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第58話『シスコン兄貴たちの全力ステージ』

いつも応援ありがとうございます!第58話をお届けします。前回、仕切り直しのパーティーの裏で、何やら怪しい企みを始めたアレクにぃにとライダにぃに。萌ちゃんがいない隙に、二人が用意した「時間稼ぎの作戦」とは一体……?シスコンお兄ちゃんたちの暴走と、それに巻き込まれる貴族たちの命がけの奮闘をお楽しみください!

前回アレク、ライダ兄様のとある作戦を実行に移す回になってます。どんなことをするのでしょーか?続きをどうぞ


「よし、ライダ。萌ちゃんが戻ってくるまで、僕たちの力でこの会場を完璧にコントロールしてみせよう」


「おう! 任せとけアレク! 萌のためなら、俺はどんな泥だって被ってやるぜ!」


お母様が萌の描いたネコの絵で貴族たちを釣り、お父様が萌を個室へと連れて

行った、お披露目パーティー会場。


ポツンと取り残されていた次男のアレクにぃにと、三男のライダにぃには、自分たちで考えた『とんでもない作戦』をいよいよ実行に移そうとしていた。


アレクにぃには、どこからか音声を何倍にも増幅する拡声の魔道具――いわゆるマイクを取り出すと、優雅な足取りで

壇上へと上がった。


指先でマイクを軽く叩き、持ち前の端正な王子様スマイルを会場の貴族たちに

向け、大きな声でこう言ったのだ。


「皆様! 今日は萌ちゃんのお披露目

パーティーに来てくださり、本当にありがとうございます! 萌ちゃんの体調が

戻り次第、すぐにパーティーを再開いたしますが……その前に、退屈な待ち時間を忘れるような、ちょっとしたゲームをしませんか?」


「「「ゲーム……?」」」


ざわめいていた貴族たちが、一斉に壇上のアレクにぃにへと視線を向けた。

天才魔術師であるアレクにぃにが直々に提案するゲーム。一体どれほど高尚で知的、あるいは魔法を駆使した優雅な催しなのかと、誰もが固唾をのんで見守っている。


だが、アレクにぃにが考えていたのは、そんなお堅いものではまったくなかった。


内容を説明する大役を任されたのは

後ろに控えていた筋肉隆々のライダにぃにである。


アレクにぃにはニヤリと悪戯っぽく

笑い、ライダにぃにへとマイクを手渡した。


「ゴホン! よし、ここからは俺が説明するぜ!」


ライダにぃにはマイクを握りしめ、地声だけでも会場中に響き渡りそうな大声をさらに響かせた。


「ゲーム内容といたしまして、めちゃくちゃ頭と身体を使ったゲームをするぜ! ルールは簡単。俺たちがこれから出す

『お題(問題)』を、声を出さずに

自分の『身体だけ』を使って全力で表現してもらうマス!」


「「「…………は?」」」


会場を包む、圧倒的な静寂。高貴な衣装に身を包んだ伯爵や公爵たちが、一様にポカンと口を開けている。ライダにぃにが提案したのは、現代日本でいうところの『ジェスチャーゲーム』だったのだ。


「おいおい、そんな冷めた顔すんなって! チームに分かれて競い合ってもらうんだが、もちろんただのゲームじゃねぇ。見事、得点が一番多かったチームの優勝者には――」


ライダにぃにはここでニヤリと不敵に

笑い、懐から一枚の魔法写真を掲げてみせた。


「我がヴィンテ・ラジ家が誇る天使!

萌の『超絶可愛い天使の寝顔写真

(限定一枚)』を差し上げます!!」


ドクン。その瞬間、パーティー会場の空気が物理的に震えた。


「な……なんだと……!?」


「萌様の……寝顔写真だと……!?」


貴族たちの瞳に、一瞬で狂気にも似た

ガチな光が灯る。先ほどお母様が差し出した「ネコの絵」ですら大パニックに

なったのだ。


それが、世界に一枚しか存在しない

「幻のエルフの幼女の寝顔写真」となれば、その価値はもはや一国を買い取れるレベルの神聖不可侵なレアアイテムで

ある。


「勝つ……! 我が侯爵家の名誉にかけて、絶対にあの写真を勝ち取るぞ!」


「ドレスの裾が邪魔ですわ! 破り捨ててでも身体を動かしてみせます!」


さっきまで優雅にお茶をすすっていた大人たちが、一瞬にして目を血走らせ

狂戦士バーサーカーのようなオーラを放ち始めた。


「よし、いい顔になったな! それじゃあ第一問! お題は『大好物のマタタビの匂いを嗅いでしまい、尊厳を失って床で

ゴロゴロと悶絶する凶暴な魔獣サーベルタイガー』だ! 制限時間は三十秒!

さぁ、身体を張って表現してもらうぜ!」


「おおおおおーーーっ!!」


ライダにぃにの容赦ないお題に対し

煌びやかなタキシードを着たおじさま

貴族や、綺麗なドレスを着たマダムたちが、一斉に床へダイブした。


「ゴロゴロ……にゃ〜ん……!

(※声は出してはいけない)」


「はうぁぁ、マタタビ最高ですわーーーっ!(※声は出してはいけない)」


美男美女の貴族たちが、ふりふりとお尻を振ったり、仰向けになって手足をバタバタさせたりしながら、プライドを全てドブに捨てて必死に激しいジェスチャーを繰り広げる。


それを壇上からアレクにぃにが

「うーん、あの侯爵のゴロゴロは甘えが足りないねぇ。減点」と冷酷に採点し、ライダにぃにが「おいそこ! 照れが見えるぞ! 恥ずかしがるな、もっと全力で猫になりきれ!」

と鬼コーチのように煽りまくっていた。


ヴィンテ・ラジ家の誇るシスコン兄貴二人による、全力(で会場をカオスに陥れる)ステージ。メイクとドレス直しを終え、お父様に抱っこされてドアを開けた萌が、この世の地獄のような光景を目にするまで――あと、残り3分。

(第58話 完)

第58話をお読みいただき、ありがとうございました!お兄ちゃんたちの作戦、まさかの「萌ちゃんの寝顔写真」を賭けた全力ジェスチャーゲームでした(笑)。ライダにぃにのお題が「マタタビでキャラ崩壊する凶暴な魔獣」という無茶振りで、貴族たちが床でゴロゴロと尊厳を失っています。

個室から戻ってきた萌ちゃんがこれを見たら、元社畜としてどんなツッコミを入れるのか……(笑)。続きが気になる!と思ってくださった方は、ぜひブックマーク登録や評価の星(★★★★★)をポチッと押して応援してもらえると、次の執筆への大きな活力になります!次回、萌ちゃん帰還で会場はどうなる!?お楽しみに!

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