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第51話『残されたお皿とみちゃーれ』

いつも『社畜OLの葛木萌、猫を助けて異世界へ!』をお読みいただき、本当にありがとうございます!おかげさまで、ついに第51話を迎えることができました!✨ここまで書き続けられたのも、いつも温かい応援やスタンプ、感想をくださる読者の皆様のおかげです。本当にありがとうございます!51話ですが、お披露目パーティーの裏で何やら不穏な空気が……?萌ちゃんとみちゃーれの運命やいかに!?それでは、第51話をお楽しみください!

怪しい男に不気味な布で口を覆われ、

ツンとする嫌な匂いを吸い込んでしまった萌。


急激に意識が遠のき、小さな体から

すっかり力が抜けてしまったのを確認すると、男は下卑た笑みを浮かべた。


「よし、完全に眠ったな。……へへ、これで大金は俺のものだ」


男は周囲を素早く警戒しながら、ぐったりとした萌の体を、あらかじめ用意していた大きな袋へと手際よく押し込んだ。


そして、パーティー会場の片隅に置いてあった清掃用の台車へとその袋を乗せ、上からカモフラージュ用の掃除用タオルを何枚もバサバサと被せる。


これなら、誰が見てもただのゴミか洗濯物を運んでいるようにしか見えない。


男は平然とした顔で台車を押し、華やかな音楽が鳴り響くお披露目会の会場から、静かに、そして足早に抜け出していったのだった。


◇その頃――。ようやく貴族たちの挨拶攻めとマシンガントークから解放されたお父様は、大きなため息をついていた。上品にキープしていた営業スマイルから、ふにゃっと完全に力が抜ける。


「はぁ……疲れた。あのお堅い貴族たちを相手にするのは、本当に骨が折れるな……」


疲れ果てたお父様が今、本気で求めているもの。それは、世界で一番愛くるしい我が娘・萌による極上の癒やしだった。デレデレに緩みきった顔に戻りながら、お父様は萌をひとり残してきたテーブルへと、足取りも軽く向かっていく。


「萌ちゃん〜〜! 頑張ったお父様を、どうか思いっきり癒やしてぇ……って、あれ? 萌ちゃーん?」


お父様は両手を広げて萌を抱きしめようとしたが、そこに小さな主の姿はなかった。あるのは、マシュマロやチョコ、お肉が寂しそうに乗せられたままの、

ポツンと残されたお皿だけ。


「おーい、萌ちゃん? どこだい? 隠れてないで出ておいでー!」


お父様はきっと、得意のかくれんぼでもして自分を驚かせようとしているのだろうと微笑ましく思い、少し声を張り上げて呼んでみた。


しかし、周囲のざわめきにかき消されるだけで、大好きな娘の愛らしい声が返ってくることはなかった。


「……? おかしいな、本当にいないぞ。……あ、そうか。アレクとライダのところへ行ったのかなぁ?」


にぃに達のことが大好きな萌のことだ。お父様が目を離している間に、お兄ちゃんたちの元へトコトコと歩いていって

しまったに違いない。


お父様はまだ、最悪の事態が起きているとは微塵も思わないまま、

「全く、息子たちばかりずるいぞ」と

小さく零しながら、息子たちが引っ張られていった学校の友人たちの集まる席へと歩みを進めたのだった。


◇「息子達よ、萌ちゃんを見かけなかったかい?」


お父様が息子たちの元へ行きそう尋ねると、そこには友人たちに揉みくちゃにされたアレク兄様の姿があった。


服の襟元は引っ張られてだらしなく

伸び、自慢の髪の毛もわしゃわしゃに

乱れている。


「萌ちゃん? 僕、見てないなぁ。

ジント様のところにいないの? 

お父様」


アレク兄様は乱れた頭をポリポリとかきながら、不思議そうにお父様に問い返した。その横では、ライダ兄様が友人たちとの会話に「ちょっとストップ」と手をかけ、お父様の方を振り返る。


「ん? 俺は友達に引っ張られて萌と

離れちまったんだ。だから、てっきり

ジント様と一緒にいるんじゃねぇのか?」


ライダ兄様が落ち着いて話をしようと

している間にも、周りの友人たちからは「もっと萌ちゃんのこと聞かせてよー!」と猛烈なせがまれており、ライダ兄様の額にはピキリと青筋

(怒りマーク)が浮かんでいた。


◇その頃、お母様はというと、未だに貴婦人たちとの話に花が咲いていた。

しかし、お母様の心の声は限界を迎えている。


(もう二十分くらい話し込んでいるかしら……。流石にこのヒールを履いての立ち話は、足が痛くなってきましたわ。……そうだわ、あそこに椅子がありますから、皆様をあちらへ誘導して話の続きをしましょう)


お母様は名案を思いつくと、貴婦人たちに気遣わしげな笑みを向けた。


「皆様、立ち話もあれですから、あちらの椅子に座りながらゆっくりお話ししませんか?」


お母様が上品に提案すると、貴婦人たちは「まあ、素敵なお気遣い!」と大喜びで、揃って椅子がある場所へと移動していったのだった。


◇一方、息子たちのところにも娘がいないと知ったお父様は、少し冷や汗をにじませながら、ジント様の元へと向かっていた。


高名な貴族たちと話し込んでいるジント様に、お父様は切迫した声をかける。


「ジント様、萌ちゃんを見かけませんでしたか……? 私たちが探しているのですが、なかなか見つからず……」


お父様の尋常ではない様子に、ジント様は王族との会話を即座に中断し、お父様へと向き直った。その美しい美貌が、

わずかに曇る。


「私も挨拶のために萌を一人にしてしまいました。……食事を取りに行ったのだと思っていましたが、……待ってください。精霊王みちゃーれの気配(声)が、急激に小さくなっている。……何かが起きたのかもしれません」


ジント様は、萌が食事を取りに行ったところまでは察していた。しかし、頭の上にいるはずの精霊王の気配が尋常ではないほど弱まっていることに、

いち早く気づいたのだ。


そして――全員が「今起きている最悪の事態」を察知した時には、すでに遅かった。お父様も、にぃに達も、ジント様も。お互いの顔を見合わせ、その顔を真っ青に染めていく。


その頃、お母様が優雅に椅子に座って話し込んでいると、近くの壁際から、

微かにか細い猫の鳴き声が聞こえてきた。


(あら……? 何かしら、今の鳴き声。……まさか、みちゃーれ!? 

だとしたら、萌ちゃんも一緒じゃないの……?)


胸騒ぎを覚えたお母様が壁際に目線を落とすと――そこには、ボロボロになって倒れている、小さなみちゃーれの姿があったのだった。


次回、みんなが萌の不在に気づき、行方不明となった萌を全力で探し出す――!

第51話をお読みいただき、ありがとうございました!萌ちゃんーーー!!そしてみちゃーれーーー!!

(大号泣)楽しそうにもぐもぐタイムを満喫していた萌ちゃんが、まさかの絶体絶命の大ピンチに……!そして身を挺して萌ちゃんを守ろうとしたみちゃーれの健気さに、書いていて胸が締め付けられました。萌ちゃんがいないことに気づき、顔が真っ青になったお父様、にぃに達、ジント様。そしてボロボロのみちゃーれを見つけてしまったお母様……。次回、怒れる最強の過保護陣(特にあの氷の王子様)による、「萌ちゃん大捜索編」が幕を開けます!絶対にタダでは済まないであろう犯人の末路と、萌ちゃんの行方をぜひ見守ってください!もし「続きが気になる!」「みちゃーれ頑張った!」「ジント様早く助けて!」と思ってくださったら、ぜひ評価(★)やブックマーク、いいねで応援していただけると、52話の執筆の大きな励みになります!次回もどうぞお楽しみに!

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