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第64話:止まった世界でお仕置きタイム!

いつも『(作品タイトル)』をお読みいただき、本当にありがとうございます!前話のラスト、テロリストによる卑劣な多重人質作戦に対し、規格外の最上位魔法【絶対時間凍結】を発動して世界を止めてしまった萌ちゃん。頭の上の頼れる相棒・精霊王みちゃーれの完璧すぎるチュートリアルのおかげで、まずは最優先事項である「人質の安全確保」を見事に成し遂げました!そしてここからは、ハッピーなスイーツタイムを邪魔されてブチギレ(?)の萌ちゃんお待ちかねの「お仕置きタイム」です!幻のエルフとしての強大な攻撃魔法……を放つのかと思いきや、萌ちゃんが異次元リュックから取り出したのは、前世の日本から持ってきた「あの最強最悪の油性文房具」でした。誰も動けない静寂の世界で、悪党たちの尊厳をかけた(?)恐ろしいお絵描きが今、始まります!

「ふぅ……。ひとまず、これぇで全員

人質はたしゅけられたよね?」


頭の上の頼れる相棒、精霊王みちゃーれの完璧すぎるリアルタイムチュートリアルのおかげで、囚われていたすべての

貴族たちの周囲に、淡いブルーに輝く頑丈な防護魔法を張り巡らせることができた。


私の幼い舌での「みじゅのちからよ

みんなをやさちくちゅつんで……っ!」

というたどたどしい幼児語のリピート。


しかし、その中身は国家転覆レベルの

超高等な全方位保護魔法である。


これで時間が動き出したとしても

テロリストどものナイフが貴族たちの

首筋を傷つけることはないし、足元を

ガチガチに固めていた凍結魔法の氷も

じわりと溶けて消えるはずだ。


よし、第一段階である「顧客(人質)の安全確保」は完全にコンプリートで

ある。


私はちいさな額の汗を、フリフリとしたロリータドレスの袖でちょんちょんと

拭い、改めて、完全に静止したお披露目パーティーの会場を見渡した。


シャンデリアから落ちるはずのまばゆい光の粒子も、恐怖に怯える貴婦人の目

からこぼれ落ちた涙の雫も、すべてが

空中でピタリと静止している。


そして、私の目の前には、つい数十秒前まで「幻のエルフなんだろぅ? だったらその自慢の力で人質を守ってみせろよ!」と、勝ち誇ったようにニヤニヤと醜い笑顔を浮かべていたテロリストの

ボスが、口を半開きにした間抜けな

ポーズのまま固まっていた。


安全確保の次は、当然、不審者の迅速な処分業務、およびリスクの完全排除だ。


……だけど、ただ魔法で大人しく縛り上げるだけじゃあ、私の前世からの社畜のストレス、もとい、せっかくのお披露目パーティーというハッピーなスイーツ

タイムを最悪な形で邪魔された怒りが

どうしても収まらない。


「わるいちとは、おちおき必要だよね」


私の顔が、自然とニヤニヤとした邪悪な笑顔に歪んでいく。


中身が元アラサーOLの私だ。ブラック

な案件を押し付けてきた相手には

それ相応の、いや、それ以上の

「お返し」をしてやるのがビジネスの

基本というもの。


頭の上で同じく自由を許されている精霊王みちゃーれが「にゃあ?」と不思議そうにモフモフの首を傾げた。


『萌、妙に悪い顔をしているぞ。一体、この動けない羽虫どもにどんなお仕置き(業務改善命令)を下すつもりだ? 我が雷を落として消し炭にしてやってもよいのだぞ?』


「みちゃーれ、それは会場が汚れちゃうからダメでしゅ。いいこと考えたでしゅ! このペンで、わるい人達の顔に落書きしちゃうでしゅ!」


私は、自分の異世界収納リュック

(なぜか前世のオフィスからくすねてきた事務用品がそのまま入っている謎仕様の便利バッグ)の中に手を突っ込み

一本の黒いペンを取り出した。


そう、それは前世の日本が誇る、一度書いたらそう簡単には落ちない最強最悪の文房具――『マッキー極細(油性)』

である。


『ほう、それは魔法道具か? 一見ただの黒い棒だが、そこはかとなく凄まじい

呪いの気配を感じるぞ。一度刻まれたら二度と抗えない漆黒の契約の魔筆か?』


みちゃーれが私の手元にある油性ペンを凝視して、本気で戦慄している。


ふふふ、ある意味ではどんな攻撃魔法よりも恐ろしい、大人の世界の呪いの

アイテムよ。異世界の洗顔料やクレンジングオイルでこれが落とせるかしら?

落ちるわけないわよね、油性なんだから。


「まずは、いばっていたボスからでしゅ!」


私はよちよちとした幼児特有のおぼつかない足取りで、ボスの目の前まで歩いていくと、カチッと心地よい音を立てて

マッキーのキャップを外した。


ボスはナイフを構え、凶悪な笑みを浮かべたまま彫刻のように静止している。

無防備にもほどがある。


キャンバス(ボスの顔)に向かって

私は迷いなくマッキーのペン先を滑らせた。キュッ、キュッ、キュッ、と静寂に包まれた空間に小気味よい音が響く。


「まずは、おめめのまわりに、おっきな黒メガネをカキカキ……。それから

おでこには大きく『肉』って書いちゃうでしゅ! あと、お鼻の下には立派な泥棒ひげをプラスでしゅ!」


見た目は最高に可愛い幼児が、一生懸命に楽しそうにお絵描きをしている

だけの、極上の癒やし光景。


しかし、やっていることはテロリストとしての威厳と尊厳をマッハで永久破壊

する、きわめて凄惨なお仕置きで

あった。


ボスの顔をあっという間に

「昭和の漫画に出てくる絵に描いたような泥棒」に変身させた私は、ふふん

と満足げに鼻を鳴らした。


「つぎは、なかまの人たちでしゅ!」


私はそこから、時間が止まってピキッと固まっているテロリストの仲間たちの

間を、マッキーを片手に持ったまま

よちよちと楽しそうに駆け回った。


時間が止まっているからこそ、どれだけ近づいても反撃される心配はゼロ。

まさに無敵のボーナスタイムだ。

ある大男の顔には、右の頬に「肉」

左の頬に「骨」と書き加え、さらに

おでこには「バカ」と太い文字で直球のラベリング。


またある、いかにもクールぶっている

魔法使いの男の顔には、美しすぎる少女漫画風の、少女フィルターがかかった

キラキラお目目を限界までリアルに描き込んであげた。


お披露目パーティーの給仕係に変装して紛れ込んでいた内通者の顔には、親切心から「私がスパイです。犯人は私です」と、矢印付きの直球な告発文を顔面に

隙間なく刻み込んでおく。


『にゃあ(萌、こいつの顔には僕の肉球のマークを描いてくれ。我が直々に刻む呪いという演出だ)』


「あいっ! みちゃーれマーク、カキカキでしゅ!」


みちゃーれからの可愛いリクエストにもノリノリで応え、テロリスト全員の

顔が、わずか数分という短い時間の

中で、一枚の巨大なギャグ漫画の原稿のようになっていく。


誰も動けない静止した世界の中で、黒い油性ペンを持った2歳児がテロリスト

集団を一方的に蹂躙していく光景は

ある意味でどんな神級魔法の無双シーンよりも恐ろしいものがあった。


すべての敵の顔を完璧に、かつ一切の

手抜きなしでプロデュースし終えた

私は、マッキーのキャップをパチンと

小気味よく閉めて、ふぅと満足のいく深いため息をついた。


「これでおちおきタイム、おわりでしゅ!」


人質は全員保護完了。悪党どもの尊厳はマッキー(油性)で完全破壊。


これでお説教部屋からお父様たちが

戻ってくる前に、すべての舞台整えが

完了した。


私はお母様の隣へとよちよち歩きで戻り、頭の上のみちゃーれとバチッと視線で目配せを交わす。さぁ、止まった世界の時計の針を、再び動かす時間だ。


(第64話完)

第64話をお読みいただき、本当にありがとうございました!時間を止めて一体何をするのかと思いきや、まさかの「マッキー極細(油性)で顔に落書き」という、2歳児の無邪気さと元OLの嫌がらせ精神が奇跡の融合を果たしたお仕置きでした(笑)。おでこに定番の『肉』、立派な泥棒ひげ、少女漫画風のキラキラお目目、そして『私がスパイです』の直球告発メッセージ。萌ちゃんとみちゃーれの即興コラボによるお絵描きで、テロリスト全員がわずか数分で一枚のギャグ漫画のようになってしまいました。異世界の魔法やクレンジングで、はたしてマッキーの呪いが落ちるのかも見ものです。人質は全員完璧に保護され、敵の尊厳は完全破壊。次回、ついに止まった世界の時間が動き出します!そしてタイミング良く(悪党にとっては人生最悪のタイミングで)、お説教部屋からあの方たちが戻ってくる予感が……? 怒涛のざまぁ展開をお楽しみに!もし「萌ちゃんのニヤニヤ顔が可愛すぎる!」「マッキーの呪いは強烈だ」と少しでもクスッとしていただけましたら、画面下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に!評価やブックマークで応援していただけると、執筆の凄まじいモチベーションになります!皆様からの感想や「こんなお仕置きが見たい!」といったコメントも大歓迎です。次回の第65話もどうぞお楽しみに!

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