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第48話天使の挨拶

いつも『社畜OLの葛木萌、猫を助けて異世界へ!』をお読みいただきありがとうございます!ついに壇上に上がった萌ちゃん。2週間の猛特訓の成果をぶつける「天使の挨拶」が、会場の大人たちのハートを完全に打ち抜きます!みちゃーれの頼もしい(?)挨拶にもご注目ください。そして挨拶の後、ジント様の口から会場全体を揺るがす、とんでもない重大発表が飛び出します……!?それでは、第48話どうぞ!

ライダにぃにの用意してくれた美しい

蝶々たちに支えられながら、私はついに階段を上りきった。


ジント様に手を引かれ、大勢の貴族たちが息を呑んで見つめる壇上の中心へと立つ。目の前に広がる人の多さに一瞬だけ気後れしそうになったけれど、中身アラサーの元社畜としての根性を奮い立た

せる。


(これは大切な新製品のプレゼンよ……! 2週間のスパルタレッスンの成果、ここで出さなきゃ女がすたるわ!)


私はドレスの裾をきゅっと持ち上げ、

緊張で少しだけ声を震わせながらも、

みんなの前で大きな声でハキハキと挨拶を行った。噛まないように、一文字一文字に全神経を集中させる。


「ヴィンテ・ラジ萌といいましゅ! 

まだこのおいえに入ったばかりなので、失敗をしちゃったり、夜泣きをすることもあると思いましゅが、よろちくお願いちます! ……あしゅこと、ここにいる精霊王のみちゃーれも、私の大切な家族でちゅ!」


完璧な淑女の一礼カーテシーを添えて、3歳児の精一杯の声を響かせる。

すると、私の頭の上にちょこんと乗っていたみちゃーれも、タイミングを合わせるようにして胸を張った。


「にゃぁ、なぁ、なぁー!」


(僕の名前はみちゃーれです! 萌と

一緒に過ごして、一緒に育った大切な相棒です。――だから、もし萌に酷いことをする人物がいたら、それ相応の覚悟をしてもらうからにゃぁ?)


なお、みちゃーれのこの威厳に満ちた精霊王としての警告ボイスは、一般の人間の方々には一切聞こえない。

周囲の貴族たちには、ただただ

「ちっちゃくて可愛い猫ちゃんが、健気ににゃあにゃあと鳴いて挨拶している」ようにしか見えていなかった。


それが、会場に集まった大人たちの

ハートを完全に消し飛ばした。


「きゃぁぁぁーーーーっ!? あ,、あの子が噂の萌様なの……っ!? ちょっと、噂で聞いていたよりも何百倍もめちゃくちゃ可愛いですわ……!」


「しかもあの子、エルフですわよ! ただでさえ貴重なエルフなのに、あんな愛らしい子がこの世に存在するなんて……っ!」


会場からは割れんばかりの歓声が沸き起こり、一向に鳴り止む気配がない。それどころか、ドレス姿で壇上に立つ私が可愛すぎたせいで、あまりの尊さに耐えかねて、立っていた貴族たちが「ごふっ」「うっ、頭が……」と次々に白目を剥いて倒れていくという、前代未聞のハプニングまで起き始めていた。


そうして私の挨拶が無事に終わり、いよいよみんなで乾杯、となったその瞬間。


隣にいたジント様が、私の小さな手をそっと引きながら、会場全体に響き渡る凛とした声で言葉を述べた。


「皆様、本日はお越しいただき誠にありがとうございます。……ここで、私から一つ大切な発表があります。私、ジントは――本日ここにいる萌と、婚約をいたします! なにとぞ、皆様も彼女を温かく守ってやってください」


「「「…………っ!?」」」


ジント様の口から飛び出した、あまりにも衝撃的なサプライズ発表。さっきまで黄色い歓声を上げていた観客の大人たちは、全員がびっくりして頭の上に大きなハテナを浮かべ、完全に目が点になって固まってしまった。


会場が水を打ったように静まり返る。


(えっ、えええええーーーっ!? 

き、聞いてないわよジント様ー! 

マナーレッスンの成果を見せるだけじゃなくて、ここでいきなり婚約発表をぶっ込んでくるなんて、心臓に悪すぎるわよーーーっ!!)


私の心臓がパニックでバックバクに跳ね上がる中、静寂を破ったのは私の大好きな家族だった。


壇下の最前列にいたお父様とお母様、空間の飾り付けを頑張ってくれたライダにぃにと、出席者のチェックを頑張ってくれたアレクにぃにが、満面の笑みで

「素晴らしいわ!」

「よく言った!」と勢いよく拍手をし始めたのだ。家族の拍手をきっかけに、

我に返った貴族たちが次々と拍手を繋げていき、最後には会場が震えるほどの最大の拍手喝采がおこなわれたのだった。


「――では、ヴィンテ・ラジに栄光あれ! カンパーイ!」


「「カンパーイ!!」」


お父様の乾杯の音頭で、華やかにお披露目パーティーがスタートした。その後、壇上から降りたお父様は、挨拶のためにたくさんの貴族たちからお話を振られていた。


もちろん貴族の当主として、お父様も

顔の笑顔を崩さないように必死に

頑張っていたのだけれど……。


「あの上品で愛らしい萌様は、一体どこで見つけられたのですか?」


「それにしても、あのジント様の突然の婚約発表には、さすがに抵抗されなかったのですか?」


好奇心旺盛な貴族たちからの容赦のない質問攻めに、お父様は笑顔の裏で眉毛をピクピクと引きつらせていた。けれど、そこはさすが我が家の頼れる大黒柱。


「はっはっは、我が娘は世界一ですからね!」


と、素晴らしい営業スマイルで貴族たちを綺麗にいなし始めていた。さすがです、お父様。そんなお父様の奮闘を少し離れたところから見守っていると、隣からクスクスと楽しそうな笑い声が聞こえた。振り返ると、ジント様が私を見下ろして優しく微笑んでいる。


「驚かせてしまってごめんね、萌。

だけど、こうして皆の前で宣言しておけば、悪い虫も寄り付かないし、君をずっと僕の隣に置いておけるからね」


「ふぇ……ジ、ジント様……っ」


(うう、相変わらずこのイケメンは、3歳児相手にサラリと破壊力抜群のセリフを吐くんだから……!)


ジント様はそっと私の手を取り、エスコートするように賑やかな会場の真ん中へと導いてくれる。頭の上の相棒の

みちゃーれも、

「美味しいものがいっぱいあるにゃ!」と嬉しそうに喉を鳴らしていた。


(婚約発表にはびっくりしちゃったけれど……お母様の特製ドレスを着て、

にぃに達の可愛い飾り付けに囲まれて、大好きな家族とジント様が一緒にいてくれる。――うん、やっぱり今日は、最高の記念日になりそう!)


鳴り止まない祝福の拍手と華やかな音楽に包まれながら、私はジント様の手をぎゅっと握り返し、満面のレディの笑顔で幸せなお披露目会の幕を開けるのだった。

第48話をお読みいただきありがとうございました!萌ちゃんの可愛すぎる噛み噛み挨拶に会場がメロメロになった直後、ジント様からの「電撃婚約発表」!!お父様たちが拍手で温かくフォローしてくれたり、質問攻めに合うお父様を「さすが大黒柱!」と尊敬する萌ちゃんの家族愛に胸が熱くなりますね。そして最後は、ジント様の独占欲全開な甘いセリフと、萌ちゃんの幸せなレディの笑顔で最高の締めくくりとなりました!次回、いよいよパーティーが本格始動!美味しいご飯を堪能する萌ちゃんたちの裏で、あの意地悪マナー講師がどんな行動に出るのか……!?「ジント様の婚約発表が王子様すぎる!」「最後の萌ちゃんの笑顔が目に浮かぶ!」と思ってくださった方は、ぜひ下の【☆☆☆☆☆】の評価やブックマークで応援していただけると、毎日の執筆の大きな励みになります!次回の更新もお楽しみに!

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