表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
65/67

第63話:幻のエルフを舐めないで!

いつもお読みいただきありがとうございます!前話のラスト、お披露目パーティー会場を突如襲ったテロリストの集団。ボスの卑劣な「多重人質作戦」を前に、萌ちゃんは最上位魔法【絶対時間凍結】を発動して時間を止めてしまいました!圧倒的チート能力で大逆転……と思いきや、ここでまさかの致命的な問題が発生。中身が元事務職OLの萌ちゃん、実は「実戦経験ゼロで魔法の手加減がわからない」という大ピンチを迎えます。そんな萌ちゃんに、頭の上の頼れる相棒・精霊王みちゃーれが手を差し伸べます。最高位の精霊王による、贅沢すぎるチュートリアルがスタートです!

お母様と萌は敵に人質を取られて1人を救ったのは良かったが…

思いも寄らぬ出来事が起きたのだった


「……ッ!?」


顧客(人質)を一人、安全圏に引き剥がしたまでは良かった。


だが、敵のボスもさるもの、前世の修羅場をくぐったブラック企業のワンマン社長ばりに往生際が悪かった。


「お前ら、一斉にやれ!」


ボスのニヤリと歪んだ醜い笑顔と同時に、会場の壁や天井の通気口から

さらにぞろぞろと大量の伏兵が湧き出てきたのだ。


彼らは統率された動きで、お兄に達のせいでボロボロになって動けない貴族たちを瞬く間に拘束していく。


ある者は貴族の首元に冷たいナイフを突きつけ。またある者は、魔法を使って貴族たちの手首や足首を氷漬けにして床に縫い付けた。


完全な多重人質監禁。全方位、隙のない包囲網だ。ボスは勝ち誇ったように私を睨みつけ、下卑た笑い声をあげる。


「幻のエルフなんだろぅ? だったら、その自慢の力で、この全員の人質を傷つけずに守ってみせろよ! 一人でも動いたら、この場にいる全員の首が飛ぶと思え!」


(チッ……! 幻のエルフの情報がどこから漏れてるのかは知らないけど、完全にこっちの能力を警戒した上での人海戦術ね……!)


私の脳内でアラサーOLの計算盤が超高速で回転する。『空間置換』で一人ずつ助けていては間に合わない。


私が一人をワープさせた瞬間、他の場所で確実に犠牲が出る。物理的な刃と

一瞬で肉体を破壊する凍結魔法。


普通の魔法使いなら、ここで完全に

チェックメイト(詰み)だ。

ボスのニヤニヤ顔が最高潮に達する。


だが。「幻のエルフ」という規格外の

存在と、前世で「絶対に不可能な納期

(デスマーチ)」を何度も奇跡的に間に合わせてきた元社畜OLの底力を、この男は根本的に舐めていた。


(多重ロックの同時解除? 物理と魔法の同時無力化? ――ハッ、前世のシステム障害の同時多発トリプルタスク

比べたら、これくらい可愛いもんよ!)


私はそっと目を閉じ、体内の魔力回路を全開にする。幻のエルフが持つ、世界の法則さえ書き換える【根源魔法】。


『萌、やるのか?』


頭の上のみちゃーれが、私の覚悟を察してニヤリと好戦的に笑う。


(ええ、みちゃーれ。全力の並列処理

(マルチタスク)で行くわよ! ――私の邪魔をする不審者(ブラック案件)は、一秒でサービス終了シャットダウンです!)


カツン、と私が小さな幼児用の靴で床を叩いた瞬間。私の小さな体から、会場全体を飲み込むほどの純白の魔力が

フラッシュのように爆発した。


「な、なんだこの光は……!? くそ

構わん、人質を――」


ボスが叫ぶより、テロリストたちが刃を動かすより、その光の速度の方が遥かに早かった。


「――【絶対時間凍結タイム・ストップ】」


パキィィィン!!!心地よい結晶の割れるような音が会場に響き渡る。


次の瞬間、ボスの叫び顔も、振り下ろされかけたナイフも、貴族の足を凍らせていた氷の魔法も――私とお母様、自由を許されたみちゃーれを除く

「会場のすべての時間」が、完全に停止した。


静止した世界の中で、私はよちよちとお披露目パーティーの会場の中央へと歩き出す。


「ばぶー(さぁ、残業代の出ない

お仕事、サクッと片付けちゃいましょうかね)」


誰も動けない静寂の世界。私は、人質に取られている貴族たちを助けようと

テロリストに向かって手をかざした。


――のだが、そこで私はハタと気づき、冷や汗を流した。


(あ、あれ……? 私、異世界に転生してから、まともに魔法なんて使ったことないじゃん……!?)


そうなのだ。スペックとしては最高峰の「幻のエルフ」の力を秘めているが

中身はただの元事務職OL。魔法の授業なんて受けたこともなければ、手加減の

仕方も1ミリもわからない。


このままお父様たちの真似をして攻撃魔法なんて放ったら、テロリストどころか、後ろに囚われている貴族たちまで一緒に消し飛ばして

(物理的に退職させて)しまうかもしれない。


「み、みちゃーれ! わたち、まほう使っちゃことにゃい……!」


あまりの恐怖に、私は頭の上の相棒に

泣きついた。見た目は大人、頭脳は子供の逆バージョンだが、今ばかりはただのパニックを起こした2歳児である。


すると、私の頭の上で、モフモフの猫の姿をした精霊王が「にゃあにゃあ」と呆れたように、しかしひどく優しく鳴いた。


『にゃあにゃあ(萌、大丈夫だよ。僕がついているから。僕が言ったことを

そのままリピートしたらいい)』


みちゃーれは私の頭の上で優しく毛並みを揺らしながら、念話で魔法のコツを教え込んでくれる。


最高位の精霊王のガイド付きチュート

リアル。


これ以上ない、贅沢すぎるチート

サポートだ。


『いいかい、萌。まずは魔力を手のひらに集めて……川のせせらぎをイメージするんだ。そう、そのまま僕の言葉を真似してごらん』


(川のせせらぎ……よし、水道の蛇口をちょっとだけひねる感じね!)


私はみちゃーれの指示通り、全身を巡る強大すぎる魔力の蛇口を、キュッと限界まで優しく絞るイメージを浮かべた。


そして、みちゃーれの紡ぐ美しい精霊語の響きを、一生懸命に幼い舌でなぞる。「……み、みじゅの、ちからよ、みんなを、やさちく、ちゅつんで……っ!」


たどたどしい私の幼児語のリピート。


だが、精霊王のバックアップを受けた

その言葉は、世界の法則を書き換えるのに十分すぎるトリガーだった。


私の手のひらから、淡いブルーの優しい光が溢れ出す。


その光はふわふわと会場全体に広がり、囚われている貴族たちの体を優しく包み込んでいった。


ナイフの刃を弾き飛ばし、足元の氷をじわりと溶かしていく、完璧な保護魔法。


『上出来だ、萌。さすがは僕の主だな』


頭の上のみちゃーれが、誇らしげに喉を鳴らす。


「ふえぇ……できたぁ……」


私はヘナヘナと座り込みそうになりながらも、時間を止められたまま、完全に

無防備になったテロリストのボスをキッと睨み据えた。


人質は全員、完全に保護した。お父様たちが戻ってくるまで、あとわずか。


ここからは、幻のエルフを

「ただのちび」と舐め腐った悪党どもへの、容赦ないお仕置き(業務改善命令)の時間だった。


(第63話 完)

第63話をお読みいただき、ありがとうございました!ボスの卑劣な人質作戦に対し、時間を止めてカンニング(みちゃーれのリピート)で力技解決する萌ちゃん。「み、みじゅの、ちからよ……っ!」という幼児語の詠唱(?)が最高に可愛かったですが、発動しているのは貴族全員を完璧に守り抜く国家転覆レベルの防護魔法です。みちゃーれの相棒感が頼もしすぎますね。人質を全員安全圏へ保護し、残るは動けないテロリストたちのみ。次回、幻のエルフを「ただのちび」と舐め腐った悪党どもへ、怒涛の「お仕置き(業務改善命令)」が始まります!もし「萌ちゃんのおたおたする姿が可愛い!」「みちゃーれイケメンすぎる!」と少しでも楽しんでいただけましたら、画面下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に!評価やブックマークで応援していただけると、執筆の凄まじいモチベーションになります!感想やレビューもお待ちしております。次回の第64話もどうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ