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第50話『彼女のいないオフィスの日常』番外編

さぁ皆さん! 記念すべき50話を迎えられたのは、いつも読んでくださる皆さんの熱い応援のお陰です。本当にありがとうございます!皆さんの予想だと、この節目の番外編は、ヴィンテ・ラジ家の家族やジント様にまつわる甘々な内容だと思うんですけど……なんと今回は! ちょっとピリ切ないけどクスッと笑える、萌ちゃんがいた『現代の同僚の視点』を見てみましょう!それでは、第50話どうぞ!

「……はぁ。やっぱり、葛木先輩がいないとオフィスの空気が全然違いますね」


都内にある某企業のオフィス。カタカタと静かにキーボードの音が響くフロアで、後輩社員の男の子がパソコンの画面を見つめたまま、ぽつりと大きなため息を漏らした。


エース社員だった葛木萌(かつらぎ

もえ)が、会社の帰り道に車に轢かれて亡くなった――警察からそう連絡が入った時、オフィスは深い悲しみに包まれた。


誰もが涙を流し、彼女の早すぎる死を悼んだ。しかし、悲しみに暮れる暇もなく、会社はある驚くべき事実に直面することになる。


共有サーバーに残された彼女のデータを開くと、そこには驚くべき光景が広がっていた。直近の仕事はもちろんのこと、ずっと先のプロジェクトの書類作成、

さらには相手側の取引先企業との細かな調整や根回し、果ては今後予定されていた社内イベントのプレゼントの用意にいたるまで、彼女がすべて

『完璧に先回り』して手をつけていたのだ。


「本当よね。葛木さんがいなくなって、会社全体が『明日からの業務はどうなるんだ!?』って大パニックになったけど……見てよこれ。全ての仕事に、

イレギュラーなトラブルの対処法まで

先回りして書いてあるんだもの。

でもね……」


隣のデスクの先輩女子社員が、コーヒーをすすりながらしんみりと、そして少し疲れ切った顔で呟く。


「彼女が優秀すぎて、一人でどれだけの仕事を抱えて、どれほど周りをフォローしてくれていたのか……いなくなって

初めて思い知らされたわ。

まさか、葛木さん一人が抜けただけで、残された私たち全員が何日も何日も残業続きになるなんて、思ってもみなかったもの」


「そうですね……。葛木先輩がいた頃は、あんなに毎日定時で帰れていたのに。まさかこんなに連日残業することになるなんて……本当に、あの人の偉大さが身に染みますよ」


後輩社員は苦笑いしながら、萌がよく使っていたお気に入りの猫のマグカップを見つめた。共有サーバーにある彼女の遺してくれたマニュアルを頼りに、全員が必死にキーボードを叩いている。


するとそこへ、二人の会話を聞いていた課長が、ファイルを小脇に抱えて輪に加わってきた。


「まあ、本当に惜しい奴を亡くしたよ……。だが、あの葛木のことだ。会社の帰り道に、車に轢かれそうになっていた野良猫を命がけで助けるような、

生真面目であれだけ優しい奴なんだから……今頃あの世かどこかで、猫の恩返しでも受けて、お姫様みたいに贅沢三昧で暮らしててもおかしくないぞ?」


「あ、それ分かります! 葛木さんなら、もし別の世界とかに生まれ変わってたとしても、あの圧倒的なプロ根性と先回り社畜スキルで、すぐに大出世して周りを驚かせてそうですよね」


同僚たちの言葉に、オフィスには少しだけ救われたような、ドッと明るい笑い声が広がった。


「そうだな。どこへ行っても、あいつは完璧にやっていけるさ。……よし、俺たちも葛木が遺してくれた完璧な仕事に恥じないよう、今日の残業を乗り切るぞ!」


「「はい!」」


残されたオフィスでは、彼女を慕う同僚たちが、今日も彼女の偉大な置き土産に助けられながら、寂しさを乗り越えて元気に働いている。


――現代の彼らは、まだ誰も知らない。彼らが噂する元最強社畜OL・葛木萌が、本当に異世界へと転生し、エルフの3歳児として、国一番の美形王族であるジント様と電撃婚約を果たしているという

事実を。


……あるいは、彼女のあの驚異的な

「先回り能力」が、異世界のスパルタ家庭教師をも圧倒する

『ビジネス淑女モード』として発揮されていたことも。


鍵となる猫ちゃんを救ったその優しさが、精霊王みちゃーれとの絆に形を変えていることも。


そして……まさに今この瞬間、悪い男に薬を盛られ、無理やり意識を失わされて眠っているという、超大ピンチの真っ最中だということも、彼らは知る由もなかった。

第50話(番外編)をお読みいただきありがとうございました!会社の帰り道に、車に轢かれそうになっていた猫ちゃんを命がけで助けた萌ちゃん。その優しさが今の異世界での幸せに繋がっているはずなのですが……本編の萌ちゃんは今まさに、悪者に薬を盛られて眠らされている絶体絶命の危機に瀕しています!現代の同僚たちが「どこでも完璧にやっていける」と信じる彼女を救うため、次回から最強の家族たちが動き出します!次回第51話から、再び緊迫の本編へ戻ります!愛する萌ちゃんが消え、薬を盛られた形跡や気絶したみちゃーれを見つけたジント様やヴィンテ・ラジ家の人々が、ブチギレ怒髪天で犯人を大捜索する「大反撃編」が幕を開けます!「現代の同僚たちの信頼に応えて、早く目を覚まして萌ちゃん!」「ジント様、全力で犯人をボコボコにしてください!」と思ってくださった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】の評価やブックマークで応援していただけると、これからの執筆の大きな励みになります!記念すべき50話、ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました。次回の怒涛の展開もお楽しみに!

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