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第6話初めて自分の姿を鏡で見た

いつもお読みいただきありがとうございます!前回、元社畜のプライドを(一時的に)パージして、「だっちしてぇ!」とおねだりすることに成功した萌ちゃん。アレクくんとライダくんのナイス連携(?)もあり、無事にお屋敷へとたどり着きました。しかし、お仕事をして自立する気満々な萌ちゃんを待っていたのは、お母様やメイドたちによる全力の「甘やかしルート」で……!?中身アラサーOL、幼児の身体と大奮闘の第6話です!

「さぁ萌ちゃん、まずお風呂に

入りましょー」


アレクとライダのお母様はそそくさと、お風呂の準備を始めていた。

そして、私をそっと抱き上げなでなでしながら、広々とした風呂場まで連れて

行ってくれた。


(お、お母様、お気持ちは嬉しいのですが……!)


「おちゅちゃま、わたち自分で洗えまちゅからおろちてくだちゃい!」


私は中身は大人だし、風呂くらい自分で入れるもんと威張ってはみる。

けれど、悲しいかな幼児の短い手では

頭のてっぺんまでまともに

手が届かない。


なんともいえない無力感である。


「お嬢様、私どもにおまかせください! 萌様をピカピカにしますから!」

風呂場に控えていたメイド達は、

私を見るなり目をキラキラと輝かせた。


その凄まじい熱意に押され、私は大人

しくプロのメイドさんに身を委ねることにした。


――あぁ、極楽極楽。温かいお湯に包まれているうちに、身体の芯から緊張がほぐれ、強烈な眠気が襲ってきた。するとどうだろう。泣きたくなんてないのに、目から涙が溢れて止まらなくなってしまったのだ。

「ひっぅっあぅっ、ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!」

私自身、突然出た大泣き声に

びっくりだ。

眠たいから泣く? だいの大人が? そんな理由で?いくら理性が拒否しても、子供の身体の生理現象にはどうしても

抗えない。


「萌お嬢様どうされました!? お湯が熱かったですか!? それともお風呂が嫌でしたか?」メイドさんたちは慌てて機嫌を取ろうとしてくれるが、一度決壊した私の涙腺が止まることはなかった。


そこにドアがガチャと開き、入ってきたのはアレク兄だった。


「萌ちゃんどうしたの? お風呂入るの嫌だったの?」アレク兄はそっと私を持ち上げて、よしよしと優しくあやして

くれた。


それでもなかなか泣き止まない私を見て、もう一人、ドアを開けて入ってきた人物がいた。


弟のライダだ。「んー、兄上。もしかしたら萌、眠いんじゃあない? 森の中にひとりでいたから、ずっと張り詰めていた警戒心が解けて、眠くなったんじゃあないかな」


ライダの言葉は、まさに大正解だった。ずっと一人で気を張っていたから、

この温かいお家に来て、一気に気が

緩んでしまったのだ。


そこにお母様が優しく微笑みながら近づいてきて、私をそっと包み込む。

「ライダの言うとおりなの。子供は泣いて育つと言うし、寝て、食べて成長するものなのよ。だからこれは当たり前の

こと」


お母様は私をだっこして、背中を優しくポンポンとあやしてくれた。その心地いいリズムに抗えず、私はついに意識を

手放してしまった。

「すぅすぅすーっ……」


「ふふっ、小さな頃のアレクとライダを思い出すわね」


◇「う、ううん……」ゆっくりと目を開けると、視界に飛び込んできたのは、

前世の安アパートでは見たこともない豪華な天蓋てんがい付きのベッド

だった。


背中に感じるお布団は、社畜時代に

通販のセールで買った格安マットレス

とは比べものにならないほどフカフカ。


まるで最高級の雲の上にいるみたいだ。(って、私いつの間に寝ちゃって

たの!?)


そこで一気に記憶がフラッシュバックする。お湯の気持ちよさに負け、幼児の身体に負け、赤ちゃん返りして大泣きし、家族総出で盛大にあやされたあの

記憶が――。

(うわあああ恥ずかしい! 中身アラサー OL なのに、人前でギャン泣きするとか人生最大の黒歴史なんです

けどー!!)


ベッドの上でゴロゴロとのたうち回って悶絶していると、部屋の扉が静かに

開いた。


「あら、萌お嬢様、お目覚めですか?」入ってきたのは、お風呂の時にもいたメイドさんたちだ。私の姿を見るなり、またしてもその目を限界までキラキラと

輝かせている。


「さあ、お風呂上がりですので、新しいお洋服に着替えましょうね!」


よってたかってフリフリの最高に可愛いドレスを着せられ、サラサラになった髪を丁寧にかされていく。


お仕事(お手伝い)をして自立したいのに、これでは完全に高級ぬいぐるみ

扱いだ。


「できました! とっても可愛い

ですよ。さあ、鏡を見てみて

ください!」


メイドさんにそっと抱っこされ、部屋の隅にある大きな姿見すがたみの前に連れて行かれる。


そこで私は、異世界に来て初めて

「今の自分の姿」を正面から目撃する

ことになった。

(……え?)


鏡に映っていたのは、透き通るような白肌に、まるで最高級の宝石をはめ込んだみたいにキラキラ輝く大きな瞳。

そして、綺麗な髪の間からちょこんと覗く、上品に尖ったお耳。

(だ、誰この天使……!? 可愛すぎて全人類が保護したくなるレベルなんですけど!?)


信じられなくて、思わず自分の頬を両手で挟んでみる。

鏡の中の美幼女も、おんなじように小さな手で頬をむにゅっと挟んで目を

丸くしていた。


(嘘でしょ、元社畜アラサー OL の面影がミジンコほども残ってない! 

これが……幻のエルフ……!)


あまりの規格外の美少女っぷりに私が

カチコチに固まっていると、静かな

部屋に「きゅ〜う……」と、


もの凄く可愛らしい音が響いた。私のお腹の音だった。


「あら、お腹が空いてしまわれた

のですね! すぐにお食事をご用意

いたします!」

「お母様やアレク様たちも、食堂でお待ちになっておられますよ!」


メイドさんたちが嬉しそうにバタバタと動き出す。

(うう、恥ずかしい……。でも、次こそは……! 次こそはお腹いっぱい食べた後に、元社畜の意地でお手伝いを勝ち取ってみせるんだから……!)

こうして、萌ちゃんの異世界初の

お着替えタイムは、圧倒的な美貌への衝撃と、盛大なお腹の虫の音と共に幕を閉じるのだった。

第6話も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました!お風呂の気持ちよさと安心感から、子供の生理現象(眠気)に勝てずにギャン泣きしてしまった萌ちゃん。中身は大人のアラサーOLなだけに、ベッドの上で悶絶する姿は自業自得ながらちょっと同情しちゃいますね(笑)。そしてついに、鏡の前で自分の「幻のエルフ」としての姿を初目撃!天使すぎる自分の外見にツッコミが追いつかない萌ちゃんでしたが、最後は安定の「きゅ〜う」でお腹の虫が鳴り響いてしまいました。次回、いよいよお屋敷での初めてのご飯タイムです!果たして萌ちゃんは、今度こそ元社畜の意地でお手伝いを勝ち取ることができるのか、それともスプーンを上手く使えずに再びお兄ちゃんたちを悶絶させてしまうのか……!?「萌ちゃん可愛い!」「続きが気になる!」と思ってくださった方は、ぜひ広告の下にある【☆☆☆☆☆】の評価や、ブックマークで応援していただけると励みになります!次回もお楽しみに!

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