表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
51/64

第49話『パーティーのごちそうと怪しい影』

いつも『社畜OLの葛木萌、猫を助けて異世界へ!』をお読みいただきありがとうございます!お披露目会は大盛況!ですが、お父様もお母様も、お兄ちゃんたちも貴族たちへの対応で萌ちゃんの側から離れてしまいます。精霊王みちゃーれと二人きりになった萌ちゃんは、美味しそうなごちそうをもぐもぐ楽しもうとしますが……タイトルにある「怪しい影」の正体が、牙を剥いて襲いかかります!物語が一気に緊迫する衝撃の回です。それでは、第49話どうぞ!

華やかに幕を開けたお披露目パーティー。会場のあちこちで賑やかな音楽が鳴り響く中、質問攻めに合うお父様から少し離れた場所では、お母様も大変なことになっていた。


「まあまあ、奥様! あんなに愛らしい娘さんが、まさかエルフの生き残りだったなんて! しかも、その婚約者様があの王族最年少にして、桁外れの魔法量を持つというジント様だなんて……一体

どう思われますの!?」


「ええ、本当に! でもジント様といえば、社交界では誰もが恐れる

『氷の王子』などと呼ばれていませんでしたかしら? さっき萌様に見せていたあの甘い笑顔、どこが氷の王子ですのー! 信じられませんわ!」


お母様の周りを囲んだ婦人の友人たちは、一度火がついたら止まらないマシンガントークでおしゃべりを繰り広げている。注目の的となったお母様は、手にした扇子をそっと口元に当てながら、笑顔の裏でちょっとだけ口元をヒクヒクと引きつらせていた。


「そ、そうですわね。……ふふ、確かにそのような冷徹な噂もありますけれど、私たちが少しの間一緒に過ごした時間は、とても優しくて温かい方でしたのよ。……ええ、ですから、私たちは二人の婚約を認めたのですわ」


お母様は上品な貴婦人の仮面を必死に維持しながら、娘のフィアンセを自慢しつつも、怒涛の質問攻めをいなすために大奮闘していた。


一方その頃、いつもなら私の両脇をがっちりガードしているはずの、シスコン全開な二人のにぃに達の姿がなかった。


「おいライダ、アレク! お前ら、

あんな可愛い妹がいるなんて聞いてねぇぞ!」


「ちょっと、二人とも学校で隠してたなんて水臭いですわ! 詳しくお話を聞かせてちょうだい!」


「あ、おい引っ張るなよ! 僕はは萌のそばに――」


「待て、服が破れる! 萌、すぐに戻るから大人しくしているんだぞ――!」


ライダにぃにとアレクにぃには、会場にいた学校の友人たちに見つかってしまい、揉みくちゃにされながら強引に遠くの席へと引っ張られていってしまったのだ。


ジント様も王族としての挨拶のために、少しだけ私の元を離れている。頼れるお兄ちゃんたちと引き離され、ポツンと

一人(と頭の上の一匹)になってしまった私。


(あちゃー……みんな大忙しだなぁ。でも、今がチャンスかも! これだけ人がいれば、ちょっとくらいもぐもぐしててもバレないわよね?)


私は精霊王のみちゃーれと2人きりになったのを見計らい、テーブルにずらりと並べられた色んな種類のご馳走に目を輝かせた。小さな手でお皿を引っ張り、

食べたいご飯を乗せていく。


「わぁ……! これ、ましゅまろかなぁ? チョコと挟まれてて、とっても美味しそう! あと、これはお肉かなぁ? ちょっと、かたちょう

(形が面白い)!」


私は自分が食べられそうな甘いものやおかずを選び、ついでにみちゃーれが欲しそうな食べ物もちゃんとお皿に取った。


よし、これを持って近くの椅子に座って食べよう――そう思った、次の瞬間だった。私の背後に、音もなくギロリとした不気味な気配が忍び寄る。予想だにしない最悪のハプニングが、私の身に降りかかった。


「……おい、ガキ。君、エルフなんだってなぁ? エルフってのは市場じゃあクソ貴重で、裏に売れば大金が手に入るって言われてるんだよ。――ガタガタ言わずに、ちょっと来いや」


突如として現れた、見知らぬ男。面布の隙間からのぞく目は、3歳児に向けるにはあまりにも凶悪で怖い顔をしていた。


男は容赦のない力で、私のちっちゃな耳をギュッと強く引っ張り、そのまま会場の裏へと連れて行こうとしたのだ。


「いっ……いちゃいっ!! はなちてーーーっ!!」


あまりの痛さと恐怖に、私の目は一瞬でウルウルと涙でいっぱいになる。

ちっちゃな体をよじらせて、必死に悪い男の手から逃げようと抵抗した。


その時、私の頭の上に乗っかっていた頼れる相棒が動き出した。


「にゃあああああーーーーっ!!」


みちゃーれは男の手首に向けて猛然と飛びかかり、鋭い牙でその腕に思いっきり噛み付いたのだ! 小さな体で、必死に私を守ろうとしてくれている。


「痛えな、このクソ猫がっ!! あっちへ行けよ!!」


男は激痛に顔を歪め、噛み付いたみちゃーれを腕ごと激しく振り払った。


小さなみちゃーれの体は「にゃぁっ」と短い悲鳴を上げて、そのまま近くの硬い壁へと強く投げつけられてしまう。ドサリと床に落ちたみちゃーれは、ピクリとも動かなくなり、そのまま気を失ってしまった。


「みちゃーーーっ!!」


私が叫ぼうとしたその瞬間、男の大きな手が背後から伸びてきて、私の口を乱暴に塞いだ。


「おっと、叫ばれたらバレちまうからよ。しばらく大人しくしてな……。

ここで騒がれちまうと、俺の『主様』が悲しむからよぉ」


主様――? やっぱり、こいつの裏に誰か黒幕がいるの!?私は手足をバタバタとさせて必死に抵抗した。


けれど、男が取り出した不気味な布のようなもので無理やり口と鼻を覆われてしまう。


ツンとする嫌な匂いが鼻腔を突き抜け、さっきまであんなにハッキリしていた意識が、急激にぐにゃりと歪んでいく。


手足から急に力が抜けていき、私は強烈な眠気の中に引きずり込まれるようにして、そのまま意識を失っていくのだった。

第49話をお読みいただきありがとうございました!お披露目会のごちそうを楽しもうとした矢先、まさかの萌ちゃん誘拐事件が発生してしまいました……!萌ちゃんを守るためにボロボロになりながら噛み付いたみちゃーれ。壁に投げつけられて気絶してしまうシーンは、書いていて本当に胸が締め付けられる思いでした。そして悪者が放った「主様が悲しむ」という不穏な言葉。一体、この誘拐を裏で操っている黒幕の正体とは……!?次回、愛する萌ちゃんが消えたことに気づいたジント様、お父様、そしてにぃに達がブチギレ大激怒!?ヴィンテ・ラジ家と「氷の王子」の本気の怒りが、誘拐犯たちを恐怖のどん底に叩き落とす反撃編がスタートします!「みちゃーれ大丈夫!?」「ジント様、早く萌ちゃんを助けてあげて!」と思ってくださった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】の評価やブックマークで応援をお願いします!次回の更新もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ