


お説教部屋を脱出してまで駆けつけてくれたお兄ちゃんたちも、萌を守るために必死にお菓子の触手を素手で引きちぎっていた。


みんなが、傷ついている。自分を愛し、守ろうとしてくれる大切な異世界の家族たちが、血を流している。


そのハッキリとした現実の光景が、萌の脳内にこびりついていた

「前世の狭い戸棚」の幻影を、強烈に

揺るがした。


『あんたなんか、お菓子の素材がお似合いだよ!』という店員の罵声。

それが、前世の母親の『あんたなんか、戸棚の中に閉じこもってなさい!』と

いう理不尽な怒声と重なる。


(……なんで、私はこんなところで怯えてるの?)


萌の心の中で、何かがパチンと音を立てて弾けた。お母ちゃんは怖かった。

前世の孤独は辛かった。


けれど、今の自分には、必死に盾になってくれる婚約者がいる。怒られてでも

助けに来てくれるお兄ちゃんたちがいる。


命懸けで守ってくれる相棒の猫がいる。


(私はもう、あの狭い戸棚の中に閉じ込められた、無力な子供じゃない……!)


ハッと我に返った瞬間、葛木萌の

「大人のOL脳」が完全に目を覚ました。


それと同時に、幻のエルフとしての

「規格外のチート魔力」が、せきを

切ったように体内から大爆発を起こす。


ピキィィィィンッ!!!


萌の身体から放たれたのは、ジント様の「氷の雷」すらも一瞬でかき消すほどの、圧倒的に清らかな、そして底知れない神聖なエルフの魔力波動だった。


「え……? 萌ちゃん……?」


至近距離でその波動を感じたジント様が、驚愕して目を見開く。

萌を蝕んでいた『暴食の呪い』の精神

汚染。


それは、萌が自らの意思で前世の

トラウマを拒絶した瞬間、エルフの圧倒的な神聖魔力によって、ただの不快な

塵のように一瞬で完全消滅した。


萌はゆっくりと立ち上がった。目元に

残る涙を、前世の社畜時代を思い出させるような「据わった目」でゴシゴシと

拭う。


その全身から立ち上る覇気は、すでに大人の最強エルフそのものだった。


「……そこのブラック店員」

声を低く、けれど大広間全体に響き渡る声で、萌が店員を真っ正面から睨みつけた。


「ひっ……!? な、なによその目は……っ! 私を殺したら、あんたの呪いは

一生……」


「うるさい。そんな安いハッタリ、もう通じないわよ」


萌 は冷酷に言い放つ。大人のOL脳を

取り戻した萌には、店員の

「命とリンクしている」という言葉が

ただの時間稼ぎのハッタリだと完全に

看破できていた。


「私の大事な猫と、婚約者と、お兄ちゃんたちに……よくも手を出してくれたわね。人のトラウマを利用した悪質な営業スタイル、万死に値するわ」


萌の小さな手のひらに、空間を歪ませるほどの規格外の魔法陣が展開していく。


それは、お菓子宿の暴走結界そのものを上書きし、物理的に消去するレベルの

超チート魔法。


「お母ちゃんの戸棚は、もうとっくに

ぶち破ったのよ。――さあ、ここからは私たちの『反撃』の時間よ。覚悟しなさい、悪徳ブラック企業!!」


お母ちゃんの呪縛を完全粉砕した萌。

ジント様とお兄様たちが見守る中

悪徳お菓子宿への容赦ない

「物理的営業停止処分」の幕が、ついに切って落とされた――。

(第82話完)

第82話をお読みいただきありがとうございました!

前回のラストでお兄ちゃんたちが乱入してきた伏線が、今回ついに回収されました!✨実はジント様が出発するときに、お父様のお説教部屋からドタバタと飛び出して「萌ちゃんが心配なんだ!」「俺が助けに行きたい!」と必死にお願いしていたのですね。


お説教から脱走してまで萌ちゃんを助けに来るお兄ちゃんたち、妹愛が深すぎて本当に最高です!

(あとでお父様にさらに怒られそうですが……笑)


そして、ジント様たちの姿を見て萌ちゃんが完全覚醒いたしました!自力で呪いを消し飛ばし、「悪質な営業スタイル、万死に値するわ」とキレ散らかす姿はさすが

元社畜です。


次回、覚醒した萌ちゃんとジント様、そしてお兄ちゃんたちによる、この悪徳お菓子宿への容赦ない

「物理的営業停止処分(大爆破)」が始まります!


【作者からのお願い】「お兄ちゃんたちの舞台裏最高!」「萌ちゃん覚醒キタ――!!」と思ってくださった方は、ぜひ下にある【ブックマーク登録】や、評価の【☆☆☆☆☆】を★★★★★にして、これからの大反撃戦への応援をよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。